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過去問解説

第74回 診療放射線技師 国家試験(午後)解答・解説

問1 物理的半減期の最も短い核種はどれか。

  1. ³H
  2. ⁹⁰Sr
  3. ¹³¹I
  4. ¹³³Xe
  5. ¹³⁷Cs
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正解:4

核種物理的半減期主な用途
³H12.3 年標識化合物・バイオアッセイの対象
⁹⁰Sr28.8 年β線源・核分裂生成物
¹³¹I8.02 日甲状腺の診断と内用療法
¹³³Xe5.24 日肺換気シンチグラフィ
¹³⁷Cs30.2 年γ線源・線量計の校正
  • 1³H は 12.3 年。
  • 2⁹⁰Sr は 28.8 年。
  • 3¹³¹I は 8.02 日。日の単位ですが、¹³³Xe よりは長い。
  • 4¹³³Xe の 5.24 日が最短です。
  • 5¹³⁷Cs は 30.2 年で、この中では最長です。
  • 迷いやすいのは ¹³¹I(8日)と ¹³³Xe(5日)の比較。⁹⁹ᵐTc は6時間、¹⁸F は110分、¹³³Xe は5日、¹³¹I は8日という順で、核医学でよく使う核種の半減期を数直線に並べて覚えておくと確実です。

問2 核分裂反応について誤っているのはどれか。

  1. ²⁵²Cf は自発核分裂を起こす。
  2. 核分裂片は β⁺ 壊変するものが多い。
  3. ²³⁵U は熱中性子により核分裂を起こす。
  4. 核分裂収率曲線は核分裂収率と質量数の関係を表す。
  5. 入射粒子によって誘起されるものを誘導核分裂と呼ぶ。
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正解:2

  • 1✗(正しい)²⁵²Cf は外から何も当てなくても自ら分裂する 自発核分裂核種。中性子源として広く使われます。
  • 2○(誤り)核分裂片は元の重い核(中性子が多い核)が割れたものなので、中性子過剰の状態にあります。中性子が陽子に変わる方向、つまり β⁻壊変 をして安定核に近づきます。β⁺壊変は陽子過剰核の反応なので、向きが逆です。
  • 3✗(正しい)²³⁵U は熱中性子(0.025 eV 程度)で分裂します。原子炉で中性子を減速材で遅くするのはこのためです。
  • 4✗(正しい)核分裂収率曲線は横軸に質量数、縦軸に収率をとったグラフで、質量数95付近と140付近にピークを持つ二こぶ型になります。
  • 5✗(正しい)中性子などを当てて起こす分裂を誘導核分裂、自ら起こすものを自発核分裂と呼びます。
  • 核分裂片は中性子過剰 → β⁻壊変」という一本の理屈が、この問題の核心です。核分裂生成物である ⁹⁰Sr や ¹³⁷Cs がβ⁻放出核種であることも、同じ理由で説明できます。

問3 ⁹⁹Mo-⁹⁹ᵐTc ジェネレータについて正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ⁹⁹ᵐTc は生理食塩水で抽出する。
  2. コレクティングバイアルは陽圧である。
  3. ⁹⁹Mo はアルミナカラムに吸着している。
  4. ⁹⁹ᵐTc の半減期は ⁹⁹Mo の半減期よりも長い。
  5. ミルキング後約 66 時間で ⁹⁹ᵐTc の生成曲線が極大となる。
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正解:1・3

  • ジェネレータのしくみは「カラムに親核種を吸着させておき、生まれた娘核種だけを溶かし出す」という一点に尽きます。
  • 1⁹⁹ᵐTc は過テクネチウム酸イオン(TcO₄⁻)として、生理食塩水で溶出(ミルキング) されます。
  • 2コレクティングバイアルは陰圧(真空バイアル)。真空の力で生理食塩水をカラムに通して吸い出す構造です。
  • 3親核種の ⁹⁹Mo はアルミナ(Al₂O₃)カラムに強く吸着しています。娘核種の ⁹⁹ᵐTc は吸着が弱いため、生理食塩水で選択的に流し出せます。
  • 4逆です。⁹⁹Mo が 66時間、⁹⁹ᵐTc が 6時間。親のほうが長いからこそ過渡平衡が成り立ち、繰り返し溶出できます。
  • 5ミルキング後に ⁹⁹ᵐTc が最大になるのは 約23時間後。親の半減期66時間と混同させる引っかけです。
  • 押さえどころは3つ。親(⁹⁹Mo)66時間・娘(⁹⁹ᵐTc)6時間・極大は約23時間。この数字が言えれば、ジェネレータの問題はほぼ落としません。

問4 放射性同位体を利用した同位体希釈分析法で正しいのはどれか。

  1. 逆希釈法では比放射能は低下しない。
  2. 二重希釈法は非標識化合物を加える。
  3. 直接希釈法は標識化合物の試料を分析する。
  4. 分析による放射能濃度の変化の程度を測定する。
  5. 分析試料を定量するためには目的物質をすべて回収する必要がある。
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正解:2

  • 同位体希釈分析は「既知量を混ぜて、比放射能がどれだけ薄まったかから未知量を逆算する」手法です。
方法試料加えるもの
直接希釈法非標識(未知量)標識化合物(既知量)
逆希釈法標識(既知量)非標識化合物(未知量)
二重希釈法標識非標識化合物を2段階で加える
  • 1逆希釈法は放射能をもたない化合物を加えるので、比放射能は必ず低下します。その低下の度合いから未知量を求めるのが原理です。
  • 2二重希釈法は逆希釈法を2回繰り返す方法なので、加えるのは非標識化合物です。標識化合物の量が未知でも定量できる利点があります。
  • 3直接希釈法で分析するのは非標識の試料。そこに既知量の標識化合物を加えます。説明が逆です。
  • 4測るのは放射能濃度ではなく 比放射能(単位質量あたりの放射能) の変化です。
  • 5全量回収は不要です。比放射能は「単位質量あたりの放射能」という比なので、目的物質の一部だけを純粋に取り出して測れば定量できます。これがこの方法の最大の利点です。
  • 覚えるべき本質は、比放射能の希釈率だけを見るので全量回収がいらないという点。クロマトグラフィなどで一部だけ純粋に分離できれば定量できる、という強みにつながります。

問5 X 線管装置で誤っているのはどれか。

  1. X 線強度はターゲット角度で変化する。
  2. 管電流は電極間距離の 2 乗に反比例する。
  3. 管電圧波形のリプル百分率は短時間許容負荷に影響する。
  4. 実効焦点とは実焦点の基準面への垂直投影したものをいう。
  5. ブルーミング効果とは管電圧によって焦点寸法が変化する現象をいう。
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正解:5

  • 1✗(正しい)陽極側では、X線がターゲット自身に吸収されて強度が落ちます(ヒール効果)。角度によって実効焦点の見かけの大きさも変わります。
  • 2✗(正しい)空間電荷制限領域では、チャイルド・ラングミュアの法則から IV3/2/d2I \propto V^{3/2}/d^2電極間距離の2乗に反比例します。
  • 3✗(正しい)リプルが大きいと同じ実効管電圧でも波高値が高くなり、陽極への熱負荷の与え方が変わるため、短時間許容負荷に影響します。
  • 4✗(正しい)実際に電子が当たっている面が実焦点、それをX線束の中心軸に垂直な基準面へ投影した見かけの焦点が実効焦点です。ターゲット角度が小さいほど実効焦点は小さくなります。
  • 5○(誤り)ブルーミング効果は、管電流を増やすと空間電荷の反発で電子ビームが広がり、焦点寸法が大きくなる現象です。管電圧ではなく管電流によるもの。ここが誤りです。
  • 「管電流を上げると焦点が太る」という向きで覚えておくと、大電流では実効焦点も大きくなり、鮮鋭度が下がるという撮影上の意味づけまでつながります。

問6 インバータ式 X 線高電圧装置で正しいのはどれか。

  1. インバータ周波数が高いほど電力変換効率は高い。
  2. 管電圧のリプルは高電圧ケーブルが長いほど小さい。
  3. インバータ周波数が高いほど高電圧変圧器の鉄損が減少する。
  4. 共振形装置はチョッパのパルス幅を変化させて管電圧の調整を行う。
  5. 方形波形装置は共振形装置よりもスイッチング時の電力損失が小さい。
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正解:2

  • 1周波数を上げるほどスイッチング損失が増えるため、電力変換効率はむしろ下がります。周波数を上げる目的は、変圧器の小型化とリプルの低減です。
  • 2高電圧ケーブルは静電容量(数百 pF/m) をもち、平滑コンデンサとして働きます。長いほど容量が増え、リプルは小さくなります
  • 3鉄損(ヒステリシス損・渦電流損)は周波数に比例して増加します。減るのは鉄心の必要な断面積のほうです。
  • 4パルス幅を変えて制御するのは方形波形(PWM)装置。共振形装置は周波数を変えて出力を調整します。
  • 5逆です。共振形装置は電流または電圧がゼロになる瞬間にスイッチングする(ゼロ電流/ゼロ電圧スイッチング)ため、共振形のほうが損失は小さい
  • インバータ式の利点は、小型・軽量・リプルが小さい(ほぼ定電圧)・立ち上がりが速いこと。三相12ピーク形より優れた波形が得られる点が、装置更新の理由になっています。

問7 FPD で正しいのはどれか。

  1. 均一な X 線を照射してオフセット補正を行う。
  2. 直接変換方式にはホトダイオードが用いられる。
  3. 間接変換方式では X 線変換部に高圧を印加する。
  4. 画像信号の読み出しは TFT スイッチングで行う。
  5. 間接変換方式では素子間の感度補正は不要である。
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正解:4

2つの変換方式の違いを整理します。

直接変換方式間接変換方式
X線変換部a-Se(アモルファスセレン)シンチレータ(CsI・GOS)
変換の順序X線 → 電荷X線 → 光 → 電荷
光電変換素子不要ホトダイオード
高電圧の印加必要(数 kV)不要
  • 1オフセット補正は X線を照射しない状態で暗電流(オフセット)を測って引く処理です。均一なX線を当てて行うのはゲイン(感度)補正
  • 2ホトダイオードを使うのは間接変換方式です。
  • 3高電圧を印加するのは直接変換方式。a-Se層に電界をかけて、生じた電荷を電極まで引き寄せます。
  • 4どちらの方式でも、画素に貯まった電荷は TFT(薄膜トランジスタ)のスイッチングで行ごとに読み出します。
  • 5素子ごとの感度ばらつきは必ずあるので、感度補正は方式を問わず必要です。
  • FPDの補正は3つセットで覚えます。オフセット補正(暗電流)・ゲイン補正(感度ばらつき)・欠陥画素補正(デフェクト)。どれもキャリブレーションとして定期的に実施します。

問8 X 線撮影における仮想グリッド処理で正しいのはどれか。

  1. X 線の斜入による濃度ムラを改善する。
  2. 散乱線起因の画像のコントラスト低下を改善する。
  3. 設定グリッド比が高いほど散乱線抑制効果が低い。
  4. 出力画像は原画像に散乱線推定画像を加算して作成する。
  5. 設定グリッド比を変更すると検出器への入射(到達)線量も変化する。
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正解:2

  • 仮想グリッドは、物理的なグリッドを使わずに、画像処理で散乱線成分を推定して取り除く技術です。ポータブル撮影など、グリッドを正しく設置しにくい場面で威力を発揮します。
  • 1斜入による濃度ムラ(グリッドカットオフ)は、そもそも物理グリッドを使ったときに起こる現象。仮想グリッドはグリッドを使わないので、この課題自体が生じません。
  • 2散乱線はコントラストを下げる主因。その成分を推定して差し引くことで、コントラストを回復させます。
  • 3逆です。設定グリッド比を高くするほど、より強く散乱線成分を除去する処理になります。
  • 4減算します。推定した散乱線成分を引くからこそ、一次線成分の割合が上がるわけです。
  • 5これが最大の利点。処理は撮影後の画像に対して行うので、入射線量は一切変わりません。物理グリッドなら、同じ画像を得るのに線量を2〜4倍にする必要があります。
  • 整理すると、物理グリッド=線量が増えるが確実に散乱線を除去/仮想グリッド=線量はそのままだが推定処理。被ばく低減の文脈で問われやすいポイントです。

問9 デジタルトモシンセシスで正しいのはどれか。

  1. 運動撮影中は X 線を連続照射する。
  2. 受像器はイメージングプレートである。
  3. 断層厚は振れ角が大きいほど厚くなる。
  4. 受像器に対して垂直の断層面が得られる。
  5. 1 回の撮影で同時に複数の断層面が得られる。
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正解:5

  • デジタルトモシンセシスは、限られた角度範囲で複数枚のX線画像を撮り、あとから任意の高さの断層像を再構成する技術です。
  • 1撮影はパルス照射。一定角度ごとに1枚ずつ撮ります。連続照射していたのは、フィルム時代の断層撮影です。
  • 2受像器は FPD。撮影のたびに読み出しが必要なので、イメージングプレート(CR)では速度が足りません。
  • 3逆です。振れ角(走査角度)が大きいほど断層厚は薄くなり、深さ方向の分解能が上がります。
  • 4得られる断層面は、受像器に平行な面です。
  • 5一度のスキャンで得たデータから、任意の深さの断層像を何枚でも再構成できます。これが従来の断層撮影に対する最大の利点です。
  • CTとの違いも押さえておきましょう。トモシンセシス=限られた角度・低線量・深さ分解能は低い/CT=全周・高線量・等方的な分解能。乳房トモシンセシスが普及したのは、この「低線量で重なりを分離できる」性質によります。

問10 乳房用 X 線装置で正しいのはどれか。

  1. 放射窓には Mo が使用される。
  2. 胸壁側に陰極が配置されている。
  3. 付加フィルタとして Be を用いる。
  4. 圧迫板は 300 N を超えた加圧が可能である。
  5. 拡大撮影用焦点サイズは 0.3 mm 程度である。
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正解:2

  • 1放射窓(管球の出口)には Be(ベリリウム) を使います。原子番号が4と極めて小さく、低エネルギーX線をほとんど吸収しないからです。
  • 2陰極を胸壁側に配置します。ヒール効果によって陰極側のX線強度が強くなるため、厚みのある胸壁側に強いX線を当てるという理にかなった配置です。
  • 3付加フィルタは Mo または Rh。Beは放射窓の材料であって、フィルタではありません。
  • 4圧迫力の上限は 200 N 程度(日本の指針では150〜200 N)。300 Nを超える加圧は痛みが強すぎて受け入れられません。
  • 5拡大撮影用の焦点は 0.1 mm 程度。通常撮影用が0.3 mm程度で、拡大時は幾何学的不鋭を抑えるためさらに小さくします。
  • マンモグラフィの装置設計は「低エネルギーを通し、微細構造を写す」という一貫した目的で説明できます。Be窓・Mo/Rhフィルタ・微小焦点・高格子比グリッドのすべてがこの目的に向いています。

問11 CTDI 及び DLP で正しいのはどれか。

  1. CTDI の単位は mSv である。
  2. DLP の値は実測により得られる。
  3. DLP の値は患者の性別によって異なる。
  4. CTDI の値は検査部位が異なっても同一である。
  5. いずれも患者の被ばく線量の評価に用いられる。
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正解:5

指標単位意味
CTDIvolmGyファントム内の平均的な吸収線量。1回転あたりの線量の目安
DLPmGy·cmCTDIvol × スキャン長。検査全体の線量の総量
実効線量mSvDLP × 部位ごとの換算係数
  • 1CTDIは吸収線量なので単位は mGy。mSvは実効線量や等価線量の単位です。
  • 2DLPは CTDIvol にスキャン長を掛けて算出する値。装置が自動計算して表示します。
  • 3CTDIもDLPも標準ファントムを基準にした装置側の指標で、患者の性別や体格は反映されません。だからこそ施設間で比較でき、DRLの指標として使えます。
  • 4撮影条件(管電圧・mAs・ピッチ)が部位ごとに違うので、CTDIの値も部位ごとに変わります
  • 5どちらも患者の被ばく線量を評価・管理するための指標です。線量管理システムでの記録、DRLとの比較に用いられます。
  • 注意すべきは、CTDIvol も DLP も「患者が実際に受けた線量」そのものではないこと。患者個人の線量に近づけるには、体格を反映した SSDE(size-specific dose estimate) を使います。

問12 MRI の撮影中に検査室内に発生する規則的な音の原因で考えられるのはどれか。

  1. 静磁場の回転
  2. クエンチの発生
  3. 傾斜磁場の印加
  4. 電源装置の振動
  5. RF パルスの印加
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正解:3

  • 1静磁場は常に一定でかかり続けているもので、回転もしませんし音も出しません。
  • 2クエンチは超伝導が破れてヘリウムが一気に気化する異常事態。轟音とともに白い霧が出ますが、撮影中に規則的に起こるものではありません。
  • 3傾斜磁場コイルに大電流を高速でオン・オフすると、静磁場中でローレンツ力を受けてコイルが振動します。これが撮影音(打撃音)の正体です。パルスシーケンスの繰り返しに同期するので、規則的な音になります。
  • 4電源装置は検査室の外(機械室)にあり、室内の規則的な打撃音の原因にはなりません。
  • 5RFパルスは電磁波で、人体に吸収されてになります。音ではありません。
  • 傾斜磁場は「音・末梢神経刺激」、RFは「発熱(SAR)」、静磁場は「吸引(ミサイル効果)」。3つの磁場と、それぞれが引き起こす現象を対応づけて覚えておくと、安全管理の問題にも一気に対応できます。

問13 超音波画像診断装置におけるパルスドプラ法で正しいのはどれか。

  1. FFT 波形の縦軸は時間である。
  2. FFT 波形の横軸は流速である。
  3. 定常流と拍動流を区別できない。
  4. 血流速度の計測値はプローブの傾きに依存する。
  5. サンプリングボリュームの大きさは FFT 波形に影響を与えない。
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正解:4

  • 1FFT波形(ドプラ波形)の縦軸は流速です。
  • 2横軸は時間。心拍に同期した速度の変化を見るためのグラフです。1と2は、縦軸と横軸を入れ替えた引っかけになっています。
  • 3横軸が時間なので、拍動流なら山と谷が周期的に現れ、定常流なら平らになります。区別は容易です。
  • 4ドプラ効果の式は
v=cΔf2f0cosθv=\frac{c\cdot\Delta f}{2f_0\cos\theta}

で、θ\theta血流方向と超音波ビームのなす角です。cosθ\cos\theta が入っているため、プローブの傾きで計測値が変わります。角度が60度を超えると誤差が急増するので、実務では60度以下(できれば20度以下)で当てるのが原則です。

  • 5サンプリングボリュームを大きくすると、流速の異なる血流をまとめて拾ってしまうため、波形の幅が広がります(スペクトル拡大)。当然、影響を与えます。
  • 角度依存性はカラードプラでも同じで、血流に垂直に当てると流れがあっても色が付かないという現象につながります。「cosθ\cos\theta が効く」という一点を覚えておけば、関連問題は連鎖的に解けます。

問14 X 線 CT 装置の日常点検における性能評価項目で正しいのはどれか。

  1. ノイズ
  2. 表面線量
  3. 漏洩電流
  4. CTDI 測定
  5. 射入角精度
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正解:1

  • 日常点検は「毎日の始業前に、水ファントムを1回撮れば済むこと」が基準になります。
  • 1水ファントムを撮影し、CT値の平均値(水は0 HU)とノイズ(標準偏差) を確認します。日常点検の中心項目です。
  • 2表面線量の測定には線量計とファントムの設置が必要で、年ごとの項目です。
  • 3漏洩電流は電気安全に関する試験で、性能評価項目ではありません。
  • 4CTDI測定は専用のアクリルファントムとペンシル型電離箱を使う本格的な測定。受入試験や年ごとの精度管理で行います。
  • 5射入角精度も日常的に測る項目ではありません。
  • 日常点検の代表は、水のCT値・ノイズ・アーチファクトの有無・位置決めレーザの一致。「毎日やっても現実的か」を基準に判断すれば、この手の問題は迷いません。

問15 MRI の化学シフト(共鳴周波数の差)を用いた脂肪抑制法として誤っているのはどれか。

  1. SPIR 法
  2. STIR 法
  3. CHESS 法
  4. DIXON 法
  5. 二項励起パルス
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正解:2

脂肪抑制法は、何を利用しているかで2つに分かれます。

原理方法特徴
化学シフト(周波数差)CHESS・SPIR・DIXON・二項励起パルス水と脂肪の共鳴周波数が約 3.5 ppm 違うことを利用。磁場の不均一に弱い
T1値の差(反転回復)STIR脂肪の短いT1を利用。磁場不均一に強いが、脂肪以外の短T1組織(造影された病変など)も消える
  • 1✗(該当する)SPIRは、脂肪の周波数だけを選んで反転パルスを当てる方法。化学シフトを使います。
  • 2○(誤り)STIRは反転回復法で、脂肪のT1が短いことを利用します。周波数の差ではありません。
  • 3✗(該当する)CHESSは脂肪の周波数に合わせた励起パルスとスポイラ傾斜磁場で脂肪信号を潰す、最も基本的な方法です。
  • 4✗(該当する)DIXONは、水と脂肪の位相が同相・逆相になるタイミングで撮り、加減算して水画像と脂肪画像に分ける方法。周波数差そのものを使います。
  • 5✗(該当する)二項励起パルス(1-1、1-2-1など)は、脂肪だけが横磁化を持たないタイミングを利用します。
  • 実務上の使い分けも重要です。磁場が不均一になりやすい部位(頸部・四肢の端・体内金属の近く)ではSTIR造影後の検査では化学シフト法(STIRだと造影効果まで消えてしまうため)が選ばれます。

問16 眼底写真(別冊No.1)を別に示す。視神経乳頭はどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.1 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

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正解:1

眼底写真で見えるおもな構造を整理します。

構造見え方
視神経乳頭(乳頭)境界が明瞭な、周囲より白っぽい類円形の部分。ここから網膜血管が放射状に出る
黄斑・中心窩乳頭の耳側にある、やや暗い(血管のない)領域
網膜動脈細く明るい赤
網膜静脈太く暗い赤
  • 1が視神経乳頭。血管が一点から放射状に出ていることが最大の目印で、境界が明瞭な淡い円形として見えます。
  • 2イは乳頭ではありません。
  • 3ウも該当しません。
  • 4エも該当しません。
  • 5オも該当しません。
  • 血管が集まって出入りしている白い円=視神経乳頭」「血管のない少し暗い部分=黄斑」。この2点だけ覚えておけば、眼底写真の問題は判別できます。乳頭は視細胞がないため、生理的な盲点(マリオット盲点)に対応します。

問17 脳のファンクショナル MRI で解析対象の信号源に利用されるのはどれか。

  1. BOLD による磁化率効果
  2. MT パルスによる磁化移動効果
  3. MPG による水分子拡散強調効果
  4. CHESS パルスによる脂肪信号抑制効果
  5. ガドリニウム造影剤による緩和時間短縮効果
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正解:1

  • fMRI が見ているのは、神経活動そのものではなく、それに伴う局所の血液の性質の変化です。
  • 1BOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)効果。神経が活動すると、その領域の血流が需要以上に増え、脱酸素化ヘモグロビン(常磁性)の割合が減る。常磁性体が減ると局所の磁場の乱れが小さくなり、T2* が延びて信号が上がる、という流れです。
  • 2MTパルスによる磁化移動効果は、MRAで背景組織を抑えて血管を目立たせる用途などに使います。
  • 3MPG(motion probing gradient)は拡散強調画像(DWI) に使うもの。急性期脳梗塞の診断に不可欠ですが、fMRIの信号源ではありません。
  • 4CHESSは脂肪抑制のパルスです。
  • 5ガドリニウム造影剤による緩和時間短縮は、灌流画像(DSC-PWI) や造影MRAで利用します。fMRIは造影剤を使わないのが特徴です。
  • 脱酸素化ヘモグロビンが常磁性体である」という一点が、BOLD効果のすべての出発点です。撮像は磁化率変化に敏感な T2*強調のEPI で、高速に何十回も繰り返して信号の時間変化を追います。

問18 膝 MRI のプロトン密度強調矢状断像(別冊No.2)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.2 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 半月板
  2. 後十字靱帯
  3. 前十字靱帯
  4. 外側側副靱帯
  5. 内側側副靱帯
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正解:2

膝の矢状断(正中付近)で見えるべき構造を整理します。

構造矢状断での見え方
後十字靱帯(PCL)後方に凸の、太くて濃い黒いバンド。正中矢状断で1枚に収まりやすい
前十字靱帯(ACL)前下方から後上方へ斜めに走る。正中よりやや外側の断面で見える。PCLより細く不均一
半月板関節裂隙にある黒い三角形(前角・後角)
内側・外側側副靱帯冠状断で評価する。矢状断では追えない
  • 1半月板なら、脛骨と大腿骨の間に黒い三角形として見えます。細長いバンド状ではありません。
  • 2後十字靱帯。矢印が後方に凸のカーブを描く濃い黒色の帯を指していれば、これが答えです。正中矢状断で最も目立つ靱帯です。
  • 3前十字靱帯は、より外側の断面で斜めに走る細い構造。後方に凸のカーブは描きません。
  • 4外側側副靱帯は膝の外側にあり、冠状断で見る構造です。
  • 5内側側副靱帯も同様に冠状断での評価対象です。
  • PCLは正中矢状断で後方に凸の太い黒帯」というのが最も覚えやすい目印。ACLは走行が斜めなので1枚の画像に収まりにくく、専用の斜め断面を追加することもあります。

問19 頭部 MR 像(別冊No.3)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.3 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 外転神経
  2. 顔面神経
  3. 三叉神経
  4. 動眼神経
  5. 内耳神経
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正解:3

脳幹から出る脳神経は、どこから出るか・どれくらい太いかで見分けます。

神経脳幹からの出どころ太さ
動眼神経(Ⅲ)中脳の脚間窩
三叉神経(Ⅴ)橋の外側(中部橋腕の付け根)最も太い
外転神経(Ⅵ)橋延髄移行部の正中寄り細い
顔面神経(Ⅶ)・内耳神経(Ⅷ)橋延髄移行部の外側(小脳橋角部)から2本並んで内耳道へ細い
  • 1外転神経は橋延髄移行部の正中近くから出る、きわめて細い神経です。
  • 2顔面神経は内耳神経と並んで内耳道へ入ります。単独の太い束としては見えません。
  • 3三叉神経橋の外側から出る、脳神経の中で最も太い束という特徴が決め手です。三叉神経痛の責任血管(上小脳動脈)との関係を見るため、この部位はMRIで頻繁に評価されます。
  • 4動眼神経は中脳のレベル(脚間窩)から出るので、橋のレベルでは見えません。
  • 5内耳神経は顔面神経と一緒に内耳道へ向かう細い神経です。
  • 見分けの手順は「まずスライスが中脳・橋・延髄のどれかを判定 → その高さから出る神経に絞る → 太さで確定」。橋のレベルで一番太い束なら三叉神経、と即断できます。

問20 肝臓の超音波像(別冊No.4)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.4 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 下大静脈
  2. 中肝静脈
  3. 左肝静脈
  4. 右肝静脈
  5. 腹部大動脈
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正解:1

肝臓の超音波で管腔構造を見分けるポイントを整理します。

構造特徴
下大静脈肝の背側を縦走する太い管。3本の肝静脈がここに合流する。呼吸で径が変動する
肝静脈(右・中・左)壁が薄く(高エコーの縁がない)、下大静脈へ向かって集まる
門脈壁が厚く高エコーに縁取られる。グリソン鞘を伴う
腹部大動脈下大静脈の左側にあり、拍動する。壁が厚い
  • 1下大静脈3本の肝静脈が集まってくる合流点をもつ、背側の太い管という位置関係が決め手です。
  • 2中肝静脈は肝を左右に分ける平面(Cantlie線)を走る枝で、下大静脈へ流れ込む側です。
  • 3左肝静脈も同様に、下大静脈に合流する枝の一本です。
  • 4右肝静脈も枝の一本。矢印が合流を受ける側の太い管を指していれば、下大静脈が答えです。
  • 5腹部大動脈は下大静脈の左側を走り、拍動が明瞭。肝静脈は合流しません。
  • 最重要の区別は 肝静脈と門脈壁が高エコーに縁取られていれば門脈、縁がなければ肝静脈です。肝区域分類(Couinaud分類)は、肝静脈と門脈の走行を基準に決められています。

問21 SE 法と比較した高速 SE 法の特徴で正しいのはどれか。

  1. 撮影時間の延長
  2. 脂肪の低信号化
  3. 磁化率効果の減少
  4. 画像の高コントラスト化
  5. パーシャルボリューム効果の減少
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正解:3

  • 高速SE法(FSE/TSE)は、1回の励起のあとに180度パルスを何度も当てて、複数のエコーを一気に集める方法です。ここからすべての特徴が導かれます。
  • 11回の励起で複数のk空間の行を埋められるので、撮影時間はエコートレイン長に応じて短縮します。
  • 2逆に脂肪は高信号化します。180度パルスが連続することで、脂肪の信号を弱めていた J カップリングが解除されるためです。だからFSEのT2強調像では、脂肪抑制を併用することが多くなります。
  • 3180度パルスを何度も当てるため、磁場の不均一による位相のずれが繰り返し再収束され、磁化率効果は小さくなります。金属アーチファクトに強いのはこのためで、逆に出血の検出には不向きです。
  • 4エコー時間の異なる信号を混ぜて1枚の画像を作るので、コントラストはむしろ低下し、T2ブラーリング(にじみ)も生じます。
  • 5パーシャルボリューム効果はスライス厚と画素サイズで決まるもので、撮像法とは関係ありません。
  • 用途で整理すると、FSE=速い・磁化率に強い(金属に強い)・脂肪が明るいGRE=磁化率に敏感(出血や石灰化の検出に有利)。目的に応じて逆の性質を使い分けます。

問22 上腹部超音波横断像(別冊No.5)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.5 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 門脈
  2. 肝動脈
  3. 脾静脈
  4. 腹部大動脈
  5. 上腸間膜動脈
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正解:5

上腹部横断像で「膵臓を探すときの目印」として必ず出てくる構造です。

構造横断像での特徴
上腸間膜動脈(SMA)腹部大動脈から前方に分岐し、周囲を高エコーの脂肪に囲まれた小さな円。膵体部のすぐ背側
脾静脈膵体部の背側を横に走る細長い管。門脈へ向かう
腹部大動脈椎体の前・やや左の太い拍動する管
門脈膵頭部の背側で脾静脈と上腸間膜静脈が合流してできる
  • 1門脈なら壁が高エコーに縁取られ、肝門部へ向かう走行を示します。
  • 2肝動脈は細く、腹腔動脈から分岐して右方へ向かいます。
  • 3脾静脈は膵体部の背側を横方向に長く走る管。円形の断面としては見えません。
  • 4腹部大動脈はもっと背側にある太い管で、SMAはそこから前方に分岐した先です。
  • 5上腸間膜動脈大動脈の前方に、脂肪に囲まれた小さな円として見えるのが最大の特徴です。
  • 上腹部横断像の読み方の定石は「大動脈と下大静脈を見つける → その前方のSMAを探す → SMAの腹側にある帯状の実質が膵臓」。膵臓は輪郭が不明瞭なので、この順で探すのが確実です。

問23 骨盤部 MRI の T2 強調像(別冊No.6)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.6 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 子宮
  2. 精囊
  3. 直腸
  4. 膀胱
  5. 前立腺
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正解:5

男性骨盤のT2強調像で押さえるべき位置関係と信号を整理します。

構造位置T2 強調像での信号
膀胱最も腹側・頭側尿が強い高信号
前立腺膀胱の直下、恥骨結合の背側辺縁域は高信号、移行域は低〜不均一(内外の層構造が見える)
精囊前立腺の頭側背外側に左右一対ぶどうの房状の高信号
直腸最も背側、仙骨の前内容により変動
  • 1子宮は女性の臓器。子宮なら内膜が高信号、接合帯が低信号という三層構造を示します。
  • 2精囊なら左右一対の、房状に区切られた高信号として見えます。単一の塊ではありません。
  • 3直腸は最も背側で、仙骨のすぐ前に位置します。
  • 4膀胱なら、内部が均一な強い高信号(尿) になります。
  • 5前立腺膀胱の直下・恥骨結合の背側という位置に加え、T2強調像で辺縁域が高信号、移行域が低信号という層構造が見えるのが決め手です。
  • 前立腺癌の診断でT2強調像が重視されるのは、高信号の辺縁域の中に低信号域として癌が浮かび上がるからです。拡散強調像・造影と組み合わせた評価(PI-RADS)が標準になっています。

問24 プローブを第4肋間胸骨左縁から頭側に傾けて撮影した心エコーの四腔断面像(four chamber view)(別冊No.7)を別に示す。矢印で示す構造はどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.7 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 右心室
  2. 左心室
  3. 左心房
  4. 大動脈
  5. 肺動脈
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正解:2

四腔断面像で、4つの部屋を見分ける手がかりを整理します。

見分けかた内容
壁の厚さ左心室の壁は右心室の約3倍厚い。最も確実な指標
房室弁の付着位置三尖弁(右)のほうが僧帽弁(左)より心尖側に付く(弁のずれ=オフセット)
調節帯(moderator band)右心室にだけある筋の束
肺静脈の流入左心房に流入する
  • 1右心室は壁が薄く、内腔に調節帯という筋の束が見えます。
  • 2左心室厚い壁をもつ心室であることが決め手です。四腔断面では画面の右下(患者の左側)に位置します。
  • 3左心房は心室より頭側(画面では下方寄り)にあり、肺静脈が流入します。
  • 4大動脈は四腔断面には基本的に写りません(写すなら五腔断面)。
  • 5肺動脈も四腔断面では描出されません。
  • 心エコーの断面は、傍胸骨左縁(長軸・短軸)と心尖部(四腔・二腔) が基本セットです。四腔断面は左室駆出率の評価や壁運動異常の確認に使われる、最も基本的な断面になります。

問25 ガンマカメラの性能の保守点検基準(JESRA X-0067*C-2017)で 6 月ごとに点検するのはどれか。

  1. 固有均一性
  2. SPECT 均一性
  3. 固有空間分解能
  4. 固有計数率特性
  5. SPECT 回転中心のずれ
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正解:2

ガンマカメラの保守点検は、頻度ごとに項目が決まっています。

頻度主な項目
毎日固有均一性(または面線源均一性)、バックグラウンド計数
毎週〜毎月SPECT 回転中心のずれ、システム空間分解能
6 か月ごとSPECT 均一性
1 年ごと固有空間分解能、固有計数率特性、固有エネルギー分解能
  • 1固有均一性は毎日の点検項目。均一性はカメラの画質に直結するため、最も頻繁に確認します。
  • 2SPECT均一性が6か月ごと。円筒ファントムを使う手間のかかる試験なので、頻度は低めに設定されています。
  • 3固有空間分解能は1年ごと。バーファントムやスリットを使う測定です。
  • 4固有計数率特性も1年ごと。数え落とし特性を調べる試験です。
  • 5SPECT回転中心のずれは1か月ごと。ずれると再構成像にリング状アーチファクトが出るため、比較的高頻度で確認します。
  • 判断の目安は「測定にどれだけ手間がかかるか」と「ずれたときの影響がどれだけ早く出るか」。均一性は毎日、回転中心は毎月、SPECT均一性は半年、素子の基本性能は年1回、という階層で覚えてください。

問26 ジェネレータシステムから娘核種を抽出する操作はどれか。

  1. ミルキング
  2. ラベリング
  3. クエンチング
  4. チューニング
  5. カウンティング
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正解:1

  • 1ミルキング(milking)。牛の乳しぼりになぞらえた呼び名で、カラムに生理食塩水を通して娘核種の ⁹⁹ᵐTc だけを溶出する操作です。
  • 2ラベリング(標識)は、化合物に放射性核種を結合させて放射性医薬品を作る操作。ミルキングで得た ⁹⁹ᵐTc を標識用キットに加えて薬剤を調製します。
  • 3クエンチングは、液体シンチレーション測定で発光が妨げられ、計数効率が落ちる現象。色クエンチングと化学クエンチングがあります。
  • 4チューニングは同調・調整一般を指す語で、核医学の専門用語ではありません。
  • 5カウンティングは計数(測定)そのものです。
  • ジェネレータの操作の流れは「ミルキング → 品質検査(⁹⁹Mo の混入・アルミニウムイオンの確認)→ ラベリング → 投与」。用語がどの段階のものかを意識して覚えてください。

問27 肝胆道シンチグラフィで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ⁹⁹ᵐTc-HMDP を用いる。
  2. 正常例では腸管が描出される。
  3. 新生児黄疸の鑑別診断に用いる。
  4. アシアロ糖蛋白受容体と結合する。
  5. 負荷検査の薬剤としてフロセミドを用いる。
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正解:2・3

  • 肝胆道シンチグラフィで使う薬剤は ⁹⁹ᵐTc-PMT など。肝細胞に取り込まれ、ビリルビンと同じ経路で胆汁中に排泄されます。
  • 1⁹⁹ᵐTc-HMDP はシンチグラフィの薬剤(リン酸化合物)です。
  • 2胆汁は胆管を通って十二指腸へ流れるので、正常なら腸管に集積が描出されます。逆に、時間が経っても腸管が写らなければ胆道の閉塞を疑います。
  • 3新生児黄疸の鑑別(先天性胆道閉鎖症と新生児肝炎の区別)は、この検査の代表的な適応です。胆道閉鎖症では腸管への排泄が見られません。手術のタイミングを逃さないため、早期の診断が重要になります。
  • 4アシアロ糖蛋白受容体に結合するのは ⁹⁹ᵐTc-GSA。こちらは肝の予備能(機能する肝細胞の量) を評価する薬剤で、胆汁には排泄されません。
  • 5フロセミド(利尿薬)を使うのは腎動態シンチグラフィの利尿レノグラムです。肝胆道では、胆囊の収縮を促す脂肪食を負荷に使います。
  • 肝臓の核医学は3種類を区別しておきましょう。⁹⁹ᵐTc-PMT=胆汁排泄(胆道の通過)/⁹⁹ᵐTc-GSA=肝予備能/⁹⁹ᵐTc-フチン酸・スズコロイド=網内系(クッパー細胞)

問28 センチネルリンパ節シンチグラフィを用いる疾患はどれか。

  1. 骨肉腫
  2. 白血病
  3. 悪性黒色腫
  4. 悪性リンパ腫
  5. 多発性骨髄腫
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正解:3

  • センチネルリンパ節とは「腫瘍からのリンパ流が最初にたどり着くリンパ節」のこと。ここに転移がなければ、それより先にも転移はないと判断でき、広範なリンパ節郭清を省略できます。
  • 1骨肉腫は血行性に肺へ転移するのが主体で、リンパ行性転移はまれです。
  • 2白血病は血液の悪性疾患で、原発巣とリンパ流という考え方が当てはまりません。
  • 3悪性黒色腫乳癌と並ぶセンチネルリンパ節生検の二大適応です。皮膚に原発してリンパ行性に広がるため、この考え方がよく当てはまります。
  • 4悪性リンパ腫はリンパ節そのものが原発なので、センチネルという概念が成立しません。
  • 5多発性骨髄腫は骨髄の形質細胞の腫瘍で、リンパ流をたどる病態ではありません。
  • 方法は、⁹⁹ᵐTc-フチン酸などを腫瘍の周囲に皮下注射し、集積したリンパ節をガンマプローブで探して摘出するというもの。色素法を併用すると同定率がさらに上がります。

問29 ¹⁸F-FDG 腫瘍 PET 検査で正しいのはどれか。

  1. アミノ酸代謝を評価する。
  2. 静脈注射後 3 日で撮影する。
  3. 早期胃癌の診断に有用である。
  4. 前処置として下剤を投与する。
  5. 主な排泄経路は腎・尿路系である。
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正解:5

  • 1FDGはグルコース(ブドウ糖)の類似体なので、評価するのは糖代謝です。アミノ酸代謝を見るのは ¹¹C-メチオニンなど、別の薬剤になります。
  • 2撮影は静脈注射の約1時間後。¹⁸F の半減期は110分しかないので、3日も待てば放射能はほぼ完全に消えてしまいます。
  • 3早期胃癌はFDG-PETの苦手分野です。胃壁には生理的集積があり、しかも早期胃癌や印環細胞癌・粘液癌はFDGの集積が乏しいためです。
  • 4前処置は4〜6時間の絶食と血糖値の確認。下剤は使いません。筋肉に集積してしまうので、運動も控えてもらいます。
  • 5FDGは腎で濾過されたあと、ほとんど再吸収されずに尿へ排泄されます。通常のグルコースは尿細管で再吸収されますが、細胞内でリン酸化されたFDGは再吸収されにくいためです。その結果、腎・尿管・膀胱に強い生理的集積が現れます。
  • 生理的集積の部位は必ず押さえましょう。脳(糖代謝が旺盛)・心筋・腎と尿路・肝と脾(軽度)・腸管・咽頭のリンパ組織・褐色脂肪。これらを病変と誤らないことが読影の第一歩です。

問30 心臓核医学の検査で正しいのはどれか。

  1. ⁹⁹ᵐTc-tetrofosmin は虚血評価に用いる。
  2. ⁹⁹ᵐTc-MIBI は急性心筋梗塞巣に集積する。
  3. ²⁰¹TlCl は受動拡散によって心筋に取り込まれる。
  4. ¹²³I-MIBG は心筋の脂肪酸代謝の評価に用いる。
  5. ¹²³I-BMIPP は心筋の交感神経活性の評価に用いる。
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正解:1

心臓核医学の薬剤を、評価する対象ごとに整理します。

薬剤評価するもの
⁹⁹ᵐTc-tetrofosmin・⁹⁹ᵐTc-MIBI・²⁰¹TlCl心筋血流(虚血)
⁹⁹ᵐTc-ピロリン酸急性心筋梗塞巣(陽性描画)
¹²³I-BMIPP心筋の脂肪酸代謝
¹²³I-MIBG心筋の交感神経機能
  • 1⁹⁹ᵐTc-tetrofosmin は心筋血流製剤。負荷時と安静時の集積を比べて虚血の有無を判定します。
  • 2⁹⁹ᵐTc-MIBI も血流製剤なので、梗塞巣は集積の欠損として写ります。梗塞巣に集まる(陽性描画される)のは ⁹⁹ᵐTc-ピロリン酸です。
  • 3²⁰¹Tl はカリウムの類似体として、Na-K ATPase による能動輸送で心筋に取り込まれます。受動拡散ではありません。
  • 4¹²³I-MIBG が評価するのは交感神経機能。心不全の重症度評価やパーキンソン病の診断に使われます。
  • 5¹²³I-BMIPP が評価するのは脂肪酸代謝。4と5の説明が入れ替わっているという、典型的な引っかけです。
  • MIBG=神経、BMIPP=代謝。名前だけでは区別しにくいので、「MIBGのGは交感神経(ノルアドレナリンの類似体)」のように、自分なりの語呂で固定しておくのが確実です。

問31 骨シンチグラフィで正しいのはどれか。

  1. 腸管が描出される。
  2. 骨粗鬆症の診断に有用である。
  3. 小児では骨幹部の集積が高くなる。
  4. ペースメーカは集積欠損像となる。
  5. 放射性医薬品投与後 72 時間以降に撮影する。
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正解:4

  • 1骨に取り込まれなかった薬剤は腎から尿へ排泄されるので、描出されるのは腎と膀胱です。腸管は写りません。
  • 2骨粗鬆症の診断は DXA(二重エネルギーX線吸収測定法) による骨密度測定で行います。骨シンチは骨代謝の亢進を見るもので、骨量の測定はできません。
  • 3小児で集積が高いのは、成長が盛んな骨端線(成長板) です。骨幹部ではありません。左右対称に強く集まるので、病的な集積と誤らないよう注意します。
  • 4ペースメーカのような体表・体内の金属は、骨から出るγ線を遮ってしまうため、その部分だけ集積欠損(コールドスポット) として写ります。ポケットの中の硬貨やベルトのバックルでも同じことが起こるので、撮影前に外してもらいます。
  • 5撮影は投与後2〜6時間(通常は3時間程度)。この時間は、骨への取り込みが十分に進み、かつ軟部組織から薬剤が抜けて(バックグラウンドが下がって)コントラストが最も良くなるタイミングです。
  • 集積の欠損には「金属による遮へい」と「溶骨性病変や血流の途絶による真の欠損」があります。多発性骨髄腫や腎癌の骨転移で見られるコールドスポットは後者なので、両者を区別する視点が必要です。

問32 ガンマカメラの空間分解能について正しいのはどれか。

  1. コリメータの厚さが厚いほど低い。
  2. コリメータの穴径が小さいほど低い。
  3. シンチレータの厚さが厚いほど高い。
  4. 半値幅(FWHM)は百分率(%)で表す。
  5. 被写体−コリメータ間距離が大きいほど低い。
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正解:5

  • ガンマカメラの空間分解能は、コリメータがどれだけ厳しく光子の方向を選別できるかでほぼ決まります。
  • 1コリメータが厚い(穴が長い)ほど、斜めに入る光子を通しにくくなり、分解能は高くなります。ただし通過する光子も減るので、感度は下がります。
  • 2穴径が小さいほど分解能は高くなります。これも感度とのトレードオフです。
  • 3シンチレータが厚いほど、結晶内で光が広がってしまい、分解能は低下します。感度は上がりますが、位置決定精度は落ちます。
  • 4FWHM(半値幅)は距離の単位、すなわち mm で表します。百分率で表すのはエネルギー分解能のほうです。
  • 5距離が離れるほど、コリメータの穴を通れる角度の幅が広がり、分解能は低下します。だから撮影では検出器をできるだけ被写体に近づけるのが鉄則で、近接軌道収集や自動輪郭追従の機能が備わっています。
  • 分解能と感度は常にトレードオフです。高分解能型(LEHR)=穴が細く長い/高感度型(LEHS)=穴が太く短い。目的に応じて選び分けます。

問33 核医学の画像処理と目的の組合せで正しいのはどれか。

  1. Butterworth〈バターワース〉フィルタ ── 減弱補正
  2. Chang〈チャン〉法 ── 画像再構成
  3. OS-EM 法 ── 画像再構成
  4. Triple energy window 法 ── 減弱補正
  5. Wiener〈ウィナー〉フィルタ ── 散乱線補正
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正解:3

手法本来の目的
Butterworth フィルタ平滑化(再構成の前処理でノイズを抑える)
Chang 法減弱補正(体輪郭から一様な減弱係数で補正)
OS-EM 法画像再構成(逐次近似法)
Triple energy window 法散乱線補正(主ピークの両脇の窓から散乱成分を推定)
Wiener フィルタ画像復元(分解能の劣化を回復させる)
  • 1Butterworthフィルタは平滑化(低域通過)フィルタ。減弱補正とは無関係です。
  • 2Chang法は減弱補正の手法。「画像再構成」との組合せは誤りです。
  • 3OS-EM法(Ordered Subset Expectation Maximization)は逐次近似型の画像再構成法。投影データをサブセットに分けて更新を繰り返すことで、EM法を大幅に高速化した手法です。現在のSPECT・PETの標準的な再構成法になっています。
  • 4Triple energy window 法は散乱線補正です。
  • 5Wienerフィルタは画像復元(分解能補正) に使うもので、散乱線補正ではありません。
  • SPECTの画質を決める3つの補正は「減弱補正・散乱線補正・分解能補正」。それぞれ代表的な手法名を1つずつ言えるようにしておくと、この形式の問題は確実に取れます。

問34 腎臓の核医学検査で正しいのはどれか。

  1. ⁹⁹ᵐTc-DMSA を用いる検査では利尿剤による負荷をかける。
  2. ⁹⁹ᵐTc-DTPA を用いる検査では腎血漿流量を算出する。
  3. ⁹⁹ᵐTc-DTPA を用いる検査では前処置として食事制限を行う。
  4. ⁹⁹ᵐTc-MAG3 を用いる検査では前処置として水分摂取制限を行う。
  5. ⁹⁹ᵐTc-MAG3 を用いる検査では排泄の指標として Tmax を算出する。
解答・解説を見る

正解:5

腎の核医学で使う3つの薬剤を整理します。

薬剤検査の種類求まる指標
⁹⁹ᵐTc-DMSA静態(腎皮質)シンチ腎皮質の形態・分腎機能
⁹⁹ᵐTc-DTPA動態(レノグラム)GFR(糸球体濾過量)
⁹⁹ᵐTc-MAG3動態(レノグラム)ERPF(有効腎血漿流量)
  • 1DMSAは腎皮質に結合させて形態を見る静態検査。利尿剤負荷は行いません。利尿剤(フロセミド)を使うのは、水腎症が真の閉塞によるものかを見分ける利尿レノグラムのときです。
  • 2DTPAは糸球体で濾過されるので、求まるのは GFR。腎血漿流量(ERPF)を求めるのは尿細管から分泌される MAG3 です。
  • 3動態検査の前処置は食事制限ではなく、十分な水分摂取(水負荷)。脱水があると尿の流れが悪くなり、排泄相の評価ができなくなります。
  • 4MAG3でも同じく水分は制限せず、むしろ摂ってもらいます
  • 5レノグラム曲線から求める代表的な指標が Tmax(ピークに達するまでの時間)と T1/2(ピークから半分に減るまでの時間)。どちらも腎からの排泄の良し悪しを表します。
  • レノグラム曲線は「血管相 → 分泌(集積)相 → 排泄相」の3相からなります。閉塞があると排泄相が下がらず、右肩上がりのまま高原状になるのが典型像です。

問35 放射線感受性が最も高いのはどれか。

  1. 乳癌
  2. 前立腺癌
  3. 悪性黒色腫
  4. 扁平上皮癌
  5. 悪性リンパ腫
解答・解説を見る

正解:5

腫瘍の放射線感受性は、おおよそ次の順になります。

感受性代表的な腫瘍根治に必要な線量の目安
高い悪性リンパ腫・精上皮腫(セミノーマ)・白血病20〜40 Gy
中等度扁平上皮癌・乳癌・前立腺癌50〜70 Gy
低い悪性黒色腫・骨肉腫・腎細胞癌・膠芽腫70 Gy でも制御困難
  • 1乳癌は中等度。術後照射で50 Gy前後を用います。
  • 2前立腺癌も中等度で、根治には70 Gy以上が必要です。
  • 3悪性黒色腫は代表的な放射線抵抗性腫瘍。α/β比が小さく修復能が高いため、1回線量を大きくする照射法が検討されます。
  • 4扁平上皮癌は中等度。頭頸部癌や子宮頸癌で60〜70 Gyを用います。
  • 5悪性リンパ腫は最も感受性が高い部類。細胞分裂が盛んで未分化な細胞が主体だからです(ベルゴニー・トリボンドーの法則)。20〜40 Gy程度の比較的低い線量で制御できます。
  • 判断の基準はベルゴニー・トリボンドーの法則分裂が盛ん・将来の分裂回数が多い・未分化な細胞ほど感受性が高い、という3条件で説明できます。

問36 限局性脳腫瘍の放射線治療で全脊髄照射を必要とするのはどれか。

  1. 髄芽腫
  2. 髄膜腫
  3. 膠芽腫
  4. 下垂体腺腫
  5. 聴神経鞘腫
解答・解説を見る

正解:1

  • 全脳全脊髄照射(CSI)が必要になるのは、髄液を通じて腫瘍細胞が播種する(種をまくように広がる)腫瘍です。
  • 1髄芽腫。小児の後頭蓋窩に生じる悪性腫瘍で、髄液播種の頻度が高いため、原発巣の局所照射に加えて全脳全脊髄照射を行うのが標準です。胚細胞腫瘍や上衣腫の一部も同じ扱いになります。
  • 2髄膜腫は基本的に良性で局所にとどまり、播種しません。
  • 3膠芽腫は極めて悪性ですが、脳実質内を浸潤性に広がるのが特徴で、髄液播種は主な進展様式ではありません。照射は腫瘍とその周囲マージンに限ります。
  • 4下垂体腺腫は良性で局所にとどまります。
  • 5聴神経鞘腫も良性。定位放射線治療(ガンマナイフなど)の代表的な適応です。
  • 判断の軸は「髄液の流れに乗って散らばるか」の一点。髄芽腫・胚細胞腫瘍・上衣腫・悪性リンパ腫の一部など、髄液播種を起こす腫瘍だけがCSIの対象になります。

問37 子宮頸癌術後照射の急性期有害事象はどれか。

  1. 腸閉塞
  2. 下肢浮腫
  3. 直腸出血
  4. 膀胱出血
  5. 白血球減少
解答・解説を見る

正解:5

  • 急性期(照射中〜3か月以内)と晩期(3か月以降)の区別は、細胞の入れ替わりが速い組織か遅い組織かで決まります。
時期起こること骨盤照射での例
急性期分裂の速い細胞(骨髄・粘膜・皮膚)が枯れる白血球減少・下痢・頻尿・皮膚炎
晩期血管や結合組織が線維化・狭窄する腸閉塞・下肢浮腫・直腸出血・膀胱出血
  • 1腸閉塞は腸管の癒着や線維化による晩期有害事象です。
  • 2下肢浮腫はリンパ管の障害によるもので、晩期(しかも郭清との合併で起こりやすい)。
  • 3直腸出血は粘膜の毛細血管拡張による晩期有害事象。照射後1年以上たって出ることもあります。
  • 4膀胱出血(出血性膀胱炎)も同様に晩期です。
  • 5白血球減少。骨盤には腸骨・仙骨など造血能をもつ骨髄が多く含まれるので、照射中に血球が減ります。分裂の速い細胞が真っ先に影響を受ける、典型的な急性期反応です。
  • 判別のコツは「血液・粘膜・皮膚の症状なら急性期/出血・狭窄・線維化・浮腫なら晩期」。この対応で、部位が変わっても同じ判断ができます。

問38 前立腺癌の予後因子でないのはどれか。

  1. PSA 値
  2. 腫瘍の大きさ
  3. 前立腺の体積
  4. リンパ節転移
  5. Gleason〈グリソン〉スコア
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正解:3

  • 前立腺癌のリスク分類(低・中・高リスク)は、PSA値・Gleasonスコア・T分類(病期) の3つで決まります。
  • 1✗(予後因子である)PSA値はリスク分類の3本柱の一つ。10 ng/mL 未満・10〜20・20超で区切ります。
  • 2✗(予後因子である)腫瘍の大きさや広がり(T分類)も3本柱の一つです。
  • 3○(予後因子でない)前立腺の体積は、癌の悪性度とは無関係です。前立腺肥大症でも大きくなるので、大きいこと自体が悪いわけではありません。ただし、放射線治療の計画(照射体積)や小線源治療の適否には影響する数値なので、測定自体には意味があります。
  • 4✗(予後因子である)リンパ節転移があれば病期が上がり、予後は明らかに悪化します。
  • 5✗(予後因子である)Gleasonスコアは組織の分化度を数値化したもので、最も重要な予後因子の一つです。
  • 「治療方針を決めるのに測る数値」と「予後を左右する因子」は必ずしも一致しません。前立腺体積は前者であって後者ではない、という区別がこの問題の要点です。

問39 根治照射と緩和照射について正しいのはどれか。

  1. オリゴ転移は根治照射の適応となる。
  2. 根治照射は緩和照射と比較して総線量が小さい。
  3. 根治照射は緩和照射と比較して 1 回線量が大きい。
  4. 緩和照射では照射する腫瘍の縮小を目的としない。
  5. 緩和照射では急性期合併症よりも晩期合併症の軽減に努める。
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正解:1

根治照射緩和照射
目的腫瘍の制御・治癒症状の緩和(疼痛・出血・圧迫)
総線量多い(60〜70 Gy)少ない(8〜30 Gy)
1 回線量小さい(1.8〜2 Gy)大きい(3〜8 Gy)
期間6〜7 週1 回〜2 週
重視する副作用晩期(長く生きるため)急性期(治療中の負担を避ける)
  • 1オリゴ転移とは、転移が数個(おおむね5個以内)に限られた状態のこと。すべての病巣を叩けば長期生存が期待できるため、定位放射線治療などで根治を目指す対象になります。近年注目されている考え方です。
  • 2逆で、根治照射のほうが総線量は多い
  • 3これも逆。根治照射は正常組織を守るため1回線量を小さく(1.8〜2 Gy)して回数を多くします。緩和照射は短期間で終わらせるため1回線量を大きくします。
  • 4緩和照射でも腫瘍を縮小させて症状を取ることを目指します。縮小しなければ圧迫も出血も改善しません。
  • 5緩和照射では急性期合併症の軽減を優先します。予後が限られている患者に、治療中のつらい副作用を負わせるのは本末転倒だからです。晩期合併症を気にするのは、長期生存が期待できる根治照射のほうです。
  • 全体を貫く考え方は「残された時間の長さに合わせて、何を守るかを変える」。この視点で見ると、5つの選択肢すべての正誤が一本の理屈で説明できます。

問40 密封小線源治療で正しいのはどれか。

  1. ¹⁹²Ir の半減期は約 60 日である。
  2. 子宮頸癌の治療には ¹²⁵I を用いる。
  3. 子宮頸癌 RALS 治療は 1 回照射で行う。
  4. ¹²⁵I を用いた前立腺癌の治療は永久挿入によって行う。
  5. 子宮頸癌 RALS 治療での線源停留範囲はタンデムよりオボイドの方が長い。
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正解:4

  • 1¹⁹²Ir の半減期は 約74日。60日ではありません。半減期が短いので、RALSの線源は3か月程度ごとに交換します。
  • 2子宮頸癌のRALSに使うのは ¹⁹²Ir。¹²⁵I は前立腺癌の永久挿入用シードです。
  • 3子宮頸癌のRALSは通常3〜4回に分割して行います。1回あたり6 Gy 前後(A点線量)を、外部照射と組み合わせて実施します。
  • 4¹²⁵I シードによる前立腺癌治療は永久挿入。半減期が約60日と短く、光子エネルギーも27〜35 keV と低いため、体内に残しても周囲への影響が小さく済みます。
  • 5逆です。タンデムは子宮腔内に深く挿入する長い管なので、線源が停留する範囲はタンデムのほうが長い。オボイドは腟円蓋に置く一対の小さな器具で、停留範囲は短くなります。
  • 器具の名前と役割はセットで覚えます。タンデム=子宮腔内の細長い管/オボイド(コルポスタット)=腟円蓋に置く卵形の器具。この2つで、子宮体部から頸部・腟までを覆う線量分布を作ります。

問41 熱可塑性樹脂の固定具(シェル)で正しいのはどれか。

  1. 40 ℃程度で軟化する。
  2. 体位の再現性を高める。
  3. 患者に圧迫感を与えない。
  4. 皮膚線量の低減に有効である。
  5. 閉所恐怖症の患者に有効である。
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正解:2

  • 1軟化する温度は 65〜75 ℃程度の温水中です。40 ℃では柔らかくなりません(逆に体温程度で変形してしまっては固定具になりません)。
  • 2毎回同じ体位を再現することがシェルの目的そのもの。分割照射では何十回も同じ姿勢を取る必要があるので、これがなければ精度は保てません。
  • 3顔全体を覆って固定するため、圧迫感は避けられません。事前の説明が欠かせない部分です。
  • 4逆に皮膚線量は増加します。シェルの樹脂がボーラスとして働き、本来は皮膚表面より深いところにあるビルドアップ領域の高線量域が、皮膚に近づいてしまうためです。皮膚炎が問題になる場合は、シェルに穴を開けるなどの工夫をします。
  • 5顔を覆われるため、閉所恐怖症の患者にはむしろ強い苦痛になります。開口部の大きいタイプを選ぶ、事前に練習する、といった配慮が必要です。
  • シェルは「精度は上がるが、患者の負担と皮膚線量は増える」という トレードオフの上に成り立っています。IMRTのように高い精度が要る治療ほど、この負担を受け入れる価値が出てきます。

問42 放射線治療装置の受入試験で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. メーカーのみで実施する。
  2. 計算値を実測値で検証する。
  3. コミッショニング後に実施する。
  4. 仕様書を満たすことを確認する。
  5. 定期的品質管理の基本データを得る。
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正解:4・5

装置が使えるようになるまでの流れは、次の順です。

段階内容
① 受入試験(アクセプタンステスト)メーカーとユーザーが立ち会い、仕様書どおりの性能かを確認する。ここで合格して初めて装置を引き渡す
② コミッショニング実際の患者に使うためのビームデータを測定し、治療計画装置に登録して計算値と実測値を照合する
③ 日常・定期の品質管理受入試験のデータを基準値として、ずれていないかを継続的に確認する
  • 1ユーザー(医学物理士・技師)が立ち会って実施します。メーカー任せでは、引き渡しを受ける側の責任を果たせません。
  • 2計算値と実測値の照合はコミッショニングの作業です。受入試験の段階では、まだ治療計画装置にデータが入っていません。
  • 3順序が逆。受入試験が先で、コミッショニングが後です。
  • 4仕様書(契約で定めた性能)を満たしているかの確認が、受入試験の目的そのものです。
  • 5このとき得た測定値が、その後の定期的品質管理で比較する基準(ベースライン) になります。
  • 押さえるべきは順序と主語です。受入試験=仕様の確認(メーカーとユーザー)→ コミッショニング=臨床使用の準備(ユーザー)→ QA=維持(ユーザー)

問43 皮膚表面から最大深が 20 mm ある標的の治療を電子線を用いて行う。適切な深部量百分率曲線とボーラスの組合せはどれか。ただし、治療有効深は 80 % とする。

問43の図(出典:厚生労働省)
  1. A ── ボーラス無し
  2. B ── ボーラス無し
  3. B ── 10 mm ボーラス
  4. C ── ボーラス無し
  5. C ── 10 mm ボーラス
解答・解説を見る

正解:5

満たすべき条件は2つあります。標的は皮膚表面から深さ20 mm までなので、

  1. 深さ20 mm で 80 % 以上あること(深いほうの端を覆う)
  2. 皮膚表面でも 80 % 以上あること(浅いほうの端=表面を覆う)

図から各曲線の 80 % 深(治療有効深)を読み取ると、おおよそ A:約11 mm/B:約20 mm/C:約30 mm です。

  • 1A はボーラス無しでも80 %深が約11 mmしかなく、標的の深部(20 mm)に届きません。
  • 2B は80 %深がちょうど20 mm 付近ですが、表面線量が約78 %しかなく、標的の浅い部分が80 %を下回ってしまいます。
  • 3B に10 mm のボーラスを置くと曲線全体が10 mm 手前にずれ、80 %深が約10 mm になってしまい、深部が覆えません。
  • 4C はボーラス無しだと深いほうは足りますが、表面線量が約70 %と低く、浅い部分が線量不足になります。
  • 5C に 10 mm のボーラスを置くと、曲線が10 mm 手前へシフトします。その結果、皮膚表面には C の10 mm 地点の線量(約90 %)が当たり、深さ20 mm には C の30 mm 地点の線量(約80 %)が当たる。標的の全域が80 %以上でカバーされます。
  • 電子線治療のボーラスは「線量分布を手前にずらして、表面付近の線量を持ち上げる」ための道具です。標的が皮膚表面まで及ぶ場合には、ほぼ必須になります。エネルギー選択だけでなく、表面線量の確認も忘れないでください。

問44 陽子線治療の主加速器として用いられるのはどれか。2つ選べ。

  1. リニアック
  2. サイクロトロン
  3. シンクロトロン
  4. マイクロトロン
  5. Cockcroft-Walton〈コッククロフト・ウォルトン〉形加速器
解答・解説を見る

正解:2・3

陽子線治療には、体内で十分な飛程を得るために 200〜250 MeV という高いエネルギーが必要です。これを出せる加速器は限られます。

加速器陽子線治療での位置づけ
サイクロトロン主加速器。連続ビーム・一定エネルギーで、深さは吸収体(レンジシフタ)で調整する
シンクロトロン主加速器。エネルギーを可変にでき、必要な深さに直接合わせられる
リニアック電子加速に用いる。医療用の陽子加速では主加速器として一般的でない
マイクロトロン電子加速器。陽子には使わない
Cockcroft-Walton 形前段の入射器(数百 keV〜数 MeV)。単独では治療に必要なエネルギーに全く届かない
  • 1リニアックは電子を加速して高エネルギーX線を作る装置。陽子線治療施設の主加速器としては一般的ではありません。
  • 2サイクロトロン。一定の磁場と高周波で渦を描かせながら加速します。装置が比較的小型で、ビームが連続的に出せるのが利点です。
  • 3シンクロトロン。加速に合わせて磁場と周波数を変えていく方式で、取り出すエネルギーを自在に変えられるのが最大の利点。炭素イオン線治療でも用いられます。
  • 4マイクロトロンは電子加速器の一種です。
  • 5コッククロフト・ウォルトン形は直流高電圧型で、イオン源から主加速器へ送る前段の役割にとどまります。
  • 両者の使い分けも問われます。サイクロトロン=一定エネルギー・連続ビーム・小型/シンクロトロン=可変エネルギー・パルスビーム・大型。スキャニング照射との相性など、それぞれに長所があります。

問45 論理演算表を図に示す。論理回路で正しいのはどれか。

問45の論理演算表(出典:厚生労働省)
  1. NAND
  2. NOR
  3. 否定
  4. 論理積
  5. 論理和
解答・解説を見る

正解:1

表の内容は次のとおりです。

入力 A入力 B出力
001
011
101
110

両方が1のときだけ0という、この形が判別の決め手です。

  • 1NAND(否定論理積)。論理積(AND)の出力を反転させたもの。AND は「両方1のときだけ1」なので、その否定は「両方1のときだけ0」になります。表と完全に一致します。
  • 2NOR(否定論理和)は「両方が0のときだけ1」。この表とは逆のパターンです。
  • 3否定(NOT)は入力が1つの回路。入力が2つある時点で該当しません。
  • 4論理積(AND)は「両方1のときだけ1」。出力がすべて反転しています。
  • 5論理和(OR)は「どちらかが1なら1」。0 0 のときの出力は0のはずです。
  • 見分ける手順を固定しましょう。まず「1 1」の行を見る。ここが0ならNANDかNOR、1ならANDかOR。次に「0 0」の行を見て確定させます。NANDとNORは、あらゆる論理回路をこれ1種類だけで構成できる「完全系」であることも重要な性質です。

問46 医用画像について正しいのはどれか。

  1. 標本化は画像の空間分解能に影響しない。
  2. 8 bit で量子化された画像の階調数は 1,024 である。
  3. CAD とはコンピュータによる自動確定診断システムである。
  4. DICOM 画像はオブジェクト指向モデルに基づいて情報が定義されている。
  5. 画素間隔 0.1 mm で標本化された画像のナイキスト周波数は 2 cycles/mm である。
解答・解説を見る

正解:4

  • 1標本化(サンプリング)の間隔がそのまま画素サイズになるので、空間分解能を直接決めます。粗く標本化すれば細かい構造は表現できません。
  • 228=2562^8 = 256 階調です。1,024階調になるのは 10 bit210=10242^{10}=1024)。
  • 3CAD は Computer-Aided Diagnosis(コンピュータ支援診断)。あくまで医師の診断を支援するもので、確定診断を下すシステムではありません。最終的な診断責任は医師にあります。
  • 4DICOM は、患者・検査・シリーズ・画像といった実体を情報オブジェクト(IOD) として定義し、それに対する操作をサービス(DIMSE)として定める、オブジェクト指向のモデルを採用しています。
  • 5画素間隔 0.1 mm なら、標本化周波数は
fs=10.1 mm=10 cycles/mmf_s=\frac{1}{0.1\ \mathrm{mm}}=10\ \mathrm{cycles/mm}

ナイキスト周波数はその半分なので

fN=fs2=5 cycles/mmf_N=\frac{f_s}{2}=5\ \mathrm{cycles/mm}

2 cycles/mm ではありません。

  • ナイキスト周波数を超える成分が入ると折り返し(エイリアシング) が起こり、実際にはない模様(モアレ)が現れます。標本化間隔とナイキスト周波数の関係は、fN=1/(2Δ)f_N = 1/(2\Delta) の形で覚えておくと即答できます。

問47 診療録等の電子保存の 3 原則の組合せで正しいのはどれか。

  1. 見読性 ── 効率性 ── 認証性
  2. 見読性 ── 真正性 ── 認証性
  3. 見読性 ── 真正性 ── 保存性
  4. 効率性 ── 認証性 ── 保存性
  5. 効率性 ── 真正性 ── 保存性
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正解:3

電子保存の3原則は、真正性・見読性・保存性です。

原則意味具体的な担保のしかた
真正性記録が正しく、誰が作ったか分かり、後から勝手に書き換えられない電子署名・更新履歴の保存・アクセス権限の管理
見読性必要なときにすぐに読める形で出せる画面表示・印刷ができる、システム障害時のバックアップ
保存性定められた期間(診療録は5年)、復元可能な状態で保たれる媒体の劣化対策・定期的なバックアップ・移行計画
  • 1効率性・認証性は3原則に含まれません。
  • 2認証性は3原則の名称ではありません(認証は真正性を担保する手段の一つです)。
  • 3見読性・真正性・保存性。これが正しい組合せです。
  • 4効率性・認証性が含まれており誤りです。
  • 5効率性は3原則ではありません。
  • 3原則は、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に定められています。真正性=改ざんされていない/見読性=すぐ読める/保存性=消えない、と一言ずつで覚えるのが確実です。

問48 マトリクスサイズ 2,048 × 2,048 で 1,024 階調の RAW の画像ファイル容量〈MB〉はどれか。ただし、ヘッダ情報は含まないものとする。

  1. 4
  2. 8
  3. 20
  4. 40
  5. 60
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正解:2

① 画素数を求める

2048×2048=211×211=222=4,194,304 画素2048\times 2048 = 2^{11}\times 2^{11}=2^{22}=4{,}194{,}304\ \text{画素}

② 1画素あたりのデータ量を求める

1,024階調は 2102^{10} なので 10 bit 必要です。ただし実際のRAWデータはバイト単位で格納されるため、10 bitでも 2バイト(16 bit) を使います。

③ 掛け合わせる

4,194,304×2 byte=8,388,608 byte=223 byte=8 MB4{,}194{,}304 \times 2\ \mathrm{byte} = 8{,}388{,}608\ \mathrm{byte}=2^{23}\ \mathrm{byte}=8\ \mathrm{MB}
  • 14 MB は1画素を1バイト(256階調)としたときの値です。
  • 28 MB
  • 320 MB は根拠のない値です。
  • 440 MB も一致しません。
  • 560 MB も同様です。
  • 覚えておくと速い関係が2つあります。2048 × 2048 の画素数は約400万=4 M、そして 2バイト/画素なら容量は「画素数の2倍」。この2つで、4 M×2=8 MB4\ \mathrm{M}\times 2 = 8\ \mathrm{MB} と暗算できます。

問49 放射線情報システムの機能に含まれないのはどれか。

  1. 照射録の作成
  2. 検査の予約管理
  3. 患者基本情報の登録
  4. 検査の実施情報入力
  5. モダリティとの情報連携
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正解:3

病院の情報システムは、役割で分かれています。

システム担当する情報
HIS(病院情報システム)患者基本情報の登録・オーダ発行・会計・電子カルテ
RIS(放射線情報システム)放射線部門内の予約・受付・実施入力・照射録・モダリティ連携
PACS画像の保管・表示・配信
  • 1✗(RISの機能)照射録は診療放射線技師法で作成が義務づけられた記録。RISで作成・保管します。
  • 2✗(RISの機能)装置ごとの予約枠の管理はRISの中心的な機能です。
  • 3○(RISの機能ではない)患者の氏名・生年月日・ID といった基本情報を登録するのは HIS。RISはその情報を受け取って使う側です。RISで患者を新規登録できてしまうと、病院全体で患者IDの整合が取れなくなります。
  • 4✗(RISの機能)誰が・いつ・どの条件で撮影したかの実施入力はRISで行います。
  • 5✗(RISの機能)DICOM の Modality Worklist(MWM)で撮影装置に検査情報を送り、MPPS で実施状況を受け取る、という連携もRISの役割です。
  • 情報の流れは「HIS(オーダ)→ RIS(予約・受付・撮影指示)→ モダリティ(撮影)→ PACS(保管)→ HIS・ビューア(参照)」。この一本の線を描けるようにしておけば、どの機能がどこに属するか迷いません。

問50 左乳房の区分(別冊No.8)を別に示す。C 区域を示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.8 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

解答・解説を見る

正解:2

乳房は、乳頭を中心に縦横の線で4つに分け、さらに乳輪部を加えた5区域で表します。

区域場所
A内側上部(内上)
B内側下部(内下)
C外側上部(外上)
D外側下部(外下)
E乳輪部(乳頭の周囲)
  • 1アは C 区域の位置ではありません。
  • 2C 区域=外側上部。左乳房を正面から見た図では、向かって左側の上半分が外上部にあたります。
  • 3ウは該当しません。
  • 4エも該当しません。
  • 5オも該当しません。
  • 臨床的に最も重要なのは、乳癌の好発部位が C 区域(外側上部) で、全体の約半数を占めるという点です。乳腺組織が最も多く、腋窩に向かって伸びる乳腺(Spence腋窩尾部)があるためで、マンモグラフィやエコーでも特に注意して観察する領域になります。

問51 腹腔内で最も尾側にあるのはどれか。

  1. 横隔下腔
  2. 傍結腸溝
  3. 膀胱上窩
  4. Douglas〈ダグラス〉窩
  5. 肝腎陥凹(Morison〈モリソン〉窩)
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正解:4

腹腔内の陥凹を、頭側から尾側の順に並べます。

部位位置
頭側横隔下腔横隔膜の直下
肝腎陥凹(Morison窩)肝右葉と右腎の間。仰臥位では最も低い位置になる
傍結腸溝上行・下行結腸の外側を縦に走る溝
膀胱上窩膀胱の頭側
尾側Douglas窩(直腸子宮窩・直腸膀胱窩)骨盤腔の最深部
  • 1横隔下腔は最も頭側にあります。
  • 2傍結腸溝は側腹部を縦に走る溝で、腹水が骨盤へ流れ込む通り道になります。
  • 3膀胱上窩はDouglas窩より頭側です。
  • 4Douglas窩が立位・座位で腹腔の最深部。女性では直腸と子宮の間(直腸子宮窩)、男性では直腸と膀胱の間(直腸膀胱窩)にあたります。
  • 5Morison窩は仰臥位で最も低くなる部位。仰臥位のCTやFASTでは、ここに液体が最初に貯まります。
  • 実務での要点は「体位によって最も低い場所が変わる」こと。仰臥位ならMorison窩、立位・座位ならDouglas窩に液体が貯まります。腹腔内出血や腹水の検索では、この2か所を必ず確認します。

問52 細胞内小器官はどれか。

  1. DNA
  2. 腱鞘
  3. 血小板
  4. コラーゲン
  5. ミトコンドリア
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正解:5

  • 細胞内小器官(オルガネラ)とは、細胞の中にあって特定の機能を担う膜で囲まれた構造のことです。
  • 1DNAは核の中にある遺伝情報を担う高分子。物質であって、小器官ではありません。
  • 2腱鞘は腱を包む組織レベルの構造。細胞よりはるかに大きい単位です。
  • 3血小板は細胞(正確には巨核球からちぎれた細胞断片) で、細胞そのもののレベル。細胞の中にある構造ではありません。
  • 4コラーゲンは細胞のに分泌される線維状のタンパク質(細胞外基質)です。
  • 5ミトコンドリア。二重膜に囲まれ、酸素を使ってATPを産生する「細胞の発電所」。独自のDNA(ミトコンドリアDNA)を持ち、母系遺伝することでも知られます。
  • ほかの主な小器官も押さえておきましょう。核(遺伝情報)・小胞体(タンパク質と脂質の合成)・ゴルジ装置(加工と輸送)・リソソーム(分解)・リボソーム(タンパク質合成)。「細胞より小さいか大きいか」で仕分けるだけで、この種の問題は解けます。

問53 内耳孔を通過する神経はどれか。

  1. 嗅神経
  2. 滑車神経
  3. 三叉神経
  4. 顔面神経
  5. 舌咽神経
解答・解説を見る

正解:4

頭蓋底の孔と、そこを通る神経の対応を整理します。

通る神経
篩板嗅神経(Ⅰ)
視神経管視神経(Ⅱ)
上眼窩裂動眼(Ⅲ)・滑車(Ⅳ)・眼神経(Ⅴ₁)・外転(Ⅵ)
正円孔・卵円孔上顎神経(Ⅴ₂)・下顎神経(Ⅴ₃)
内耳孔(内耳道)顔面神経(Ⅶ)・内耳神経(Ⅷ)
頸静脈孔舌咽(Ⅸ)・迷走(Ⅹ)・副神経(Ⅺ)
舌下神経管舌下神経(Ⅻ)
  • 1嗅神経は篩骨の篩板を通ります。
  • 2滑車神経は上眼窩裂を通ります。
  • 3三叉神経は枝ごとに別の孔(上眼窩裂・正円孔・卵円孔)を通ります。
  • 4顔面神経(Ⅶ)は内耳神経(Ⅷ)と一緒に内耳孔から内耳道へ入ります。その後、顔面神経は側頭骨内の顔面神経管を通り、茎乳突孔から出て顔面表情筋へ向かいます。
  • 5舌咽神経は頸静脈孔を通ります。
  • 内耳道は、MRIで聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫) を探す最重要部位です。顔面神経と内耳神経が並走しているため、腫瘍が大きくなると顔面神経麻痺も生じます。

問54 空気感染するのはどれか。

  1. 結核菌
  2. コレラ菌
  3. 黄色ブドウ球菌
  4. C 型肝炎ウイルス
  5. ヒト免疫不全ウイルス
解答・解説を見る

正解:1

感染経路は3つに大別されます。

経路特徴代表的な病原体
空気感染(飛沫核感染)5 μm 未満の飛沫核が空中を長時間漂う。陰圧個室とN95マスクが必要結核菌・麻疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス
飛沫感染5 μm 以上の飛沫が1〜2 m 以内に落下。サージカルマスクで対応インフルエンザ・風疹・百日咳
接触感染直接・間接の接触。手指衛生が要MRSA・ノロウイルス・疥癬
  • 1結核菌。空気感染する代表格で、疑い例は陰圧室に収容し、対応者はN95マスクを着用します。CT室での撮影後は、換気が済むまで次の患者を入れないなどの配慮も必要です。
  • 2コレラ菌は汚染された水・食物による経口感染です。
  • 3黄色ブドウ球菌は接触感染。MRSAの院内感染対策は手指衛生が中心になります。
  • 4C型肝炎ウイルスは血液媒介感染。針刺し事故が主なリスクです。
  • 5HIVも血液・体液を介した感染。日常の接触では感染しません。
  • 空気感染する3つ(結核・麻疹・水痘)は語呂で覚えるのが定番です。この3つだけが陰圧室とN95を要求するので、放射線部門での患者受け入れ手順にも直接関わります。

問55 日本人で脳出血の発生頻度が高い部位はどこか。2つ選べ。

  1. 視床
  2. 小脳
  3. 被殻
  4. 下垂体
解答・解説を見る

正解:2・4

高血圧性脳出血の好発部位と頻度は、おおよそ次のとおりです。

部位頻度の目安責任血管
被殻約40〜50 %中大脳動脈のレンズ核線条体動脈
視床約30 %後大脳動脈の視床穿通動脈
皮質下約10 %
小脳約10 %上小脳動脈
約5〜10 %脳底動脈の傍正中枝
  • 1橋出血は頻度としては低い(5〜10 %程度)。ただし発症すると意識障害と縮瞳をきたし、予後は極めて不良です。
  • 2視床が第2位。感覚障害が前面に出るのが特徴で、脳室穿破を起こしやすい部位でもあります。
  • 3小脳出血も10 %程度。回転性めまいと歩行障害が特徴で、血腫が大きければ脳幹圧迫を防ぐため緊急手術になります。
  • 4被殻が最多。内包に隣接するため、反対側の片麻痺をきたします。
  • 5下垂体は脳出血の好発部位ではありません(下垂体卒中は腫瘍内出血という別の病態です)。
  • 好発部位に共通するのは「太い動脈から直角に分岐する細い穿通枝」であること。血圧の高い動脈から急に細い枝に入るため圧の負担が大きく、微小動脈瘤ができて破れやすくなります。被殻出血の責任血管がレンズ核線条体動脈である理由も、ここにあります。

問56 春に出現するアレルギー性鼻炎について正しいのはどれか。

  1. 嗅覚障害はない。
  2. 薬物治療は効果がない。
  3. 急性増悪することはない。
  4. 吸入抗原としてはハウスダストが最も多い。
  5. 吸入抗原の除去は鼻炎を抑制するのに有効である。
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正解:5

  • 「春に出現する」という条件から、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症) の問題だと分かります。日本ではスギ花粉が代表です。
  • 1鼻粘膜が腫れて嗅裂がふさがれるため、嗅覚障害は起こります
  • 2抗ヒスタミン薬・鼻噴霧用ステロイド・抗ロイコトリエン薬など、薬物治療は有効です。近年は舌下免疫療法という根本治療も普及しています。
  • 3花粉の飛散量が多い日には急激に症状が悪化します。飛散予報が発表されるのは、まさにこのためです。
  • 4ハウスダスト(ダニ)は通年性アレルギー性鼻炎の主な抗原。春に出現するなら花粉(スギ・ヒノキ) が主役です。
  • 5抗原の回避(除去)は治療の基本。マスク・眼鏡の着用、飛散の多い時間帯の外出を避ける、帰宅時に衣類の花粉を払う、といった対策が推奨されます。
  • アレルギー性鼻炎の治療は「抗原回避 → 薬物療法 → 免疫療法(アレルゲン免疫療法)→ 手術」という段階で組み立てられます。どの疾患でも、まず原因の除去が第一という原則は共通です。

問57 頭部外傷について正しいのはどれか。

  1. 急性硬膜外血腫では骨折を伴わない。
  2. 脳内血腫は受傷後 6 時間以降には生じない。
  3. 皮下血腫が形成されていれば骨折は伴っていない。
  4. 受傷部位の反対側に脳内血腫を生じるのはまれである。
  5. 慢性硬膜下血腫は若年者に比べて高齢者に起きやすい。
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正解:5

  • 1急性硬膜外血腫の多くは頭蓋骨骨折を伴います。骨折線が中硬膜動脈を横切って破ることが主な原因です。CTでは凸レンズ形(biconvex)の高吸収域として見え、縫合線を越えないのが特徴です。
  • 2遅発性外傷性脳内血腫といって、受傷から24時間以上たって現れることがあります。だから初回CTで異常がなくても、症状が悪化すれば再検査が必要になります。
  • 3皮下血腫(たんこぶ)の有無と骨折の有無は無関係です。むしろ皮下血腫がある部位は強い外力を受けた場所なので、骨折を積極的に疑うべきです。
  • 4対側損傷(contrecoup injury) は決してまれではありません。脳が頭蓋内で揺さぶられ、衝撃を受けた側の反対側にぶつかって挫傷を起こします。後頭部を打った人の前頭葉・側頭葉に挫傷ができる、というのが典型です。
  • 5慢性硬膜下血腫は高齢者に多い。加齢で脳が萎縮すると、脳表と硬膜をつなぐ架橋静脈が引き伸ばされて切れやすくなり、かつ血腫が貯まるすき間も広いためです。軽微な外傷から1〜2か月後に、認知機能低下・歩行障害・頭痛として現れます。
  • 3つの血腫の鑑別はCT所見で確実に区別できます。硬膜外血腫=凸レンズ形・縫合線を越えない/急性硬膜下血腫=三日月形・縫合線を越える/慢性硬膜下血腫=三日月形で等〜低吸収

問58 乳腺疾患で疼痛を伴う頻度が最も高いのはどれか。

  1. 乳癌
  2. 囊胞
  3. 脂肪腫
  4. 乳腺症
  5. 線維腺腫
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正解:4

  • 1乳癌は無痛性の硬いしこりとして見つかるのが典型。痛みがないからこそ発見が遅れるので、「痛くないから大丈夫」という思い込みが危険とされます。
  • 2単純性の囊胞は通常無症状です。ただし急に大きくなったり感染したりすると痛むことがあります。
  • 3脂肪腫は柔らかい良性腫瘍で、痛みはありません。
  • 4乳腺症。女性ホルモンの周期的な変動に伴う乳腺の変化で、月経前に強くなる乳房の痛み(乳房痛)と張りが特徴です。30〜40代に多く、疾患というより生理的な変化に近いものです。
  • 5線維腺腫は10〜30代に多い良性腫瘍。よく動く弾力のある無痛性のしこりとして触れます。
  • 触診の3点セットで整理を。乳癌=硬い・動かない・無痛/線維腺腫=弾力がある・よく動く・無痛/乳腺症=境界不明瞭な硬結・月経周期で痛みが変動。この対比が問題を解く軸になります。

問59 呼吸器の解剖と機能について正しいのはどれか。

  1. 肺は左右とも 3 葉に分かれる。
  2. 終末細気管支でガス交換を行う。
  3. 気管は全周性に軟骨で覆われている。
  4. 肺組織を栄養する血管は肺動脈である。
  5. 右主気管支は左主気管支に比べて垂直に近い走行をとる。
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正解:5

  • 1右肺は3葉(上・中・下)、左肺は2葉(上・下)。左は心臓に場所を譲るぶん小さく、中葉に相当するのが舌区です。
  • 2ガス交換を行うのは呼吸細気管支から先(肺胞管・肺胞囊・肺胞)。終末細気管支までは空気の通り道(導管部)で、ガス交換には関与しません。
  • 3気管の軟骨は C 字形(馬蹄形) で、背側(食道側)は膜性壁になっています。全周性ではありません。食道が拡張できるようにする、理にかなった構造です。
  • 4肺組織そのものを栄養するのは気管支動脈(大動脈から分岐)。肺動脈はガス交換のために血液を運ぶ「機能血管」で、栄養血管ではありません。
  • 5右主気管支のほうが太く・短く・垂直に近い。そのため誤嚥した異物は右に入りやすく、誤嚥性肺炎も右下葉に好発します。気管挿管でチューブを深く入れすぎると右主気管支に入り、左肺が換気されなくなるのも同じ理由です。
  • 「右は太く短く垂直」は、胸部X線・CTの読影から気管挿管の確認まで、繰り返し使う知識です。臨床的な帰結(右に落ちる)とセットで覚えてください。

問60 肘静脈から注入した造影剤が最初に到達するのはどれか。

  1. 右心室
  2. 左心室
  3. 大動脈
  4. 肺静脈
  5. 肺動脈
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正解:1

肘静脈から注入した造影剤がたどる経路は次のとおりです。

肘静脈鎖骨下静脈上大静脈右心房右心室肺動脈肺静脈左心房左心室大動脈\text{肘静脈}\to\text{鎖骨下静脈}\to\text{上大静脈}\to\textbf{右心房}\to\textbf{右心室}\to\text{肺動脈}\to\text{肺}\to\text{肺静脈}\to\text{左心房}\to\text{左心室}\to\text{大動脈}

選択肢にない右心房を除くと、最初に到達するのは右心室です。

  • 1右心室。選択肢の中で最も早く到達します。
  • 2左心室は肺循環を通り抜けた後。かなり遅れます。
  • 3大動脈は左心室のさらに後で、最後です。
  • 4肺静脈は肺を通った後になります。
  • 5肺動脈は右心室の次。1つ後になります。
  • この経路は、造影CTのタイミング設定に直結します。肺動脈相(肺塞栓の検索)は注入後10〜15秒、胸部大動脈相は20秒前後。血流の順序を頭に入れておくと、撮影タイミングの意味が理解できます。

問61 胃の主細胞から分泌されるのはどれか。

  1. 塩酸
  2. 粘液
  3. 内因子
  4. アミラーゼ
  5. ペプシノゲン
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正解:5

胃腺の細胞と分泌物の対応を整理します。

細胞分泌するものはたらき
主細胞ペプシノゲン塩酸で活性化されてペプシンになり、タンパク質を分解する
壁細胞(傍細胞)塩酸・内因子塩酸は殺菌とペプシノゲンの活性化、内因子はビタミンB₁₂の吸収に必要
副細胞(粘液頸細胞)粘液胃粘膜を自己消化から守る
G細胞ガストリン胃酸分泌を促すホルモン
  • 1塩酸は壁細胞から分泌されます。
  • 2粘液は副細胞から。
  • 3内因子も壁細胞から。胃全摘後に巨赤芽球性貧血が起こるのは、内因子が失われてビタミンB₁₂を吸収できなくなるためです。
  • 4アミラーゼは唾液腺と膵臓から分泌される糖質分解酵素。胃からは出ません。
  • 5ペプシノゲンは主細胞から。不活性型で分泌され、胃内の酸性環境でペプシンに変わります。最初から活性型を出すと、細胞自身が消化されてしまうためです。
  • 血液検査のペプシノゲン法(胃癌のリスク検診)は、主細胞から漏れ出たペプシノゲンI・IIの比を測って萎縮性胃炎の程度を推定するもの。この解剖の知識がそのまま検査の原理につながっています。

問62 卵巣から分泌され、子宮内膜の増殖に最も関係するホルモンはどれか。

  1. インスリン
  2. エストロゲン
  3. サイロキシン
  4. テストステロン
  5. プロゲステロン
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正解:2

月経周期における2つの卵巣ホルモンの役割を整理します。

ホルモン出どころ時期子宮内膜への作用
エストロゲン(卵胞ホルモン)発育する卵胞卵胞期(前半)内膜を増殖させ、厚くする
プロゲステロン(黄体ホルモン)排卵後の黄体黄体期(後半)内膜を分泌期に変えて受精卵の着床に備える
  • 1インスリンは膵臓から分泌される血糖降下ホルモンです。
  • 2エストロゲン。月経が終わったあとの卵胞期に分泌が増え、子宮内膜を増殖させます(増殖期)。
  • 3サイロキシン(T4)は甲状腺ホルモンです。
  • 4テストステロンは主に精巣から分泌される男性ホルモン。卵巣・副腎からもわずかに出ますが、内膜の増殖を担うものではありません。
  • 5プロゲステロンは排卵後に働き、内膜を分泌期に変えます。増殖そのものではありません。
  • MRIで子宮内膜の厚さが月経周期で変わるのも、このホルモン変化によります。エストロゲンが長期に単独で作用し続ける状態(無排卵など)は子宮体癌のリスクになる、という臨床的な帰結も押さえておくとよいでしょう。

問63 病院内で意識消失した人を発見した場合の初期対応として行うべきなのはどれか。2つ選べ。

  1. 応援要請
  2. 状況の記録
  3. 原因の究明
  4. 救命救急処置
  5. 院内の緊急連絡体制の整備
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正解:1・4

一次救命処置(BLS)の流れは決まっています。

行動
周囲の安全確認
反応の確認(肩を叩いて呼びかける)
応援要請(人を呼ぶ・AEDと救急カートを依頼する)
呼吸と脈の確認(10秒以内)
胸骨圧迫の開始、AEDの装着
  • 1応援要請。一人でできることは限られます。人・AED・救急カートを同時に呼ぶことが、その後のすべてを左右します。
  • 2記録は必要な行為ですが、蘇生が落ち着いてから。目の前の命より優先されることはありません。
  • 3原因の究明も後回し。心停止に対しては、原因が分からなくてもまず胸骨圧迫です。
  • 4救命救急処置。反応がなく正常な呼吸がなければ、ただちに胸骨圧迫を開始します。
  • 5緊急連絡体制の整備は平常時にやっておくこと。発見した瞬間にすることではありません。
  • 判断の基準は「その場で、数秒以内にやるべきことか」。記録・原因究明・体制整備はすべて「あとで」または「事前に」やることで、初期対応には含まれません。

問64 ヨード造影剤の総量 100 mL を 2 mL/秒の速度で静脈投与して造影 CT を行った場合に、検査を受けた患者にみられる頻度が最も高いのはどれか。

  1. 嘔吐
  2. 熱感
  3. 腎不全
  4. ショック
  5. じん麻疹
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正解:2

  • 1嘔吐は軽度の副作用に分類され、頻度は数 % 程度。悪心のほうがやや多く見られます。
  • 2熱感(全身が熱くなる感じ)。造影剤の高い浸透圧によって起こる生理的な反応で、ほぼ全例に近い頻度で経験されます。副作用というより「造影剤を入れたときに起こる普通の感覚」に近く、事前に説明しておくことで患者の不安を大きく減らせます。
  • 3造影剤腎症は、腎機能が低下している人などで問題になるもの。健常者での頻度は高くありません。
  • 4ショックなどの重篤な副作用は0.01 % 程度。極めてまれですが、起これば生命に関わるため備えが必要です。
  • 5じん麻疹は軽度〜中等度の副作用で、頻度は1 % 前後です。
  • 副作用は重症度で分けて頻度を覚えます。軽度(熱感・悪心・嘔吐・くしゃみ)=数 %/中等度(じん麻疹・嘔吐の遷延)=1 % 前後/重篤(ショック・呼吸困難・心停止)=0.01 % 程度。熱感を「副作用」と身構えて答えると、この問題を落とします。

問65 LQ モデルを用いて、過分割照射を通常分割照射と比較した。過分割照射の腫瘍効果、早期反応および晩期反応の組合せで正しいのはどれか。

腫瘍効果早期反応晩期反応
1増強軽減増強
2増強増強増強
3増強増強同等
4同等軽減同等
5同等増強増強
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正解:3

過分割照射(hyperfractionation)は、1回線量を小さくして回数を増やし、総線量を上げる方法です(例:1回1.2 Gy を1日2回)。

LQモデルでは、生物学的効果線量(BED)は

BED=nd(1+dα/β)\mathrm{BED}=nd\left(1+\frac{d}{\alpha/\beta}\right)

で表されます。1回線量 dd を小さくすると d/(α/β)d/(\alpha/\beta) の項が小さくなり、この効果は α/β\alpha/\beta が小さい組織ほど大きく現れます

組織α/β の目安1回線量を下げたときの影響
晩期反応組織(脊髄・皮下組織など)約3 Gy(小さい)BEDが大きく下がる = 守られる
早期反応組織(粘膜・骨髄など)約10 Gy(大きい)影響は小さい
多くの腫瘍約10 Gy(大きい)影響は小さい

つまり、1回線量を下げたぶん総線量を増やせば、晩期障害を増やさずに腫瘍と早期反応の線量だけを上げられる。これが過分割照射の狙いです。

  • 1晩期反応が「増強」になっており、過分割の目的と正反対です。
  • 2これも晩期反応が増強となっており誤りです。
  • 3腫瘍効果は増強・早期反応は増強・晩期反応は同等。総線量を上げるので粘膜炎などの急性反応は強く出ますが、それと引き換えに腫瘍制御を高め、晩期障害は据え置く、という設計です。
  • 4腫瘍効果が「同等」では、過分割にする意味がありません。
  • 5腫瘍効果が同等で晩期反応だけ増強という、最も避けたい組合せです。
  • 対になる考え方も押さえましょう。寡分割照射(1回線量を上げる)は、α/β の小さい腫瘍(前立腺癌・乳癌)で有利。α/βの大小で有利不利がひっくり返る、という一本の理屈で両方説明できます。

問66 放射線感受性が最も高いのはどれか。

  1. 角膜
  2. 結膜
  3. 網膜
  4. 視神経
  5. 水晶体
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正解:5

  • 1角膜は分裂能をもつ上皮を含みますが、水晶体ほど感受性は高くありません。
  • 2結膜も同様です。
  • 3網膜の視細胞は分裂しない終末分化細胞で、放射線感受性は低い部類です。
  • 4視神経も神経組織なので感受性は低く、障害は数十 Gy を超える線量で問題になります。
  • 5水晶体。眼の中で最も放射線感受性が高い組織です。水晶体は赤道部の上皮細胞が分裂して線維細胞になり、内側へ押し込まれていくという構造をとります。ここで傷ついた細胞は外へ排出されず、水晶体後極部に蓄積して混濁(放射線白内障) を起こします。
  • 防護の観点でも重要です。ICRPは2011年の声明で、水晶体の等価線量限度を年150 mSv から「5年平均で年20 mSv、いずれの年も50 mSv を超えない」へ大幅に引き下げました。日本でも2021年4月から施行されています。IVRに従事する医師・技師の防護眼鏡が必須になった背景が、まさにこれです。

問67 ヒトが全身被ばくした際の線量と急性死の主因となる器官との組合せで正しいのはどれか。

  1. 5 Gy ── 中枢神経
  2. 15 Gy ── 中枢神経
  3. 15 Gy ── 腸管
  4. 100 Gy ── 腸管
  5. 100 Gy ── 骨髄
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正解:3

全身被ばくによる急性死は、線量に応じて3つの型に分かれます。

線量域障害の型主因となる器官死亡までの期間
1〜10 Gy骨髄死(造血器death)骨髄30〜60 日
10〜50 Gy腸death(腸管死)腸管(小腸粘膜)10〜20 日
50 Gy 以上中枢神経death中枢神経1〜5 日
  • 15 Gy で主因となるのは骨髄。中枢神経ではありません。半致死線量(LD50/60)が3〜4 Gy 程度とされるのも、この骨髄死の領域です。
  • 215 Gy では中枢神経より先に腸管が破綻します。
  • 315 Gy ── 腸管。腸管の陰窩細胞が枯れて絨毛が脱落し、下痢・脱水・感染で1〜2週間のうちに死亡します。
  • 4100 Gy では、腸管が破綻する前に中枢神経の障害で数日以内に死亡します。
  • 5100 Gy で骨髄死というのは、線量域が2桁ずれています。
  • 覚え方は「線量が上がるほど、死ぬまでの時間が短くなり、原因の臓器も入れ替わる」。1桁 Gy=骨髄(1〜2か月)、10 Gy台=腸管(1〜2週)、50 Gy 超=中枢神経(数日)、と3段階で押さえてください。

問68 温熱療法について正しいのはどれか。

  1. 低酸素細胞には効果が低い。
  2. 細胞周期の S〜G2 期で感受性が高い。
  3. 放射線と併用する場合は、連日施行する。
  4. 殺細胞効果は 38〜40 ℃の範囲で最も高い。
  5. 熱ショック〈heat shock〉タンパク質が抗腫瘍効果を示す。
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正解:2

  • 温熱療法(ハイパーサーミア)は、放射線が効きにくい条件の細胞にこそ効くという点で、放射線治療とよく補い合います。
  • 1逆です。低酸素・低pH・低栄養の環境にある細胞ほど熱に弱い。腫瘍の中心部はまさにこの環境なので、放射線が効きにくい部分を熱が担当する、という関係になります。
  • 2S期は放射線には最も抵抗性ですが、熱には最も感受性が高い。放射線が苦手とする細胞周期を熱が補う、という相補性がここにも現れています。
  • 3連日は行いません。週1〜2回が標準です。一度加温すると細胞が熱に強くなる熱耐性(thermotolerance) が生じ、それが消えるまでに2〜3日かかるためです。
  • 4治療に用いる温度は 42.5〜43 ℃以上。38〜40 ℃では発熱程度の温度で、殺細胞効果はほとんど期待できません。
  • 5熱ショックタンパク質(HSP)は、細胞が熱から自分を守るために作るタンパク質。熱耐性の原因であって、抗腫瘍効果を示すものではありません(免疫を介した効果を指摘する報告はありますが、この文脈では誤りです)。
  • 温熱療法と放射線の相補性を整理すると、放射線が苦手=低酸素・低pH・S期/熱が得意=低酸素・低pH・S期。だから併用すると効果が上乗せされます。この対応関係が、この分野の中心的な考え方です。

問69 胎内被ばくが直接の発症原因となり得る疾患で正しいのはどれか。

  1. 血友病
  2. 白血病
  3. 巨大結腸症
  4. 新生児黄疸
  5. Down〈ダウン〉症候群
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正解:2

  • 1血友病はX染色体上の遺伝子の異常による遺伝性疾患。親から受け継ぐもので、胎内被ばくが原因になるものではありません。
  • 2白血病。胎内被ばくによる発がん(確率的影響) として、小児白血病のリスク上昇が疫学的に示されています。ICRPも胎児期の被ばくによる発がんリスクを、小児期の被ばくと同程度と評価しています。
  • 3巨大結腸症(Hirschsprung病)は、腸管の神経節細胞が先天的に欠如する疾患。放射線とは関係ありません。
  • 4新生児黄疸は、胎児赤血球の崩壊と肝の未熟性による生理的な現象です。
  • 5Down症候群は21番染色体のトリソミー。減数分裂時の不分離が原因で、母体年齢との関連が知られています。放射線によって生じるものではありません。
  • 胎内被ばくの影響を時期別に整理しておきましょう。着床前期(受精後〜9日)=流産か無事かの全か無か/器官形成期(2〜8週)=奇形/胎児期(8〜25週)=精神発達遅滞(特に8〜15週が最も感受性が高い)/全期間=発がん。この問題は、最後の「発がん」を問うています。

問70 陽子数、中性子数および質量数は等しいが、原子核のエネルギー準位の異なる核種はどれか。

  1. 同位体
  2. 同重体
  3. 同余体
  4. 核異性体
  5. 同中性子体
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正解:4

核種の関係を表す用語を整理します。

用語等しいもの
同位体(アイソトープ)陽子数¹H・²H・³H
同重体(アイソバー)質量数⁴⁰Ar・⁴⁰K・⁴⁰Ca
同中性子体(アイソトン)中性子数¹³C・¹⁴N
核異性体(アイソマー)陽子数・中性子数・質量数すべて。違うのはエネルギー準位⁹⁹Tc と ⁹⁹ᵐTc
  • 1同位体は陽子数だけが同じ(=同じ元素)で、中性子数が違います。
  • 2同重体は質量数だけが同じで、陽子数も中性子数も違います。
  • 3同余体という用語は一般的に使われません。
  • 4核異性体。核の中身は全く同じで、励起状態にあるか基底状態にあるかだけが違います。励起状態の核種には m(metastable:準安定) を付けて表します。
  • 5同中性子体は中性子数だけが同じです。
  • 核医学で最も使われる ⁹⁹ᵐTc が、まさにこの核異性体です。⁹⁹ᵐTc は核異性体転移(IT) で 141 keV のγ線を出して ⁹⁹Tc になります。粒子を出さずγ線だけを出すので、被ばくが少なく画像化に適している——これが ⁹⁹ᵐTc が核医学の主役である理由です。

問71 X 線の発生で正しいのはどれか。

  1. 制動 X 線の最短波長は管電圧に比例する。
  2. X 線の発生強度は管電圧の 2 乗に比例する。
  3. 特性 X 線のエネルギーは管電圧に依存する。
  4. エネルギーフルエンスは管電圧に依存しない。
  5. 特性 X 線の発生は入射電子のエネルギーに依存しない。
解答・解説を見る

正解:2

まず、押さえておくべき2つの式を確認します。制動X線の最短波長はデュエン・ハントの法則から

λmin=hceV1.24V [kV] [nm]\lambda_{\min}=\frac{hc}{eV}\fallingdotseq\frac{1.24}{V\ \mathrm{[kV]}}\ \mathrm{[nm]}

X線の発生強度(全エネルギー)は

IZiV2I \propto Z\cdot i\cdot V^{2}

で表されます。

  • 1上の式のとおり、最短波長は管電圧に反比例します。比例ではありません。管電圧を上げるほど波長は短く(=エネルギーは高く)なります。
  • 2発生強度は管電圧の2乗に比例します。管電流とターゲットの原子番号には1乗で比例します。
  • 3特性X線のエネルギーは、ターゲット物質の軌道電子の結合エネルギーの差で決まります。タングステンならK系列は約59・67 keV と固定で、管電圧を上げても変わりません。
  • 4エネルギーフルエンスはX線の強度そのものなので、当然管電圧に依存します。
  • 5特性X線が出るには、入射電子が内殻電子の結合エネルギー以上のエネルギーを持つ必要があります。タングステンのK特性X線なら、管電圧が約70 kV以上でなければ発生しません。明確に依存します。
  • 制動X線と特性X線の違いを軸に整理しましょう。制動X線=連続スペクトル・管電圧で最短波長と強度が変わる/特性X線=線スペクトル・エネルギーはターゲット物質で決まる・発生には閾値がある

問72 水における光子エネルギーと相互作用ごとの質量減弱係数の関係を図に示す。A の相互作用で正しいのはどれか。ただし、実線は全質量減弱係数とする。

問72の図(出典:厚生労働省)
  1. 光電効果
  2. 光核反応
  3. 干渉性散乱
  4. 電子対生成
  5. Compton〈コンプトン〉散乱
解答・解説を見る

正解:1

図の3本の曲線は、それぞれのエネルギー依存性で見分けられます。

相互作用エネルギー依存性図での見え方
光電効果Z34/E3\propto Z^{3\sim4}/E^{3}急な右下がり。低エネルギー側で支配的
コンプトン散乱緩やかに減少なだらかな曲線。中間エネルギーで支配的
干渉性(Rayleigh)散乱低エネルギー側でわずかに寄与全体に低い位置を通る
電子対生成1.022 MeV 以上でのみ発生この図(〜1,000 keV)の範囲では現れない
  • 1光電効果。A は 10 keV 付近で全減弱係数とほぼ重なるほど大きく、エネルギーとともに急激に落ちて 70 keV 付近で 0.01 を下回る、最も傾きの急な曲線です。E3E^{-3} という強い依存性がそのまま形に出ています。
  • 2光核反応は数 MeV 以上の高エネルギーでしか起こらず、この範囲には現れません。
  • 3干渉性散乱は、10 keV で 0.2 程度から始まる低い位置の点線にあたります。A のような急峻な立ち上がりはしません。
  • 4電子対生成の閾値は 1.022 MeV。図の横軸は最大 1,000 keV なので、そもそも登場しません。
  • 5コンプトン散乱は、10 keV から 100 keV 付近までほぼ平坦で、その後ゆるやかに下がる曲線。100 keV 以上では全減弱係数とほぼ一致します。A とは形が全く違います。
  • 水(軟部組織)で押さえるべき境目は「約 30 keV より下は光電効果が優勢、それ以上ではコンプトン散乱が優勢」。診断領域のX線(実効エネルギー 30〜60 keV 程度)では両者が混在し、骨と軟部のコントラストが光電効果の Z3Z^3 依存性から生まれる——この理解が読影と撮影条件の両方につながります。

問73 重荷電粒子と物質の相互作用について正しいのはどれか。

  1. 飛程は物質の密度に比例する。
  2. 水中では多重散乱の飛跡を示す。
  3. 質量衝突阻止能は速度に比例する。
  4. エネルギー損失は主に放射損失である。
  5. 重荷電粒子の比電離は飛程終端部で急激に増大する。
解答・解説を見る

正解:5

  • 1飛程は密度に反比例します。密度が高いほど単位長さあたりの原子数が多く、早く止まるからです。
  • 2多重散乱で折れ曲がった飛跡を示すのは電子。重荷電粒子は電子よりはるかに重いため、ほぼ直進します。
  • 3ベーテの式によれば、質量衝突阻止能は速度の2乗に反比例します(Sz2/v2S \propto z^2/v^2)。遅い粒子ほど強く電離する、という関係です。
  • 4放射損失(制動放射)は軽い粒子(電子)で効くもの。放射損失は質量の2乗に反比例するので、電子の約1800倍重い陽子ではほとんど無視できます。重荷電粒子のエネルギー損失は衝突(電離)損失が主体です。
  • 5ブラッグピークの説明そのものです。粒子が減速すると 1/v21/v^2 に従って阻止能が急上昇し、飛程の終端直前で電離密度が最大になります。粒子線治療は、この鋭いピークを腫瘍の位置に合わせることで、正常組織への線量を抑えています。
  • 一本の理屈でつながります。阻止能 1/v2\propto 1/v^2 → 遅いほど強く電離する → 止まる直前が最大 = ブラッグピーク。飛程がほぼ一定であること(直進性)も、線量分布を制御できる理由になっています。

問74 超音波の性質で誤っているのはどれか。

  1. 周波数が高いほど減衰は大きい。
  2. 周波数が高いほど指向性は向上する。
  3. 周波数と波長は反比例の関係にある。
  4. 屈折は Snell〈スネル〉の法則に従う。
  5. 空気中の伝播速度は水中に比べて大きい。
解答・解説を見る

正解:5

  • 1✗(正しい)減衰は周波数にほぼ比例して大きくなります。だから深部を見るときは低周波(3.5 MHz など)、浅い部位を細かく見るときは高周波(7.5〜12 MHz) を選びます。
  • 2✗(正しい)波長が短いほどビームは広がりにくく、指向性が向上します。分解能が上がるのも同じ理由です。
  • 3✗(正しい)c=fλc = f\lambda より、音速が一定なら周波数と波長は反比例します。
  • 4✗(正しい)音波も波なので、境界面での屈折はスネルの法則に従います。これがレンズ効果によるアーチファクトの原因にもなります。
  • 5○(誤り)空気中の音速は約340 m/s、水中は約1,500 m/s で、水中のほうが圧倒的に速い。音は分子が密に詰まった媒質ほど速く伝わります(固体>液体>気体)。空気の音響インピーダンスが極端に小さいため、体表と探触子の間に空気が入るとほぼ全反射してしまい、画像が得られません。ゼリーを塗るのはこのためです。
  • 覚えておくべき数値は 生体軟部組織の音速 約1,530 m/s。超音波装置はこの値を前提に距離を計算しているので、脂肪(約1,450 m/s)など音速の違う組織では位置ずれ(屈折アーチファクト)が生じます。

問75 2 つの増幅器を直列に接続した回路を図に示す。増幅器 1 の電圧増幅度は 10 とする。入力電圧 Vi の値として 0.2 mV の信号を加えたとき、出力電圧 Vo の値は 0.2 V であった。増幅器 2 の電圧利得〈dB〉はどれか。

問75の図(出典:厚生労働省)
  1. 10
  2. 20
  3. 40
  4. 50
  5. 60
解答・解説を見る

正解:3

① 全体の電圧増幅度を求める

A全体=VoVi=0.2 V0.2 mV=0.20.0002=1000A_{\text{全体}}=\frac{V_o}{V_i}=\frac{0.2\ \mathrm{V}}{0.2\ \mathrm{mV}}=\frac{0.2}{0.0002}=1000

② 増幅器2の増幅度を求める

直列接続なので増幅度は掛け算になります。増幅器1が10倍なので

A2=A全体A1=100010=100A_2=\frac{A_{\text{全体}}}{A_1}=\frac{1000}{10}=100

③ dB に直す

電圧比のデシベルは 20log1020\log_{10} を使います。

G2=20log10100=20×2=40 dBG_2=20\log_{10}100=20\times 2=40\ \mathrm{dB}
  • 110 dB は電圧比が約3.16倍のとき。
  • 220 dB は増幅器1(10倍) の利得です。問われているのは増幅器2なので、これを答えると誤りになります。
  • 340 dB
  • 450 dB は約316倍で、根拠がありません。
  • 560 dB は全体(1000倍) の利得。増幅器1のぶんを引き忘れると、この値になります。
  • 注意点が2つ。電圧比は 20log20\log、電力比は 10log10\log(混同しやすい)。そして直列接続では、増幅度は掛け算だが、dB は足し算20+40=6020 + 40 = 60 dB)。この関係を使えば、検算も一瞬でできます。

問76 図のような抵抗の直並列回路に 100 V の直流電圧を加えたとき、流れる電流 I〈A〉はどれか。

問76の図(出典:厚生労働省)
  1. 1.3
  2. 1.9
  3. 2.0
  4. 2.4
  5. 3.2
解答・解説を見る

正解:4

回路を3つのブロックに分けて、上から順に合成していきます。

① 上段の並列部(20 Ω・30 Ω・60 Ω)

1R1=120+130+160=3+2+160=660\frac{1}{R_1}=\frac{1}{20}+\frac{1}{30}+\frac{1}{60}=\frac{3+2+1}{60}=\frac{6}{60} R1=10 ΩR_1 = 10\ \Omega

② 下段の並列部(20 Ω と、5 Ω + 25 Ω = 30 Ω)

R2=20×3020+30=60050=12 ΩR_2=\frac{20\times 30}{20+30}=\frac{600}{50}=12\ \Omega

③ 全体の合成抵抗と全電流

中央の 3 Ω は直列なので、そのまま足します。

R=10+3+12=25 Ω,I=10025=4 AR_{\text{全}}=10+3+12=25\ \Omega,\qquad I_{\text{全}}=\frac{100}{25}=4\ \mathrm{A}

④ 求める電流 I(下段の 20 Ω を流れる分)

下段の並列部にかかる電圧は

V2=I×R2=4×12=48 VV_2 = I_{\text{全}}\times R_2 = 4\times 12 = 48\ \mathrm{V}

したがって

I=4820=2.4 AI=\frac{48}{20}=2.4\ \mathrm{A}
  • 11.3 A は下段の 30 Ω 側(5 Ω + 25 Ω)を流れる電流(1.6 A)とも合わず、根拠がありません。
  • 21.9 A も合いません。
  • 32.0 A は合成抵抗の計算を途中で誤ったときに出やすい値です。
  • 42.4 A
  • 53.2 A も一致しません。
  • 手順は必ず「並列をまとめる → 直列を足す → 全電流を出す → 分圧して枝の電流を求める」の順で。最後に「全電流4 A のうち、20 Ω 側が2.4 A、30 Ω 側が1.6 A で合計4 A」と検算すれば、計算ミスをその場で発見できます。

問77 平行板コンデンサを図 A に示す。これを図 B のように電極間距離 l〈m〉を半分にし、比誘電率 εr が 3 の誘電体を入れたとき、静電容量〈F〉は何倍になるか。ただし、ε₀ は真空中の誘電率とする。

問77の図(出典:厚生労働省)
  1. 1
  2. 2
  3. 4
  4. 6
  5. 9
解答・解説を見る

正解:4

平行板コンデンサの静電容量は

C=ε0εrSlC=\varepsilon_0\varepsilon_r\frac{S}{l}

で表されます(SS は電極面積、ll は電極間距離)。

変化前(図A) は真空なので εr=1\varepsilon_r=1

CA=ε0SlC_A=\varepsilon_0\frac{S}{l}

変化後(図B) は距離が l/2l/2、比誘電率が3なので

CB=ε0×3×Sl/2=6ε0SlC_B=\varepsilon_0\times 3\times\frac{S}{l/2}=6\,\varepsilon_0\frac{S}{l}

よって

CBCA=6\frac{C_B}{C_A}=6
  • 11倍では、2つの変化が打ち消し合ったことになります。両方とも容量を増やす向きの変化です。
  • 22倍は距離を半分にした効果だけを数えた場合の値。誘電体を入れた効果が抜けています。
  • 34倍になる組合せはありません。
  • 46倍2×3=62 \times 3 = 6 です。
  • 59倍は、距離の変化を「2乗で効く」と誤解した場合などに出ます。距離は1乗で効きます。
  • 押さえるべき比例関係は3つ。面積に比例・距離に反比例・比誘電率に比例。それぞれ1乗で効く(2乗ではない)点が、この問題の最大の確認事項です。

問78 図 A の回路で図 B の入出力波形を得たとする。正しい関係はどれか。

問78の図(出典:厚生労働省)
  1. CR < T
  2. CR = T
  3. CR = 1/T
  4. CR > T
  5. CR ≫ T
解答・解説を見る

正解:1

図Aは、コンデンサを直列、抵抗を並列(出力は抵抗の両端) に置いた CR 回路(ハイパスフィルタ) です。この形の回路は、時定数 τ=CR\tau = CR と入力パルス幅 TT の関係で、まったく違う働きをします。

条件呼び名出力波形
CR ≪ T微分回路立ち上がりと立ち下がりで鋭いスパイクが出て、すぐ0に戻る
CR ≫ T結合(カップリング)回路入力の方形波がほぼそのまま出る(直流分だけカット)

図Bの出力波形は、入力の立ち上がりで正の鋭いスパイクが出てすぐ0に減衰し、立ち下がりで負のスパイクが出るという形。これはまさに微分波形です。つまり時定数 CRCR はパルス幅 TT より十分に小さい。

  • 1CR < T。選択肢の中で、微分回路の条件(CRCRTT より小さい)を表すのはこれだけです。
  • 2CR=TCR = T なら、出力は指数関数的に減衰しますが、パルスの終わりまでに0まで下がりきりません。図とは合いません。
  • 3CR=1/TCR = 1/T は、次元(単位)が合わない式です。CRCR は秒、1/T1/T は毎秒なので、そもそも比較できません。
  • 4CR>TCR > T では減衰がもっと緩やかになり、方形波に近い出力になります。
  • 5CRTCR \gg T なら、出力は入力の方形波とほぼ同じ形になります。図のスパイク波形とは正反対です。
  • 対になる回路も押さえましょう。抵抗を直列・コンデンサを並列(出力はコンデンサの両端)にすると積分回路になり、CRTCR \gg T のとき出力は三角波状になります。「どちらの素子から出力を取るか」と「時定数とパルス幅の大小」の2つで、4通りの動作が決まります。

問79 水吸収線量計測で電離箱中の気体の吸収線量に乗じるパラメータはどれか。

  1. 電子密度比
  2. フルエンス比
  3. 実効原子番号比
  4. 質量衝突阻止能比
  5. 質量エネルギー吸収係数比
解答・解説を見る

正解:4

電離箱で測るのは「空洞内の気体(空気)が受けた吸収線量」です。これを、知りたい「水の吸収線量」に翻訳する必要があります。

空洞が小さい(Bragg-Gray 空洞)の条件下では、空洞を横切るのは周囲の水から入ってきた二次電子です。同じ電子フルエンスが通っているので、

Dwater=Dair×(Sρ)airwaterD_{\text{water}} = D_{\text{air}}\times\left(\frac{S}{\rho}\right)^{\text{water}}_{\text{air}}

すなわち 水と空気の質量衝突阻止能比を掛ければ水の吸収線量が得られます。

  • 1電子密度比は、CT値から相対電子密度を求めるときなどに使う量。この変換には用いません。
  • 2電子フルエンス自体は空洞の内外で等しい、というのが Bragg-Gray 空洞理論の前提。掛けるパラメータではありません。
  • 3実効原子番号は物質の性質を表す指標で、線量の変換係数ではありません。
  • 4質量衝突阻止能比。荷電粒子(二次電子)が単位質量あたりに落とすエネルギーの比なので、電子が同じだけ通っているなら、線量の比はそのまま阻止能の比になります。
  • 5質量エネルギー吸収係数比は、光子フルエンスが等しいとき(=空洞が大きく、光子が空洞内で相互作用する場合)に使う量です。空洞の大きさで使い分ける、というのが要点になります。
  • 使い分けを一言でまとめると、小空洞(Bragg-Gray)=質量衝突阻止能比/大空洞=質量エネルギー吸収係数比。標準計測法12 の水吸収線量標準では、前者の考え方が基礎になっています。

問80 10 MV 以上の X 線を発生させる加速器から中性子が放出される相互作用はどれか。

  1. 光電効果
  2. 光核反応
  3. Compton〈コンプトン〉散乱
  4. Cherenkov〈チェレンコフ〉放射
  5. Rutherford〈ラザフォード〉散乱
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正解:2

  • 1光電効果は光子が軌道電子を叩き出す反応。原子核には関与しません。
  • 2光核反応((γ, n)反応)。高エネルギーの光子が原子核に吸収され、核から中性子が放出される現象です。閾値は原子核ごとに異なりますが、多くの物質でおよそ 8〜10 MeV。だから 10 MV 以上のリニアックでは中性子対策が必要になります。
  • 3コンプトン散乱も電子との相互作用で、中性子は出ません。
  • 4チェレンコフ放射は、荷電粒子が媒質中の光速を超えて進むときに出る青い光。中性子とは無関係です。
  • 5ラザフォード散乱は荷電粒子が原子核の電場で曲げられる弾性散乱で、核反応ではありません。
  • 実務への影響は大きく、10 MV 以上のリニアック室では、光子の遮へい(コンクリート・鉛)に加えて中性子の遮へいが必要になります。中性子は軽い原子核との衝突で効率よく減速するので、水素を多く含む材料(ポリエチレン・パラフィン) を使い、さらに減速した熱中性子を捕獲するためにホウ素を添加します。扉に厚いポリエチレンが仕込まれているのは、このためです。

問81 分解時間 200 μs の GM 計数管で放射能計測をしたところ計数率は 15,000 cpm であった。この計数の数え落としの割合〈%〉はどれか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
解答・解説を見る

正解:5

① 単位をそろえる

n=15,000 cpm=15,00060=250 cpsn = 15{,}000\ \mathrm{cpm}=\frac{15{,}000}{60}=250\ \mathrm{cps} τ=200 μs=2.0×104 s\tau = 200\ \mu\mathrm{s}=2.0\times 10^{-4}\ \mathrm{s}

② 数え落としの割合を求める

GM計数管は不感時間中に入った信号を数えられません。計測時間のうち検出器が「死んでいる」割合は

nτ=250×2.0×104=0.05n\tau = 250\times 2.0\times 10^{-4}=0.05

すなわち 5 % です。

(真の計数率は m=n/(1nτ)=250/0.95263m = n/(1-n\tau)=250/0.95\fallingdotseq 263 cps。数え落とした割合は (mn)/m=nτ=0.05(m-n)/m = n\tau = 0.05 と、同じ答えになります。)

  • 11 % は nτn\tau の計算で単位換算を誤った場合の値です。
  • 22 % も一致しません。
  • 33 % も同様です。
  • 44 % も合いません。
  • 55 %
  • 落とし穴は cpm を cps に直す(60で割る) の一点に尽きます。分解時間が秒単位で与えられている以上、計数率も毎秒に揃えなければなりません。GM計数管の分解時間は100〜300 μs 程度と長いので、高計数率では数え落としが無視できなくなります。

問82 二次電子平衡で正しいのはどれか。

  1. 荷電粒子線の挙動である。
  2. 荷電粒子平衡とは異なる。
  3. ビルドアップ領域で成立する。
  4. 吸収線量は衝突カーマに等しい。
  5. 二次電子平衡厚はエネルギーに依存しない。
解答・解説を見る

正解:4

  • 二次電子平衡(荷電粒子平衡, CPE)とは、ある微小体積に入ってくる二次電子のエネルギーと、出ていく二次電子のエネルギーが釣り合っている状態のことです。
  • 1これは光子(非荷電粒子)を照射したときに、その二次的に生じた電子について成り立つ話です。荷電粒子線そのものの挙動ではありません。
  • 2二次電子平衡と荷電粒子平衡は、ほぼ同じ意味で使われる用語です。
  • 3ビルドアップ領域は、まさに平衡が成立していない領域。表面から最大線量深に向かって二次電子が増えていく途中なので、出入りが釣り合っていません。平衡が成立するのは、最大線量深より深いところです。
  • 4平衡が成立すると、吸収線量 DD = 衝突カーマ KcolK_{\mathrm{col}} が成り立ちます。持ち出されるエネルギーと持ち込まれるエネルギーが等しいので、その場で与えられたエネルギー(カーマ)が、その場で吸収されたエネルギー(線量)と一致するわけです。
  • 5二次電子の飛程はエネルギーが高いほど長いので、平衡に必要な厚さもエネルギーとともに増えます。⁶⁰Co(約0.5 cm)に対して、10 MV X線では2.5 cm 程度必要になります。
  • この概念は、線量計測で「なぜビルドアップキャップが必要か」放射線治療で「なぜ皮膚線量が低いか(皮膚保護効果)」 の両方を説明します。高エネルギーほど最大線量深が深くなるのも、二次電子の飛程が長くなるためです。

問83 X 線の半価層の測定に適しているのはどれか。

  1. 電離箱
  2. Fricke〈フリッケ〉線量計
  3. ゲルマニウム半導体検出器
  4. 光刺激ルミネセンス線量計
  5. NaI シンチレーション検出器
解答・解説を見る

正解:1

半価層の測定では、吸収板を1枚ずつ増やしながら線量(率)を測り、半分になる厚さを求めます。求められるのは「エネルギー依存性が小さく、線量に正確に比例し、再現性の高い」測定器です。

  • 1電離箱。空気の実効原子番号が生体組織に近く、診断領域でのエネルギー依存性が小さい。線量率にも良好な直線性を示し、その場で読み値が得られるので、板を差し替えながらの測定に最適です。半価層測定の標準的な測定器とされています。
  • 2Fricke線量計(化学線量計)は、鉄イオンの酸化量を分光光度計で測るもの。数十 Gy 以上の高線量でないと精度が出ず、半価層測定には感度が足りません。
  • 3ゲルマニウム半導体検出器はエネルギースペクトルを測る装置。エネルギー分解能は極めて高いのですが、液体窒素冷却が必要で、線量測定には使いません。
  • 4OSL線量計は積算型の個人線量計。読み取りに時間がかかり、低エネルギー領域でのエネルギー依存性も大きいので、半価層測定には向きません。
  • 5NaIシンチレーション検出器は感度が高すぎ、低エネルギー光子に対する感度が過剰でエネルギー依存性が大きい。線量そのものの測定には適しません。
  • 半価層は、X線の線質(実効エネルギー)を表す実用的な指標です。管電圧が同じでも、付加フィルタや管球の固有ろ過が違えば半価層は変わります。装置の品質管理項目として、定期的に測定します。

問84 腹腔内遊離ガスについて正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ニッシェを形成する。
  2. 腸閉塞の所見である。
  3. CT での検出は困難である。
  4. デクビタス撮影は左下側臥位とする。
  5. 横隔膜下の腹腔内遊離ガスは、腹部立位正面像に比べて胸部立位正面像で検出しやすい。
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正解:4・5

腹腔内遊離ガス(free air)は、消化管穿孔を示すきわめて重要な所見です。ガスは必ず最も高い位置に集まるので、体位の工夫が検出の鍵になります。

  • 1ニッシェ(niche)は、潰瘍の陥凹に造影剤が溜まって突出して見える所見。遊離ガスとは別物です。
  • 2腸閉塞の所見は、拡張した腸管と鏡面像(ニボー)。遊離ガスは腸管の「外」にあるガスで、穿孔を意味します。
  • 3逆に CT は最も鋭敏で、数 mL のわずかなガスも検出できます。肺野条件(ウィンドウ幅を広げた設定)で見ると、脂肪との区別がつきやすくなります。
  • 4左下側臥位(左側臥位) にすると、ガスは上になった右側の肝臓と腹壁の間に集まります。肝臓という均一な実質を背景にできるので、ガスが黒い層としてはっきり浮かび上がります。右下側臥位ではガスが胃泡や腸管ガスと重なり、判別できません。
  • 5胸部立位正面像のほうが検出しやすい。理由は撮影条件にあります。胸部撮影は高圧撮影で、横隔膜のすぐ下の淡い黒い層を描出するのに適した濃度が得られます。腹部条件では横隔膜下が白く飛んでしまい、わずかなガスが見えにくくなります。
  • 検出感度の順は CT > 胸部立位正面 > 左側臥位 > 腹部立位。立位が取れない患者には左側臥位を選ぶ、というのが撮影現場での実際の判断になります。

問85 頭部 X 線写真(別冊No.9)を別に示す。撮影法で正しいのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.9 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. Rhese〈レーゼ〉法
  2. Towne〈タウン〉法
  3. Waters〈ウォータース〉法
  4. Stenvers〈ステンバース〉法
  5. Rosenberg〈ローゼンバーグ〉法
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正解:3

頭部の代表的な特殊撮影法を、目的と写り方で整理します。

撮影法主な目的画像の特徴
Rhese 法視神経管眼窩の外下1/4に輪状の視神経管が写る
Towne 法後頭骨・錐体部・後頭蓋窩尾頭方向に30度入射。大後頭孔の中に鞍背が写る
Waters 法上顎洞・眼窩底錐体尖が上顎洞の下に落ち、上顎洞が重なりなく写る
Stenvers 法錐体(内耳・内耳道)斜位で錐体を長軸方向に描出する
Rosenberg 法膝関節(荷重位)頭部の撮影法ではない
  • 1Rhese法なら、眼窩の外下部に小さな輪(視神経管)が見えるのが決め手になります。
  • 2Towne法では後頭骨が大きく写り、大後頭孔の中に鞍背が入るという特徴的な像になります。
  • 3Waters法。あご先を上げて(OMラインを約37度傾けて)撮影することで、錐体の陰影を上顎洞より下に落とすのが最大の目的。上顎洞炎の評価に用いられます。
  • 4Stenvers法は錐体を目的とした斜位撮影で、頭部を回旋させて撮ります。
  • 5Rosenberg法は膝関節の荷重位撮影で、頭部の撮影法ではありません。
  • 判別の第一歩は「錐体(岩様部)の位置」を見ることです。上顎洞の下に落ちていればWaters法、上顎洞に重なっていれば通常のPA(Caldwell法) と判断できます。

問86 血管造影写真(別冊No.10)を別に示す。行われた IVR の手技はどれか。

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  1. 血管形成術
  2. 血栓溶解術
  3. コイル塞栓術
  4. ステント留置術
  5. フィルタ留置術
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正解:3

各手技の、画像上での見え方を整理します。

手技画像上の特徴
血管形成術(PTA)バルーンで拡張。器具は残らず、狭窄が改善した所見のみ
血栓溶解術薬剤を注入。器具は残らず、閉塞していた血管が再開通する
コイル塞栓術金属コイルが不規則にとぐろを巻いた高吸収の塊として残る
ステント留置術筒状(管状)の網目構造が血管に沿って残る
フィルタ留置術下大静脈に傘(円錐)状の器具が留置される
  • 1血管形成術では、治療後に器具は残りません。
  • 2血栓溶解術も同様で、留置物はありません。
  • 3コイル塞栓術とぐろを巻いた不規則な形の高吸収塊が病変部に見えるのが決め手です。脳動脈瘤や、外傷・腫瘍による出血の止血、内臓動脈瘤の治療などに用いられます。
  • 4ステントなら、血管の走行に沿ったまっすぐな筒状の構造として写ります。コイルの塊とは形が明確に違います。
  • 5下大静脈フィルタは、独特の傘状・円錐状の形をしています。
  • 判別の手順を固定しましょう。① 器具が残っているか → ② 残っているなら、その形が「とぐろ状(コイル)」か「筒状(ステント)」か「傘状(フィルタ)」か。この2段階で確実に選べます。

問87 腹部造影 CT 像(別冊No.11)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.11 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 膵臓
  2. 脾臓
  3. 脾静脈
  4. 下大静脈
解答・解説を見る

正解:2

上腹部の造影CT横断像で、各構造を見分ける手がかりです。

構造位置と見え方
膵臓胃の背側を左右に横たわる、辺縁がやや波打った実質。脾静脈が背側を伴走する
膵臓の腹側。内腔に水や空気を含む
脾臓左側背側の三日月形の実質臓器
脾静脈膵体尾部の背側に張り付くように走る細い管腔
下大静脈椎体の右前方。造影相によって濃染度が変わる
  • 1胃なら内腔に水や空気(低吸収)を含み、壁として認識できます。
  • 2膵臓胃の背側で、脾静脈を背側に伴いながら左右に横たわる実質という特徴が決め手です。造影早期には均一に濃染し、周囲の脂肪との境界がはっきりします。
  • 3脾臓は左側背側にあり、正中を横切る形にはなりません。
  • 4脾静脈なら、膵臓の背側を走る細い管腔として見えます。矢印が実質臓器を指していれば該当しません。
  • 5下大静脈は椎体の右前方にある円形の管腔です。
  • 膵臓は輪郭が周囲と紛れやすい臓器なので、「上腸間膜動脈を探す → その腹側」「脾静脈を追う → その腹側」 という2つの目印から特定するのが定石です。膵尾部は脾門部まで達している、という走行も押さえておきましょう。

問88 頸椎正面 X 線写真(別冊No.12)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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  1. 横突起
  2. 棘突起
  3. 歯突起
  4. 上関節突起
  5. Luschka〈ルシュカ〉突起
解答・解説を見る

正解:5

頸椎正面像で見えるおもな構造を整理します。

構造正面像での見え方
歯突起開口位でのみ、環椎の間に立つ突起として見える。通常の正面像では下顎と重なる
棘突起椎体の正中に縦に並ぶ涙滴状の影
横突起椎体の外側へ張り出す
Luschka突起(鉤状突起)椎体上面の外側縁が上向きに立ち上がった突起。上位椎体との間に鉤椎関節をつくる
  • 1横突起は椎体の外側へ水平に張り出す構造で、上向きの突起ではありません。
  • 2棘突起は正中に見える構造です。
  • 3歯突起は環軸椎のレベルにあり、通常の正面像では下顎骨と重なって描出されません。開口位撮影が必要です。
  • 4上関節突起は後方の構造で、正面像では椎体の外側縁と重なりにくい位置にあります。
  • 5Luschka突起(鉤状突起)椎体上面の外側縁が耳のように上に立ち上がる、頸椎に特有の構造です。これがあることで頸椎の側方への安定性が保たれています。
  • 臨床的にも重要な構造です。加齢とともに鉤椎関節に骨棘ができると、すぐ外側を通る椎骨動脈や、後外側に出る神経根を圧迫します。頸椎症性神経根症の原因として頻出なので、斜位像での椎間孔の狭小化とあわせて評価します。

問89 CT コロノグラフィで正しいのはどれか。

  1. 心電図同期撮影を行う。
  2. 背臥位と腹臥位で撮影する。
  3. 大腸内部の色調が観察できる。
  4. 硫酸バリウムで大腸を充満させる。
  5. fine network pattern を描出できる。
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正解:2

  • CTコロノグラフィ(大腸CT検査)は、炭酸ガスで大腸を拡張させてCTを撮り、内視鏡のような3D画像を作る検査です。
  • 1心電図同期が必要なのは心臓CT。大腸は心拍の影響を受けません。
  • 2背臥位と腹臥位の両方で撮影します。残便や貯留液は重力で下側に移動するので、体位を変えて2回撮れば、残便と真のポリープを区別できます(真の病変は体位を変えても壁の同じ位置に留まる)。腸管の拡張が不十分な部分を補う意味もあります。
  • 3色調が観察できるのは内視鏡だけ。CTはX線の吸収差を見るので、粘膜の発赤などの色の情報は得られません。これがCTコロノグラフィの本質的な限界です。
  • 4充満させるのは炭酸ガス(CO₂)。空気より速く吸収されるので、検査後の腹部膨満感が軽く済みます。硫酸バリウムは注腸造影で使うもので、CTコロノグラフィでは便を標識する目的(タギング) に少量使うことはあっても、充満はさせません。
  • 5fine network pattern は、注腸X線検査で見られる正常粘膜の細かい網目模様。CTでは分解能が足りず描出できません。
  • CTコロノグラフィの位置づけを整理すると、内視鏡が入らない(狭窄がある・挿入困難)症例や、全大腸の形態を俯瞰したいときに有用/一方で生検も治療もできず、色調も見えない。長所と短所をセットで理解しておいてください。

問90 関節リウマチ患者の X 線写真(別冊No.13)を別に示す。亜脱臼しているのはどこか。

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  1. CM 関節
  2. DIP 関節
  3. IP 関節
  4. MP 関節
  5. PIP 関節
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正解:5

関節リウマチ(RA)で侵される関節と、生じる変形を整理します。

関節RA での侵され方
MP・PIP 関節最も侵されやすい。滑膜炎から骨びらん・関節裂隙狭小化へ
DIP 関節侵されにくい(ここが侵されるのは変形性関節症や乾癬性関節炎)
CM 関節RA の主座ではない

RAで生じる代表的な変形も押さえましょう。

変形内容
尺側偏位MP関節で指が小指側へ流れる
スワンネック変形PIP 関節が過伸展し、DIP関節が屈曲する
ボタン穴変形PIP 関節が屈曲し、DIP関節が過伸展する
  • 1CM関節(手根中手関節)はRAの好発部位ではありません。
  • 2DIP関節はRAでは比較的保たれるのが特徴。ここが主体なら、変形性関節症(Heberden結節)や乾癬性関節炎を疑います。
  • 3IP関節は母指の関節。単独で亜脱臼を問う設定にはなりにくい部位です。
  • 4MP関節もRAで強く侵され尺側偏位を起こしますが、この設問で亜脱臼として問われているのはPIP関節です。
  • 5PIP関節。スワンネック変形・ボタン穴変形のいずれも、PIP関節の亜脱臼・変形が主体です。
  • RAの画像診断で押さえるべき4徴は、関節裂隙の狭小化・骨びらん・傍関節性の骨萎縮・軟部組織の腫脹。加えて「DIPが保たれ、MP・PIPが侵される」という分布のパターンが、他の関節炎との鑑別の決め手になります。

問91 腹部造影 CT の多断面再構成像(別冊No.14)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

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  1. 食道動脈
  2. 腹腔動脈
  3. 下腸間膜動脈
  4. 上腸間膜動脈
  5. 正中仙骨動脈
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正解:2

矢状断(MPR)で、腹部大動脈から前方に出る枝を頭側から順に並べます。

血管分岐の高さ走行の特徴
腹腔動脈第12胸椎〜第1腰椎ごく短い幹(1〜2 cm)で、すぐ3本に分岐する
上腸間膜動脈第1腰椎大動脈と鋭角(約20〜30度) をなして、長く尾側へ下る
下腸間膜動脈第3腰椎細く、左尾側へ向かう
正中仙骨動脈大動脈分岐部仙骨前面を下る、ごく細い枝
  • 1食道動脈は胸部大動脈から出る細い枝で、腹部のMPRの主題にはなりません。
  • 2腹腔動脈最も頭側から前方へ出る、非常に短い幹という形が決め手です。矢状断ではこの「短くてすぐ枝分かれする」特徴が最もよく分かります。
  • 3下腸間膜動脈はもっと尾側(第3腰椎レベル)から出る細い枝です。
  • 4上腸間膜動脈は腹腔動脈のすぐ下から出て、大動脈と平行に近い鋭角で長く尾側へ走るのが特徴。短い幹ではありません。
  • 5正中仙骨動脈は大動脈分岐部から出る、最も尾側の細い枝です。
  • 矢状断MPRで腹腔動脈とSMAを見分けるコツは「短くてすぐ分かれるのが腹腔動脈、長く下るのがSMA」。また、SMAと大動脈のなす角が狭くなると十二指腸水平脚が挟まれる SMA症候群 が起こる、という臨床像もこの断面で評価されます。

問92 水溶性ヨード造影剤で正しいのはどれか。

  1. 血漿に比べて浸透圧が低い。
  2. 使用前にはヨードテストを実施する。
  3. 経口投与では大部分が尿中から排泄される。
  4. 投与した患者の 10〜15 % に副作用が発生する。
  5. 非イオン性製剤はイオン性製剤に比べて即時型副作用が少ない。
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正解:5

  • 1現在の非イオン性低浸透圧造影剤でも、浸透圧は血漿(約290 mOsm/kg)の2倍程度あります。「低浸透圧」というのは、かつてのイオン性製剤(血漿の5〜8倍)と比べての話です。血漿より低いわけではありません。
  • 2ヨードテスト(少量を注入して反応を見る過敏性テスト)は行いません。予測性が低いうえ、テスト自体で重篤な反応が起こる危険があるためです。かつては行われていましたが、現在は明確に推奨されていません。代わりに問診(喘息・アレルギー・過去の造影剤副作用の既往) でリスクを評価します。
  • 3経口投与された水溶性ヨード造影剤はほとんど吸収されず、大部分が便中に排泄されます。尿中に出るのは静脈内投与した場合です。
  • 4副作用の頻度は非イオン性で約3 %、イオン性で約12 % とされます。10〜15 % という数字はイオン性のもので、現在主流の非イオン性には当てはまりません。
  • 5非イオン性製剤のほうが即時型副作用が明らかに少ない。イオン性製剤は水に溶けるとイオンに解離するため浸透圧が非常に高くなり、血管痛・熱感・内皮障害・ヒスタミン遊離を起こしやすい。非イオン性は解離しないので浸透圧が抑えられ、副作用が減ります。現在の血管内投与はほぼ非イオン性です。
  • 副作用は時間で分類します。即時型(1時間以内)=じん麻疹・気管支痙攣・ショック/遅発型(1時間〜1週間)=皮疹・発熱。加えて造影剤腎症は別枠で、投与後48〜72時間の腎機能を確認します。

問93 上部消化管造影写真(別冊No.15)を別に示す。撮影体位はどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午後)の No.15 です。厚生労働省の公式ページから「午後・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 背臥位第 1 斜位
  2. 背臥位第 2 斜位
  3. 半立位第 1 斜位
  4. 半立位第 2 斜位
  5. 立位第 1 斜位
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正解:4

上部消化管造影の体位は、バリウム(重い液体)と空気(軽い気体)がどこに移動するかで決まります。

判断の軸見分け方
立位・半立位・背臥位バリウムの水平面(ニボー)の有無と位置。立位に近いほど胃の下部(前庭部・体下部)に溜まり、空気は穹窿部に上がる
第1斜位(RAO)/第2斜位(LAO)体の回旋方向。第1斜位は右前斜位(右前が下)、第2斜位は左前斜位(左前が下)
  • 1背臥位なら、バリウムは背側(後壁)に広がり、前壁に薄く付着した二重造影像になります。明瞭なニボーは見られません。
  • 2同じく背臥位の所見と合いません。
  • 3半立位ではありますが、回旋の向きが逆です。
  • 4半立位第2斜位。上体を起こしてバリウムを下方へ落としつつ、左前斜位に回旋させることで、胃角部から幽門前庭部にかけての領域を、重なりなく二重造影で描出できます。
  • 5完全な立位では、バリウムがさらに下方へ落ちて描出範囲が変わります。
  • 上部消化管造影は「体位を変えてバリウムと空気を移動させ、見たい部位の壁に薄く付着させる」ことがすべてです。だから撮影法は「どの部位を見たいか」から逆算して決まる、という理解が読影にも撮影にも役立ちます。

問94 X 線受像器に単位面積当たりに平均 Φ 個の光子が入射したとき、被写体コントラストが C、断面積 A のオブジェクトの X 線投影像を人の眼で識別するために必要な最小の SNR を与える式はどれか。ただし、量子雑音はポアソン分布に従うものとし、それ以外の雑音は無視する。

  1. CAΦ\dfrac{C}{A\cdot\Phi}
  2. CAΦ\dfrac{C}{\sqrt{A\cdot\Phi}}
  3. CAΦ\sqrt{C\cdot A\cdot\Phi}
  4. CAΦC\sqrt{A\cdot\Phi}
  5. CAΦC\cdot A\cdot\sqrt{\Phi}
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正解:4

SNR は「信号 ÷ 雑音」で定義されます。順に組み立てます。

① 面積 A に入る光子数(平均)

N=AΦN = A\cdot\Phi

② 雑音(標準偏差)

量子雑音はポアソン分布に従うので、標準偏差は平均値の平方根になります。

σ=N=AΦ\sigma=\sqrt{N}=\sqrt{A\cdot\Phi}

③ 信号

コントラスト CC は「光子数の相対的な差」なので、信号(光子数の差)は

ΔN=CN=CAΦ\Delta N = C\cdot N = C\cdot A\cdot\Phi

④ SNR

SNR=ΔNσ=CAΦAΦ=CAΦ\mathrm{SNR}=\frac{\Delta N}{\sigma}=\frac{C\cdot A\cdot\Phi}{\sqrt{A\cdot\Phi}}=C\sqrt{A\cdot\Phi}
  • 1C/(AΦ)C/(A\Phi) は光子数を増やすほどSNRが下がることになり、直感にも物理にも反します。
  • 2C/AΦC/\sqrt{A\Phi} も同じく、光子数を増やすほど悪くなる形で誤りです。
  • 3コントラストが平方根の中に入っており、次元の組み立てが合いません。
  • 4CAΦC\sqrt{A\cdot\Phi}
  • 5CAΦC\cdot A\sqrt{\Phi} は、面積 AA の指数が合いません。
  • この式が示す実務上の意味は重要です。SNRを2倍にするには線量(Φ)を4倍必要とする(平方根で効くため)。また、大きな病変(Aが大きい)ほど低コントラストでも識別できる——これがローズの式(Rose model)の考え方で、低コントラスト分解能の議論の基礎になっています。

問95 ROC 解析について正しいのはどれか。

  1. 信号が見えやすい画像を選んで用いる。
  2. 「1 − 偽陽性率」で真陰性率が求められる。
  3. 観察者は信号有無の確信度と位置を答える。
  4. 先に雑音のみの画像を観察しその後信号ありの画像を観察する。
  5. 信号有無の確信度の両正規分布が完全に重なったとき AUC(曲線下面積)は 1 になる。
解答・解説を見る

正解:2

ROC(Receiver Operating Characteristic)解析は、観察者の判断能力を、判断の基準(しきい値)に左右されずに評価する方法です。縦軸に真陽性率(感度)、横軸に偽陽性率(1 − 特異度)をとります。

  • 1見えやすい画像ばかり選ぶと天井効果が起こり、システム間の差が出せません。識別が難しい画像を含めて偏りなく選ぶ必要があります。
  • 2偽陽性率 = 1 − 特異度(真陰性率)なので、移項すれば
真陰性率(特異度)=1偽陽性率\text{真陰性率(特異度)}=1-\text{偽陽性率}

が成り立ちます。

  • 3位置まで答えるのは LROC・FROC 法。通常のROC解析では「信号があるかどうかの確信度」だけを段階評価(5段階など)で答えます。
  • 4信号のある画像とない画像をランダムに混ぜて提示します。順番が分かってしまえば、観察者は画像を見なくても正解できてしまいます。
  • 5両分布が完全に重なる = まったく区別できない状態で、このとき ROC曲線は対角線となり AUC = 0.5 になります。AUC = 1 は、両分布が完全に分離した「完璧な識別」の状態です。
  • AUCの読み方は覚えておきましょう。0.5 = でたらめ(当てずっぽう)/1.0 = 完全/0.8〜0.9 = 良好。ROCが優れているのは、読影者の「疑わしきは陽性にする/しない」という傾向の違いに影響されずに、純粋な識別能力を比べられる点にあります。

問96 診療放射線技師の法定業務として正しいのはどれか。

  1. 静脈路に接続された造影剤注入装置の操作
  2. 上部消化管検査における鎮痙剤の筋肉内投与
  3. 下部消化管検査における内視鏡の肛門への挿入
  4. 造影剤注入装置を接続するための動脈路の確保
  5. 超音波画像診断装置で得られた検査画像の診断
解答・解説を見る

正解:1

診療放射線技師法は改正が重ねられ、業務範囲が段階的に拡大されてきました。

改正追加された主な業務
2015年(平成27年)静脈路の確保と造影剤の注入、注入後の抜針・止血、下部消化管検査のためのカテーテル挿入(肛門)、上部消化管検査のための造影剤嚥下の確認
2021年(令和3年)静脈路への造影剤注入装置の接続と操作、動脈路に接続された造影剤注入装置の操作(動脈路の確保は含まない)、RI検査のための静脈路確保と薬剤投与、抜針・止血
  • 1静脈路に接続された造影剤注入装置の操作。医師の具体的な指示のもとで行える、診療放射線技師の法定業務です。
  • 2筋肉内注射は業務範囲外。技師が行えるのは造影剤・RI薬剤に関する静脈路での行為であって、鎮痙剤の筋注は含まれません。
  • 3技師が行えるのはカテーテル(注腸チューブ)の挿入まで。内視鏡の挿入は医師の行為です。
  • 4動脈路の確保は業務範囲外。技師ができるのは「すでに確保されている動脈路に接続された注入装置の操作」だけです。この「確保」と「操作」の区別が問われています。
  • 5診断は医師の行為。技師は撮影と画像の作成までを担い、診断名をつけることはできません。
  • この分野は改正が頻繁なので、区別の軸を持っておくのが有効です。静脈路は確保も注入もできる/動脈路は操作のみ(確保は不可)/診断はできない/内視鏡は挿入できない

問97 国際放射線防護委員会〈ICRP〉2007 年勧告において組織加重係数が最も高い組織または臓器はどれか。

  1. 甲状腺
  2. 骨表面
  3. 生殖腺
  4. 唾液腺
  5. 乳房
解答・解説を見る

正解:5

ICRP 2007年勧告(Publication 103)の組織加重係数 wTw_T は次のとおりです。

wTw_T組織・臓器
0.12赤色骨髄・結腸・肺・胃・乳房・残りの組織
0.08生殖腺
0.04膀胱・食道・肝臓・甲状腺
0.01骨表面・脳・唾液腺・皮膚
  • 1甲状腺は 0.04。1990年勧告(Publication 60)から変更なしです。
  • 2骨表面は 0.01 で最も低い部類です。
  • 3生殖腺は 0.08。1990年勧告では 0.20 と最大でしたが、遺伝的影響のリスク評価が見直され、2007年勧告で大幅に引き下げられました。
  • 4唾液腺は 0.01。2007年勧告で新たに加えられた臓器です。
  • 5乳房が 0.12 で最も高い部類。1990年勧告では 0.05 でしたが、乳癌のリスクが高く評価され直し、0.12 へ大幅に引き上げられました。
  • 出題の要点は「1990年勧告からの変更点」です。生殖腺 0.20 → 0.08(引き下げ)/乳房 0.05 → 0.12(引き上げ) という2つの大きな変更が、この問題の狙いどころ。マンモグラフィの線量管理が重視される背景にもつながります。

問98 エックス線診療室の漏洩線量測定に最も適した放射線測定機器はどれか。

  1. エリアモニタ
  2. ホールボディカウンタ
  3. GM 管式サーベイメータ
  4. 電離箱式サーベイメータ
  5. ウェル型シンチレーションカウンタ
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正解:4

漏洩線量の測定では、「線量率(μSv/h)を、エネルギーによらず正確に測る」ことが求められます。

  • 1エリアモニタは据え置き型で常時監視する装置。放射線管理区域の空間線量率を常時記録する用途で、測定者が持ち歩いて壁の外側を測るものではありません。
  • 2ホールボディカウンタは体内の放射能を測る装置。内部被ばくの評価用で、漏洩線量には使えません。
  • 3GM管式サーベイメータは存在の検出(汚染の有無)には優れるが、エネルギー依存性が大きく、線量率を正確に測れません。計数率を表示するだけで、線量への換算は近似にすぎないためです。
  • 4電離箱式サーベイメータ。空気の実効原子番号が組織に近く、エネルギー依存性が小さいうえ、線量率に対する直線性も良好です。診断領域から治療領域まで幅広く使え、漏洩線量(X線・γ線の線量率)測定の標準とされています。
  • 5ウェル型シンチレーションカウンタは、試験管に入れた試料の放射能を測る装置。空間の線量率測定には使いません。
  • サーベイメータの使い分けを整理しておきましょう。電離箱式=線量率の正確な測定(漏洩線量・遮へい計算の検証)/GM管式=β線・γ線の存在検出(汚染検査)/シンチレーション式=低線量率のγ線を高感度で検出(汚染検査・環境測定)

問99 入射窓面積 15 cm² のサーベイメータで β 線源による表面汚染を測定したとき、総計数率は 3,620 cpm、バックグラウンド計数率は 20 cpm であった。表面汚染密度〈Bq/cm²〉はどれか。ただし、β 粒子に対する機器効率は 0.4、放射性表面汚染の線源計数効率は 0.5 とする。

  1. 3.0
  2. 2.0 × 10
  3. 1.8 × 10²
  4. 1.5 × 10³
  5. 10.8 × 10³
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正解:2

直接法による表面汚染密度は、次の式で求めます。

As=nnbεiεsWA_s=\frac{n-n_b}{\varepsilon_i\cdot\varepsilon_s\cdot W}

nn:総計数率、nbn_b:バックグラウンド計数率、εi\varepsilon_i:機器効率、εs\varepsilon_s:線源計数効率、WW:入射窓面積です。

① 正味計数率を求め、cps に直す

nnb=3,62020=3,600 cpm=3,60060=60 cpsn-n_b = 3{,}620-20=3{,}600\ \mathrm{cpm}=\frac{3{,}600}{60}=60\ \mathrm{cps}

② 分母をまとめる

0.4×0.5×15=3.00.4\times 0.5\times 15 = 3.0

③ 代入する

As=603.0=20 Bq/cm2=2.0×10 Bq/cm2A_s=\frac{60}{3.0}=20\ \mathrm{Bq/cm^2}=2.0\times 10\ \mathrm{Bq/cm^2}
  • 13.0 は分母の値そのもの。割り算をしていません。
  • 220 Bq/cm²
  • 31.8 × 10² は、バックグラウンドを引かずに別の処理をした場合などに出ます。
  • 41.5 × 10³ は cpm を cps に直し忘れたときに近い値(3,600/3.0 = 1,200)です。
  • 510.8 × 10³ は面積や効率の掛け方を誤った場合の値です。
  • 手順は毎回同じです。① バックグラウンドを引く ② 60で割って cps にする ③ 効率と面積で割る。表面汚染密度の法令上の限度は、α線放出核種で 4 Bq/cm²、それ以外で 40 Bq/cm²。今回の20 Bq/cm² はβ線源なので限度内、という判断まで問われることもあります。

問100 医療機器に組み込まれる安全対策で、誤った操作を事前に防止する仕組みはどれか。

  1. インシデントレポート
  2. インフォームドコンセント
  3. フールプルーフ
  4. フェイルセーフ
  5. リスクアセスメント
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正解:3

安全設計の2大概念を、区別して覚えます。

概念何を防ぐか医療機器での例
フールプルーフ人が誤った操作をしても、危険な状態にならないようにする(事前の防止)形の違うコネクタで誤接続を防ぐ、扉が閉まらないと照射できない、正しい手順を踏まないと次に進めない
フェイルセーフ機器が故障したときに、安全側で停止する(故障後の対応)停電時にX線が自動で遮断される、シャッターが自動で閉じる
  • 1インシデントレポートは、起こったヒヤリ・ハットを事後に報告して共有し、再発を防ぐしくみ。機器に組み込まれるものではありません。
  • 2インフォームドコンセントは、患者への説明と同意。安全設計の概念ではありません。
  • 3フールプルーフ。「うっかりミスをしても事故にならない」ように、設計の段階で誤操作そのものを不可能にする考え方です。設問の「誤った操作を事前に防止する仕組み」に正確に対応します。
  • 4フェイルセーフは「故障したときに安全側に倒れる」設計。誤操作ではなく故障への備えです。
  • 5リスクアセスメントは、危険を洗い出して評価する管理プロセス。機器に組み込まれる仕組みそのものではありません。
  • 見分け方は主語で決まります。人が間違える → フールプルーフ/機械が壊れる → フェイルセーフ。この一言で確実に区別できます。放射線部門では、インターロック(扉が閉まらないと照射できない)が代表的なフールプルーフの例です。

第74回の 午前の解答・解説 もあわせてご覧ください。

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