どれだけ良い装置で撮っても、見るモニタが狂っていれば診断はできません。だから医用画像表示モニタには、装置と同じように品質管理が定められています。
国家試験でも毎回のように出題されますが、聞かれることは実は少なく、次の3つに集約されます。
- 目視試験か、測定試験か(=器械が要るかどうか)
- どの器械を使うか(輝度計・色彩計・照度計)
- TG18 のどのパターンか、GSDF とは何か
この記事では、その3つを順に整理します。
目視試験か、測定試験か
仕分けの基準は「器械が要るかどうか」。数値で管理するものはすべて測定試験。
モニタの品質管理は、大きく2つに分かれます。
| 目視試験 | 測定試験 |
|---|
| やること | テストパターンを人が見る | 器械で数値を測る |
| 代表項目 | アーチファクト(ムラ・欠陥画素・残像)、幾何学的歪み、全体的な均一性 | 最大輝度・最小輝度・輝度比、コントラスト応答、輝度均一性、色度 |
| 性格 | 主観的評価 | 客観的評価 |
仕分けの基準は単純で、器械が要るかどうかです。数値で管理するものはすべて測定試験だと考えてください。
ここで狙われるのが、目視試験は客観的評価であるという選択肢です。誤りです。人の目で判断するのだから主観的評価になります。客観的評価とは、輝度計などで数値化するものを指します。
不変性試験の頻度も問われます。日常と定期(毎日の目視+月次・年次)に行います。「2 年ごと」は間隔が空きすぎで誤りです。
どの器械を使うか
輝度計は「画面の明るさ」、照度計は「部屋の明るさ」。コントラスト応答を測るのは輝度計。
測定に使う器械は3つです。
- 輝度計 … 画面そのものの明るさを測る(cd/m²)。最大輝度・最小輝度・輝度比・コントラスト応答・輝度均一性
- 色彩計 … 画面の色を測る。色度
- 照度計 … 部屋の明るさを測る(lx)。読影室の照度管理
いちばん混ざるのが 輝度計と照度計です。
輝度計 = 画面そのものの明るさ/照度計 = その場所がどれだけ明るく照らされているか
だから「照度計を用いてコントラスト応答を求める」は誤りです。コントラスト応答は画面の輝度を測るので、輝度計を使います。照度計の出番は、読影室の明るさ管理です。
同じ理由で、「輝度比 ── 色度計」「最大輝度 ── 照度計」といった組合せも、すべて器械が違います。
TG18 テストパターン:名前から用途が読み取れる
UN = uniformity(均一性)、LN = luminance(輝度)。名前の由来を知っていれば組合せ問題は落とさない。
モニタの品質管理には、AAPM の TG18 が定めたテストパターンを使います。名前の由来を知っていれば、用途が読み取れます。
| パターン | 用途 |
|---|
| TG18-QC | 全般的な画質(解像度・階調・アーチファクトを1枚で) |
| TG18-UN / UNL | 輝度均一性(UN = uniformity) |
| TG18-LN | 輝度応答・コントラスト応答(LN = luminance) |
| TG18-CX | 解像度(Cx パターン) |
TG18-QC は日常点検の中心になるパターンで、目的の違う要素が1枚に詰め込まれています。
- 高コントラストの帯 … ビデオ特性要素。白地を黒帯が、黒地を白帯が横切る部分で、ゴースト・尾引き・にじみがないかを見ます
- 連続階調のグラデーション帯 … 階調の飛びや段差を見ます
- ラインペア・Cx パターン … 解像度を見ます
- 16 段階の輝度パッチ … 輝度応答の測定に使います
- 0〜5%・95〜100% のコントラストパッチ … 低コントラストの見え方を見ます
GSDF:どのモニタで見ても同じ見え方にする
GSDF は DICOM Part 14 で定められた表示関数。コントラスト応答は「実測と理論値の差」で評価する。
GSDF(Grayscale Standard Display Function、グレースケール標準表示関数)は、DICOM Part 14 で規定された表示関数です。
人の目は、暗いところと明るいところで明るさの違いを見分ける能力が違います。GSDF は、その目の特性に合わせて階調を割りつけたもので、
どのモニタで見ても、同じ見え方になる
ようにするための約束です。診断用モニタの前提になっている考え方です。
図の曲線は、実際に DICOM が定める式で描いたものです。輝度は 0.05 cd/m² から 4,000 cd/m² までの広い範囲をカバーし、対数に近い形で立ち上がります。
そして、コントラスト応答はこう定義されます。
各階調の実測輝度と、理論値(GSDF)との差
差が許容範囲におさまっているかを見て、はみ出していればキャリブレーションが必要、と判断します。
まぎらわしい用語も整理しておきましょう。
- LUT(ルックアップテーブル)… 入力値を出力値に変換する表そのものを指す一般的な用語。GSDF を実現する手段ではありますが、規格の名前ではありません
- MPPS(Modality Performed Procedure Step)… 検査の実施状況を RIS へ伝える DICOM のサービス
- MWM(Modality Worklist Management)… 検査予定リストを装置へ渡す DICOM のサービス
- ガンマ 2.2 … 一般の PC モニタやテレビの表示特性。診断用モニタでは使いません
数値と構成
輝度比は最大 ÷ 最小。2,048 × 2,560 は約 500 万画素で 5 メガピクセル。液晶を構成するのは偏光フィルタ。
輝度比
輝度比=最小輝度最大輝度
診断用モニタでは 250 以上、マンモグラフィ用では 350 以上が求められます。
画素数の計算
2,048×2,560=5,242,880≒5 メガピクセル
これはマンモグラフィ用モニタの規格です。「3 メガピクセルに相当する」という選択肢は誤りで、実際は約 500 万画素なので 5 M です。
液晶ディスプレイを構成するもの
偏光フィルタ(偏光板)です。ほかの層はすべて別の装置のものです。
- 乳剤層 … 写真フィルム
- 蛍光体層 … 増感紙・CRT
- 誘電体層 … コンデンサ
- 光電変換層 … FPD・撮像素子
試験で問われやすいポイント
| 論点 | 覚える形 |
|---|
| 目視試験と測定試験の分け方 | 器械が要るかどうか |
| 目視試験の代表 | アーチファクト・幾何学的歪み |
| 目視試験の性格 | 主観的評価 |
| 測定試験の性格 | 客観的評価 |
| 不変性試験の頻度 | 日常+定期(2 年ごとは誤り) |
| 輝度計 | 画面の明るさ(cd/m²) |
| 照度計 | 部屋の明るさ(lx) |
| コントラスト応答を測るのは | 輝度計 |
| TG18-QC | 全般的な画質(日常点検の中心) |
| TG18-UN / UNL | 輝度均一性 |
| TG18-LN | 輝度応答・コントラスト応答 |
| ビデオ特性要素 | 高コントラストの帯(ゴースト・尾引き) |
| GSDF | DICOM Part 14 の表示関数 |
| コントラスト応答の定義 | 実測輝度と理論値(GSDF)の差 |
| ガンマ 2.2 | 一般の PC・テレビ用。診断用では使わない |
| MPPS / MWM | DICOM の別のサービス(表示関数ではない) |
| 輝度比 | 最大輝度 ÷ 最小輝度 |
| 2,048 × 2,560 | 約 500 万画素 = 5 メガピクセル |
| 液晶の構成要素 | 偏光フィルタ |
まとめ
- モニタの品質管理は目視試験と測定試験。分け方は器械が要るかどうか
- 目視は主観的評価、測定(輝度計など)が客観的評価
- 輝度計は画面の明るさ、照度計は部屋の明るさ。コントラスト応答は輝度計で測る
- TG18 は名前から用途が読める。UN = 均一性、LN = 輝度、QC は1枚で多項目
- ビデオ特性要素は高コントラストの帯で、ゴースト・尾引きを見る部分
- GSDF は DICOM Part 14 の表示関数。どのモニタでも同じ見え方にするためのもの
- コントラスト応答 = 実測輝度と理論値の差
- 輝度比は最大 ÷ 最小。2,048 × 2,560 は 5 メガピクセル。液晶は偏光フィルタ
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