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過去問解説

第74回 診療放射線技師 国家試験(午前)解答・解説

問1 元素記号と元素名の組合せで正しいのはどれか。

  1. Cu ── クロム
  2. Ge ── ガリウム
  3. Ce ── セレン
  4. Lu ── ルテチウム
  5. Ta ── タリウム
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正解:4

  • 1Cu は(copper)。クロムは Cr。
  • 2Ge はゲルマニウム。ガリウムは Ga。
  • 3Ce はセリウム。セレンは Se。
  • 4Lu はルテチウム。PETの検出器に使われる LSO(ケイ酸ルテチウム)LYSO の「L」がこれ。核医学で目にする元素。
  • 5Ta はタンタル。タリウムは Tl で、心筋血流シンチの ²⁰¹TlCl に使う。
  • どれも「頭文字が同じで紛らわしい」組合せで揃えられている。Cu/Cr、Ge/Ga、Ce/Se、Ta/Tl のように、実際に取り違えやすいペアを押さえておく。

問2 放射性壊変について正しいのはどれか。

  1. α壊変では原子番号が変化しない。
  2. β⁻壊変では質量数が1減少する。
  3. β⁺壊変では原子番号が変化しない。
  4. 軌道電子捕獲では質量数が変化しない。
  5. 核異性体転移では原子番号が1増加する。
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正解:4

  • 壊変による変化を表にまとめると、迷わなくなる。
壊変原子番号 Z質量数 A
α壊変−2−4
β⁻壊変+1変化なし
β⁺壊変−1変化なし
軌道電子捕獲(EC)−1変化なし
核異性体転移(IT)変化なし変化なし
  • 1α壊変では原子番号が2減る(ヘリウム原子核が飛び出すため)。
  • 2β⁻壊変は、中性子が陽子に変わる反応。核子の数の合計は変わらないので質量数はそのまま。
  • 3β⁺壊変では陽子が中性子に変わるので、原子番号は1減る。
  • 4ECは軌道電子を核が取り込み、陽子が中性子に変わる反応。原子番号は1減るが、質量数は変わらない。β⁺壊変と結果が同じになる点も重要。
  • 5ITは励起状態の核が余分なエネルギーをγ線として放出するだけ。原子番号も質量数も変わらない。⁹⁹ᵐTc → ⁹⁹Tc がこれ。
  • 覚え方は「質量数が変わるのはα壊変だけ」。ここを軸にすると、選択肢2・4がすぐ切り分けられる。

問3 放射性核種の分離で正しいのはどれか。(採点除外)

  1. 捕集剤は担体の一種である。
  2. 同位体担体は化学的に分離できる。
  3. 保持担体は共沈させるために加える。
  4. スカベンジャは目的核種を沈殿させる。
  5. トレーサ量では担体を加える必要はない。
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この問題は採点除外です(正答値表に正答が示されていません)。

  • 出題に問題があったと判断された問題なので、正解を追う必要はありません。ただし用語そのものは頻出なので、整理だけしておきます。
用語意味
担体(キャリア)微量の放射性核種と一緒に動かすために加える、同じ(または似た)性質の安定物質
同位体担体目的核種と同じ元素の安定同位体。化学的性質が完全に同じなので、化学的には分離できない
非同位体担体目的核種と別の元素だが挙動が似ているもの。化学的に分離できる
保持担体(ホールドバックキャリア)不要な核種を溶液中にとどめて、一緒に沈まないようにするために加える
捕集剤(スカベンジャ)不要な核種を沈殿させて取り除くために加える
  • 押さえどころは2つ。同位体担体は化学的に分離できないこと、そして保持担体(沈ませない)とスカベンジャ(沈ませる)は正反対のはたらきであること。
  • また、放射性核種はトレーサ量(ごく微量)なので、そのままでは沈殿もろ過もできません。だから担体を加える、という目的も理解しておいてください。

問4 標識化合物の生合成法で正しいのはどれか。

  1. 比放射能の制御が容易である。
  2. 標識位置の特定が容易である。
  3. 無機化合物の合成に用いられる。
  4. 微生物の代謝を利用した方法がある。
  5. 放射化学的純度の高い化合物が得られる。
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正解:4

  • 生合成法は、生き物(微生物・植物・動物)に放射性の原料を与え、代謝させて標識化合物を作らせる方法。化学合成では作りにくい複雑な分子を得られるのが利点。
  • 1生物の代謝まかせなので、比放射能を狙った値に制御するのは難しい。
  • 2分子のどこに標識が入るかは代謝経路しだいで、特定は容易ではない。
  • 3生き物が作るのは有機化合物。無機化合物には使えない。
  • 4クロレラに ¹⁴CO₂ を与えて標識グルコースを作る、といった方法が代表例。抗生物質やビタミンなど、複雑な天然物の標識に向く。
  • 5目的物以外の代謝産物が多数できるため、精製が必要で純度は高くない。
  • ウィルツバッハ法(トリチウムガスに漬ける)と同じく、手間はかからないが、位置も純度も制御できない、という性格をもつ。化学合成法との対比で覚える。

問5 焦点外X線について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 陽極の全体から発生する。
  2. 画像のコントラストを低下させる。
  3. 線質は焦点近傍ほど光子のエネルギーが高い。
  4. 集束電極で集束されなかった電子のため生じる。
  5. 発生する量は、回転陽極よりも固定陽極のほうが多い。
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正解:1・2

  • 焦点外X線(オフフォーカス放射)は、本来の焦点以外の場所から出てしまうX線。管内で散乱した電子が陽極のあちこちに当たって発生する。
  • 1焦点だけでなく、陽極面の広い範囲から発生する。これが定義そのもの。
  • 2被写体の外や照射野の外まで薄く写り込むため、コントラストが低下し、照射野の縁がぼやける。
  • 3焦点外X線の線質は、本来の焦点から出るX線と大きくは変わらない。「焦点近傍ほど高エネルギー」という関係はない。
  • 4集束電極(フォーカシングカップ)は電子ビームを絞る部品。焦点外X線の主因は、陽極に当たって跳ね返った電子(後方散乱電子)が再び陽極に当たることであって、集束できなかった電子ではない。
  • 5回転陽極のほうが構造上、電子が当たりうる面積が広い。固定陽極のほうが多いという関係ではない。
  • 対策は、X線管の出口近くに絞り(可動絞りの前段)を置くこと。線源に近いところで切るほどよく除ける。

問6 X線源装置の総ろ過を増加させたときの変化で正しいのはどれか。

  1. 半価層は薄くなる。
  2. X線量は少なくなる。
  3. 線質指標は低くなる。
  4. 実効エネルギーは低くなる。
  5. 被写体コントラストは高くなる。
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正解:2

  • ろ過とは、X線管の出口にアルミなどの板を置いて、低エネルギー成分を先に吸収してしまうこと。低エネルギーのX線は体の表面で止まってしまい画像に寄与しないので、被ばくを減らすために取り除く。
  • 1低エネルギー成分が減って線質が硬くなるので、半価層は厚くなる。
  • 2全体の光子数は減るので、X線量(線量率)は少なくなる。そのぶん mAs を増やす必要がある。
  • 3線質指標(半価層など)は高くなる。
  • 4実効エネルギーは高くなる。低い成分が抜けて平均が上がるため。
  • 5エネルギーが高くなると光電効果が減り、物質による吸収の差が小さくなるので、被写体コントラストは低くなる。
  • まとめると「ろ過を増やす → 線質が硬くなる → 半価層↑・実効エネルギー↑・線量↓・コントラスト↓・患者被ばく↓」。得るものと失うものが必ずセットになる。

問7 LCDについて正しいのはどれか。

  1. CRTと比べて消費電力が大きい。
  2. 大画面になると幾何学的歪みが発生する。
  3. スクリーンセーバーは画面の反射防止に有用である。
  4. 医用画像モニタの表示階調にはGSDFが用いられる。
  5. ランダムノイズの主な原因は、ピクセル間の輝度のばらつきである。
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正解:4

  • 1LCDのほうが消費電力は小さい。
  • 2幾何学的歪みは、電子ビームを偏向させるCRTの弱点。LCDは画素が物理的に固定されているので歪まない。
  • 3スクリーンセーバーは焼き付き防止のためのもの。反射防止は表面処理(AGコート)の役割。
  • 4GSDF(Grayscale Standard Display Function)は DICOM PS3.14 が定める階調表示の標準。人の目が感じる明るさの差が、どの階調でも均等になるように輝度を割り当てる。これにより、どの施設のモニタでも同じ見え方になる。
  • 5ピクセル間の輝度のばらつきは固定パターンノイズ(いつも同じ場所に出る)であって、ランダムノイズではない。
  • モニタの品質管理では、TG18‑QCテストパターンで全般的な画質を、輝度計で最大輝度・輝度比・GSDFへの適合を確認する。読影室の照度(部屋の明るさ)も別に管理する。

問8 CR装置について正しいのはどれか。

  1. ダイナミックレンジはFPDよりも狭い。
  2. 輝尽励起光の波長は 400 nm 程度である。
  3. 乳房撮影用の画素サイズは 100 μm 程度である。
  4. フェーディング現象は輝尽発光量に影響しない。
  5. 両面集光方式は片面集光方式よりも、輝尽発光の集光効率が高い。
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正解:5

  • 1CRのダイナミックレンジは広く(10⁴程度)、フィルムより大幅に広い。FPDより特に狭いということはない。
  • 2励起光は赤色レーザー(633〜690 nm 程度)。輝尽発光が青色(約400 nm)で、この2つを大きく離すことでフィルタで分離できる。数字が入れ替わっている。
  • 3乳房撮影は微小石灰化を写す必要があるため、50 μm 程度とさらに細かい。100 μm は一般撮影用。
  • 4フェーディングは時間とともに蓄積情報が失われる現象で、輝尽発光量は減る。だから撮影後は早く読み取る。
  • 5両面集光方式は、輝尽性蛍光体層の表と裏の両方から光を集める方式。集光効率が上がるぶんSN比が改善する。透明な支持体を使うことで実現している。

問9 受像器から離れた位置にある点Tを、受像器のX軸中心より左右に各5 cm移動させた焦点位置 a、b で撮影したところ、画像A、B上の異なる位置に投影された。点Tの受像器面からの距離[cm]に最も近いのはどれか。ただし、受像器は固定、焦点は点焦点、焦点‑受像器間距離は 100 cm とする。

問9の図(出典:厚生労働省)
  1. 7.2
  2. 9.1
  3. 11.8
  4. 13.7
  5. 16.7
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正解:2

  • これはステレオ撮影(視差)で高さを求める問題。焦点を左右にずらすと、受像器から浮いている物体ほど、画像上で大きくずれる。この「ずれ(視差)」から高さが逆算できる。
  • 相似の三角形から、次の関係が成り立つ。
hSID=pp+b\frac{h}{\text{SID}} = \frac{p}{p + b}
  • ここで h は受像器から点Tまでの高さ、SID は焦点‑受像器間距離(100 cm)、b は焦点を動かした距離の合計(基線長)、p は画像上でのずれ(視差)。これを h について解くと、
h=SID×pp+bh = \text{SID} \times \frac{p}{p + b}
  • 図から読み取った視差と、基線長(左右に各5 cm = 合計10 cm)を代入すると、およそ 9.1 cm になる。
  • 1視差を小さく読み取りすぎた場合に近い値。
  • 2約9.1 cm。図から読み取った視差と基線長10 cmを式に入れた結果と一致する。
  • 345視差と基線長の対応を取り違えたり、相似の関係を逆に立てたりすると、これらの値になる。
  • 検算の感覚:受像器にぴったり置いた物(h=0)は、焦点を動かしてもずれない(p=0)。逆に焦点に近いほどずれは大きくなる。式に h=0 を入れると p=0 になり、条件を満たす。

問10 マルチスライスCTと比較した、歯科用コーンビームCTの特徴で正しいのはどれか。

  1. 撮影時間が短い。
  2. 撮影領域が広い。
  3. 空間分解能が高い。
  4. 濃度分解能が高い。
  5. 画素濃度値の正確性が高い。
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正解:3

  • 歯科用コーンビームCT(CBCT)は、円錐状のX線と平面検出器を1回転させて撮る方式。狭い範囲を細かく見ることに特化している。
  • 11回転に十数秒かかることが多く、マルチスライスCT(数秒以下)より長い
  • 2撮影領域(FOV)は数cm四方と狭い。歯や顎の一部に限られる。
  • 3等方性のボクセルで 0.1 mm 前後という高い空間分解能が得られる。歯根や歯槽骨の細かい構造を見るのが目的なので、ここに特化している。
  • 4散乱線が多く入るため、濃度(低コントラスト)分解能は低い。軟部組織の描出は苦手。
  • 5同じ理由で画素値の正確性が低く、CT値として定量的に扱えない。CBCTの画像で「CT値が何HU」という議論はできない。
  • まとめると「細かさは得意、濃淡は苦手」。放射線治療のIGRTで使うCBCTも同じ性質をもち、位置合わせには使えるが線量計算にはそのまま使えない。

問11 デュアルエネルギーCTについて正しいのはどれか。

  1. サイクロトロンによる放射光を使用する。
  2. 高速スイッチング方式では、2つのX線管が実装されている。
  3. エネルギーが低い仮想単色X線画像では、ヨードのCT値が増加する。
  4. 通常のX線CTよりビームハードニングアーチファクトが増加する。
  5. 物質弁別において、2つの基底物質は実効原子番号が同一となる物質を選択する。
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正解:3

  • 1通常のX線管を使う。放射光は大型加速器の施設でしか得られない。
  • 2高速スイッチング方式は、1本のX線管の管電圧を高速で切り替える方式。X線管が2本あるのはデュアルソース方式。名前と構造が入れ替わっている。
  • 3ヨードのK吸収端は 33.2 keV。低いkeVの仮想単色画像ほどこのエネルギーに近づき、ヨードの吸収が大きくなるのでCT値が上がる。造影効果を後から強調できるのがデュアルエナジーの利点。
  • 4逆。仮想単色X線画像は「単一エネルギーで撮ったとしたら」という画像なので、ビームハードニングは減る。金属アーチファクトの低減にも使われる。
  • 5物質弁別は、性質の異なる2つの物質(水とヨード、水とカルシウムなど)を基準にして分解する。実効原子番号が同じでは区別できないので、なるべく離れたものを選ぶ
  • 応用としては、仮想単純画像(VNC)ヨードマップ尿酸結石の判別骨除去などがある。

問12 MRI装置の超伝導磁石について正しいのはどれか。

  1. 形状はオープン型である。
  2. コイルの線材は銅である。
  3. 冷却に液体ヘリウムを用いる。
  4. 3 Tを超える高磁場は得られない。
  5. 電流が流れている間は電力が消費される。
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正解:3

  • 1超伝導磁石はコイルを液体ヘリウムで冷やす構造上、トンネル型(クローズド型)になる。オープン型は永久磁石が主流。
  • 2線材はニオブチタン(NbTi)などの超伝導合金。銅では超伝導にならない(銅は安定化材として一緒に使われる)。
  • 3NbTi を超伝導状態にするには約 −269℃(4.2 K)まで冷やす必要があり、液体ヘリウムを使う。クエンチは、この超伝導状態が破れてヘリウムが一気に気化する現象。
  • 4研究用では 7 T 以上も実用化されている。臨床でも 3 T が普及し、7 T も承認されている。
  • 5超伝導状態では電気抵抗がゼロ。いったん電流を流せば、電源を切っても電流が流れ続ける(永久電流モード)。電力を消費しないのが最大の利点。
  • 磁石の3方式は、永久磁石=低磁場・オープン・クエンチなし/常伝導=電力を食う/超伝導=高磁場・電力ゼロ・ヘリウム必要、と並べて整理する。

問13 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で規定されている医療機器の分類と装置の組合せで正しいのはどれか。

  1. 設置管理医療機器 ────── 移動型X線装置
  2. 特定保守管理医療機器 ─── X線CT装置
  3. 一般医療機器(クラスⅠ) ── X線撮影装置
  4. 管理医療機器(クラスⅡ) ── 放射線治療装置
  5. 高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ) ── 超音波診断装置
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正解:2(1も正答)

  • 公式の正答値表では、1と2のどちらを選んでも正答とされた問題です。
  • 分類の考え方を整理する。
分類意味
一般医療機器(クラスⅠ)不具合が生じても人体へのリスクが極めて低い(メス・ピンセット・X線フィルムなど)
管理医療機器(クラスⅡ)リスクが比較的低い(X線撮影装置・CT・MRI・超音波診断装置など)
高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)リスクが比較的高い(放射線治療装置・ペースメーカ・人工心肺など)
特定保守管理医療機器保守点検・修理に専門的な知識と技能を要し、適正な管理が必要なもの(CT・MRI・X線装置・治療装置など)
設置管理医療機器設置にあたって組み立てが必要で、据付時の管理が必要なもの(CT・MRI・据置型X線装置など)
  • 1○(救済)移動型X線装置も設置管理の対象に含まれると解される。
  • 2CTは特定保守管理医療機器の代表例。
  • 3X線撮影装置は管理医療機器(クラスⅡ)。一般医療機器ではない。
  • 4放射線治療装置は高度管理医療機器。管理医療機器ではない。
  • 5超音波診断装置は管理医療機器(クラスⅡ)。高度管理ではない。
  • クラス分類(リスクの大きさ)と、特定保守管理・設置管理(管理の必要性)は、別の軸であることに注意。CTのように両方に該当するものもある。

問14 超音波画像診断装置のゲインを調整したときに変化するのはどれか。

  1. 送信される超音波の振幅
  2. 送信される超音波の周波数
  3. 送信される超音波のパルスレート
  4. 受信機から出力される電気信号の振幅
  5. 受信機から出力される電気信号の周波数
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正解:4

  • ゲイン(gain)は「受信した信号をどれだけ増幅するか」の設定。送信側ではなく受信側をいじる、という点が最大のポイント。
  • 1送信の振幅を変えるのは音響出力(アコースティックパワー)の設定。こちらは患者に当てる超音波そのものを強くするので、生体への影響(MI値・TI値)に関わる。
  • 2周波数はプローブで決まる。
  • 3パルスレート(PRF)は深度や表示モードで決まる。
  • 4受け取ったエコー信号を増幅するので、画像全体が明るくなる。ノイズも一緒に増幅されるため、上げすぎると画像がざらつく。
  • 5増幅しても周波数は変わらない。
  • STC(sensitivity time control)は、これを「深さごとに」調整する機能。深いところほど減衰するため、深部の増幅を強くして画面全体の明るさをそろえる。
  • 実務では「まず音響出力は最小限にして、ゲインで明るさを調整する」のが被ばく(超音波の生体作用)低減の原則になる。

問15 MRCP像で、主膵管はどれか。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.1 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

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正解:4

  • MRCPで描出される管を、走行で見分ける。
    • 総胆管…肝門から下行し、膵頭部を通ってファーター乳頭へ。太い
    • 胆囊管…胆囊から出て総肝管に合流する、らせん状の細い管
    • 主膵管(ウィルスング管)膵臓の中を、尾部から頭部へほぼ水平に走る。総胆管とは違う向き
    • 副膵管(サントリーニ管)…主膵管から分かれ、副乳頭へ
  • 123胆囊・胆囊管・総肝管のいずれかにあたる。いずれも縦方向に走る胆道系の構造。
  • 4膵臓の長軸に沿って水平に走り、総胆管と膵頭部で合流する形が決め手。
  • 5総胆管にあたる。太く、肝門から下方へ縦に走るので主膵管とは向きが違う。
  • 見分けの決め手は「向き」。胆道系は上下(縦)方向、主膵管は左右(横)方向に走る。この違いを押さえておけば、どの矢印を指されても答えられる。

問16 乳腺腫瘤の超音波像について正しいのはどれか。2つ選べ。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.2 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. C区域に位置する。
  2. 皮膚の牽引を認める。
  3. 後方エコーの増強を認める。
  4. 内部に点状高エコーを認める。
  5. セクタ型プローブを使用している。
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正解:2・4

  • 乳腺の超音波では、悪性を疑う所見が決まっている。形が不整、境界が粗雑、縦横比(D/W)が大きい、後方エコーの減衰点状高エコー(微細石灰化)、そして周囲組織の引き込み(牽引)
  • 1区域は乳頭を中心にA〜Dで表す。画像の位置と一致しない。
  • 2腫瘤が皮膚を引き込んでいる。悪性を強く疑う所見。
  • 3この腫瘤では後方エコーは減衰している。増強するのは囊胞など液体を含むもの。
  • 4内部の点状高エコーは微細石灰化を示唆し、悪性の所見。
  • 5乳腺は体表なのでリニア型を使う。セクタ型は心臓用。

問17 右側腹部の超音波像で、矢印が示すアーチファクトはどれか。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.3 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 音響陰影
  2. 外側陰影
  3. 鏡面反射
  4. 多重反射
  5. 後方エコーの増強
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正解:2

  • 1音響陰影は結石など強い反射体の真後ろが広く黒く抜ける。縁から細く伸びるのとは形が違う。
  • 2外側陰影(側方陰影)は、囊胞や胆囊など丸い構造の両脇の縁から、下向きに細く伸びる影。境界で超音波が屈折して外へ逃げるために生じる。左右対称に2本出るのが特徴。
  • 3鏡面反射(ミラーイメージ)は、横隔膜の向こう側に虚像が写る現象。
  • 4多重反射は等間隔の線が何本も並ぶ。
  • 5後方エコー増強は、液体の後ろが明るくなるもの。
  • 縁から細く2本なら外側陰影、真後ろが広く黒いなら音響陰影。出る場所と形で切り分ける。

問18 内部のエコーレベルが最も低い病変はどれか。

  1. 肝硬変
  2. 肝囊胞
  3. 肝血管腫
  4. 肝細胞癌
  5. 転移性肝癌
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正解:2

  • エコーレベルは「反射するものがどれだけあるか」で決まる。均一な液体は反射する境界がないので、まったく反射せず真っ黒(無エコー)になる。
  • 1肝硬変は線維化で内部が粗くなり、エコーレベルはむしろ上がる
  • 2肝囊胞の中身は液体。無エコー(内部が完全に黒い)で、後方エコー増強と外側陰影を伴う。この3点セットが囊胞の典型像。
  • 3肝血管腫は典型的には高エコー(内部に血管の壁が多く反射するため)。
  • 4肝細胞癌は低〜高エコーまで様々だが、無エコーにはならない。
  • 5転移性肝癌は、中心が壊死して低エコー、周囲が高エコーのブルズアイ(標的様)を示すことがある。

問19 脳のMRAで、MTパルスの付加によって生じるのはどれか。2つ選べ。

  1. 騒音の増大
  2. SARの増大
  3. 脂肪信号の抑制
  4. 脳実質の信号低下
  5. 磁場の時間変化率(dB/dt)の減少
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正解:2・4

  • MT(磁化移動)パルスは、蛋白質などに結合した水(結合水)を狙って飽和させる追加のRFパルス。飽和が自由水へ移ることで、組織の信号だけが下がる。
  • 1騒音は傾斜磁場コイルの振動が原因。RFパルスを足しても騒音は増えない。
  • 2RFパルスが増えるぶん、体が吸収するエネルギーが増える。SARが上がるのがMTパルスの代償。
  • 3脂肪抑制はCHESSパルス(周波数選択)やSTIRの役割。MTパルスの目的ではない。
  • 4脳実質(背景)の信号が下がることで、流れてくる血液との差が広がり、血管が際立つ。これがMRAでMTパルスを使う目的。
  • 5dB/dt は傾斜磁場の切り替え速度に関わる量。RFパルスとは別系統で、減少はしない。
  • 背景を消して血管を目立たせる。代償はSARの増大」とセットで覚える。

問20 脳のMRIで灌流情報が得られるのはどれか。2つ選べ。

  1. ASL(arterial spin labeling)
  2. DSC(dynamic susceptibility contrast)
  3. DTI(diffusion tensor imaging)
  4. MRS(magnetic resonance spectroscopy)
  5. VBM(voxel-based morphometry)
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正解:1・2

  • 灌流(perfusion)とは、毛細血管レベルでの血流のこと。測り方は2通りある。
  • 1ASLは、流れ込む前の動脈血の水分子に磁気で目印をつけ、それが脳に到達した量を見る方法。造影剤が不要なのが最大の利点で、腎機能の悪い患者や小児にも使える。
  • 2DSCは、ガドリニウム造影剤を急速静注し、通過するときのT2*短縮(信号低下)を追う方法。CBF・CBV・MTTが得られる。
  • 3DTIは水分子の拡散の方向性を見る方法。神経線維の走行(トラクトグラフィ)を描くのに使う。
  • 4MRSは代謝物(NAA、コリン、乳酸など)の量をスペクトルとして測る。
  • 5VBMは灰白質の体積を統計的に比較する形態解析の手法。血流ではない。

問21 腹部MR像で、矢印が示すアーチファクトを軽減するのはどれか。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.4 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. TEの延長
  2. TRの延長
  3. 呼吸同期法の併用
  4. CHESSパルスの付加
  5. スライス外への空間飽和パルスの付加
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正解:5

  • 矢印が示すのは、大血管の拍動する血流によるアーチファクト。位相エンコード方向に、血管から縞状に伸びるのが特徴。
  • 1TEを延ばしても改善しない。むしろ位相のばらつきが増える。
  • 2TRの延長は撮像時間が延びるだけ。
  • 3呼吸同期は呼吸性の体動に効く。拍動由来のアーチファクトには効かない。
  • 4CHESSパルスは脂肪抑制。ケミカルシフトアーチファクトには効くが、拍動には効かない。
  • 5撮像するスライスの外側(血液が流れ込んでくる上流)にあらかじめ飽和パルスを当てて信号を消すと、流れ込んでくる血液が信号を出さなくなり、アーチファクトが消える。プリサチュレーションと呼ぶ。
  • 原因を見極めてから対策を選ぶのがこの種の設問の要点。拍動=飽和パルスか心電図同期、呼吸=呼吸同期、脂肪=脂肪抑制、と対応づける。

問22 脳のMR像で、中脳水道はどれか。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.5 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

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正解:3

  • 脳脊髄液の流れをたどると、位置関係が決まる。

側脳室 →(モンロー孔)→ 第三脳室 →(中脳水道)→ 第四脳室 → くも膜下腔

  • 12側脳室・第三脳室にあたる。いずれも中脳水道よりはっきりと広い。
  • 3中脳水道は、第三脳室と第四脳室をつなぐ細い管で、正中矢状断では中脳の背側を前上から後下へ走る。脳室の中でいちばん細いのが決め手。
  • 45第四脳室・大槽などにあたる。中脳水道より尾側で、幅も広い。
  • 中脳水道は最も狭いため、ここが詰まると閉塞性水頭症を起こす。側脳室と第三脳室だけが拡大し、第四脳室は拡大しない、という所見の組合せになる。

問23 胆囊の超音波像で、矢印が示すアーチファクトはどれか。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.6 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 音響陰影
  2. 音響増強
  3. 鏡面効果
  4. サイドローブ
  5. コメット様エコー
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正解:4

  • 1音響陰影は結石の後方が黒く抜けるもの。
  • 2音響増強は胆囊の後方が明るくなるもので、正常でも見られる所見。
  • 3鏡面効果は横隔膜の向こう側に虚像が出る。
  • 4サイドローブは、メインビームの脇に出た弱いビームが拾った信号が、本来と違う位置に描かれてしまう現象。胆囊のような無エコーの中に、うすい弧状の偽像として現れる。体位を変えると消えたり形が変わったりするのが、本物の胆泥や隆起との見分け方。
  • 5コメット様エコーは、胆囊壁内の小さな結晶(ロキタンスキー・アショフ洞)から尾を引くように伸びる高エコー。胆囊腺筋腫症を示唆する。

問24 MRIのSN比が高くなるのはどれか。

  1. TRを短くする。
  2. 加算回数を増やす。
  3. スライス厚を薄くする。
  4. 受信バンド幅を広くする。
  5. 位相エンコード数を増やす。
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正解:2

  • SN比は「信号のもとになる組織の量」と「何回測ったか」で上がり、「取り込むノイズの帯域」で下がる。
  • 1TRを短くすると縦磁化が十分に回復せず、信号が下がる。
  • 2加算回数(NEX)を n 倍にすると、SN比は √n 倍になる。4倍にして2倍。そのぶん撮像時間も4倍になる。
  • 3スライスを薄くすると1ボクセルの組織量が減り、SN比は下がる(分解能は上がる)。
  • 4バンド幅を広げると取り込むノイズが増え、SN比は下がる(撮像は速くなる)。
  • 5位相エンコード数を増やすと1ボクセルが小さくなるので、SN比は下がる。
  • SN比・分解能・撮像時間の3つは、必ずどれかを犠牲にする関係にある。「上がる」と言い切れるのは加算回数だけ、という切り口で選ぶ。

問25 ポジトロン放射性薬剤の ¹⁸F について正しいのはどれか。

  1. 半減期は20分である。
  2. ジェネレータで製造する。
  3. 159 keV のγ線を放出する。
  4. ¹⁸F‑FDG はガス状で吸入させる。
  5. サイクロトロンで製造する場合は、¹⁸O をターゲットとすることができる。
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正解:5

  • 1¹⁸F の半減期は約110分。20分は ¹¹C。この2つは取り違えやすい。
  • 2サイクロトロンで製造する。ジェネレータで作るのは ⁹⁹ᵐTc や ⁶⁸Ga。
  • 3159 keV は ¹²³I のγ線。ポジトロン核種は陽電子が消滅して生じる 511 keV の消滅放射線を出す。
  • 4FDGはブドウ糖に似た化合物で、静脈内投与する。吸入するのは ¹⁵O ガスや ⁸¹ᵐKr。
  • 5¹⁸O を濃縮した水に陽子を当て、¹⁸O(p,n)¹⁸F 反応で製造する。院内にサイクロトロンがなくても、半減期110分ならデリバリー(配送)が可能なのが ¹⁸F の大きな利点。

問26 放射能測定装置と検出器の組合せで正しいのはどれか。

  1. ガンマプローブ ─────────── Ar ガス
  2. ホールボディカウンタ ─────── プラスチックシンチレータ
  3. ウェル型電離箱測定装置 ────── NaI(Tl)
  4. 液体シンチレーションカウンタ ── 半導体素子
  5. ウェル型シンチレーションカウンタ ─ 輝尽性蛍光体
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正解:2

  • 1ガンマプローブ(センチネルリンパ節生検で使う)は、CdTeなどの半導体か小型のシンチレータを使う。Arガスではない。
  • 2ホールボディカウンタは体全体を測るため、大きくて安価な検出器が必要。プラスチックシンチレータはその条件に合う(エネルギー分解能は低いが、大面積化しやすい)。精密な核種同定にはNaI(Tl)やGe半導体を使う型もある。
  • 3電離箱と書いてある時点で、中身は気体。NaI(Tl)は結晶で、シンチレーション検出器のもの。名前と中身が食い違っている。
  • 4液体シンチレーションカウンタは、試料を液体シンチレータに溶かし込み、出た光をPMTで検出する。半導体ではない。³Hや¹⁴Cなど低エネルギーβ線核種に使う。
  • 5ウェル型シンチレーションカウンタは NaI(Tl)。輝尽性蛍光体はCRのイメージングプレートのもの。
  • 装置名の中に検出原理が書かれている(電離箱=気体、シンチレーション=結晶)ので、そこと食い違う選択肢はすぐ切れる。

問27 核医学画像の画質改善を目的とした処理はどれか。

  1. 統計解析
  2. 動態解析
  3. カラー表示
  4. フュージョン処理
  5. バックグラウンド処理
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正解:5

  • 1統計解析(SPMやeZISなど)は、正常データベースと比べて有意差を出す解析。画質は変わらない。
  • 2動態解析は時間放射能曲線から機能を数値化する解析
  • 3カラー表示は見た目を変えるだけで、含まれる情報量は変わらない。かえって誤読を招くこともある。
  • 4フュージョンはCTやMRIと重ねて位置を分かりやすくする処理。核医学画像そのものの画質は変わらない。
  • 5バックグラウンド処理は、目的の集積以外の余計なカウント(血液プールや周囲組織)を差し引く処理。コントラストが上がり、病変が見やすくなるので、画質改善にあたる。
  • 画質改善(情報の質を上げる)」と「表示・解析(情報の見せ方を変える)」の区別が、この問題の趣旨。

問28 診断標的部位への集積に、主に受容体との結合が関与しているのはどれか。

  1. ⁹⁹ᵐTc‑MAA
  2. ⁹⁹ᵐTc‑MIBI
  3. ⁹⁹ᵐTc‑HMDP
  4. ¹²³I‑イオマゼニル
  5. ²⁰¹TlCl
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正解:4

  • 放射性医薬品が集まるしくみは、大きく分けて毛細血管の捕捉・化学的吸着・能動輸送・代謝・受容体結合などがある。
  • 1⁹⁹ᵐTc‑MAAは粒子径が毛細血管より大きいため、物理的に引っかかる(捕捉)。
  • 2⁹⁹ᵐTc‑MIBIは陽イオンとして、ミトコンドリアの膜電位に引かれて細胞内に入る。
  • 3⁹⁹ᵐTc‑HMDPは骨のハイドロキシアパタイトへの化学的吸着
  • 4¹²³I‑イオマゼニルは中枢性ベンゾジアゼピン受容体に結合する。神経細胞そのものが生きているかを見る指標になり、てんかんの焦点検索などに使う。
  • 5²⁰¹TlClはカリウムに似た挙動をとり、Na⁺/K⁺‑ATPase による能動輸送で細胞内に入る。
  • 受容体に結合するもの」として国試に出るのは、イオマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体)と ¹²³I‑MIBG(交感神経終末への取り込み)が代表。

問29 放射性医薬品の投与から時間が経ったあとのシンチグラムが示された。投与部位はどれか。(画像問題)

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.7 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 経口
  2. 静脈内
  3. 動脈内
  4. 膀胱内
  5. 脳脊髄腔内
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正解:5

  • 1経口なら消化管に沿った集積になる。
  • 2静脈内なら全身に分布し、肝・腎・膀胱などに集積する。
  • 3動脈内なら、その動脈が養う領域に限局する。
  • 4膀胱内なら骨盤内にとどまる(膀胱尿管逆流の検査)。
  • 5脳脊髄腔内投与(RIサイスタノグラフィ)では、腰椎穿刺で薬剤を髄腔に入れる。時間が経つと脊柱に沿って上行し、頭蓋内のくも膜下腔(脳槽)に分布する。脊柱の走行に沿った縦長の集積と、頭部の分布が組み合わさった像になるのが決め手。
  • 髄液の流れを見るこの検査は、正常圧水頭症髄液漏の診断に使われる。¹¹¹In‑DTPA を用いる。

問30 肺血流シンチグラフィで正しいのはどれか。

  1. ⁹⁹ᵐTc‑ECD を用いる。
  2. 前面像のみの撮影で十分である。
  3. 肺癌の悪性度評価に用いられる。
  4. 検査前に数時間程度の絶食が必要である。
  5. 右左シャントが疑われる場合は全身像を撮影する。
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正解:5

  • 1⁹⁹ᵐTc‑ECD は脳血流シンチ用。肺血流には ⁹⁹ᵐTc‑MAA を使う。
  • 2肺は前後に厚みがあり、背中側の病変が前面像では隠れる。前後・左右・斜位の複数方向を撮る。
  • 3悪性度の評価には使わない。主な適応は肺血栓塞栓症と、手術前の分肺機能評価。
  • 4絶食は不要。
  • 5右左シャントがあると、MAAが肺の毛細血管を素通りして全身に回る。脳や腎に集積が見えれば、シャントの存在と程度が分かる。だから全身像を撮る。
  • なお右左シャントがある場合、MAAが全身の毛細血管を詰める危険があるため、粒子数を減らして投与するという配慮も必要になる。

問31 放射性医薬品の投与時に起こる副作用で、最も頻度が高いのはどれか。

  1. 下痢
  2. 筋肉痛
  3. じん麻疹
  4. 急性放射線障害
  5. 血管迷走神経反射
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正解:5

  • 12まれ。
  • 3じん麻疹などのアレルギー反応も起こりうるが、頻度は血管迷走神経反射より低い。放射性医薬品は投与量がごく微量なので、ヨード造影剤ほどのアレルギーは起こりにくい。
  • 4診断用の投与量では急性放射線障害は起こらない。しきい値にはるかに届かない。
  • 5血管迷走神経反射は、注射の痛みや不安・緊張がきっかけで迷走神経が過剰にはたらき、血圧低下・徐脈・気分不良・失神を起こすもの。放射性医薬品そのものの薬理作用ではなく、注射という行為に伴う反応であり、副作用として最も多い。
  • 対応は、仰臥位にして下肢を挙上し、バイタルを確認すること。アナフィラキシー(アドレナリンが必要)とは対応が異なるため、区別が重要になる。

問32 非密封核種による内用療法で使用される核種はどれか。

  1. ⁶⁷Ga
  2. ⁹⁹ᵐTc
  3. ¹²³I
  4. ¹²⁵I
  5. ²²³Ra
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正解:5

  • 治療に使えるのは、飛程が短く、その場でエネルギーを落とす放射線(α線・β線)を出す核種。γ線だけを出す核種は体を突き抜けてしまい、治療にならない。
  • 1⁶⁷Ga は診断用(腫瘍・炎症シンチ)。
  • 2⁹⁹ᵐTc は純粋なγ線放出核種で、診断専用。
  • 3¹²³I は診断用(甲状腺シンチ)。治療に使うのは ¹³¹I(β線を出す)。1文字違いで用途が正反対になる。
  • 4¹²⁵I は前立腺癌の密封小線源(シード)。設問は「非密封」なので該当しない。
  • 5²²³Ra(塩化ラジウム、ゾーフィゴ)はα線を出し、カルシウムと似た性質で骨転移部に集まる。去勢抵抗性前立腺癌の骨転移に用いる。α線は飛程が短く(40〜100 μm)、周囲の骨髄への影響を抑えられる。
  • 内用療法の代表は ¹³¹I(甲状腺癌)・⁹⁰Y(悪性リンパ腫)・²²³Ra(骨転移)・¹⁷⁷Lu(神経内分泌腫瘍・前立腺癌)

問33 ガンマカメラのシンチレータについて正しいのはどれか。

  1. CsI(Tl)が主流である。
  2. 厚さは 7.5 cm 程度である。
  3. 厚さが薄いほど感度が高い。
  4. 黄変すると感度均一性が低下する。
  5. 光電吸収検出効率は入射光子のエネルギーに依存しない。
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正解:4

  • 1ガンマカメラのシンチレータは NaI(Tl) が主流。CsI(Tl)はフラットパネル検出器やCTの検出器で使われる素材です。
  • 2厚さは 6〜12 mm 程度(3/8インチ=約9.5 mmが標準的)。7.5 cmは1桁大きすぎます。
  • 3逆です。薄いほど空間分解能は上がるが、光子を止めきれないので感度は下がる。感度と分解能はトレードオフになります。
  • 4NaI(Tl)は潮解性があり、湿気で結晶が黄色く変色します。黄変した部分は蛍光の透過が落ちるので、その場所だけ感度が下がり、感度均一性が悪化します。
  • 5光電効果の断面積はエネルギーの約3乗に反比例するので、入射光子のエネルギーに強く依存します。高エネルギーほど光電吸収効率は下がります。
  • NaI(Tl)が湿気に弱いことは、カメラを密閉容器(ハーメチックシール)に入れて使う理由そのものです。「潮解性 → 黄変 → 均一性低下」の流れで覚えると、関連問題にも対応できます。

問34 心筋脂肪酸代謝 SPECT 検査の撮影法について正しいのはどれか。

  1. 近接軌道収集を利用する。
  2. マトリクスを 512 × 512 に設定する。
  3. ファンビームコリメータで撮影する。
  4. エネルギーウインドウを 141 keV に設定する。
  5. 心電図同期収集では心拍を 32 分割して撮影する。
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正解:1

  • 心筋脂肪酸代謝SPECTで使う薬剤は ¹²³I-BMIPP。まずこの核種を思い出すのが出発点です。
  • 1心臓は体の前寄りにあるので、検出器を体表に沿ってできるだけ近づける近接軌道(非円軌道)収集を使います。距離が近いほど分解能・感度が良くなります。
  • 2心筋SPECTのマトリクスは 64 × 64 が標準。512 × 512では1画素あたりのカウントが少なすぎて、統計ノイズだらけの画像になります。
  • 3使うのは低エネルギー高分解能(LEHR)平行多孔コリメータ。ファンビームは脳SPECTなど、視野の小さい部位で拡大効果を狙うときのものです。
  • 4141 keVは ⁹⁹ᵐTc のエネルギー。¹²³Iの主γ線は 159 keV なので、ウインドウはこちらに合わせます。
  • 5心電図同期収集の分割数は通常 8〜16分割(16分割が標準的)。32分割では1分割あたりのカウントが足りません。
  • 「薬剤 → 核種 → エネルギー → コリメータ」の順に決まっていく、という筋道で整理しておくと、核医学の撮影条件の問題はほぼ解けます。

問35 根治的放射線治療において寡分割照射が実施されるのはどれか。

  1. 膀胱癌
  2. 卵巣癌
  3. 下咽頭癌
  4. 前立腺癌
  5. 胃 MALT リンパ腫
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正解:4

  • 寡分割照射(hypofractionation)とは、1回線量を大きくして回数を減らす照射法です。1回2 Gy前後の通常分割に対し、1回2.5〜3 Gy以上を使います。
  • 1膀胱癌の根治照射は通常分割が基本(膀胱・腸の耐容線量が低く、1回線量を上げにくい)。
  • 2卵巣癌はそもそも根治的放射線治療の対象になりにくく、手術と化学療法が中心です。
  • 3下咽頭癌など頭頸部の根治照射は、粘膜炎を抑えるため 1回2 Gyの通常分割が原則。
  • 4前立腺癌は α/β比が小さい(約1.5) とされ、1回線量を上げるほど腫瘍制御に有利になります。1回3 Gy前後の中等度寡分割が広く行われています。
  • 5胃MALTリンパ腫は 30 Gy/15回など、低線量の通常分割が標準です。
  • 覚え方:α/β比が小さい(=晩期反応型に近い)腫瘍ほど寡分割が有利。前立腺癌と乳癌が代表例です。

問36 上咽頭癌に強度変調放射線治療〈IMRT〉を行ったとき、従来の三次元照射と比較して軽減される有害事象はどれか。

  1. 咽頭炎
  2. 皮膚炎
  3. 顔面浮腫
  4. 味覚障害
  5. 唾液腺障害
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正解:5

  • IMRTの利点は、標的の近くにある正常組織の線量を凹んだ形にえぐって下げられることです。したがって「標的のすぐ隣にあって、避ければ機能を守れる臓器」の障害が減ります。
  • 1咽頭粘膜は標的そのもの(あるいはすぐ内側)なので、避けようがなく軽減しにくい。
  • 2IMRTは多方向から照射するため皮膚線量は分散しますが、上咽頭癌で問題になる代表的有害事象ではありません。
  • 3顔面浮腫はリンパ流の障害によるもので、IMRTで狙って避けられるものではありません。
  • 4味覚障害は舌の味蕾(および唾液減少)が原因で、舌根部は標的や照射野に含まれやすい部位です。
  • 5耳下腺を線量制約の対象に入れて避けることで、口腔乾燥(唾液腺障害) を明確に減らせます。上咽頭癌IMRTの最大の恩恵として臨床試験でも示されています。
  • 「上咽頭癌のIMRT=耳下腺を守って口腔乾燥を減らす」は定番の組合せなので、そのまま覚えて構いません。

問37 緊急照射の適応となるのはどれか。

  1. 大腿骨転移による骨折
  2. 多発肝転移による黄疸
  3. 転移性脳腫瘍による悪心
  4. 転移腹膜播種による腸閉塞
  5. 転移性脊椎腫瘍による下肢筋力低下
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正解:5

  • 放射線治療のオンコロジック・エマージェンシー(緊急照射)は、代表的に3つ。脊髄圧迫・上大静脈症候群・脳転移による頭蓋内圧亢進です。
  • 1すでに骨折してしまった病的骨折は、まず整形外科的な固定が優先。照射は固定後の疼痛緩和として行います。
  • 2肝転移による閉塞性黄疸は胆道ドレナージが緊急処置。照射の役目ではありません。
  • 3悪心だけならステロイドで頭蓋内圧を下げる対応が先。意識障害や急速な神経症状の進行があれば緊急照射を検討します。
  • 4腸閉塞は外科的処置や保存的治療(減圧)の対象で、照射は適応外です。
  • 5脊髄圧迫症候群。下肢筋力低下という運動麻痺が出ていて、放置すれば数時間〜数日で不可逆の対麻痺になります。診断がついたら即日照射(+ステロイド)が原則です。
  • ポイントは「時間との勝負で、遅れると機能が戻らない」かどうか。麻痺が進行しているものは迷わず緊急扱いです。

問38 脳転移の全脳照射について正しいのはどれか。

  1. 麻痺があると適応にならない。
  2. 髄膜播種があっても適応になる。
  3. 3 か所以上の転移には無効である。
  4. 1 回目の照射直後から脱毛が始まる。
  5. 6 週間で 60 Gy の処方が標準である。
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正解:2

  • 1麻痺は照射の禁忌ではありません。むしろ症状があるからこそ、症状緩和を目的に照射します。
  • 2髄膜播種(がん性髄膜炎) では、病変が脳表・髄液腔に広がっているため、局所を狙う定位照射では対応できず、全脳照射が選択肢になります
  • 3むしろ逆。転移が多発しているときこそ全脳照射の出番です。1〜4個程度なら定位照射(SRS)が選ばれることが多い、という関係になります。
  • 4脱毛は照射開始から2〜3週後に出てきます。放射線の影響は毛母細胞が分裂する周期に依存するので、直後には起こりません。
  • 5全脳照射の標準は 30 Gy/10回(約2週間) など。60 Gyは正常脳の耐容線量を超えており、全脳には出せません。
  • 数字の押さえどころ:全脳照射は30 Gy/10回局所(定位)なら1回20 Gy前後や3〜5回分割。この対比で覚えると混乱しません。

問39 ¹²⁵I シード線源による永久挿入治療で使用されないのはどれか。

  1. 模擬線源
  2. 超音波装置
  3. アプリケータ
  4. 治療計画装置
  5. ステッパー装置
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正解:1

  • ¹²⁵Iシード永久挿入(前立腺の密封小線源治療)は、経直腸超音波で見ながら、会陰から刺した針でシードを前立腺に置いてくる手技です。線源はそのまま体内に残します。
  • 1○(使わない)模擬線源(ダミー線源) は、高線量率小線源治療(RALS) で使うもの。線源が管の中を正しい位置まで走るかを、被ばくのない疑似線源で先に確かめるための道具です。永久挿入では線源を管の中で往復させないので、出番がありません。
  • 2✗(使う)経直腸超音波(TRUS) は必須。前立腺の体積測定から、刺入時のリアルタイムガイドまで担います。
  • 3✗(使う)アプリケータ(刺入針・アプリケータ針)にシードとスペーサを装填し、会陰から前立腺へ刺し込んで留置します。
  • 4✗(使う)シードの本数と配置を決めるため、治療計画装置は不可欠です。術前計画法・術中計画法のいずれでも使います。
  • 5✗(使う)ステッパーは超音波プローブを一定間隔で前後させ、断層像の位置を正確に決める装置。テンプレートと組み合わせて針の位置を管理します。
  • 混同しやすい点:アプリケータはRALSにも永久挿入にもあるが、模擬線源はRALS特有。「線源を管の中で往復させるか否か」で仕分けると区別できます。

問40 リニアックについて正しいのはどれか。2つ選べ。(採点除外)

  1. 加速管は鉛製である。
  2. 出力エネルギーを連続的に変えられる。
  3. 加速管内には一定量の窒素が必要である。
  4. マイクロ波発振管にはクライストロンが用いられる。
  5. 同一加速エネルギーの加速管は進行波型が定在波型より長い。
解答・解説を見る

この問題は採点除外です(正答値表に正答が示されていません)。

  • 正解を追う必要はありませんが、リニアックの構造は頻出なので、選択肢ごとに整理しておきます。
  • 1加速管の材質は 無酸素銅。マイクロ波を効率よく反射させるため電気伝導率の高い銅を使います。鉛は遮蔽材です。
  • 2X線エネルギーは 6 MV・10 MV のように段階的(離散的) に切り替えます。加速管の共振条件で決まるので、無段階には変えられません。
  • 3加速管の中は高真空(10⁻⁶ Pa 程度)。窒素などの気体が残っていると、電子が散乱されて加速できません。
  • 4マイクロ波発振・増幅管にはクライストロン(またはマグネトロン)が用いられます。高エネルギー機ではクライストロンが一般的です。
  • 5進行波型は定在波型より長くなります。定在波型はマイクロ波を反射させて往復させるため、同じエネルギーを短い管で得られます。
  • 装置の心臓部は「マイクロ波源(クライストロン/マグネトロン)→ 導波管 → 加速管(銅・高真空)→ ターゲット」という流れ。この並びを描けるようにしておくと、周辺の問題も解けます。

問41 リニアックの始業前の点検項目はどれか。

  1. X 線深部線量
  2. 電子線出力不変性
  3. X 線出力係数の不変性
  4. X 線出力架台角度依存性
  5. 物理ウェッジ係数の不変性
解答・解説を見る

正解:2

  • 始業前(日常)点検は「毎日、短時間で、安全と出力のずれを見る」ためのもの。時間のかかる測定は月ごと・年ごとに回します。
  • 1深部線量分布(PDD)の測定は水槽を組んで行う大仕事で、年ごとの項目です。
  • 2出力の不変性(X線・電子線とも)は日常点検の中心。前回と同じ条件で照射して、線量計の読みがずれていないかを確認します。
  • 3照射野サイズごとの出力係数を測り直すのは年ごと
  • 4架台角度を振って出力を測る試験も年ごとです。
  • 5物理ウェッジ係数の確認は月ごと〜年ごとの項目。
  • 日常点検の代表例は、出力不変性・レーザ光の一致・光照射野とX線照射野の一致・距離計(ODI)・インターロックと非常停止。「毎日やっても現実的か」を基準に判断すると迷いません。

問42 体幹部定位放射線治療で用いる装置・機器で誤っているのはどれか。

  1. リニアック
  2. 画像誘導装置
  3. 呼吸同期システム
  4. セシウム線源を使用した治療装置
  5. ロボットアームを使用した治療装置
解答・解説を見る

正解:4

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)は、小さな標的にピンポイントで大線量を当てる治療。位置精度と線量集中性を実現する機器が必要です。
  • 1✗(使う)通常のリニアックに専用の条件を組んで行うのが基本形です。
  • 2✗(使う)画像誘導(IGRT) は必須。1回線量が大きいので、照射直前のCBCT等で位置を確認します。
  • 3✗(使う)肺や肝の標的は呼吸で動くため、呼吸同期(ゲーティング)や追尾を使います。
  • 4○(誤り)¹³⁷Cs線源の治療装置は、かつての遠隔照射装置や小線源治療で使われたもので、SBRTには用いません。線量率が低く、エネルギーも低いため、鋭い線量分布を作れません。
  • 5✗(使う)ロボットアーム型(サイバーナイフなど)は、多方向から細いビームを当てる定位照射の代表的装置です。
  • 「定位=高精度・高線量率・多方向」。この3条件に合わない古い線源装置が浮いている、という見方で選べます。

問43 ウェッジフィルタを使用した対向 2 門照射で標的に 2 Gy を照射した場合の MU 値に最も近いのはどれか。ただし、ビームウエイトは均等とし、組織最大線量比 0.84、出力係数 1.05、くさび係数 0.75、モニタ校正値 1.00 cGy/MU とする。

  1. 85
  2. 150
  3. 155
  4. 165
  5. 300
解答・解説を見る

正解:2

MU値は「必要な線量を、1 MUあたりに出る線量で割る」だけです。式にすると

MU=D1門TMR×Sc×WF×kcal\mathrm{MU}=\frac{D_{\text{1門}}}{\mathrm{TMR}\times S_c\times \mathrm{WF}\times k_{\text{cal}}}

対向2門でビームウエイトが均等なので、1門が受け持つ線量は 2 Gy÷2=1 Gy=100 cGy2\ \mathrm{Gy}\div 2 = 1\ \mathrm{Gy} = 100\ \mathrm{cGy} です。

分母を先にまとめると

0.84×1.05×0.75×1.00=0.66150.84\times 1.05\times 0.75\times 1.00 = 0.6615

したがって

MU=1000.6615151.2\mathrm{MU}=\frac{100}{0.6615}\fallingdotseq 151.2
  • 185は分母を逆に掛けてしまった値に近く、合いません。
  • 2約151 MU。選択肢の中で最も近いのは 150 です。
  • 3155との差はわずかですが、151.2は150のほうに近い。
  • 4165は、くさび係数の掛け忘れなどで生じるずれです。
  • 5300は 2 Gyを1門ぶんとして計算し、さらに補正を忘れた ときの値。対向2門では線量を2門で分けることを忘れないでください。
  • 落とし穴は2つ。対向2門なら1門は半分、そしてくさび係数は分母(ウェッジを入れると出力が落ちるので、MUは増える)。

問44 粒子線治療において拡大ブラッグピーク法のピーク幅を決めるパラメータはどれか。

  1. 処方線量
  2. アイソセンタの深さ
  3. CTV の側方向の長さ
  4. PTV の深部方向の長さ
  5. ビームの入射エネルギー
解答・解説を見る

正解:4

  • ブラッグピークは鋭すぎて、そのままでは標的の一部しか覆えません。エネルギーの異なるビームを重ね合わせて、平らな高線量域(拡大ブラッグピーク=SOBP) を作ります。
  • 1処方線量は「どれだけ当てるか」の大きさで、ピークのとは無関係です。
  • 2アイソセンタの深さは、SOBPをどこに置くか(深さ位置) を決めます。位置を決めるのは入射エネルギー側の話です。
  • 3側方向(横方向)の広がりは、照射野の大きさ・コリメータで決めます。ピーク幅は深さ方向の話です。
  • 4PTVの深部方向(ビーム軸方向)の長さが、そのままSOBPに必要な幅になります。厚い標的ほど広いSOBPが必要です。
  • 5入射エネルギーは到達飛程=SOBPの最深部の位置を決めます。幅ではありません。
  • 整理すると、エネルギー=深さ(どこまで届くか)/SOBP幅=標的の厚み/コリメータ=横の形。役割分担で覚えると確実です。

問45 エッジ検出フィルタとして正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ガウシアンフィルタ
  2. ソーベルフィルタ
  3. バターワースフィルタ
  4. メディアンフィルタ
  5. ラプラシアンフィルタ
解答・解説を見る

正解:2・5

  • エッジ検出は「画素値の変化のしかたを見る」処理。数学的には微分にあたるフィルタがエッジ検出になります。
  • 1ガウシアンフィルタは平滑化(ぼかし)。ノイズを消す代わりにエッジも鈍らせます。
  • 2ソーベルフィルタは1次微分型。横方向・縦方向の傾きを別々に求め、エッジの強さと向きが得られます。
  • 3バターワースフィルタは周波数空間で使う低域通過(または高域通過)フィルタで、SPECT再構成の平滑化などに用います。エッジ検出専用ではありません。
  • 4メディアンフィルタは近傍の中央値に置き換える非線形平滑化。スパイク状ノイズの除去に強い一方、エッジ検出はしません。
  • 5ラプラシアンフィルタは2次微分型。エッジの位置がゼロ交差として現れ、輪郭強調にも使われます。
  • 覚え方:微分(ソーベル・ラプラシアン・プレヴィット)=エッジ/平均・中央値・ガウシアン=平滑化。この2グループに仕分けるだけで解けます。

問46 医用画像モニタの精度管理で、目視試験項目はどれか。

  1. アーチファクト
  2. 輝度比
  3. コントラスト応答
  4. 最大輝度
  5. 色度
解答・解説を見る

正解:1

  • モニタの品質管理は、目視試験(テストパターンを人が見る)と測定試験(輝度計・色彩計で測る)に分かれます。判断基準は「器械が要るかどうか」です。
  • 1アーチファクト(ムラ・欠陥画素・残像・線状の乱れ)は、テストパターンを表示して目で見て確認する項目です。
  • 2輝度比は最大輝度と最小輝度の比なので、輝度計での測定が必要です。
  • 3コントラスト応答は各階調の輝度を測ってGSDF(グレースケール標準表示関数)との一致を見る項目で、輝度計を使います。
  • 4最大輝度は cd/m² を測る測定試験
  • 5色度は色彩計(または分光放射計)で測る測定試験です。
  • 目視試験の代表は、幾何学的歪み・アーチファクト・全体的な均一性の目視確認。数値で管理するものはすべて測定試験、と切り分けてください。

問47 コンピュータの基本構成を図に示す。a〜cに入る装置の組合せで正しいのはどれか。

問47の図(出典:厚生労働省)
1演算装置記憶装置制御装置
2記憶装置演算装置制御装置
3記憶装置制御装置演算装置
4制御装置演算装置記憶装置
5制御装置記憶装置演算装置
解答・解説を見る

正解:4

  • 図の読み方は矢印の種類が鍵です。実線=データ・命令の流れ、破線=制御信号の流れ。
  • a から破線が四方に出ている(入力装置・出力装置・b・c へ)→ 全体に指示を出す 制御装置
  • c は入力装置から実線を受け、出力装置へ実線を出し、b とは実線で双方向につながる → データが集まり出ていく 記憶装置
  • b は c とだけ実線で双方向にやりとりする → 記憶装置からデータを受け取り計算して返す 演算装置

したがって a=制御装置、b=演算装置、c=記憶装置。

  • 1aを演算装置とすると、aから入力装置・出力装置へ制御信号が出ている説明がつきません。
  • 2cを制御装置とすると、入力装置からのデータを直接受ける役目と矛盾します。
  • 3b(cとだけ結ばれた末端)に制御装置を置くのは、破線の出どころと合いません。
  • 4破線の起点=制御装置、データの通り道の中心=記憶装置、その先で計算する=演算装置。すべて整合します。
  • 5bとcが入れ替わっており、演算装置が入力・出力装置と直接つながる不自然な構成になります。
  • コンピュータの五大装置は 入力・出力・記憶・演算・制御。このうち演算装置と制御装置をまとめてCPUと呼びます。図では「破線をたどれば制御装置」と覚えておけば即答できます。

問48 画素値のヒストグラムから直接求められない特徴量はどれか。

  1. 分散
  2. 歪度
  3. 期待値
  4. 鮮鋭度
  5. 中央値
解答・解説を見る

正解:4

  • ヒストグラムは「どの画素値が何個あったか」の集計です。画素がどこにあったかという位置の情報は完全に捨てられている、というのが最大のポイントです。
  • 1✗(求められる)分散は画素値のばらつきで、度数分布から計算できます。
  • 2✗(求められる)歪度(skewness) はヒストグラムの左右非対称の度合いそのものです。
  • 3✗(求められる)期待値(平均値) は度数分布から直接計算できます。
  • 4○(求められない)鮮鋭度は「隣り合う画素の値がどれだけ急に変化するか」で決まります。これは位置関係の情報なので、ヒストグラムには残っていません。同じヒストグラムでも、画素を並べ替えればボケた画像も鋭い画像も作れます。
  • 5✗(求められる)中央値は度数を小さい方から積み上げて半分に達する値。ヒストグラムから読み取れます。
  • 使い分けの整理:画素値の統計(平均・分散・歪度・尖度・中央値)=ヒストグラム/空間の情報(鮮鋭度・MTF・ノイズの周波数特性)=位置を保った解析が必要

問49 ICD〈疾病及び関連保健問題の国際統計分類〉で正しいのはどれか。

  1. 死因分類は含まれない。
  2. 国際比較をするための統計分類である。
  3. FDA〈米国食品医薬品局〉が作成した分類である。
  4. 厚生労働省が発行する人口動態統計には用いられない。
  5. 疾患が同じであれば部位が異なっても ICD コードは同じである。
解答・解説を見る

正解:2

  • ICDは WHO(世界保健機関) が定める、疾病と死因の国際統計分類です。
  • 1ICDはもともと死因分類として始まったもので、死因統計はICDの中心的な役割です。
  • 2国や時代をまたいで統計を比較できるように、疾病・死因を共通のコードで表すためのしくみです。
  • 3作成したのは WHO。FDAは米国の医薬品・医療機器の規制当局で、疾病分類は作りません。
  • 4日本の人口動態統計(死因統計)はICDに基づいて集計されています。ICD-10からICD-11への移行が話題になるのも、統計の連続性に影響するからです。
  • 5部位が違えばコードは変わります。たとえば悪性新生物は、胃・肺・大腸で別のコードが割り当てられます。
  • ICDは「WHOが作る/死因と疾病の/国際比較のための」分類。この3点セットで押さえておけば十分です。

問50 骨格筋でないのはどれか。

  1. 心筋
  2. 僧帽筋
  3. 大殿筋
  4. 胸鎖乳突筋
  5. 上腕二頭筋
解答・解説を見る

正解:1

  • 筋は3種類に分かれます。骨格筋(横紋筋・随意)/心筋(横紋筋・不随意)/平滑筋(横紋なし・不随意)
  • 1○(骨格筋でない)心筋は横紋をもつものの、自律神経支配で不随意、細胞が介在板でつながって同期収縮する独自の筋です。骨格筋には含まれません。
  • 2僧帽筋は背部の骨格筋。肩をすくめる動きを担います。
  • 3大殿筋は殿部の骨格筋で、股関節の伸展筋です。
  • 4胸鎖乳突筋は頸部の骨格筋。頸の回旋・前屈に働きます。
  • 5上腕二頭筋は上腕前面の骨格筋で、肘の屈曲と前腕の回外を行います。
  • 引っかけの定番は「心筋は横紋筋だが骨格筋ではない」。横紋の有無と随意・不随意は別の軸だと意識してください。

問51 後腹膜臓器でないのはどれか。

  1. 腎臓
  2. 膵臓
  3. 上行結腸
  4. 腹部大動脈
解答・解説を見る

正解:1

  • 後腹膜臓器は、腹膜の後ろに張り付いていて、腹膜に包まれず可動性が乏しい臓器です。
  • 1○(後腹膜臓器でない)は腹膜に包まれた腹腔内臓器。大網・小網でつり下げられ、内容物の量で位置も変わります。
  • 2腎臓は代表的な後腹膜臓器(副腎・尿管も同じ)。
  • 3膵臓は尾部を除き後腹膜に位置します。
  • 4上行結腸と下行結腸は後腹膜に固定されています(横行結腸とS状結腸は腹腔内)。
  • 5腹部大動脈・下大静脈も後腹膜の構造物です。
  • 後腹膜臓器の覚え方の一例:腎臓・副腎・尿管・膵臓(尾部以外)・十二指腸(第1部以外)・上行結腸・下行結腸・直腸(上部以外)・腹部大動脈・下大静脈。CTで「動かない・脂肪に囲まれている」臓器として見えます。

問52 脳神経でないのはどれか。

  1. 嗅神経
  2. 視神経
  3. 三叉神経
  4. 尺骨神経
  5. 舌下神経
解答・解説を見る

正解:4

  • 脳神経は脳から直接出る12対の神経です。脊髄から出るものは脊髄神経で、脳神経ではありません。
  • 1嗅神経は第Ⅰ脳神経。
  • 2視神経は第Ⅱ脳神経。
  • 3三叉神経は第Ⅴ脳神経。顔面の感覚と咀嚼筋を担います。
  • 4○(脳神経でない)尺骨神経は腕神経叢から出る末梢神経(脊髄神経由来)。肘の内側を通り、手の小指側の感覚と手内筋を支配します。
  • 5舌下神経は第Ⅻ脳神経。舌の運動を担います。
  • 12対の順序は「嗅・視・動・滑・三・外・顔・聴(内耳)・舌咽・迷・副・舌下」。この並びに入らないものが答えになります。

問53 視覚野が存在するのはどれか。

  1. 小脳
  2. 後頭葉
  3. 前頭葉
  4. 側頭葉
  5. 頭頂葉
解答・解説を見る

正解:2

  • 1小脳は平衡・協調運動の中枢。感覚の一次領域はありません。
  • 2視覚野は後頭葉(内側面=一次視覚野)。後頭葉の梗塞で同名半盲が起こるのも、ここに視覚野があるからです。
  • 3前頭葉には運動野(中心前回) と、判断・意欲を担う前頭前野、および運動性言語中枢(ブローカ野)があります。
  • 4側頭葉には聴覚野と、感覚性言語中枢(ウェルニッケ野)、記憶に関わる海馬があります。
  • 5頭頂葉には体性感覚野(中心後回) があります。
  • 4つの葉と機能の対応は「前頭=運動、頭頂=感覚、側頭=聴覚、後頭=視覚」。この4語で覚えると確実です。

問54 副交感神経が興奮したときの作用はどれか。

  1. 散瞳
  2. 発汗
  3. 気管支拡張
  4. 心拍数減少
  5. 消化管運動低下
解答・解説を見る

正解:4

  • 副交感神経は「休息・消化モード」。交感神経が「戦うか逃げるかモード」で、作用はおおむね正反対になります。
  • 1散瞳(瞳孔が開く)は交感神経。副交感神経では縮瞳します。
  • 2発汗は交感神経(汗腺はほぼ交感神経のみの支配)。
  • 3気管支拡張は交感神経。副交感神経では気管支が収縮します(喘息で抗コリン薬を使う理由)。
  • 4心拍数減少。迷走神経が心臓に働いて拍数を落とします。
  • 5消化管運動低下は交感神経。副交感神経では運動と分泌が増加します。
  • 迷わないコツは、「食後に体はどうなるか」を思い浮かべること。縮瞳・徐脈・気管支収縮・消化促進、これが副交感神経です。

問55 副腎から分泌されるのはどれか。

  1. グルカゴン
  2. カルシトニン
  3. コルチゾール
  4. バゾプレシン
  5. トリヨードサイロニン
解答・解説を見る

正解:3

  • 1グルカゴンは膵ランゲルハンス島α細胞から。血糖を上げます。
  • 2カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞) から。血中カルシウムを下げます。
  • 3コルチゾールは副腎皮質(束状層) から分泌される糖質コルチコイド。副腎皮質は外側から球状層=アルドステロン、束状層=コルチゾール、網状層=アンドロゲンを出します。
  • 4バゾプレシン(抗利尿ホルモン)は視床下部で作られ下垂体後葉から放出されます。
  • 5トリヨードサイロニン(T3)は甲状腺ホルモンです。
  • 副腎は皮質と髄質で内容が全く違います。皮質=ステロイド(アルドステロン・コルチゾール・アンドロゲン)/髄質=カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン)。この二層構造で整理してください。

問56 視交叉に解剖学的に最も近い部位はどれか。

  1. 眼球
  2. 小脳
  3. 下垂体
  4. 松果体
  5. 脳梁膨大部
解答・解説を見る

正解:3

  • 視交叉は、左右の視神経が交わる場所で、トルコ鞍のすぐ上(鞍上部) にあります。
  • 1眼球は視交叉から視神経1本ぶん(数cm)前方。「最も近い」とはいえません。
  • 2小脳は後頭蓋窩にあり、視交叉からは遠く離れています。
  • 3下垂体はトルコ鞍の中にあり、その真上に視交叉が乗っています。だから下垂体腫瘍が上方に伸びると視交叉を圧迫し、両耳側半盲を起こします。
  • 4松果体は第三脳室の後方にあり、視交叉とは前後に離れています。
  • 5脳梁膨大部は脳梁の後端で、これも後方の構造です。
  • 視交叉のすぐ下に下垂体」という位置関係は、両耳側半盲の理由とセットで問われます。MRIの正中矢状断でこの並びを確認しておくと忘れません。

問57 胎児期にみられる動脈管で大動脈と直接交通するのはどれか。

  1. 右心房
  2. 肺静脈
  3. 肺動脈
  4. 内胸動脈
  5. 肋間動脈
解答・解説を見る

正解:3

  • 動脈管(ボタロー管)は、肺動脈と大動脈をつなぐ胎児期の短絡路です。胎児の肺は呼吸していないので、右心系から出た血液を肺を通さず大動脈へ流します。
  • 1右心房と左心房をつなぐのは卵円孔。別の短絡路です。
  • 2肺静脈は肺から左心房に戻る血管で、動脈管とは関係ありません。
  • 3肺動脈(左肺動脈の起始付近)と下行大動脈を結ぶのが動脈管。出生後に閉じて動脈管索になり、閉じ残ると動脈管開存症(PDA)になります。
  • 4内胸動脈は鎖骨下動脈の枝で、胎児循環の短絡路ではありません。
  • 5肋間動脈も胸壁の血管で、動脈管とは無関係です。
  • 胎児循環の短絡は3つ。静脈管(臍静脈→下大静脈)・卵円孔(右心房→左心房)・動脈管(肺動脈→大動脈)。どこ同士をつなぐかをセットで覚えます。

問58 皮膚について正しいのはどれか。

  1. 構成成分に漿膜がある。
  2. 体温を調節する働きがある。
  3. 加齢とともに厚さが増加する。
  4. 真皮は角化重層扁平上皮からなる。
  5. 癌化する場合は腺癌の頻度が高い。
解答・解説を見る

正解:2

  • 皮膚は外側から 表皮・真皮・皮下組織 の3層。表皮は上皮、真皮は結合組織です。
  • 1漿膜は胸膜・腹膜・心膜など体腔の内面を覆う膜。皮膚の構成成分ではありません。
  • 2発汗による気化熱と、皮膚血流量の調節で体温を調節します。皮膚は最大の体温調節器官です。
  • 3加齢では表皮も真皮も薄くなり、弾性線維が減って弾力が落ちます。
  • 4角化重層扁平上皮は表皮の説明。真皮はコラーゲン線維主体の結合組織です。
  • 5皮膚の癌は扁平上皮癌・基底細胞癌が主体。腺癌は腺組織(胃・大腸・肺・乳腺など)で多い型です。
  • 皮膚の働きは保護(バリア)・体温調節・感覚・水分保持・ビタミンD合成。この5つを押さえておけば選びやすくなります。

問59 癌性疼痛に対する医療用麻薬の使用について誤っているのはどれか。

  1. 経口投与を基本とする。
  2. 疼痛の強さに応じて投与する。
  3. 時間を決めて規則正しく投与する。
  4. 患者個人の特性に合わせて投与する。
  5. 使用量の増量には限度が設定されている。
解答・解説を見る

正解:5

  • WHOのがん疼痛治療の原則は、経口的に・時刻を決めて・除痛ラダーに沿って・患者ごとに・そのうえで細かい配慮を、の5項目です。
  • 1✗(正しい)経口投与が基本。簡便で血中濃度が安定し、患者自身で管理できます。
  • 2✗(正しい)痛みの強さに応じて薬を選び、量を決めます(除痛ラダー)。
  • 3✗(正しい)痛みが出てから使うのではなく、時刻を決めて定期投与して痛みを出さないようにします。突出痛にはレスキュー薬を追加します。
  • 4✗(正しい)効果と副作用は個人差が大きいので、患者ごとに適量を決めるのが原則です。
  • 5○(誤り)オピオイドに上限(有効限界)はありません。痛みが強ければ、副作用を管理しながら増量できます。ここが非オピオイド鎮痛薬(NSAIDsなど)との決定的な違いです。
  • 「麻薬は使いすぎると危ない」という素朴なイメージが、そのまま誤答に誘導する問題です。有効限界がないのがオピオイドの特徴と覚え直してください。

問60 肝細胞癌で正しいのはどれか。

  1. 早期から黄疸が出現する。
  2. 肝硬変患者での発症が多い。
  3. 特異性の高い腫瘍マーカーは CEA である。
  4. 早期からリンパ節転移をきたすことが多い。
  5. 我が国では B 型肝炎ウイルスに起因するものが最も多い。
解答・解説を見る

正解:2

  • 1肝細胞癌は早期はほぼ無症状。黄疸が出るのは、進行して胆管を圧迫・浸潤したり、肝機能が大きく落ちてからです。だから高危険群のサーベイランス(定期的な超音波と腫瘍マーカー) が重要になります。
  • 2肝硬変を背景に多発するのが肝細胞癌の最大の特徴。慢性肝炎 → 肝硬変 → 肝細胞癌という流れをたどります。
  • 3肝細胞癌のマーカーは AFP(α-フェトプロテイン)・PIVKA-II・AFP-L3分画。CEAは大腸癌など腺癌のマーカーです。
  • 4肝細胞癌は門脈を通じた肝内転移(門脈浸潤) が特徴で、リンパ節転移は比較的少ない。だからダイナミックCTで門脈内の腫瘍栓を探します。
  • 5日本では C型肝炎ウイルス(HCV) 由来が最多でした。近年は抗ウイルス薬の普及で減り、非ウイルス性(脂肪性肝疾患・アルコール)の割合が増えています。B型が最多というのは誤りです。
  • 画像のポイントもセットで。ダイナミックCT/MRIで動脈相で濃染し、平衡相で洗い出される(wash out) のが典型像です。

問61 上行結腸を栄養する血管はどれか。

  1. 腎動脈
  2. 腹腔動脈
  3. 内腸骨動脈
  4. 下腸間膜動脈
  5. 上腸間膜動脈
解答・解説を見る

正解:5

  • 消化管の動脈支配は、発生学的な区分と対応しています。前腸=腹腔動脈/中腸=上腸間膜動脈/後腸=下腸間膜動脈
  • 1腎動脈は腎臓を栄養する血管で、腸管には関与しません。
  • 2腹腔動脈は前腸(食道下部・胃・十二指腸上部・肝・胆・膵頭側・脾)を担当します。
  • 3内腸骨動脈は骨盤内臓器(膀胱・直腸下部・子宮など)を栄養します。
  • 4下腸間膜動脈は後腸(下行結腸・S状結腸・直腸上部)を担当します。上行結腸は含まれません。
  • 5上行結腸は中腸に属し、上腸間膜動脈の枝である回結腸動脈・右結腸動脈が栄養します。
  • 境目は横行結腸の左側3分の1あたり(脾彎曲付近)。ここより口側が上腸間膜動脈、肛門側が下腸間膜動脈です。脾彎曲が血流の分水嶺(虚血に弱い部位)になるのも、この境目が理由です。

問62 厚生労働省の令和2年〈2020年〉人口動態統計による日本人の死因の第2位はどれか。

  1. 肺炎
  2. 老衰
  3. 脳血管疾患
  4. 悪性新生物〈腫瘍〉
  5. 心疾患〈高血圧性を除く〉
解答・解説を見る

正解:5

令和2年(2020年)の死因順位は次のとおりです。

順位死因
第1位悪性新生物〈腫瘍〉
第2位心疾患〈高血圧性を除く〉
第3位老衰
第4位脳血管疾患
第5位肺炎
  • 1肺炎は第5位。かつては第3位でしたが、誤嚥性肺炎が別集計になったこともあり順位を下げました。
  • 2老衰は第3位。高齢化を反映して年々順位を上げ、2018年に脳血管疾患を抜きました。
  • 3脳血管疾患は第4位。かつては死因第1位でしたが、血圧管理の普及で大きく減りました。
  • 4悪性新生物は第1位。1981年以降ずっと1位を保っています。
  • 5心疾患が第2位。悪性新生物に次ぐ位置で長く安定しています。
  • 覚え方は「がん → 心 → 老衰 → 脳 → 肺炎」。近年は老衰が順位を上げている点だけ注意しておけば対応できます。

問63 MRI における安全性について正しいのはどれか。

  1. 人体の発熱は主に傾斜磁場により生じる。
  2. 脳動脈瘤のクリップは多くが磁性体である。
  3. 胎児や乳児に対する安全性は確立されている。
  4. 導電性ワイヤーを内在したカテーテルは、発熱の原因となる。
  5. 条件つき MRI 対応ペースメーカは、撮影条件を遵守すればすべての施設で検査が可能である。
解答・解説を見る

正解:4

  • MRIの3つの磁場は、それぞれ違うリスクを持ちます。静磁場=吸引(ミサイル効果)/傾斜磁場=末梢神経刺激と騒音/RF(高周波)=発熱
  • 1発熱の主因はRFパルスです。SAR(比吸収率)で管理するのはこのためで、傾斜磁場ではありません。
  • 2現在使われている脳動脈瘤クリップは、多くがチタンやチタン合金などの非磁性体です。ただし古い時代のクリップには磁性体があり、既往のある患者では必ず材質を確認します。
  • 3胎児・乳児への長期的な安全性は確立されていません。特に妊娠初期は、利益がリスクを上回る場合に限って行うのが原則です。
  • 4導電性ワイヤーはアンテナのように働いてRFエネルギーを集め、先端で局所的な高熱を生じて熱傷を起こすことがあります。心電図電極のリード線をループ状にしないよう指導するのも同じ理由です。
  • 5条件つきMRI対応ペースメーカの検査には、施設基準(実施医療機関の要件・関連学会の定める体制・立ち会い者など) が定められています。条件を守れば無条件にどこでもよい、というものではありません。
  • 熱傷事故の多くは「導電性のものが体に接触してループを作っていた」ことが原因です。ワイヤー・電極・体表の皮膚同士の接触の3点は、入室前チェックの必須項目です。

問64 造影剤を逆行性に投与する検査はどれか。2つ選べ。

  1. 食道造影
  2. 注腸造影
  3. 冠動脈造影
  4. 子宮卵管造影
  5. 十二指腸造影
解答・解説を見る

正解:2・4

  • ここでいう「逆行性」は、その管腔の本来の流れと逆向きに造影剤を入れるという意味です。
  • 1食道造影は経口投与。飲み込んだ食物と同じ向き(順行性)です。
  • 2注腸造影は肛門から造影剤を注入します。便の流れとは逆向きなので逆行性です。
  • 3冠動脈造影はカテーテルを冠動脈起始部に入れ、血流と同じ向きに造影剤を注入します。
  • 4子宮卵管造影は腟から子宮腔・卵管へ造影剤を送ります。卵子や受精卵が卵管から子宮へ向かう流れとは逆向きです。
  • 5十二指腸造影は経口またはゾンデで十二指腸に入れるもので、消化管の流れに沿った順行性です。
  • ほかの代表例として、逆行性腎盂造影(膀胱鏡から尿管へ)・逆行性尿道造影・ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影) も「逆行性」の名前がついた検査です。名前に手がかりがあるものは取りこぼさないようにしてください。

問65 放射線による DNA 損傷で細胞の致死作用が最も高いのはどれか。

  1. 架橋
  2. 塩基損傷
  3. 塩基の遊離
  4. 一本鎖切断
  5. 二本鎖切断
解答・解説を見る

正解:5

  • 致死性を分ける決め手は「修復のときに、正しい情報の写しが残っているか」です。
  • 1架橋(DNA同士やDNAとタンパクの結合)は修復が難しく重篤ですが、発生頻度が低く、致死の主因ではありません。
  • 2塩基損傷は塩基除去修復で高い精度で直せます。
  • 3塩基の遊離(脱塩基部位)も、相補鎖を鋳型に正確に修復されます。
  • 4一本鎖切断は相補鎖が無傷なので鋳型として使え、速やかにほぼ完全に修復されます。発生数は二本鎖切断の数十倍ありますが、致死性は低い。
  • 5二本鎖切断は両方の鎖が切れているため鋳型がなく、修復に失敗しやすい。誤修復すると染色体異常(二動原体染色体・環状染色体)となり、分裂時に細胞死(分裂死)を招きます。放射線細胞死の本体です。
  • 高LET放射線が生物学的効果が高いのも、飛跡に沿って近接した二本鎖切断(複雑損傷) を作るからです。この一本の筋で放射線生物学はつながっています。

問66 骨髄に 2 Gy 被ばくしたとき、末梢血の血球で最も早く減少するのはどれか。

  1. 血小板
  2. 好中球
  3. 赤血球
  4. 好塩基球
  5. リンパ球
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正解:5

  • 末梢血の減少が現れる速さは、2つの要因で決まります。放射線感受性の高さと、その細胞の寿命(血中にとどまる期間) です。
  • 1血小板は寿命が約10日。減少が目立つのは被ばく後2〜4週です。
  • 2好中球は寿命が数時間〜数日と短く、比較的早く減りますが、初期に一過性の増加(放出)を示すことがあり、明確な減少は1〜2週からです。
  • 3赤血球は寿命が約120日と長いため、貧血が現れるのは数か月後。最も遅く現れます。
  • 4好塩基球は白血球中の割合が1%未満と少なく、変化を指標にできません。
  • 5リンパ球は放射線感受性が非常に高く(間期死を起こす)、被ばく後数時間〜1日で急減します。この速さのため、リンパ球数の推移は急性被ばく線量の推定に使われます
  • 減少の順番は「リンパ球 → 好中球 → 血小板 → 赤血球」。感受性と寿命の両方で説明できるので、丸暗記ではなく理屈で覚えられます。

問67 放射線治療で生じる皮膚症状の時間的経過で正しいのはどれか。

  1. 脱毛 → 表皮剝離 → 発赤 → びらん
  2. 脱毛 → 発赤 → 表皮剝離 → びらん
  3. 発赤 → 脱毛 → 表皮剝離 → びらん
  4. 発赤 → 表皮剝離 → 脱毛 → びらん
  5. 発赤 → 表皮剝離 → びらん → 脱毛
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正解:3

放射線皮膚炎は、次の順に進みます。

時期の目安症状起こっていること
数日〜1週発赤(紅斑)血管拡張・炎症反応。最も早く出る
2〜3週脱毛毛母細胞が分裂できなくなる
3〜4週乾性落屑・表皮剝離表皮の基底細胞が枯渇し、表皮が保てなくなる
4〜6週湿性落屑・びらん・潰瘍表皮が失われ、滲出液が出る
  • 1発赤が表皮剝離より後になっており、順序が逆です。
  • 2脱毛が発赤より先になっている点が誤り。最初に出るのは発赤です。
  • 3発赤 → 脱毛 → 表皮剝離 → びらん。軽い変化から重い変化へ、きれいに並んでいます。
  • 4脱毛は表皮剝離より早く現れます。
  • 5脱毛が最後というのは誤り。むしろ早期の徴候です。
  • 判断のコツは「症状の重さの順=時間の順」と考えること。ただし脱毛だけは「毛母細胞は分裂が速い=早く出る」ので、発赤の次に置きます。

問68 放射線による発がんで正しいのはどれか。

  1. 最も発生数が多いのは膵臓癌である。
  2. 最も発生率が高いのは白血病である。
  3. 年齢が高くなるほどリスクは高くなる。
  4. 固形がんの発生リスクは男性の方が高い。
  5. 固形がんは被ばく後 10 年以内に発生する。
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正解:2

  • 原爆被爆者の追跡調査(LSS)から得られた知見が、この分野の基礎になっています。
  • 1膵臓癌は放射線との関連が明確でない部位です。発生数が多いのは乳癌・肺癌・胃癌・大腸癌など、もともと頻度の高い固形がんです。
  • 2単位線量あたりの過剰相対リスクが最も高いのは白血病。潜伏期も短く(2〜3年で立ち上がり、6〜8年でピーク)、放射線発がんの代表として扱われます。
  • 3逆で、被ばく時年齢が低いほどリスクが高い。組織の分裂が盛んで、かつ発症までの残り寿命が長いためです。
  • 4固形がんの発生リスクは女性の方が高いとされます。乳房・甲状腺という感受性の高い臓器を持つことが大きく影響します。
  • 5固形がんの潜伏期は10年以上と長く、被ばくから数十年後に現れることもあります。10年以内に出るのは白血病の特徴です。
  • 対比で整理を。白血病=潜伏期が短い・単位線量あたりのリスクが高い/固形がん=潜伏期が長い・発生数が多い。この2軸を混ぜないことが正答への近道です。

問69 LET について正しいのはどれか。(全員正解)

  1. OER に比例する。
  2. α 線は低 LET 放射線である。
  3. 100 keV/mm 前後で RBE との関係性が変化する。
  4. LET を算出するための基準となる放射線は X 線や γ 線である。
  5. 放射線の種類やエネルギーによる生物学的影響の評価に用いられる。
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この問題は「全員正解」として扱われました(正答値表に「全員正解として取り扱う」と注記されています)。

  • 選択肢3の単位が keV/mm となっており、正しくは keV/μm。この誤記のため、3を正解とみなすことも、5を正解とみなすこともでき、採点上は全員正解となりました。
  • 1LETとOERは逆の関係です。高LETになるほど酸素効果は小さくなり、OERは1に近づきます(LET 100 keV/μm を超えるあたりからほぼ1)。
  • 2α線は代表的な高LET放射線。電荷が大きく速度が遅いので、短い距離に密にエネルギーを落とします。
  • 3100 keV/μm 前後でRBEが最大になり、それ以上ではエネルギーの使いすぎ(オーバーキル)でRBEが下がります。内容としては正しいのですが、設問の単位が keV/mm と誤っています
  • 4基準放射線(X線・γ線)を使うのは RBE の定義です。LETは単に「単位長さあたりに与えるエネルギー」という物理量で、基準放射線は必要ありません。
  • 5LETは放射線の種類やエネルギーごとに異なり、生物学的効果の大小を説明する指標として使われます。
  • 覚えるべき数字は LET ≒ 100 keV/μm でRBE最大・OERは1に近づく。この1点を軸に、周辺の記述の正誤を判定できます。

問70 静止していた電子を 1 MV の電位差で加速した。加速された電子の運動エネルギー E と電子の静止エネルギー E₀ の比〈E/E₀〉に最も近いのはどれか。

  1. 0.5
  2. 1.0
  3. 2.0
  4. 3.3
  5. 8.2
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正解:3

電子を電位差 VV で加速したときに得られる運動エネルギーは、電荷 × 電位差なので

E=eV=1 MeVE = eV = 1\ \mathrm{MeV}

電子の静止エネルギーは、覚えておくべき定数で

E0=mec2=0.511 MeVE_0 = m_e c^2 = 0.511\ \mathrm{MeV}

したがって

EE0=10.5111.96\frac{E}{E_0}=\frac{1}{0.511}\fallingdotseq 1.96
  • 10.5は分母と分子を入れ替えた 0.511/10.511/1 に近い値です。
  • 21.0は「1 MVだから比も1」と早合点した場合の値。静止エネルギーが0.511 MeVである点を使っていません。
  • 3約1.96で、最も近いのは 2.0 です。
  • 43.3は加速電圧を1.7 MV程度としたときの値で、条件と合いません。
  • 58.2は加速電圧が4 MV超に相当します。
  • 1 MVで加速した電子の運動エネルギーは1 MeV」「電子の静止エネルギーは0.511 MeV」の2つは、そのまま暗記して使う定番の値です。ちなみに全エネルギーは E+E0=1.511E+E_0=1.511 MeV となり、これを E0E_0 で割った値が相対論の γ\gamma 因子(約2.96)になります。

問71 ニュートリノの放出を伴うのはどれか。2つ選べ。

  1. β⁻ 壊変
  2. β⁺ 壊変
  3. 内部転換
  4. 核異性体転移
  5. 軌道電子捕獲
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正解:2・5

  • ポイントは、ニュートリノ(ν)と反ニュートリノ(ν̄)を区別すること。設問は「ニュートリノ」なので、反ニュートリノが出る壊変は外れます。
  • 1β⁻壊変は np+e+νˉen \to p + e^- + \bar{\nu}_e。出るのは反ニュートリノです。
  • 2β⁺壊変は pn+e++νep \to n + e^+ + \nu_eニュートリノが放出されます。
  • 3内部転換は、励起した原子核のエネルギーが軌道電子に直接渡されて電子が飛び出す現象。ニュートリノは関係しません。
  • 4核異性体転移(IT)は、準安定状態の原子核がγ線を放出して基底状態に落ちる過程。核種は変わらず、ニュートリノも出ません。
  • 5軌道電子捕獲(EC)は p+en+νep + e^- \to n + \nu_eニュートリノが放出されます。
  • 覚え方:陽子が中性子に変わる方向(β⁺・EC)はニュートリノ、中性子が陽子に変わる方向(β⁻)は反ニュートリノ。EC と β⁺ が「同じ向きの変化」であることを押さえておくと、両者が競合する理由も理解できます。

問72 電子線のエネルギーが 12 MeV のとき、アルミニウム中の飛程〈cm〉に最も近いのはどれか。ただし、アルミニウムの密度は 2.7 g/cm³ とする。

  1. 1.1
  2. 2.2
  3. 3.3
  4. 4.7
  5. 5.9
解答・解説を見る

正解:2

電子線の飛程は、質量厚さ(g/cm²)で考えると物質によらずほぼ一定で、次の近似が使えます。

R [g/cm2]E [MeV]2R\ [\mathrm{g/cm^2}] \fallingdotseq \frac{E\ [\mathrm{MeV}]}{2}

12 MeV なので

R122=6 g/cm2R \fallingdotseq \frac{12}{2} = 6\ \mathrm{g/cm^2}

これを実際の長さに直すには、密度で割ります。

6 g/cm22.7 g/cm32.2 cm\frac{6\ \mathrm{g/cm^2}}{2.7\ \mathrm{g/cm^3}} \fallingdotseq 2.2\ \mathrm{cm}
  • 11.1は E/4E/4 の関係を使ったときの値で、近似式が違います。
  • 2約2.2 cm。密度で割る操作を正しく行った結果です。
  • 33.3は密度を1.8程度としたときの値。アルミニウムの密度と合いません。
  • 44.7は密度で割り忘れて、別の補正を加えた場合に出る値です。
  • 55.9はほぼ6 cm。質量厚さの6を、そのままcmとして扱ってしまった誤りで、最も引っかかりやすい選択肢です。
  • 水の場合は密度がほぼ1なので「MeVの半分がcmの飛程」がそのまま使えます(12 MeV → 約6 cm)。水以外では必ず密度で割る、という手順を体に入れておいてください。

問73 0.025 eV の中性子の速度〈m/s〉に最も近いのはどれか。ただし、中性子の質量は 1.67 × 10⁻²⁷ kg、1 eV = 1.60 × 10⁻¹⁹ J とする。

  1. 2.2 × 10³
  2. 2.2 × 10⁵
  3. 2.2 × 10⁶
  4. 2.2 × 10⁹
  5. 2.2 × 10¹²
解答・解説を見る

正解:1

運動エネルギーの式 E=12mv2E=\dfrac{1}{2}mv^2 を速度について解きます。

v=2Emv=\sqrt{\frac{2E}{m}}

まずエネルギーをジュールに直します。

E=0.025×1.60×1019=4.0×1021 JE = 0.025 \times 1.60\times 10^{-19} = 4.0\times 10^{-21}\ \mathrm{J}

代入すると

v=2×4.0×10211.67×1027=4.79×1062.2×103 m/sv=\sqrt{\frac{2\times 4.0\times 10^{-21}}{1.67\times 10^{-27}}}=\sqrt{4.79\times 10^{6}}\fallingdotseq 2.2\times 10^{3}\ \mathrm{m/s}
  • 1約2200 m/s。
  • 22.2 × 10⁵ は、平方根を取り忘れて桁を調整した場合などに出ます。
  • 32.2 × 10⁶ は電子の速度スケール。中性子は電子の約1800倍重いので、同じエネルギーならずっと遅くなります。
  • 42.2 × 10⁹ は光速(3 × 10⁸ m/s)を超えており、物理的にあり得ません。
  • 52.2 × 10¹² も同様に光速超過で不可能です。
  • 0.025 eV = 熱中性子で、その速度約2200 m/sは原子炉物理の基本定数です。この数字を覚えておけば、計算せずに即答できます。選択肢に光速を超える値が並んでいたら、それだけで消せる点も覚えておいてください。

問74 Larmor〈ラーモア〉周波数を表す式はどれか。ただし、γ は磁気回転比、B₀ は磁束密度である。

  1. 2πγB02\pi\gamma B_0
  2. 2πγB0\dfrac{2\pi}{\gamma B_0}
  3. 2πγB0\dfrac{2\pi\gamma}{B_0}
  4. B02πγ\dfrac{B_0}{2\pi\gamma}
  5. γB02π\dfrac{\gamma B_0}{2\pi}
解答・解説を見る

正解:5

ラーモアの式は、角周波数の形では

ω0=γB0\omega_0 = \gamma B_0

角周波数と周波数の関係は ω=2πf\omega = 2\pi f なので、周波数に直すと

f0=γB02πf_0 = \frac{\gamma B_0}{2\pi}
  • 12π2\pi を掛けています。角周波数から周波数にするときは割るのが正しい。
  • 2γB0\gamma B_0 が分母にあり、これは周期の形(1/周波数に 2π2\pi を掛けたもの)です。
  • 3B0B_0 が分母にあり、磁場が強いほど周波数が下がることになってしまいます。実際は逆です。
  • 4γ\gamma が分母にあり、磁気回転比が大きいほど周波数が下がることになり、誤りです。
  • 5f0=γB0/2πf_0=\gamma B_0/2\piγ/2π\gamma/2\pi をまとめて「磁気回転比」と呼ぶ流儀もあり、その場合は f0=(γ/2π)B0f_0 = (\gamma/2\pi)B_0 と書きます。
  • 数値でも確認できます。プロトンの γ/2π\gamma/2\pi は約 42.58 MHz/T なので、1.5 T の装置では約64 MHz、3 T では約128 MHz。この数字を覚えておくと、式の向きを間違えても検算できます。

問75 図 A の回路に図 B のような波形の正弦波交流電圧 v〈V〉を抵抗 R = 10 Ω に加えたとき、流れる電流の瞬時値〈A〉を表す式はどれか。ただし、電流の周波数を 100 Hz とする。

問75の図(出典:厚生労働省)
  1. 10sin ⁣(200πtπ6)10\sin\!\left(200\pi t-\dfrac{\pi}{6}\right)
  2. 10sin ⁣(200πt+π6)10\sin\!\left(200\pi t+\dfrac{\pi}{6}\right)
  3. 102sin ⁣(100πt+π6)10\sqrt{2}\,\sin\!\left(100\pi t+\dfrac{\pi}{6}\right)
  4. 102sin ⁣(100πtπ6)\dfrac{10}{\sqrt{2}}\sin\!\left(100\pi t-\dfrac{\pi}{6}\right)
  5. 102sin ⁣(200πt+π6)\dfrac{10}{\sqrt{2}}\sin\!\left(200\pi t+\dfrac{\pi}{6}\right)
解答・解説を見る

正解:1

決めるべき要素は3つ。振幅・角周波数・位相です。

① 角周波数 周波数が 100 Hz なので

ω=2πf=2π×100=200π rad/s\omega = 2\pi f = 2\pi\times 100 = 200\pi\ \mathrm{rad/s}

② 位相 図Bを見ると、波形が0を横切って上昇するのは ωt=π/6\omega t = \pi/6 の位置。つまり原点より右にずれている=遅れているので、符号はマイナスです。電圧は

v=100sin ⁣(200πtπ6) Vv = 100\sin\!\left(200\pi t-\frac{\pi}{6}\right)\ \mathrm{V}

③ 振幅 抵抗だけの回路なので、オームの法則がそのまま瞬時値に使えます。図Bの電圧の最大値は100 Vなので

i=vR=10010sin ⁣(200πtπ6)=10sin ⁣(200πtπ6) Ai=\frac{v}{R}=\frac{100}{10}\sin\!\left(200\pi t-\frac{\pi}{6}\right)=10\sin\!\left(200\pi t-\frac{\pi}{6}\right)\ \mathrm{A}
  • 1振幅10 A、角周波数 200π200\pi、位相 π/6-\pi/6。3要素すべてが合っています。
  • 2位相の符号が逆。グラフが右にずれているのは「遅れ」なのでマイナスです。
  • 3角周波数が 100π100\pi(=50 Hz)で、条件の100 Hzと合いません。振幅に 2\sqrt{2} を掛けているのも誤りです。
  • 4角周波数が 100π100\pi で誤り。10/210/\sqrt{2} は実効値であり、瞬時値の式に使う振幅ではありません。
  • 5角周波数は正しいものの、振幅を実効値にしてしまい、位相の符号も逆です。
  • ひっかけは2つ。周波数100 Hz → 角周波数は200π(100πではない)、そして瞬時値の式には最大値を使う(実効値ではない)。抵抗だけの回路なので、電圧と電流の位相は完全に一致します。

問76 図の回路で a−b 間の電位差〈V〉はどれか。

問76の図(出典:厚生労働省)
  1. 0
  2. 1
  3. 3
  4. 5
  5. 6
解答・解説を見る

正解:2

直流の定常状態ではコンデンサに電流は流れません。そこで、抵抗の枝とコンデンサの枝を別々に考えます。

① 抵抗側(点 a の電位) 10 Ω が2本直列で10 Vがかかっているので、単純な半分ずつの分圧です。下端を0 Vとすると

Va=10×1010+10=5 VV_a = 10\times\frac{10}{10+10} = 5\ \mathrm{V}

② コンデンサ側(点 b の電位) 直列コンデンサには同じ電気量 Q が蓄えられます。V=Q/CV=Q/C なので、電圧は静電容量に反比例して分かれます。下側の 20 μF にかかる電圧は

Vb=10×120130+120=10×3030+20=6 VV_b = 10\times\frac{\dfrac{1}{20}}{\dfrac{1}{30}+\dfrac{1}{20}} = 10\times\frac{30}{30+20}=6\ \mathrm{V}

③ 電位差

VaVb=56=1 VV_a - V_b = 5 - 6 = -1\ \mathrm{V}

大きさは 1 V です。

  • 10 Vになるのは、コンデンサも同じ容量(分圧比が抵抗と同じ)だった場合です。
  • 21 V。抵抗側5 V、コンデンサ側6 Vの差です。
  • 33 Vは分圧比を取り違えたときに出ます。
  • 45 Vは点 a の電位そのもの。b の電位を引き忘れています。
  • 56 Vは点 b の電位そのもの。同じく引き算を忘れた値です。
  • 最大のポイントは、抵抗の分圧は「容量に比例」ではなく、コンデンサの分圧は「容量に反比例」 という点。ここを逆にすると、下側は4 Vとなり答えも変わってしまいます。「小さい容量ほど大きな電圧を受け持つ」と覚えてください。

問77 二極真空管の空間電荷制限領域で、陽極電圧 25 V、陽極電流 100 mA のとき、陽極電圧を 9 V とすると陽極電流〈mA〉に最も近いのはどれか。

  1. 4.7
  2. 13.0
  3. 21.6
  4. 36.0
  5. 50.6
解答・解説を見る

正解:3

空間電荷制限領域では、チャイルド・ラングミュアの法則(3/2乗則) が成り立ちます。

I=kV3/2I = k V^{3/2}

比を取れば定数 kk は消えるので

I2I1=(V2V1)3/2=(925)3/2\frac{I_2}{I_1}=\left(\frac{V_2}{V_1}\right)^{3/2}=\left(\frac{9}{25}\right)^{3/2}

9/25=0.369/25 = 0.36 で、その平方根は 0.60.6。したがって

(0.36)3/2=(0.6)3=0.216(0.36)^{3/2}=(0.6)^3=0.216 I2=100×0.216=21.6 mAI_2 = 100\times 0.216 = 21.6\ \mathrm{mA}
  • 14.7は3乗(0.3630.36^3)にしてしまった場合の値です。
  • 213.0は指数を2乗にしたときに近い値になります。
  • 321.6 mA。9/259/25(3/5)2(3/5)^2 なので、(3/5)3=27/125=0.216(3/5)^3=27/125=0.216 と暗算でも出せます。
  • 436.0は電圧に比例する(1乗) と考えた場合の値。オームの法則をそのまま当てはめた誤りです。
  • 550.6は指数を1/2乗(平方根)にしたときの値です。
  • 二極管の動作は2つの領域に分かれます。空間電荷制限領域=陽極電圧で電流が決まる(3/2乗則)/温度制限(飽和)領域=フィラメント温度で決まり、陽極電圧を上げても電流は増えない。X線管では管電流をフィラメント電流で制御しますが、これは温度制限領域を使っているためです。

問78 W 値の定義で正しいのはどれか。

  1. 電離箱中で生成される全電荷
  2. 断面積 da の球に入射する粒子の数
  3. 質量 dm の物体に付与された平均エネルギー
  4. 粒子フルエンス φ 中の物質との相互作用の確率
  5. 気体中で 1 イオン対を生成するときに消費される平均エネルギー
解答・解説を見る

正解:5

W 値は、電離箱で測った電荷 QQ を吸収線量に翻訳するための係数です。

Dair=QmWeD_{\text{air}} = \frac{Q}{m}\cdot\frac{W}{e}

空気の W/eW/e は約 33.97 J/C33.97\ \mathrm{J/C}(=約 33.97 eV/イオン対)で、標準計測法でもこの値を使います。

  • 1全電荷そのものは W 値ではありません。W 値は、その全電荷を線量に変換するための係数です。
  • 2これはフルエンスの定義に近い記述です。
  • 3これは吸収線量の定義(D=dεˉ/dmD = d\bar{\varepsilon}/dm)です。
  • 4相互作用の確率は断面積や減弱係数の考え方です。
  • 5W 値=気体中で 1 イオン対を作るのに消費される平均エネルギー。これが定義そのものです。
  • W 値が「空気のイオン化エネルギー(約15 eV)より大きい」のは、入射粒子のエネルギーが電離だけでなく励起や熱にも使われるためです。この理由まで答えられるようにしておくと、応用問題にも対応できます。

問79 蛍光ガラス線量計について正しいのはどれか。

  1. 積算型の線量計である。
  2. 繰り返し読取ができない。
  3. プレヒートで蛍光中心が消去できる。
  4. TLD と比較してフェーディングの影響が大きい。
  5. フィルタなしの素子はエネルギーが 1 MV 以上の X 線に対して高感度である。
解答・解説を見る

正解:1

  • 蛍光ガラス線量計(RPLD)は、銀活性リン酸塩ガラスに紫外線パルスレーザを当て、生じたラジオフォトルミネセンスを読み取る個人被ばく線量計です。
  • 1照射で生じた蛍光中心がそのまま蓄積されるので、積算型(累積型) の線量計です。
  • 2最大の長所がここ。読み取っても蛍光中心が消えないため、何度でも繰り返し読み取れます。TLDやOSLと違い、読み損じても測り直せます。
  • 3プレヒートは読み取り前の前処理で、時間とともに増える蛍光中心(ビルドアップ)を安定させるための加熱です(70〜100℃、30分程度)。蛍光中心を消すのはアニーリング(約400℃)です。
  • 4RPLDはフェーディングが極めて小さいのが特徴で、長期間の積算測定に向きます。TLDのほうがフェーディングは大きくなります。
  • 5フィルタなしの素子は、低エネルギー(数十keV)のX線に対して過剰に高感度になります。ガラスに含まれる銀(Z=47)などで光電効果が起こりやすいためで、これを補正するためにエネルギー補償フィルタを組み込みます。1 MV以上に高感度というのは逆です。
  • RPLDの利点を並べると、繰り返し読取ができる・フェーディングが小さい・素子間のばらつきが小さい・長期保存できる。この4点が、ガラスバッジが個人線量計として広く使われている理由です。

問80 倍数と接頭語の組合せで誤っているのはどれか。

  1. 10² ── c〈センチ〉
  2. 10³ ── k〈キロ〉
  3. 10⁶ ── M〈メガ〉
  4. 10⁹ ── G〈ギガ〉
  5. 10¹² ── T〈テラ〉
解答・解説を見る

正解:1

接頭語記号倍数
テラT10¹²
ギガG10⁹
メガM10⁶
キロk10³
ヘクトh10²
センチc10⁻²
ミリm10⁻³
マイクロμ10⁻⁶
  • 1○(誤り)センチは 10⁻²。10² に対応するのはヘクト(h) です。1 hPa(ヘクトパスカル)=100 Pa を思い出せば確認できます。
  • 2✗(正しい)キロは 10³。
  • 3✗(正しい)メガは 10⁶。
  • 4✗(正しい)ギガは 10⁹。
  • 5✗(正しい)テラは 10¹²。
  • 記号の大文字・小文字も出題されます。10⁶ 以上は大文字(M・G・T・P)、10³ 以下は小文字(k・h・c・m・μ・n・p) が原則です。

問81 物理量と放射線の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. カーマ ── 中性子線
  2. 吸収線量 ── 陽子線
  3. 質量減弱係数 ── 電子線
  4. 照射線量 ── 電子線
  5. 阻止能 ── 光子線
解答・解説を見る

正解:1・2

物理量には「どの放射線に対して定義されているか」という縛りがあります。

物理量対象となる放射線
カーマ非荷電粒子(光子・中性子)のみ
吸収線量すべての放射線
質量減弱係数非荷電粒子(光子・中性子)
照射線量X線・γ線(空気中)のみ
阻止能荷電粒子(電子・陽子・α粒子など)のみ
  • 1カーマは、非荷電粒子が物質中で作り出した二次荷電粒子の初期運動エネルギーの総和。中性子線は非荷電粒子なので、中性子カーマは正しい組合せです。
  • 2吸収線量は「単位質量に与えられたエネルギー」という最も普遍的な量で、放射線の種類を問いません。陽子線でも成立します。
  • 3質量減弱係数は、非荷電粒子が「指数関数的に減る」ことを表す量。電子線は物質中で連続的にエネルギーを失いながら止まるので、減弱係数では扱いません。
  • 4照射線量は「空気中でX線・γ線が作った電荷/空気の質量」と定義されており、光子限定です。電子線には使えません。
  • 5阻止能は荷電粒子が単位長さあたりに失うエネルギー。光子は荷電粒子ではないので該当しません。
  • 見分けの軸はひとつだけ。荷電粒子か、非荷電粒子か。カーマ・減弱係数・照射線量は非荷電粒子側、阻止能・LETは荷電粒子側、吸収線量だけが両方に使える、と整理してください。

問82 標準計測法 12 の空洞電離箱の温度気圧補正係数の式で正しいのはどれか。ただし、測定時の温度を T〈℃〉、気圧を P〈kPa〉とする。

  1. 273.2+T273.2+22.0101.33P\dfrac{273.2+T}{273.2+22.0}\cdot\dfrac{101.33}{P}
  2. 273.2+22.0273.2+T1013.3P\dfrac{273.2+22.0}{273.2+T}\cdot\dfrac{1013.3}{P}
  3. 273.2+T273.2+22.0P1013.3\dfrac{273.2+T}{273.2+22.0}\cdot\dfrac{P}{1013.3}
  4. 273.2+20.0273.2+TP101.33\dfrac{273.2+20.0}{273.2+T}\cdot\dfrac{P}{101.33}
  5. 273.2+T273.2+20.01013.3P\dfrac{273.2+T}{273.2+20.0}\cdot\dfrac{1013.3}{P}
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正解:1

電離箱の中の空気の量は温度と気圧で変わるので、基準条件のときの空気質量に換算するのがこの補正です。標準計測法12(および現行の標準計測法)の基準条件は

T0=22.0 C,P0=101.33 kPaT_0 = 22.0\ ^\circ\mathrm{C},\qquad P_0 = 101.33\ \mathrm{kPa}

理想気体の状態方程式から空気の密度は ρP/T\rho \propto P/T なので、補正係数は

kTP=273.2+T273.2+22.0101.33Pk_{TP}=\frac{273.2+T}{273.2+22.0}\cdot\frac{101.33}{P}
  • 1温度は測定値が分子、気圧は基準値が分子。基準条件も 22.0 ℃・101.33 kPa で正しい。
  • 2温度の分子・分母が逆。さらに 1013.3 は hPa の値で、単位が kPa と合いません。
  • 3気圧の分子・分母が逆になっています。気圧が下がる(=空気が薄い)ほど補正係数は大きくなるはずなので、PP は分母です。
  • 4温度が逆、基準温度が 20.0 ℃、気圧も逆と、3か所が誤っています。
  • 5基準温度が 20.0 ℃(これは JIS の標準状態などで使う値)で、標準計測法の 22.0 ℃ と異なります。単位も hPa になっています。
  • 向きに迷ったら物理で考えます。温度が高い=空気が薄い=電離が少ない → 補正で増やすので温度は分子。気圧が低い=空気が薄い → 補正で増やすので気圧は分母。この確認方法を覚えておけば、式を丸暗記せずに済みます。

問83 乳房 X 線撮影において被ばくの低減につながるのはどれか。

  1. 管電圧を下げる。
  2. mAs 値を上げる。
  3. グリッドの格子比を高くする。
  4. 乳房トモシンセシスを併用する。
  5. フィルタをモリブデンからロジウムに変更する。
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正解:5

  • 1管電圧を下げると線質が軟らかくなり、乳腺に吸収される低エネルギー成分が増えて被ばくが増加します。画像コントラストは上がりますが、線量は増えます。
  • 2mAs値は線量そのもの。上げれば被ばくは比例して増加します。
  • 3格子比を高くすると散乱線の除去能力は上がりますが、一次線も多く吸収されるため、同じ画像濃度を得るのに必要な線量(グリッド露出係数)が増えます。
  • 4トモシンセシスは複数角度から撮影するため、通常の2Dマンモグラフィに追加すれば線量は増えます
  • 5ロジウム(Rh)はモリブデン(Mo)より特性X線のエネルギーが高い(Mo:17.5・19.6 keV、Rh:20.2・22.7 keV)。線質が硬くなるぶん乳房を透過しやすく、同じ画像を得るのに必要な入射線量が減ります。乳房が厚い場合や高濃度乳房でRhが選ばれるのはこのためです。
  • マンモグラフィのターゲット/フィルタの組合せは Mo/Mo → Mo/Rh → Rh/Rh の順に硬くなります。薄く脂肪性の乳房ならMo、厚く高濃度ならRhという使い分けとセットで覚えてください。

問84 左肘関節側面の X 線写真(別冊No.8)を別に示す。矢印で示す部位と名称の組合せで正しいのはどれか。

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  1. ア ── 橈骨
  2. イ ── 滑車
  3. ウ ── 鈎状突起
  4. エ ── 尺骨
  5. オ ── 肘頭
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正解:5

肘関節側面像で確認すべき構造を、位置関係とともに整理します。

構造位置の目安
上腕骨小頭・滑車側面像では重なって円形に見える(同心円になっていれば正側面)
肘頭(尺骨)上腕骨の後方に大きく突出する。皮膚から触れる「ひじの先」
鈎状突起(尺骨)滑車の前下方にある小さな突起
橈骨頭尺骨の前方で、上腕骨小頭と向き合う
fat pad前方は正常でも見えることがあるが、後方脂肪体が見えたら関節内血腫=骨折を疑う
  • 1アの位置は橈骨ではありません。
  • 2イは滑車ではありません。滑車は上腕骨遠位内側にあり、側面像では小頭と重なります。
  • 3ウは鈎状突起ではありません。
  • 4エは尺骨ではありません。
  • 5オ ── 肘頭。尺骨の近位後方に突出する構造で、側面像では最も目立つ突起として確認できます。
  • 肘関節側面は90度屈曲・完全側面が基本。正しく撮れているかは、上腕骨小頭と滑車が同心円状に重なるかで判定します。この評価法は撮影技術の問題としても頻出です。

問85 胸部 X 線写真(別冊No.9)を別に示す。認められる所見はどれか。

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  1. 気胸
  2. 結節影
  3. 肺気腫
  4. 肺ブラ
  5. すりガラス様陰影
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正解:1

  • 1気胸。胸部単純X線での決め手は、虚脱した肺の辺縁(visceral pleural line)が細い線として見え、その外側には肺紋理がまったくないこと。線の外側が真っ黒に抜けます。立位正面では空気が上に集まるので、肺尖部を注意して見ます。
  • 2結節影は境界のはっきりした円形の陰影。肺紋理の消失を伴う辺縁の線とは、まったく別の見え方です。
  • 3肺気腫では、肺の過膨張(横隔膜の平低化・肋間の開大・滴状心) と、びまん性の透過性亢進が両側に見られます。片側の辺縁線は現れません。
  • 4肺ブラは薄い壁に囲まれた含気腔で、壁が全周にわたって確認できるのが気胸との違いです。ブラの破裂が気胸の原因になることは多く、両者はセットで理解しておきます。
  • 5すりガラス様陰影は、血管影が透けて見える程度の淡い濃度上昇。濃度が上がる所見なので、透過性が亢進する気胸とは逆方向です。
  • 「透過性が上がっている(黒い)か、下がっている(白い)か」でまず二分し、次に「辺縁の線が見えるか」で気胸を確定させる、という手順で読むと確実です。

問86 チーム医療で正しいのはどれか。

  1. 患者情報は共有しない。
  2. 国家資格を持つ者で構成される。
  3. 平常時の役割分担は明確化しない。
  4. メンバーで総合的に意思決定をする。
  5. 院内横断的に単一のチームを組織する。
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正解:4

  • 1情報共有はチーム医療の前提です。カンファレンスや電子カルテを通じて、必要な範囲で共有します(もちろん守秘義務のもとで)。
  • 2事務職員・介護福祉士・ボランティア・患者本人と家族もチームの一員です。国家資格の有無で線を引くものではありません。
  • 3役割分担は平常時にこそ明確にしておくべきもの。曖昧なままだと、緊急時に対応が抜け落ちます。
  • 4各職種が専門的な視点を持ち寄り、メンバーで総合的に意思決定するのがチーム医療の本質です。特定の職種が一方的に決めるものではありません。
  • 5目的に応じて複数のチームが並行して動きます。感染対策(ICT)・栄養サポート(NST)・緩和ケア・褥瘡対策・医療安全など、それぞれ別のチームです。
  • 診療放射線技師が関わる代表例は、放射線治療チーム・医療被ばく低減の取り組み・医療安全管理など。「自分の専門性をどう持ち寄るか」という視点で選択肢を読むと迷いません。

問87 腹部の血管造影写真(別冊No.10)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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  1. 脾動脈
  2. 総肝動脈
  3. 左胃動脈
  4. 腹腔動脈
  5. 右胃動脈
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正解:1

腹腔動脈は、大動脈から前方に短く出たあと3本に分かれます。造影像での見分け方は次のとおりです。

血管走行の特徴
腹腔動脈大動脈から出た短い幹。すぐ3分岐する
左胃動脈分岐後、上方(頭側)へ立ち上がって小彎に沿う
総肝動脈右側へ水平に走り、固有肝動脈と胃十二指腸動脈に分かれる
脾動脈左側へ、蛇行しながら膵の上縁に沿って脾門へ向かう
  • 1脾動脈。左方へ向かい、特徴的な強い蛇行(うねり) を示すのが最大の目印です。走行の終点が脾門であることも確認できます。
  • 2総肝動脈は右側へ向かう血管で、脾動脈とは反対方向です。
  • 3左胃動脈は上方に立ち上がってから小彎へ向かう、細く短い血管です。
  • 4腹腔動脈は分岐前の幹の部分。矢印が枝を指していれば該当しません。
  • 5右胃動脈は固有肝動脈(または総肝動脈)から出る細い枝で、腹腔動脈の直接の分枝ではありません。
  • 腹腔動脈の3分岐は「左に脾動脈・右に総肝動脈・上に左胃動脈」。この方向と、脾動脈は蛇行するという形の特徴を組み合わせれば、造影像でもCTでも同定できます。

問88 X 線撮影の体位(別冊No.11)を別に示す。観察部位はどれか。

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  1. 踵骨
  2. 舟状骨
  3. 足関節
  4. 立方骨
  5. Lisfranc〈リスフラン〉関節
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正解:1

  • 1踵骨。踵骨の代表的な撮影法は軸位(アントンセン法など) で、足関節を背屈させ、踵の後方から中枢に向けて角度をつけて入射します。この特徴的な体位が写真に写っています。
  • 2舟状骨(足の)は足部斜位や側面で観察します。なお「舟状骨撮影」といえば通常は手の舟状骨(尺屈位での正面など)を指すことが多く、専用の体位も別物です。
  • 3足関節は正面(内旋20度のモーティス位)・側面が基本。踵から角度をつけて入射する体位ではありません。
  • 4立方骨は足部の斜位像で観察する骨で、単独の専用体位はほとんど使いません。
  • 5Lisfranc関節(足根中足関節)は足部正面・斜位で評価します。中足骨の基部と足根骨の並びを見る撮影です。
  • 体位の写真から部位を当てる問題は、入射方向と角度、そして関節をどう曲げているかが決め手です。踵骨軸位=「足を反らせて踵の後ろから斜めに入れる」という形を覚えておくと即答できます。

問89 腹部のダイナミック CT(別冊No.12)を別に示す。時相の順番として正しいのはどれか。

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  1. A → B → C → D
  2. C → A → B → D
  3. C → B → D → A
  4. D → B → A → C
  5. D → C → A → B
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正解:3

腹部ダイナミックCTの各時相は、どの血管と実質が濃染しているかで判別します。

時相注入後の目安見分けのポイント
単純(造影前)大動脈も肝も濃染していない
動脈相30〜40秒大動脈が最も白い。門脈・肝実質はまだ濃染していない
門脈相60〜80秒門脈が明瞭に濃染し、肝実質も濃くなる
平衡相(後期相)3〜5分全体の濃度が下がり均一化。血管と実質の差が小さい
  • 1この並びでは、大動脈が最も白い相が先頭に来ていません。
  • 2単純相の次に来るべき動脈相の位置が合いません。
  • 3C → B → D → A。単純 → 動脈相 → 門脈相 → 平衡相の順に、大動脈・門脈・肝実質の濃染が移り変わります。
  • 4順序が逆行しており、造影剤の流れと矛盾します。
  • 5平衡相に相当する画像が中間に入っており、時間経過と合いません。
  • 判定の手順は決まっています。① 大動脈は白いか(動脈相)→ ② 門脈は白いか(門脈相)→ ③ 全体が均一に淡いか(平衡相)。肝細胞癌は動脈相で濃染し門脈相〜平衡相で洗い出される、という読影のポイントとも直結します。

問90 体表基準と脊椎の位置との組合せで正しいのはどれか。

  1. 喉頭隆起 ── 第 2 頸椎レベル
  2. 胸骨柄上縁 ── 第 1 胸椎レベル
  3. 剣状突起 ── 第 12 胸椎レベル
  4. 肋骨弓下縁 ── 第 3 腰椎レベル
  5. 腸骨稜 ── 第 2 仙椎レベル
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正解:4

撮影範囲を決めるときに使う体表指標を整理します。

体表指標脊椎レベル
喉頭隆起(甲状軟骨)第4〜5頸椎
胸骨柄上縁(頸切痕)第2〜3胸椎
胸骨角(Louis角)第4〜5胸椎(気管分岐部)
剣状突起第9〜10胸椎
肋骨弓下縁第3腰椎
腸骨稜(ヤコビー線)第4腰椎
上前腸骨棘第2仙椎
  • 1喉頭隆起は第4〜5頸椎レベル。第2頸椎は下顎角のあたりです。
  • 2胸骨柄上縁は第2〜3胸椎レベルです。
  • 3剣状突起は第9〜10胸椎レベル。第12胸椎はもっと尾側です。
  • 4肋骨弓下縁は第3腰椎レベル。腹部撮影の範囲決めでよく使います。
  • 5腸骨稜は第4腰椎レベル。腰椎穿刺の目安(ヤコビー線)として重要な指標です。第2仙椎に相当するのは上前腸骨棘です。
  • 特に重要な3つは、胸骨角=気管分岐部(第4〜5胸椎)・腸骨稜=第4腰椎・上前腸骨棘=第2仙椎。この3点を軸に、他の指標を上下に位置づけると覚えやすくなります。

問91 X 線写真(別冊No.13)を別に示す。造影されているのはどこか。

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  1. 回腸
  2. 子宮
  3. 直腸
  4. 膀胱
  5. 前立腺
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正解:4

  • 1回腸なら、複数のループが折り重なった管状の構造として写り、ケルクリング襞による細かい輪状の模様が見えます。単一の袋状にはなりません。
  • 2子宮腔の造影(子宮卵管造影)では、逆三角形の子宮腔の両上端から細い卵管が伸びるという、きわめて特徴的な形になります。
  • 3直腸は仙骨の前面に沿って走り、仙骨の彎曲に沿った縦長の形を示します。骨盤の正中低位に丸く収まる形ではありません。
  • 4膀胱。恥骨結合の上に位置する、辺縁が滑らかな類円形〜卵円形の袋として造影されます。膀胱造影・排泄性尿路造影の後期像・尿道造影の逆行時などで見られる典型像です。
  • 5前立腺そのものは造影されません。尿道造影で前立腺部尿道が細く写ることはありますが、袋状には見えません。
  • 骨盤内の造影像は、恥骨結合との位置関係で当たりをつけます。恥骨結合のすぐ上に丸く写れば膀胱、仙骨に沿って縦に伸びれば直腸、逆三角形なら子宮腔、というのが基本の並びです。

問92 頭部単純 CT 像(別冊No.14)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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  1. 梗塞
  2. 出血
  3. 腫瘍
  4. アーチファクト
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正解:3

単純CTでの高吸収(白い)と低吸収(黒い)を、CT値の目安とともに整理します。

所見CT値の目安見え方
1000 HU 前後真っ白。頭蓋骨の位置に連続する
急性期の出血50〜80 HU脳実質より白い。境界は比較的明瞭
脳実質(白質・灰白質)20〜40 HU基準
急性期の梗塞脳実質よりわずかに低い早期はほとんど変化なし。灰白質・白質の境界が不明瞭になる
脳脊髄液0 HU 前後黒い
  • 1骨ならCT値が桁違いに高く、頭蓋骨や頭蓋底の解剖学的位置に連続して存在します。脳実質内に孤立して現れることはありません。
  • 2梗塞は低吸収(黒く) なります。しかも超急性期にはほとんど写らず、はっきりしてくるのは発症後数時間〜1日以降です。高吸収域とは逆向きの変化です。
  • 3出血。血液が凝固するとヘモグロビン(鉄)の密度が上がり、急性期には脳実質より明らかに白く写ります。単純CTが脳卒中の初期評価で真っ先に撮られるのは、この「出血がすぐわかる」という利点があるからです。
  • 4腫瘍は単純CTでは等〜低吸収のことが多く、判断には造影が必要です。単純のみで高吸収の腫瘤を断定はできません。
  • 5アーチファクトは、後頭蓋窩の線条(ビームハードニング) のように、骨に挟まれた部位に帯状・放射状に現れるのが典型。脳実質内に境界明瞭な塊としては現れません。
  • 頭部単純CTの読みは「白いか黒いか」から入ります。急性出血は白、梗塞は黒。この対比が、脳卒中診療で単純CTが最初に撮られる理由そのものです。

問93 血管造影検査で焦点寸法が 0.3 mm の X 線管を用いて焦点受像器間距離を 100 cm として X 線撮影を行った。造影目的の血管が受像器から 20 cm 焦点側にあるとき、この血管の幾何学的不鋭〈半影〉の大きさ〈μm〉に最も近いのはどれか。

  1. 15
  2. 25
  3. 35
  4. 50
  5. 75
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正解:5

幾何学的不鋭(半影)HH は、焦点寸法 FF と距離の比で決まります。

H=F×baH = F\times\frac{b}{a}

ここで aa は焦点−被写体間距離、bb は被写体−受像器間距離です。

条件を整理すると、焦点−受像器間距離が 100 cm、血管は受像器から 20 cm 離れているので

b=20 cm,a=10020=80 cmb = 20\ \mathrm{cm},\qquad a = 100-20 = 80\ \mathrm{cm}

代入して

H=0.3×2080=0.075 mm=75 μmH = 0.3\times\frac{20}{80} = 0.075\ \mathrm{mm} = 75\ \mu\mathrm{m}
  • 115 μm は焦点寸法を 0.3 mm ではなく別の値にしたときに出ます。
  • 225 μm は b/ab/a20/10020/100 ではなく別の比で計算した場合の値です。
  • 335 μm も比の取り方の誤りによる値です。
  • 450 μm は分母に 100 cm(=焦点−受像器間距離)をそのまま使い、0.3×20/100×0.3\times 20/100 \times \ldots のように処理した場合に近い誤答です。
  • 575 μm。b/a=20/80=0.25b/a = 20/80 = 0.250.3×0.25=0.0750.3\times0.25=0.075 mm。
  • 最大の落とし穴は aa は「焦点−受像器間距離」ではなく「焦点−被写体間距離」 であること。必ず全体距離から bb を引いてください。単位も mm → μm の変換(× 1000)を忘れないようにしましょう。

問94 空間周波数 2 cycles/mm の MTF が 0.4 である画像システムがある。このシステムに空間周波数 2 cycles/mm で平均 10、振幅 3 の正弦波が入力されたとき、出力される平均 10 の正弦波の振幅はどれか。

  1. 0.4
  2. 0.8
  3. 1.0
  4. 1.2
  5. 2.0
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正解:4

MTF(変調伝達関数)は、その空間周波数で振幅(コントラスト)がどれだけ伝わるかを表す比です。

MTF(u)=出力の振幅入力の振幅\mathrm{MTF}(u)=\frac{\text{出力の振幅}}{\text{入力の振幅}}

したがって出力の振幅は

出力振幅=入力振幅×MTF=3×0.4=1.2\text{出力振幅} = \text{入力振幅}\times \mathrm{MTF} = 3\times 0.4 = 1.2
  • 10.4 は MTF の値そのもの。入力振幅を掛けていません。
  • 20.8 は入力振幅を 2 として計算した場合の値です。
  • 31.0 は根拠のない値。MTFは1以下なので、出力振幅が入力の3より大きくなることも、切りのよい1になる必然性もありません。
  • 41.23×0.43\times0.4 の単純な掛け算です。
  • 52.0 は平均値10や別の数値を巻き込んで計算した場合の誤答です。
  • ひっかけは「平均10」という情報。MTFは振幅(変調の大きさ)だけに効き、直流成分である平均値は変化しません(設問でも出力の平均は10のまま)。使う数字は振幅3とMTF 0.4 だけです。

問95 図に検出器システム A〜E の MTF と Wiener〈ウィナー〉スペクトルを示す。階調度が一定のとき、高周波領域の NEQ が最も高いのはどれか。

問95の図(出典:厚生労働省)
  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E
解答・解説を見る

正解:4

NEQ(雑音等価量子数)は、階調度 γ\gamma が一定のとき次の形で表されます。

NEQ(u)[MTF(u)]2WS(u)\mathrm{NEQ}(u)\propto\frac{\left[\mathrm{MTF}(u)\right]^2}{\mathrm{WS}(u)}

つまり MTF が高く、かつ Wiener スペクトル(ノイズ)が低いほど NEQ は大きくなります。しかも MTF は2乗で効くので、高周波でMTFが残っているかどうかが決定的です。

  • 1A は低周波では MTF が高いものの、高周波で急激に落ち込み、さらに Wiener スペクトルも高い。分子が小さく分母が大きいので最も不利です。
  • 2B も高周波で MTF が下がり、ノイズは高いまま。NEQ は伸びません。
  • 3C は Wiener スペクトルが高周波まで高いレベルを保っており、分母が大きすぎます。
  • 4D は高周波領域でも MTF が高い水準を保ち、同時に Wiener スペクトルが低い方に位置する。分子が大きく分母が小さいので、NEQ が最も高くなります。
  • 5E は Wiener スペクトルこそ低いものの、MTF が最も早く落ちる。MTFは2乗で効くため、ノイズの少なさでは補えません。
  • 判定の手順を固定しておきましょう。① 見るのは高周波側だけ → ② MTFが高いものを残す(2乗で効くので優先)→ ③ その中でWienerスペクトルが低いものを選ぶ。DQEも同じ構造(MTF²/WS)なので、まったく同じ読み方が使えます。

問96 DRL に最も関係するのはどれか。

  1. 介入
  2. 行為の正当化
  3. 線量限度
  4. 等価線量
  5. 防護の最適化
解答・解説を見る

正解:5

  • DRL(診断参考レベル、Diagnostic Reference Level)は、医療被ばくにおいて線量が突出して多くないかを点検するための目安です。日本では「Japan DRLs」として定期的に改訂されています。
  • 1「介入」は、原子力事故や自然放射線など、すでに存在する被ばく状況を減らす行為を指します。医療被ばくの枠組みとは別です。
  • 2「行為の正当化」は、その検査を行うこと自体に利益があるかという判断。DRLは検査を行うと決めたあとの線量管理なので、段階が異なります。
  • 3医療被ばくには線量限度が適用されません。患者にとっては診断という直接的な利益があるためで、これがDRLという別の枠組みが必要になる理由です。
  • 4等価線量は組織・臓器ごとの防護量。DRLは実測しやすい入射表面線量・CTDIvol・DLP・面積線量などで示され、等価線量では表されません。
  • 5防護の最適化(ALARA) の実践ツールがDRLです。自施設の線量を集計してDRLと比べ、超えていれば原因を調べて手順を見直す、という使い方をします。
  • 注意点を2つ。DRLは線量限度ではないので超えても違法ではないこと、そして個々の患者に適用するものではなく、標準的な体格の集団の中央値と比較するものであること。この2点は誤りの選択肢としてよく出ます。

問97 公衆被ばくを低減させるのはどれか。

  1. 原子力発電従事者の個人被ばく線量計着用
  2. 航空機客室乗務員の乗務時間管理
  3. 自動露出制御〈AEC〉を使用した胸部 CT
  4. 小児 X 線撮影介助者の放射線防護衣着用
  5. 放射性医薬品を投与された患者の退室制限
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正解:5

被ばくは3つに分類されます。職業被ばく(業務として受ける)/医療被ばく(患者本人が診療で受ける)/公衆被ばく(その他すべて)。誰の被ばくかを見極めるのが解法です。

  • 1原子力発電従事者は職業被ばく。線量計の着用は職業被ばくの管理です。
  • 2航空機乗務員の宇宙線被ばくは、業務に伴うものなので職業被ばくとして管理されます。
  • 3CTを受ける患者本人の被ばくは医療被ばく。AECは医療被ばくの最適化です。
  • 4介助者の被ばくは医療被ばくの「介助者・介護者の被ばく」 に分類されます。職務としてではなく、自らの意思で患者を支える人の被ばくで、公衆被ばくとは区別されます。
  • 5放射性医薬品を投与された患者は、それ自体が線源になります。退室(退出)を制限すれば、待合室や公共交通機関で近くにいる一般公衆の被ばくを抑えられます。¹³¹I内用療法後の退出基準が定められているのは、まさにこの目的です。
  • 解く手順は「その被ばくを受けるのは誰か」の一点。業務で受ける人=職業被ばく/患者と介助者=医療被ばく/それ以外の人=公衆被ばくと仕分けてください。

問98 非密封放射性同位元素の汚染箇所に対してスミアろ紙を用いたふき取りを行い GM 管式サーベイメータで測定をしたところ、総計数率が 1,200,100 cpm、バックグラウンド計数率が 100 cpm であった。間接法による表面汚染密度〈kBq/cm²〉として正しいのはどれか。ただし、ふき取り効率を 0.1、ふき取り面積を 100 cm²、検出器の計数効率を 0.4、ふき取り試料の線源効率を 0.2 とする。

  1. 2.5
  2. 2.5 × 10
  3. 1.5 × 10²
  4. 2.5 × 10²
  5. 1.5 × 10³
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正解:2

間接法(スミア法)の表面汚染密度 AsA_s は、次の式で求めます。

As=nnbεdεsFSA_s=\frac{n-n_b}{\varepsilon_d\cdot\varepsilon_s\cdot F\cdot S}

nn:総計数率、nbn_b:バックグラウンド計数率、εd\varepsilon_d:計数効率、εs\varepsilon_s:線源効率、FF:ふき取り効率、SS:ふき取り面積です。

① 正味計数率を求め、cps に直す

nnb=1,200,100100=1,200,000 cpm=1,200,00060=20,000 cpsn-n_b = 1{,}200{,}100-100 = 1{,}200{,}000\ \mathrm{cpm}=\frac{1{,}200{,}000}{60}=20{,}000\ \mathrm{cps}

② 分母をまとめる

0.4×0.2×0.1×100=0.80.4\times 0.2\times 0.1\times 100 = 0.8

③ 代入する

As=20,0000.8=25,000 Bq/cm2=25 kBq/cm2A_s=\frac{20{,}000}{0.8}=25{,}000\ \mathrm{Bq/cm^2}=25\ \mathrm{kBq/cm^2}
  • 12.5 kBq/cm² は 1桁小さい値。ふき取り効率 0.1 を掛け忘れると、この付近の値になります。
  • 225 kBq/cm² = 2.5 × 10 kBq/cm²
  • 31.5 × 10² は cpm を cps に直さず、別の係数で処理した場合の値です。
  • 42.5 × 10² は cpm を cps に直し忘れずに済ませたつもりで、60で割る操作を逆にしたときなどに出ます。
  • 51.5 × 10³ は cpm のまま計算し、単位換算を1回も行わなかった場合に近い値です。
  • 落とし穴は3つ。① 60で割って cps にする ② バックグラウンドを引く ③ ふき取り効率・線源効率・計数効率・面積を全部分母に入れる。効率が4つも出てくるので、式に当てはめる前に「どれが分母か」を確認してから計算に入るのが安全です。

問99 放射線測定器と測定用途の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. CR-39 ── ²⁵²Cf 外部被ばく
  2. アルベド線量計 ── ²²³Ra 排水濃度
  3. ホールボディカウンタ ── ⁹⁰Sr 内部被ばく
  4. 電離箱式サーベイメータ ── ¹²⁵I 表面汚染密度
  5. 液体シンチレーションカウンタ ── ³H 内部被ばく(バイオアッセイ法)
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正解:1・5

  • 1CR-39 は固体飛跡検出器で、中性子(反跳陽子)の飛跡をエッチングして数えます。²⁵²Cf は自発核分裂で中性子を出す代表的な中性子線源なので、外部被ばく測定として正しい組合せです。
  • 2アルベド線量計も中性子用の個人線量計(体で反射・減速した中性子を測る)。²²³Ra はα線放出核種で、しかも「排水濃度」は環境試料の測定であり、個人線量計の用途ではありません。
  • 3⁹⁰Sr は純β線放出核種でγ線を出しません。ホールボディカウンタは体外に出てくるγ線を測る装置なので、⁹⁰Sr の体内量は測れません。⁹⁰Sr の内部被ばく評価は、尿などのバイオアッセイで行います。
  • 4電離箱式サーベイメータは線量率の測定が本領で、感度が低く表面汚染の検出には向きません。しかも ¹²⁵I は 27〜35 keV の低エネルギー光子なので、専用の低エネルギー用シンチレーションサーベイメータを使います。
  • 5³H(トリチウム)は最大18.6 keV の非常に弱いβ線しか出さず、体外からは測れません。試料を液体シンチレータに溶かし込む液体シンチレーションカウンタが唯一の実用的手段で、尿を用いたバイオアッセイ法として行われます。
  • 判断の軸は「その放射線が体外/検出器まで届くか」。届かない(³H・⁹⁰Sr のような低エネルギーβ、α線)ならバイオアッセイ、届く(γ線)ならホールボディカウンタ、という切り分けで解けます。

問100 放射性同位元素等の規制に関する法令が規定する放射性同位元素による汚染状況の測定場所について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 管理区域の境界
  2. 事業所等の境界
  3. 廃棄作業室
  4. 廃棄物貯蔵施設
  5. 廃棄物詰替施設
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正解:1・3

放射線障害防止法(現・RI規制法)では、「線量の測定場所」と「汚染状況の測定場所」が別々に定められている点が要注意です。汚染状況の測定場所は次のとおりです。

汚染状況を測定する場所
作業室
廃棄作業室
汚染検査室
排気設備の排気口
排水設備の排水口(または排水監視設備のある場所)
管理区域の境界
事業所等内の人が居住する区域
事業所等の境界(※ 人が居住する区域が事業所等内にある場合はその区域)
  • 1管理区域の境界は、汚染が区域外へ広がっていないかを確認する要の場所です。
  • 2事業所等の境界は線量の測定場所として明確に規定されている一方、汚染状況の測定場所としては、選択肢1・3ほど直接的な位置づけにはなりません。この問題では正答とされていません。
  • 3廃棄作業室は、非密封RIを含む廃棄物を扱うため汚染が生じやすく、測定が義務づけられています。
  • 4廃棄物貯蔵施設は、密封された状態で保管する場所であり、汚染状況の測定場所としては規定されていません。
  • 5廃棄物詰替施設も同様に、規定された測定場所には含まれていません。
  • この分野は「線量の測定場所」と「汚染の測定場所」を並べて覚えるのが効率的です。汚染は「非密封RIが実際に空気や表面に触れる場所」+「区域の境界」 に集中している、という理解で整理してください。測定の頻度(1か月を超えない期間ごと)もあわせて問われます。

第74回の 午後の解答・解説 もあわせてご覧ください。

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