散乱線とその対策(グリッド・絞り・空気間隙)
X線が体内で コンプトン散乱 すると、いろいろな方向へ進む 散乱線 が生まれます。散乱線は画像の コントラストを下げ、被ばく も増やすため、対策が必要です。
グリッドのしくみ
グリッド は、鉛の薄い板(はく)を細かく並べた格子 です。被写体と検出器の間に置き、まっすぐ進む直進X線は隙間を通し、斜めから来る散乱線は鉛の板で吸収 します。
グリッド比と関連指標
グリッドの性能は、おもに次の指標で表します。
- グリッド比:鉛箔の高さ ÷ 鉛箔のあいだの間隔(h/D) のことです。6:1・8:1・12:1 などで表し、比が大きいほど散乱線をよく除去 します。ただし、比が大きいほど 斜めの直進線まで切ってしまう ため、管球との位置合わせ(中心・距離・傾き)がシビア になり、必要な線量(被ばく)も増えます。
- グリッド密度:1cmあたりの鉛箔の本数。密度が高いほど格子の縞が目立ちにくく なります。
- 集束距離:収束(集束)グリッドには適正な焦点-グリッド間距離があり、外れると周辺で線が切れます(カットオフ)。
- ブッキー係数(グリッド係数):グリッドを使うと、同じ濃度を得るのに線量を何倍にする必要があるか。グリッド比が高いほど大きく なります。
一般撮影では 8:1〜12:1 程度がよく使われ、散乱線の多い 高圧撮影(胸部など)では高めの比を使います。
そのほかの散乱線対策
- 照射野を絞る(コリメーション):必要な範囲だけにX線を当てる。散乱線そのものを減らせて被ばくも減る、最も基本の対策。
- 空気間隙法(エアギャップ法/グレーデル法):被写体と検出器を離すと、散乱線は放射状に広がって検出器を外れ、届きにくくなります(距離の逆2乗則で散乱線が大きく減る=グレーデル効果)。グリッドなしで散乱線を減らせる簡便な方法です。
- 照射条件:高すぎるkVは散乱線を増やすので、適切な条件にする。
試験で問われやすいポイント
- 散乱線は コントラスト低下・被ばく の原因(コンプトン散乱由来)。
- グリッド は直進線を通し散乱線を吸収。グリッド比 が大きいほど除去能↑だが位置合わせ厳密・被ばく増。
- 照射野を絞る のは散乱線も被ばくも減らす基本対策。
- 空気間隙法(グレーデル法) は被写体と検出器を離して散乱線を逃がす(グレーデル効果)。
まとめ
- 散乱線は画質を下げ被ばくも増やすので対策が必要。
- 代表は グリッド・照射野の絞り・空気間隙法。
- まずは 照射野を絞る ことが基本。