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過去問解説

第76回 診療放射線技師 国家試験(午前)解答・解説

問1 ホウ素中性子捕捉療法〈BNCT〉での治療時に用いられる核反応はどれか。

  1. (d,n)(d,n)
  2. (n,α)(n,\alpha)
  3. (n,γ)(n,\gamma)
  4. (n,p)(n,p)
  5. (p,d)(p,d)
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正解:2

  • BNCTは、腫瘍に取り込ませた 10^{10}B に熱中性子を当てて起こす反応を使う。

10B+n7Li+4He (α)^{10}\mathrm{B} + n \rightarrow {}^{7}\mathrm{Li} + {}^{4}\mathrm{He}\ (\alpha)

  • 1 ✗ (d,n)(d,n) は重陽子を当てて中性子を出す反応で、中性子源やPET用核種の製造に使う。
  • 2 ○ 中性子が入ってα粒子が出るので (n,α)(n,\alpha) 反応。生じたα粒子と 7^{7}Li の飛程は 5〜9 µm と細胞1個分しかないので、ホウ素を取り込んだがん細胞だけを壊せる。
  • 3 ✗ (n,γ)(n,\gamma) は中性子捕獲でγ線が出る反応。99^{99}Mo などの製造に使うが、γ線では細胞選択性が得られない。
  • 4 ✗ (n,p)(n,p) は中性子が入って陽子が出る反応。
  • 5 ✗ (p,d)(p,d) は陽子を当てて重陽子が出る反応。

問2 目的とする放射性核種の沈殿を防ぐために加えるのはどれか。

  1. 還元剤
  2. 共沈剤
  3. 捕集剤
  4. 保持担体
  5. スカベンジャ
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正解:4

  • 担体(キャリヤ)の使い分けを問う問題。「目的の核種を溶かしたままにしたい」のか「一緒に沈めたい」のかで名前が変わる。
  • 1 ✗ 還元剤は酸化数を下げる薬剤。99m^{99m}Tc の標識でスズ(Sn²⁺)を使うのがその例。
  • 2 ✗ 共沈剤は、微量の核種を担体と一緒に沈殿させて回収するために加える。目的が逆。
  • 3 ✗ 捕集剤(コレクタ)も、目的の核種を沈殿に取り込ませるために加えるもの。
  • 4 ○ 保持担体(ホールドバックキャリヤ)は、目的核種と同じ元素の安定同位体を大量に加えて、微量の核種が容器壁に吸着したり沈殿に巻き込まれたりするのを防ぐ。溶液中に保持しておくのが役目。
  • 5 ✗ スカベンジャは、目的以外の不純物を沈殿として一緒に除去するために加える。「掃除役」の意味。

問3 クロマトグラフィでカラムを必要としないのはどれか。

  1. ガスクロマトグラフィ
  2. 吸着クロマトグラフィ
  3. 薄層クロマトグラフィ
  4. 高速液体クロマトグラフィ
  5. イオン交換クロマトグラフィ
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正解:3

  • 1 ✗ ガスクロマトグラフィは細長いカラムに試料を流す。
  • 2 ✗ 吸着クロマトグラフィはカラム式・平面式の両方があるが、分離の原理(吸着の差)を指す言葉で、代表的にはカラムを用いる。
  • 3 ○ 薄層クロマトグラフィ(TLC)は、ガラス板やシートにシリカゲルなどを薄く塗った平面の上で分離する。管(カラム)は使わない。展開距離の比である Rf値で物質を同定する。核医学では放射化学的純度の検定に使われる。
  • 4 ✗ 高速液体クロマトグラフィ(HPLC)は、高圧でカラムに液体を流す。
  • 5 ✗ イオン交換クロマトグラフィもイオン交換樹脂を詰めたカラムを使う。99^{99}Mo−99m^{99m}Tc ジェネレータもこの原理。

問4 サイクロトロンによる荷電粒子線を用いる分析法はどれか。

  1. PIXE 法
  2. 直接希釈法
  3. 電気泳動法
  4. 不足当量法
  5. アクチバブルトレーサ法
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正解:1

  • 1 ○ PIXE 法(Particle Induced X-ray Emission、粒子励起X線放射分析)は、加速した陽子などを試料に当て、飛び出してくる特性X線を測って元素を調べる方法。荷電粒子を加速する装置が要るので、サイクロトロンを使う。
  • 2 ✗ 直接希釈法は、既知量の放射性物質を混ぜて薄まり具合から量を求める同位体希釈分析の一種。加速器は不要。
  • 3 ✗ 電気泳動法は電場でイオンを移動させて分離する。
  • 4 ✗ 不足当量法も同位体希釈分析の一種。
  • 5 ✗ アクチバブルトレーサ法は、安定同位体を目印に加えておき、あとから中性子で放射化して測る方法。使うのは原子炉の中性子。

問5 回転陽極X線管で陽極回転数を 2.5 倍、焦点軌道直径を 1.2 倍にしたとき、0.1 秒以下の短時間許容負荷の倍数で最も近いのはどれか。

  1. 1.4
  2. 1.7
  3. 2.0
  4. 2.4
  5. 3.0
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正解:2

  • 短時間許容負荷は、焦点軌道上の1点が単位時間に何回熱を受けるかで決まる。要するに「焦点が軌道上をどれだけ速く逃げていくか」なので、焦点軌道の周速度の平方根に比例する。

Pv=n×dP \propto \sqrt{v} = \sqrt{n \times d}

nn:回転数、dd:焦点軌道直径。周速度 v=πdnv = \pi d n なので、vvnndd の積に比例する)

  • 数値を入れる。

2.5×1.2=3.0=1.731.7\sqrt{2.5 \times 1.2} = \sqrt{3.0} = 1.73 \fallingdotseq 1.7

  • 平方根を取り忘れると 3.0(選択肢5)を選んでしまう。熱の拡散が時間の平方根で進むため、負荷も平方根で効いてくる、と覚えるとよい。

問6 回転陽極X線管を使用した骨撮影用X線装置の最大X線照射野と、焦点外X線による半影を図に示す。JIS規格の許容値内で、焦点外X線による半影が最大となるのはどれか。ただし、図中の単位は cm、実線を最大X線照射野、破線を焦点外X線による半影とする。

問6の図(出典:厚生労働省)
  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E
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正解:3

  • 焦点外X線の広がりは、焦点受像面間距離(SID)に対する割合で見るのが基本。距離が違うものを cm のまま比べても意味がないためである。
  • 各図の「半影の幅 ÷ SID」を計算すると次のようになる。
SID半影半影 ÷ SID
A10088.0%
B1001010.0%
C1001414.0%
D150106.7%
E150138.7%
  • 1・2 ✗ A(8%)・B(10%)は C より小さい。
  • 3 ○ C が 14%で最大。許容値の範囲に収まっているもののうち、半影が最も大きい。
  • 4・5 ✗ D・E は半影の cm の数値こそ 10・13 と大きめだが、SID が 150 と長いぶん割合は小さくなり、6.7%・8.7%にとどまる。cm の値だけを見て E を選ばないことがこの問題の要点。

問7 JIS で規定する直接撮影用X線装置の不変性試験で誤っているのはどれか。

  1. 誤動作が疑われるときに不変性試験を行う。
  2. 不変性試験の基礎値は受入試験時に設定する。
  3. 最初の不変性試験は受入試験の 6 か月後に行う。
  4. 不変性試験の結果は少なくとも 2 年間保存する。
  5. 試験対象になる性能パラメータに影響する保守を行った直後に不変性試験を行う。
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正解:2・3(正答値表で 2 と 3 の両方が正答とされた)

  • 不変性試験は「基準の状態から変わっていないか」を確かめる試験。したがって、まず基準(基礎値)を決めることが出発点になる。
  • 1 正しい 誤動作が疑われるときは、定期の時期を待たずに実施する。
  • 2 — 基礎値は受入試験のとき、または受入試験の直後に設定する。「受入試験時」という表現の当否が分かれたため、正答値表では 2 も正答として扱われた。
  • 3 誤り 最初の不変性試験は、基礎値を決めるのと同時(受入試験の直後)に行う。6 か月も空けてしまっては、その間に変化があっても気づけない。
  • 4 正しい 結果は少なくとも 2 年間保存する。
  • 5 正しい 性能に影響する保守(管球交換など)の直後は、値が変わっている可能性があるので必ず実施する。
  • ※本問は「1つ選べ」だったが、正答値表で 2 と 3 の両方が正答として扱われた。

問8 JIS で規定する透視用X線装置の基本性能で正しいのはどれか。

  1. 圧迫筒の圧迫の強さは 20 N を超えてはならない。
  2. 150 kg の負荷質量で正常に動作しなければならない。
  3. 通常透視の最大空気カーマ率は 50 mGy・min⁻¹ である。
  4. 装置が 3 秒以上発する騒音は 50 dB を超えてはいけない。
  5. 透視用積算タイマは透視時間が 10 分を超えた時点で警告音を発しなければならない。
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正解:3

  • 1 ✗ 圧迫筒の圧迫の強さの上限は 100 N。20 N では弱すぎて透視ができない。
  • 2 ✗ 規定されている負荷質量は 135 kg
  • 3 ○ 通常透視モードの空気カーマ率の上限は 50 mGy/min。患者の皮膚障害を防ぐための上限で、これを超えられるのは「高線量率透視モード」に限られる(その場合は警告表示が必要)。
  • 4 ✗ 騒音の規定値として 50 dB という値は定められていない。
  • 5 ✗ 透視用積算タイマの警告は 5 分。10分では遅すぎる。

問9 散乱線除去用グリッドで正しいのはどれか。

  1. グリッド露出係数は一次X線透過率の逆数で表される。
  2. 同一グリッドにおいては管電圧が高いほど選択度は大きい。
  3. グリッド密度はグリッド中心部の 1 mm 当たりの鉛はくの数で表す。
  4. 同一グリッドにおいては管電圧が高いほどコントラスト改善比は大きい。
  5. グリッド密度が同じであればグリッド比が大きいほどグリッド露出係数は大きい。
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正解:5

  • 1 ✗ グリッド露出係数は「グリッドを入れる前後で、同じ濃度を得るのに必要な線量の比」なので、全放射線透過率の逆数にあたる。一次線だけの透過率ではない。
  • 2 ✗ 管電圧が高いほど散乱線が増え、その方向も前方寄りになってグリッドをすり抜けやすい。よって選択度は小さくなる
  • 3 ✗ グリッド密度は 1 cm 当たりのはくの本数(本/cm)。mm ではない。
  • 4 ✗ 2 と同じ理由で、管電圧が高いほどコントラスト改善比は小さくなる
  • 5 ○ グリッド比 = はくの高さ ÷ はくの間隔。比が大きいほど深いトンネルになるので散乱線をよく除去できるが、一次線も余分に削られる。その分だけ露出を増やす必要があるので、グリッド露出係数(ブッキーファクタ)は大きくなる

問10 X線エネルギー 40 keV のときに比べ 70 keV のとき、CT値が増加するのはどれか。

  1. 筋肉
  2. 脂肪
  3. 脳白質
  4. 脳灰白質
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正解:3

  • CT値は水を基準(0 HU)にした相対値である点が鍵。

CT=μμwaterμwater×1000\mathrm{CT値} = \frac{\mu - \mu_{water}}{\mu_{water}} \times 1000

  • エネルギーが上がると光電効果が減り、実効原子番号の差が効きにくくなる。つまりどの組織も水の値に近づいていく
  • 1 ✗ 水は定義上つねに 0 HU。エネルギーが変わっても増減しない。
  • 2・4・5 ✗ 筋肉・脳白質・脳灰白質はいずれも水より CT値が高い(プラス)。水に近づく=0 に向かって下がる=減少する。
  • 3 ○ 脂肪は水より CT値が低い(マイナス)。水に近づく=0 に近づく=値としては増加する。
  • ポイントは「水に近づく」という向きを、プラス側とマイナス側で分けて考えること。マイナス側の脂肪だけが「増加」になる。

問11 胸部CTの線量が DRL を超えていた。検査条件見直しで適切なのはどれか。

  1. 管電流を上げる。
  2. 撮影範囲を拡大する。
  3. 自動露出機構の目標 SD を上げる。
  4. 空間分解能の高い再構成関数に変更する。
  5. 再構成法を逐次近似法から FBP 法に変更する。
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正解:3

  • DRL(診断参考レベル)を超えている=線量を下げる方向の見直しが必要。
  • 1 ✗ 管電流を上げれば線量は増える。逆効果。
  • 2 ✗ 撮影範囲を広げれば DLP が増える。
  • 3 ○ 目標 SD(standard deviation)は「どこまでのノイズを許すか」の設定値。上げる=ノイズを許容する=線量を減らせる。CTの自動露出機構では最も直接的な線量低減策になる。
  • 4 ✗ 空間分解能の高い(シャープな)再構成関数はノイズも強調するため、同じ画質を保つにはむしろ線量を増やす必要がある。
  • 5 ✗ 向きが逆。逐次近似法はノイズを減らせるので低線量化に使える。FBP に戻すのは線量を増やす方向。

問12 MRI で正しいのはどれか。

  1. T2 緩和時間は T2*緩和時間より短い。
  2. 水の T1 緩和時間は筋肉の T1 緩和時間より長い。
  3. 筋肉の T1 緩和時間は脂肪の T1 緩和時間より短い。
  4. ガドリニウム造影剤は T2 緩和時間に影響を与えない。
  5. 静磁場強度が大きいほど Larmor〈ラーモア〉周波数は低くなる。
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正解:2

  • 1 ✗ 逆。1T2=1T2+γΔB0\dfrac{1}{T2^*} = \dfrac{1}{T2} + \gamma \Delta B_0 なので、磁場の不均一のぶんだけ T2* は T2 より短い
  • 2 ○ T1 は分子運動の速さで決まる。水の分子は身軽すぎて動きが速く、周囲にエネルギーを渡しにくいので T1 が長い(数千 ms)。筋肉は数百〜千 ms 程度。
  • 3 ✗ 脂肪は分子運動の速さがちょうど共鳴に近く、T1 が最も短い(約 250 ms)。だから T1 強調像で真っ白に写る。筋肉のほうが長い。
  • 4 ✗ ガドリニウムは主に T1 を短縮するが、T2 も短縮する。高濃度になると T2 短縮が効いて、かえって信号が落ちることがある。
  • 5 ✗ 逆。f0=γB0f_0 = \gamma B_0 なので、静磁場が強いほどラーモア周波数は高くなる(1.5 T で約 64 MHz、3 T で約 128 MHz)。

問13 超音波の性質で正しいのはどれか。

  1. 生体内を主に横波で伝播する。
  2. 波長が長いほど指向性が向上する。
  3. 伝播速度は媒質の密度に関係しない。
  4. 周波数が高いほど深部に到達しにくくなる。
  5. 検査で用いる周波数はおよそ 100 kHz である。
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正解:4

  • 1 ✗ 生体の軟部組織は液体に近く、ずれに対する復元力がないので縦波(疎密波)しか伝わらない。横波が伝わるのは骨などの固体。
  • 2 ✗ 逆。指向性は波長が短い(周波数が高い)ほど鋭くなる。ビームが細く絞れる。
  • 3 ✗ 音速は c=K/ρc = \sqrt{K/\rho}KK:体積弾性率、ρ\rho:密度)で決まり、密度に関係する
  • 4 ○ 減衰は周波数に比例する(生体でおよそ 0.5 dB/(cm・MHz))。だから高い周波数ほど浅いところしか見えない。分解能と到達深度はつねにトレードオフになる。
  • 5 ✗ 検査で使うのは 3〜12 MHz 程度。100 kHz では波長が長すぎて分解能が出ない。

問14 超音波検査のアーチファクトと関連事項の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 折り返し ── パワードプラ法
  2. 音響陰影 ── 囊胞
  3. 鏡面効果 ── 横隔膜
  4. 多重反射 ── コメット様エコー
  5. サイドローブ ── 脂肪肝
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正解:3・4

  • 1 ✗ 折り返し(エイリアシング)が起こるのはパルスドプラ法とカラードプラ法。パワードプラ法は速度ではなく信号の強さを表示するので、折り返しが起こらないのが利点である。
  • 2 ✗ 音響陰影は結石や石灰化など強く反射・吸収するものの後ろにできる。囊胞は液体なので逆に後方エコーが増強する。
  • 3 ○ 横隔膜は強い反射面なので、その向こう側に肝臓の虚像(ミラーイメージ)が写る。鏡面効果の代表例。
  • 4 ○ プローブと強い反射体の間で超音波が往復して、尾を引くように見えるのがコメット様エコー。多重反射の一種で、胆囊壁の壁在結石などで見られる。
  • 5 ✗ サイドローブは、ビームの主軸の外に漏れた弱い超音波が拾った像。脂肪肝とは関係がない。脂肪肝で見られるのは深部エコー減衰や肝腎コントラストの増強。

問15 MRCP で高信号に描出されるのはどれか。

  1. 門脈
  2. 肝囊胞
  3. 膵実質
  4. 総胆管結石
  5. 腸間膜脂肪
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正解:2

  • MRCPは T2 を非常に強調して(重いT2)、止まっている水だけを白く写す撮影法。したがって「動かない水の塊」が答えになる。
  • 1 ✗ 門脈は流れている血液なので、信号を失って(flow void)黒く写る。
  • 2 ○ 肝囊胞は動かない水そのもの。胆汁や膵液と同じく高信号に描出される。
  • 3 ✗ 膵実質は水ではない。低〜中等度の信号にとどまる。
  • 4 ✗ 結石は水を押しのけている塊なので、白い胆汁の中に黒い抜け(信号欠損)として写る。これがMRCPで結石を見つける手がかり。
  • 5 ✗ 脂肪は重いT2では相対的に信号が低く、さらに脂肪抑制を併用するので描出されない。

問16 MRI の脂肪抑制法で正しいのはどれか。

  1. CHESS 法は T1 値の影響を受ける。
  2. STIR 法は周波数選択的に脂肪信号を抑制する。
  3. CHESS 法では最初に 180 度の RF パルスを印加する。
  4. Dixon 法は in‑phase における脂肪抑制効果を利用する。
  5. STIR 法は CHESS 法より磁場の不均一性の影響を受けにくい。
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正解:5

  • 2つの方法の原理の違いを押さえる。CHESS 法=脂肪と水の「周波数の差」を使うSTIR 法=脂肪の「T1 が短い」ことを使う
  • 1 ✗ CHESS が使うのは周波数(化学シフト)で、T1 値は関係しない。T1 の影響を受けるのは STIR のほう。
  • 2 ✗ 周波数選択的なのは CHESS 法。STIR は反転回復で T1 の差を使う。1・2・3 は CHESS と STIR が入れ替わっている。
  • 3 ✗ 最初に 180 度反転パルスを打つのは STIR 法。CHESS は脂肪の周波数だけを狙った 90 度パルスを打ち、その横磁化をつぶす。
  • 4 ✗ Dixon 法は in‑phase(同位相)と opposed‑phase(逆位相)の 2 つの画像を撮り、その足し算・引き算で水画像と脂肪画像に分ける。in‑phase だけでは分離できない。
  • 5 ○ STIR は周波数を見ていないので、磁場が多少不均一でも均一に脂肪を消せる。広い範囲や体の端、金属のある場所でも安定するのが利点。

問17 MRI の化学シフトアーチファクトが軽減されるのはどれか。

  1. 加算回数を増やす。
  2. 脂肪信号を抑制する。
  3. 受信バンド幅を狭くする。
  4. 周波数エンコード数を増やす。
  5. 静磁場強度が高い装置を使用する。
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正解:2

  • 化学シフトアーチファクトは、水と脂肪の共鳴周波数の差(3.5 ppm)を装置が「位置の違い」と誤解することで、脂肪と水の境界が周波数方向にずれて写る現象。
  • 1 ✗ 加算回数はSNRを上げるだけで、位置のずれには効かない。
  • 2 ○ そもそも脂肪の信号を消してしまえば、ずれる相手がいなくなる。最も確実な対策。
  • 3 ✗ 逆。バンド幅を広げるとずれが小さくなる(1画素あたりの周波数幅が大きくなるため)。狭めると悪化する。ただしSNRは下がる。
  • 4 ✗ 周波数エンコード数(マトリクス)を増やしても、画素あたりの周波数幅は変わらないので改善しない。
  • 5 ✗ 逆。周波数の差は静磁場に比例して開くので、3 T では 1.5 T の 2 倍ずれる。高磁場ほど目立つ。

問18 超音波検査で、臓器と走査法の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 膵臓 ── 心窩部横走査
  2. 胆囊 ── 左季肋部縦走査
  3. 脾臓 ── 左肋間走査
  4. 肝臓 S2 ── 右肋間走査
  5. 肝臓 S5 ── 心窩部縦走査
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正解:1・3

  • 1 ○ 膵臓は胃の裏で横向きに寝ている臓器。心窩部(みぞおち)から横に当てれば、頭部から尾部まで長軸方向に一度に描出できる。
  • 2 ✗ 胆囊は季肋部にある。左ではない。
  • 3 ○ 脾臓は左の背側で肋骨の陰に隠れているので、肋骨の隙間から(肋間走査)のぞくのが定石。
  • 4 ✗ 肝臓 S2(外側区域上部)は左葉にあるので、心窩部から見る。右肋間走査で見えるのは右葉(S5〜S8)。
  • 5 ✗ 肝臓 S5 は右葉の前下部。心窩部縦走査では届かない。

問19 無散瞳眼底写真撮影で正しいのはどれか。

  1. 白黒画像が得られる。
  2. 撮影は縮瞳させた状態で行う。
  3. 色覚異常の診断に有用である。
  4. 視神経乳頭は黄斑部より鼻側に位置する。
  5. ピント合わせの照明に紫外線を使用する。
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正解:4

  • 1 ✗ カラー画像が得られる。出血や滲出斑を色で判断するため、カラーであることが重要。
  • 2 ✗ 逆。暗い部屋で自然に散瞳するのを利用する。縮瞳させては撮影できない。
  • 3 ✗ 色覚異常は網膜の錐体細胞の機能の問題で、眼底写真には写らない。石原表などの検査で調べる。
  • 4 ○ 眼底写真では、視神経乳頭が鼻側、黄斑部が耳側(外側)に写る。乳頭は明るい円形、黄斑は暗い部分として見分けられる。左右どちらの眼かも、この位置関係で判断する。
  • 5 ✗ 観察・ピント合わせに使うのは赤外線。紫外線は目に有害で使えない。

問20 心臓MRIの四腔像が示されている。矢印で示す構造と直接交通している血管はどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.1 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 肺静脈
  2. 下大静脈
  3. 肺動脈幹
  4. 腕頭静脈
  5. 上行大動脈
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正解:3

  • 四腔像には4つの腔がすべて写る。矢印が指しているのは右心室である。見分け方は次のとおり。
  • 右心室は胸骨の直下(前方)にあり、内側が肉柱(beam の凹凸)で粗く調節帯(moderator band)という索状構造が横切る。壁は左心室より薄い。
  • 左心室は後方・左寄りで、壁が厚く(右室の約3倍)内腔が滑らか
  • 1 ✗ 肺静脈が流れ込むのは左心房
  • 2 ✗ 下大静脈が入るのは右心房
  • 3 ○ 右心室の出口が肺動脈幹。間にあるのは肺動脈弁だけで、直接つながっている。
  • 4 ✗ 腕頭静脈は上大静脈に合流する頸部の静脈で、心臓の腔とは直接つながらない。
  • 5 ✗ 上行大動脈は左心室の出口。

問21 腹部MRIのT2強調像が示されている。多房性の腫瘤が存在する臓器はどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.2 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 肝臓
  2. 腎臓
  3. 膵臓
  4. 大腸
  5. 脾臓
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正解:3

  • 腹部の横断像で、臓器の位置関係から絞り込む。膵臓は胃の裏側を横に走り、脾静脈が背側に沿うのが目印になる。
  • 1 ✗ 肝臓は右上腹部を大きく占める。単純性囊胞なら隔壁のない単房性になる。
  • 2 ✗ 腎臓は後腹膜の左右にあり、脊椎の両脇に位置する。
  • 3 ○ 膵臓に生じる多房性(ぶどうの房状)の囊胞性腫瘤は、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)や粘液性囊胞腫瘍の典型像。T2強調で内部の粘液が高信号を示し、隔壁で仕切られて見える。
  • 4 ✗ 大腸は腹部の辺縁を取り囲むように走る管腔臓器。
  • 5 ✗ 脾臓は左上腹部の背側にある。

問22 腹部MRIのT2強調像が示されている。矢印で示すのはどれか。

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  1. 脾臓
  2. 脾静脈
  3. 左副腎
  4. 腹腔動脈
  5. 左横隔膜脚
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正解:3

  • 上腹部の横断像で、腎臓の上・大動脈の外側・横隔膜脚の前にある小さな構造を探す。
  • 1 ✗ 脾臓は左の外側にある大きな実質臓器。矢印の指す小さな構造とは大きさが違う。
  • 2 ✗ 脾静脈は膵臓の背側を横走する管状の構造で、連続を追えば脾門部へ向かう。
  • 3 ○ 左副腎は「逆Y字」または「への字」の形をした薄い構造で、左腎の上極の前内側にある。周囲の脂肪に囲まれているので境界がはっきりする。
  • 4 ✗ 腹腔動脈は大動脈から前方へ分岐する太い枝。
  • 5 ✗ 左横隔膜脚は、大動脈の両脇を縦に走る細い筋の帯。副腎はその前にある。

問23 頸部超音波像が示されている。総頸動脈はどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.4 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

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正解:2

  • 頸部横断の超音波像では、浅いほうから 皮膚 → 胸鎖乳突筋 → 頸静脈・総頸動脈 → 甲状腺・気管 の順に並ぶ。
  • 総頸動脈を見分けるポイントは次の3つ。
  • ① 形:内圧が高いのでまん丸を保つ。内頸静脈はつぶれて不整形になりやすい。
  • ② 位置:内頸静脈の内側(気管寄り)にある。
  • ③ 拍動:拍動があり、壁が厚く、内膜中膜複合体(IMT)の層構造が見える。プローブで軽く押してもつぶれない(静脈は簡単につぶれる)。
  • 2 ○ これらの特徴に合うのがイ。

問24 脂肪肝の超音波像で誤っているのはどれか。

  1. 肝表面の凹凸不整
  2. 深部のエコー減衰
  3. 肝内血管の不明瞭化
  4. 肝腎コントラストの増強
  5. 肝実質のエコー輝度の上昇
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正解:1

  • 脂肪肝は、肝細胞に脂肪がたまった状態。肝臓の形そのものは変わらないのがポイントである。
  • 1 誤り 肝表面の凹凸不整は肝硬変の所見。線維化と再生結節によって表面がでこぼこになる。脂肪肝では表面は滑らかなまま。
  • 2 正しい 脂肪で超音波が減衰し、深部が見えにくくなる。
  • 3 正しい 肝実質が全体に明るくなるため、血管の壁とのコントラストが失われて見えにくくなる。
  • 4 正しい 肝臓だけが明るくなり、隣の腎臓との明暗差がはっきりする(bright liver)。脂肪肝の診断で最も重要な所見。
  • 5 正しい 脂肪と肝細胞の境界が増えて反射が強くなり、輝度が上がる。

問25 放射性医薬品と集積機序の組合せで誤っているのはどれか。

  1. 67^{67}Ga−クエン酸ガリウム ── トランスフェリン受容体
  2. 99m^{99m}Tc−GSA ── アシアロ糖タンパク受容体
  3. 99m^{99m}Tc−HMDP ── ハイドロキシアパタイト
  4. 123^{123}I−イオフルパン ── ドパミントランスポータ
  5. 123^{123}I−IMP ── 中枢性ベンゾジアゼピン受容体
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正解:5

  • 1 正しい Ga はトランスフェリンと結合し、腫瘍や炎症巣のトランスフェリン受容体を介して集積する。
  • 2 正しい GSA は肝細胞のアシアロ糖タンパク受容体に結合する。だから肝細胞の「数と働き」を反映する。
  • 3 正しい HMDP(リン酸化合物)は骨のハイドロキシアパタイトに吸着する。
  • 4 正しい イオフルパンは線条体のドパミントランスポータに結合する。パーキンソン病やレビー小体型認知症の診断に使う。
  • 5 誤り IMP は脳血流製剤で、受容体に結合するのではなく、血流に乗って脳に運ばれ拡散して肺や脳に取り込まれる。中枢性ベンゾジアゼピン受容体に結合するのは 123^{123}I−イオマゼニル

問26 放射性医薬品投与による副作用で誤っているのはどれか。

  1. 223^{223}RaCl2_2 投与後に下痢が起こる。
  2. 99m^{99m}Tc−MIBI 投与時に金属味がする。
  3. 主に標識化合物による薬理作用である。
  4. 131^{131}I−アドステロール投与時に顔面紅潮が起こる。
  5. 投与時に発生する副作用は血管迷走神経反射が多い。
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正解:3

  • 1 正しい 223^{223}RaCl2_2 は一部が腸管から排泄されるため、下痢・悪心が起こりうる。
  • 2 正しい MIBI の投与直後に一過性の金属味・苦味を訴えることがある。
  • 3 誤り 放射性医薬品はごく微量(トレーサ量)しか投与しないので、薬理作用が出るような量ではない。副作用の多くは血管迷走神経反射(緊張による気分不良)や、添加物・溶媒による反応である。ここが一般の医薬品と決定的に違う点。
  • 4 正しい アドステロールは溶媒に界面活性剤を含むため、顔面紅潮などが起こりうる。
  • 5 正しい 放射性医薬品の副作用として最も多いのが血管迷走神経反射。頻度自体は一般の医薬品よりはるかに低い。

問27 ガンマカメラの平行多孔型コリメータで正しいのはどれか。

  1. 穴径が小さいほど感度が高い。
  2. 穴径が大きいほど空間分解能が高い。
  3. コリメータの穴の長さが長いほど空間分解能が低い。
  4. コリメータ隔壁厚が薄いほどペネトレーションを起こしやすい。
  5. 高エネルギー型では低エネルギー型よりコリメータ隔壁厚が薄い。
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正解:4

  • コリメータは「まっすぐ来たγ線だけを通す」ための鉛の関所。感度と分解能はつねに逆方向に動く。
  • 1 ✗ 逆。穴が小さいほど通れるγ線が減るので感度は低下する(代わりに分解能は上がる)。
  • 2 ✗ 逆。穴が大きいと斜めのγ線まで通ってしまい、分解能は低下する。
  • 3 ✗ 逆。穴が長い(=深いトンネル)ほど、まっすぐなγ線しか通れないので分解能は高くなる(代わりに感度は下がる)。
  • 4 ○ 隔壁(セプタ)が薄いと、斜めに入ったγ線が鉛を突き抜けてしまう。これがペネトレーション(隔壁透過)で、画像がぼやける原因になる。
  • 5 ✗ 逆。高エネルギーのγ線ほど鉛を突き抜けやすいので、高エネルギー型ほど隔壁は厚くなる。そのぶん穴の数が減り、感度は下がる。

問28 PET の空間分解能で正しいのはどれか。

  1. 陽電子の飛程が長いと高い。
  2. ガントリ径が大きいほど高い。
  3. 3D 収集では 2D 収集より高い。
  4. シンチレータが小さいほど高い。
  5. 視野中心より視野辺縁の方が高い。
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正解:4

  • 1 ✗ 逆。陽電子は放出されてから少し飛んでから消滅するので、飛程が長いほど「元の位置」からずれ、分解能は低下する。18^{18}F の飛程が短いことがPETで好まれる理由のひとつ。
  • 2 ✗ 逆。ガントリ径が大きいほど、消滅放射線の非共線性(180°からのわずかなずれ)による位置誤差が拡大し、分解能は低下する。
  • 3 ✗ 3D収集は隔壁を外して感度を上げる方式。分解能そのものは変わらず、散乱線が増える。
  • 4 ○ PET の位置決めは「どの検出器素子に当たったか」で行う。素子が小さいほど位置を細かく特定できるので、分解能が上がる。これが最も本質的な決定因子。
  • 5 ✗ 逆。視野の辺縁では、γ線が検出器へ斜めに入って深さ方向の位置が不確かになる(parallax error)ため、分解能は低下する。

問29 算出にダイナミック収集が必要な指標はどれか。

  1. 18^{18}F−FDG を用いた SUV
  2. 99m^{99m}Tc−GSA を用いた LHL15
  3. 99m^{99m}Tc−MAA を用いた右左シャント率
  4. 123^{123}I−イオフルパンを用いた specific binding ratio〈SBR〉
  5. 123^{123}I−MIBG を用いた H/M
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正解:2

  • ダイナミック収集=時間を追って連続で撮り、時間放射能曲線を描くこと。「◯分後の値」が定義に入っている指標は、その時刻のデータが要る。
  • 1 ✗ SUV は投与から約60分後に1回撮るだけ(スタティック)で算出できる。
  • 2 ○ LHL15 は「投与15分後の肝と心臓のカウント比」。15分という時刻を特定するため、投与直後から連続して撮る必要がある。
  • 3 ✗ 右左シャント率は、肺と全身の集積を1回撮って比べればよい。
  • 4 ✗ SBR も投与3〜6時間後に1回撮るだけ。線条体と背景の比を出す。
  • 5 ✗ H/M(心縦隔比)も早期像・後期像をそれぞれ1回ずつ撮ればよい。2時点で撮ることと、連続的に追うダイナミック収集とは別物である。

問30 SPECT による局所脳血流定量で正しいのはどれか。

  1. 定量値は灰白質より白質が高い。
  2. 123^{123}I−IMP を用いた定量法はない。
  3. アセタゾラミド負荷により定量値は低下する。
  4. 部分容積効果により定量値は過小評価される。
  5. パトラックプロット法では動脈採血を必要とする。
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正解:4

  • 1 ✗ 逆。血流は灰白質のほうが白質より 3〜4 倍多い
  • 2 ✗ IMP を用いた定量法は複数ある(オートラジオグラフィ法、マイクロスフェア法など)。
  • 3 ✗ 逆。アセタゾラミド(ダイアモックス)は血管を広げる薬なので、正常部位では血流が増加する。増えない領域を探して、血管予備能の低下を評価するのが目的。
  • 4 ○ 部分容積効果は、対象が装置の分解能(1〜2 cm)より小さいとき、周囲の低い値と平均されて実際より低く見積もられる現象。大脳皮質は薄いリボン状なので影響を受けやすい。
  • 5 ✗ パトラックプロット法は、大動脈弓部などのカウントを入力関数に使えるので動脈採血が不要。これが臨床で使いやすい理由である。

問31 99m^{99m}Tc−MAA の粒子径[µm]はどの程度か。

  1. 0.03
  2. 0.3
  3. 3
  4. 30
  5. 300
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正解:4

  • MAA(大凝集人血清アルブミン)は、肺の毛細血管に引っかかって止まることで肺血流を画像化する。だから粒子径は「毛細血管より少し大きい」必要がある。
  • 1・2・3 ✗ 小さすぎて毛細血管をすり抜けてしまい、肺に止まらない。
  • 4 ○ 10〜50 µm(およそ 30 µm)。肺毛細血管の径が 7〜10 µm なので、確実に引っかかる大きさ。ただし詰まるのは肺毛細血管全体のごく一部(0.1%以下)なので、循環への影響はない。
  • 5 ✗ 300 µm では大きすぎて、肺に届く前に太い血管を塞いでしまう危険がある。

問32 吸入させる放射性医薬品はどれか。

  1. 81m^{81m}Kr
  2. 99m^{99m}Tc−GSA
  3. 111^{111}In−DTPA
  4. Na123^{123}I
  5. 131^{131}I−アドステロール
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正解:1

  • 1 ○ 81m^{81m}Kr は希ガス。吸ってもらって肺の換気を画像化する。半減期が 13 秒と極端に短いため、吸い続けている間だけ肺に分布し、被ばくも少ない。血流の 99m^{99m}Tc−MAA と組み合わせて、換気/血流ミスマッチ(肺塞栓症)を診断する。
  • 2 ✗ GSA は静注して肝機能を見る。
  • 3 ✗ 111^{111}In−DTPA は髄腔内に投与して脳槽シンチに使う。
  • 4 ✗ Na123^{123}I は経口または静注で、甲状腺に集める。
  • 5 ✗ アドステロールは静注して副腎皮質に集める。

問33 心臓核医学検査で正しいのはどれか。

  1. 99m^{99m}Tc−MIBI は急性心筋梗塞巣に集積する。
  2. 201^{201}TlCl は受動拡散によって心筋に取り込まれる。
  3. 123^{123}I−MIBG は心筋の脂肪酸代謝を画像化している。
  4. 99m^{99m}Tc−テトロホスミンは狭心症の診断に用いられる。
  5. 123^{123}I−BMIPP は心筋の交感神経活性を画像化している。
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正解:4

  • 1 ✗ 血流製剤なので、血流が途絶えた梗塞巣は集積しない(欠損になる)。梗塞巣に集まる(ホットスポットになる)のは 99m^{99m}Tc−ピロリン酸。
  • 2 ✗ 201^{201}Tl はカリウムに似た挙動をし、Na-K ATPase(能動輸送)で心筋細胞に取り込まれる。受動拡散ではない。
  • 3 ✗ MIBG が見るのは交感神経の活性(ノルアドレナリンの類似体)。5 と入れ替わっている。
  • 4 ○ テトロホスミンは MIBI と同じ心筋血流製剤。運動や薬剤で負荷をかけて撮り、安静時と比べて血流が足りない領域(虚血)を探す。これが狭心症の診断法。
  • 5 ✗ BMIPP が見るのは脂肪酸代謝。3 と入れ替わっている。心筋のエネルギー源が主に脂肪酸であることを利用する。

問34 Basedow〈バセドウ〉病の 131^{131}I 核医学治療で、Quimby〈クインビー〉の式による投与量決定に必要ないのはどれか。

  1. 有効半減期
  2. 24 時間摂取率
  3. 甲状腺吸収線量
  4. 甲状腺推定重量
  5. 甲状腺ホルモン値
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正解:5

  • クインビーの式は「目標の吸収線量を出すには何 MBq 入れればよいか」を求める式。考え方は次のとおり。

投与量甲状腺吸収線量×甲状腺重量24時間摂取率×有効半減期\text{投与量} \propto \frac{\text{甲状腺吸収線量} \times \text{甲状腺重量}}{\text{24時間摂取率} \times \text{有効半減期}}

  • 1 ✗ ヨウ素が甲状腺にどれだけの時間とどまるかを表し、線量に直結する。
  • 2 ✗ 投与したうちどれだけが甲状腺に集まるかの割合。
  • 3 ✗ これが目標値(分子)。
  • 4 ✗ 同じ放射能でも腺が大きければ線量は薄まるので必要。
  • 5 ○(これが答え) 甲状腺ホルモン値は診断や治療効果の判定に使う血液検査で、線量計算には入らない。式に現れないものを選ぶ問題。

問35 放射線治療で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 腎臓は直列臓器である。
  2. 術後予防照射の場合、肉眼的腫瘍体積は定義できない。
  3. 計画標的体積には照射中の体内の動きは考慮されていない。
  4. セットアップマージンはリニアック装置が同じものであれば共通である。
  5. 線量体積ヒストグラムにおける Dmax とは、その臓器が被ばくする最大線量である。
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正解:2・5

  • 1 ✗ 腎臓は並列臓器。左右2つあり、片方が働かなくてももう片方で代償できる。直列臓器の代表は脊髄で、1か所でも切れれば下位すべてが麻痺する。
  • 2 ○ GTV(肉眼的腫瘍体積)は「目に見える腫瘍」のこと。術後は腫瘍を取り切っているので、定義しようがない。この場合は CTV(顕微鏡的な広がり)から計画を始める。
  • 3 ✗ PTV = CTV + IM(内的マージン) + SM。IM がまさに呼吸などの体内の動きを吸収するためのもの。
  • 4 ✗ SM は装置だけでなく、部位・固定具・位置照合の方法・施設の精度によって変わる。施設ごとに実測して決めるべきもの。
  • 5 ○ Dmax の定義そのもの。脊髄など、1点でも超えてはいけない臓器の評価に使う。

問36 乳癌に対する放射線治療で正しいのはどれか。

  1. 外部放射線治療における軽症の急性期放射線皮膚炎に対して抗生剤を使用する。
  2. 乳房部分切除術後の予防的放射線治療では健側の全乳房を照射範囲に含める。
  3. 乳房全切除術後の予防的外部放射線治療における投与線量は、1 回 2 Gy で総線量 40 Gy である。
  4. 腋窩リンパ節転移が 4 つ以上ある症例において、術後外部放射線治療で領域リンパ節(鎖骨上)を含める。
  5. 乳房部分切除術後に対する予防的外部放射線治療における投与線量は、1 回 2 Gy で総線量 40 Gy である。
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正解:4

  • 1 ✗ 軽症の皮膚炎は感染ではないので、抗生剤は不要。保湿と刺激を避けることで対応する。
  • 2 ✗ 健側(反対側)は照射しない。無用な被ばくを与えるだけで、対側乳癌の予防にもならない。
  • 3 ✗ 乳房全切除後は 1 回 2 Gy × 25 回=50 Gy が標準。
  • 4 ○ 腋窩リンパ節転移が 4 個以上あると鎖骨上リンパ節への再発リスクが高いため、照射範囲に含めるのが標準。転移の個数が判断基準になる。
  • 5 ✗ 乳房部分切除後の全乳房照射も 50 Gy/25 回 が標準(近年は 42.5 Gy/16 回などの寡分割も広く行われる)。40 Gy/20 回ではない。

問37 粒子線治療用シンクロトロンのリング内で、ビームが進行方向に加速を受ける箇所の数で正しいのはどれか。

  1. 0
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 5
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正解:2

  • シンクロトロンは、粒子を同じ円軌道の上で何周も回しながら少しずつ加速する装置。役割分担がはっきりしている。
  • 加速:リング内に 1 か所だけ置かれた高周波加速空胴(RF キャビティ)が担当する。周回するたびにここを通り、そのつど少しずつエネルギーをもらう。
  • 曲げる:偏向電磁石(複数)。
  • 絞る:四極電磁石(複数)。
  • 2 ○ したがって加速箇所は 1 か所。1周ごとに何度も通ることで、最終的に高エネルギーに達する。
  • 参考:サイクロトロンではディー電極の隙間(2 か所)を通るたびに加速される。装置による違いを対比して覚えるとよい。

問38 画像誘導放射線治療のコーンビーム CT システムの精度管理で、最も高頻度に評価するのはどれか。

  1. 被ばく線量
  2. CT 値の不変性
  3. 幾何学的な歪み
  4. 空間分解能の定常性
  5. 照合系と照射系座標の一致
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正解:5

  • IGRT の目的はただ一つ、「照合で見た位置と、実際に照射される位置が一致していること」。ここがずれていれば、どれだけ綺麗な画像が撮れても意味がなく、患者に直接害が及ぶ。
  • 1・2・3・4 ✗ いずれも重要だが、画質や線量に関わる項目で、ずれても即座に誤照射にはつながらない。月次・年次で確認する。
  • 5 ○ したがって、照合系(CBCT)と照射系(リニアック)の座標の一致は毎日(始業時)確認する。
  • 判断のコツ:ずれたときに患者への害が最も大きく、日々変動しうるものが最高頻度になる。

問39 ノンコプラナ照射で正しいのはどれか。

  1. 脳定位照射時に用いられる。
  2. ハーフフィールドが用いられる。
  3. 治療寝台回転中に照射を行う手法である。
  4. ガントリは患者体軸に対して同一平面上を回転する。
  5. ターゲット周囲の正常組織への線量付与はコプラナ照射と同じである。
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正解:1

  • コプラナ=同一平面、ノンコプラナ=非同一平面。寝台を回転させた状態でガントリを回すことで、ビームを立体的にあらゆる方向から集める。
  • 1 ○ 脳定位照射(SRS)が代表的な適用例。頭は固定しやすく、まわりに正常脳が詰まっているので、ビームを三次元的に散らして1点に集中させる利点が大きい。
  • 2 ✗ ハーフフィールドは、隣接する照射野のつなぎ目で線量が重ならないようにする工夫。ノンコプラナとは別の話。
  • 3 ✗ 寝台は回転させた位置で固定して照射する。回転中に照射するわけではない。
  • 4 ✗ 同一平面上を回るのはコプラナ照射の説明。これではノンコプラナの定義と矛盾する。
  • 5 ✗ 同じではない。ビームの入射方向が分散するぶん、周囲の正常組織の線量を低く抑えられる。これがノンコプラナを使う最大の理由。

問40 CT で右肺上葉に直径 2.5 cm の腫瘍が認められ、読影レポートに「臓側胸膜とわずかに接している」とのコメントがあった。その後、病理検査で肺癌と診断がつき病期診断が必要となった。臓側胸膜浸潤の有無で国際対がん連合〈UICC〉の T 分類が異なる(臓側胸膜浸潤なしの場合 T1、ありの場合 T2)。他に転移がない場合、この患者の TNM 分類で正しいのはどれか。

  1. 判定不能
  2. cT1N0M0
  3. pT1N0M0
  4. cT2N0M0
  5. pT2N0M0
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正解:2

  • 押さえるべきルールは2つ。
  • ① 接頭語 c と p の区別 c=clinical(臨床的)、治療前に画像や診察で判断したもの。p=pathological(病理学的)手術で取り出した標本を顕微鏡で見て判断したもの。この患者は生検で診断がついただけで手術していないので、c になる。
  • ② 迷ったときは軽いほう TNM 分類の原則として、分類が確定できない場合はより低い(進んでいない)ほうを採用する。「わずかに接している」だけでは浸潤ありと確定できないので、T1 とする。
  • 1 ✗ 判定不能とはしない。原則に従って T1 を採用する。
  • 2 ○ 以上より cT1N0M0
  • 3・5 ✗ 手術をしていないので p は付けられない。
  • 4 ✗ 浸潤ありと確定できないので T2 にはしない。

問41 日本における、ある悪性腫瘍の病期別の生存率の図が示されている。この悪性腫瘍はどれか。

問41の病期別生存率の図(出典:厚生労働省)
  1. 膵癌
  2. 乳癌
  3. 膠芽腫
  4. 小細胞肺癌
  5. 甲状腺未分化癌
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正解:2

  • グラフを読むと、5年の時点で Ⅰ期がほぼ 100%、Ⅱ期が約 90%台、Ⅲ期が約 80%、Ⅳ期でも約 40%。全体としてきわめて成績が良く、しかも病期による差がはっきり開いているのが特徴。
  • 1 ✗ 膵癌は最も予後が悪いがんの一つ。Ⅰ期でも 40%台、Ⅳ期は数%で、グラフ全体がはるかに低い位置に来る。
  • 2 ○ この数字に合うのは乳癌。早期に見つかればほぼ治り、遠隔転移があっても治療の選択肢が多く、5年生存率が 40%程度残る。
  • 3 ✗ 膠芽腫は5年生存率が全体で 10%程度。曲線は急激に落ちる。
  • 4 ✗ 小細胞肺癌は増殖が速く、限局型でも5年生存率は 20〜30%程度。
  • 5 ✗ 甲状腺未分化癌は生存期間の中央値が数か月という極端に予後の悪いがん。5年生存率はほぼ 0 に近く、この形にはならない。

問42 リニアックの構造で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. クライストロンは自励発振管である。
  2. モニタ線量計で線量率を監視することができる。
  3. 散乱箔の選択は電子線のエネルギーに依存しない。
  4. 平坦化フィルタの形状は X 線エネルギーに依存する。
  5. 加速電子ビームの取り出しには 90 度偏向方式が用いられる。
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正解:2・4

  • 1 ✗ クライストロンは他励増幅管。別の発振器(ドライバ)から来た信号を増幅する。自励発振管はマグネトロンのほう。
  • 2 ○ モニタ線量計(平行平板電離箱)は照射野の中に置かれ、線量(MU)と線量率の両方を常時監視する。二重に備えられ、異常があれば照射を止める安全装置でもある。
  • 3 ✗ 散乱箔もエネルギーごとに厚さを変える必要がある。依存する
  • 4 ○ 高エネルギーのX線ほど前方に強く出る(尖った分布になる)ので、それを平らにするにはより厚く尖った形のフィルタが要る。だからエネルギーごとに専用の平坦化フィルタを用意する。
  • 5 ✗ 取り出しには 270 度偏向が主流。90 度より長い経路を通すことで、エネルギーの揃った電子だけを選び出せる(エネルギー分散が小さくなる)。

問43 標準計測法 12 における電子線の線質指標で正しいのはどれか。

  1. RpR_p
  2. R50R_{50}
  3. RresR_{res}
  4. zrefz_{ref}
  5. TPR20,10\mathrm{TPR}_{20,10}
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正解:2

  • 1 ✗ RpR_p(実用飛程)は深部量曲線の直線部分を外挿して得る深さ。かつて線質指標に使われたが、標準計測法 12 では R50R_{50} に統一された。
  • 2 ○ 電子線の線質指標は R50R_{50}(線量が最大の 50%になる深さ)。ここから校正深 zref=0.6R500.1z_{ref} = 0.6\,R_{50} - 0.1(cm)を決める。
  • 3 ✗ RresR_{res}(残存飛程)は Rres=R50zR_{res} = R_{50} - z で表される量。kQk_Q を求める際に使う。
  • 4 ✗ zrefz_{ref} は校正深そのもの。R50R_{50} から決まる側であって、線質指標ではない。
  • 5 ✗ TPR20,10\mathrm{TPR}_{20,10}高エネルギーX線(光子線)の線質指標。粒子の種類が違う。

問44 放射線治療計画システムで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 相対電子濃度は MR 像から計算される。
  2. 線量計算には複数のアルゴリズムが存在する。
  3. 計算マトリクスの間隔を大きくすると計算時間が増加する。
  4. 計算した線量分布は CT 像や MR 像上に重ねて表示される。
  5. DVH は標的体積やリスク臓器の線量と表面積の関係を示している。
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正解:2・4

  • 1 ✗ 相対電子濃度は CT 値から換算する。MRI には電子密度の情報がないため、そのままでは線量計算に使えない(これが MRI 単独での治療計画が難しい理由)。
  • 2 ○ pencil beam・superposition/convolution・モンテカルロ・ボルツマン輸送方程式など複数ある。精度と計算時間のバランスで選ぶ。
  • 3 ✗ 逆。間隔を大きくする=計算する点が減るので、計算時間は短くなる(代わりに精度は落ちる)。
  • 4 ○ 線量分布は等線量曲線(カラーウォッシュ)として CT や MR に重ねて表示する。どの臓器にどれだけ当たるかを解剖と対応づけて確認するためである。
  • 5 ✗ DVH は線量と体積の関係。表面積ではない。Volume の V である。

問45 DICOM 規格に関係ないのはどれか。

  1. ICD−10
  2. サービスクラス仕様
  3. 情報オブジェクト定義
  4. トランスファーシンタックス
  5. コンフォーマンスステートメント
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正解:1

  • 1 ○(これが答え) ICD-10 は WHO が定めた疾病の分類コード。病名を世界共通の記号で表すためのもので、医用画像の通信規格である DICOM とは無関係。
  • 2 ✗ サービスクラス仕様は「画像を送る・保存する・検索する」といったやり取りの種類を定義する DICOM の要素。
  • 3 ✗ 情報オブジェクト定義(IOD)は「CT画像とは何か」といったデータの中身を定義する DICOM の要素。
  • 4 ✗ トランスファーシンタックス(転送構文)は、データをどう符号化して送るかを定める DICOM の要素。
  • 5 ✗ コンフォーマンスステートメントは、その製品が DICOM のどの機能に対応しているかを示す適合性宣言書。機器を接続する前に確認する重要な文書。

問46 16 進数の「25」と 2 進数の「1010101」の和を 2 進数で表したのはどれか。

  1. 1011111
  2. 1101010
  3. 1101110
  4. 1111010
  5. 1111110
解答・解説を見る

正解:4

  • 単位をそろえてから足すのが鉄則。ここでは 10 進数に直すのが早い。
  • ① 16進数の「25」を 10 進数に

2×16+5×1=32+5=372 \times 16 + 5 \times 1 = 32 + 5 = 37

  • ② 2進数の「1010101」を 10 進数に(右から 20,21,2^0, 2^1, \ldots

64+0+16+0+4+0+1=8564 + 0 + 16 + 0 + 4 + 0 + 1 = 85

  • ③ 足す

37+85=12237 + 85 = 122

  • ④ 122 を 2 進数に戻す

122=64+32+16+8+2=1111010(2)122 = 64 + 32 + 16 + 8 + 2 = 1111010_{(2)}

  • したがって 4。検算として、1111010(2)=64+32+16+8+0+2+0=1221111010_{(2)} = 64+32+16+8+0+2+0 = 122 となることを確かめるとよい。

問47 HIS における情報セキュリティ管理の目的で正しいのはどれか。

  1. 病院の経営改善
  2. 患者診療情報の保護
  3. 医薬品安全情報の提供
  4. 診療行為の妥当性の担保
  5. 放射性廃棄物の適切な処理
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正解:2

  • 1 ✗ 経営改善は経営分析やデータの2次利用の目的。セキュリティ管理そのものの目的ではない。
  • 2 ○ 病院情報システムが扱うのは、最も慎重に守るべき個人情報である診療情報。情報セキュリティ管理は、これを漏えい・改ざん・消失から守ることを目的とする。
  • 3 ✗ 医薬品安全情報の提供は医薬品情報管理の役割。
  • 4 ✗ 診療行為の妥当性は診療録の記載やクリニカルパスで担保するもの。
  • 5 ✗ 放射性廃棄物の処理はまったく別の分野。

問48 フーリエ変換は、式 F(u)=f(x)ei2πuxdxF(u) = \displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} f(x)\,e^{-i2\pi ux}\,dx で表される。この式の核関数である ei2πuxe^{-i2\pi ux} は、Euler〈オイラー〉の公式を用いるとどのように書けるか。ただし、uu:空間周波数、xx:位置、f(x)f(x):空間関数、F(u)F(u)f(x)f(x) のフーリエ変換、ii:虚数単位とする。

  1. cos(2πux)+sin(2πux)\cos(2\pi ux) + \sin(2\pi ux)
  2. cos(2πux)sin(2πux)\cos(2\pi ux) - \sin(2\pi ux)
  3. cos(2πux)+isin(2πux)\cos(2\pi ux) + i\sin(2\pi ux)
  4. cos(2πux)isin(2πux)\cos(2\pi ux) - i\sin(2\pi ux)
  5. cos(2πux)isin(2πux)\cos(-2\pi ux) - i\sin(-2\pi ux)
解答・解説を見る

正解:4

  • オイラーの公式は次のとおり。

eiθ=cosθ+isinθe^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta

  • ここでは θ=2πux\theta = -2\pi ux を代入する。

ei2πux=cos(2πux)+isin(2πux)e^{-i2\pi ux} = \cos(-2\pi ux) + i\sin(-2\pi ux)

  • あとは三角関数の性質、cos\cos は偶関数(cos(θ)=cosθ\cos(-\theta) = \cos\thetasin\sin は奇関数(sin(θ)=sinθ\sin(-\theta) = -\sin\theta を使って整理する。

=cos(2πux)isin(2πux)= \cos(2\pi ux) - i\sin(2\pi ux)

  • 1・2 ✗ 虚数単位 ii が付いていない。オイラーの公式では sin\sin の項に必ず ii が付く。
  • 3 ✗ 符号が逆。これは e+i2πuxe^{+i2\pi ux}(逆フーリエ変換の核関数)にあたる。
  • 4 ○ 上の整理のとおり。
  • 5 ✗ 符号の整理が誤っている。cos(2πux)isin(2πux)=cos(2πux)+isin(2πux)\cos(-2\pi ux) - i\sin(-2\pi ux) = \cos(2\pi ux) + i\sin(2\pi ux) となり、これは e+i2πuxe^{+i2\pi ux}(逆変換の核関数)になってしまう。

問49 DICOM で定義されている医用画像モニタの表示関数はどれか。

  1. GSDF
  2. LUT
  3. MPPS
  4. MWM
  5. ガンマ 2.2
解答・解説を見る

正解:1

  • 1 ○ GSDF(Grayscale Standard Display Function、グレースケール標準表示関数)。人間の目の特性(明るさの違いを見分ける能力)に合わせて、どのモニタで見ても同じ見え方になるように定めた表示関数。DICOM Part 14 で規定されている。
  • 2 ✗ LUT(ルックアップテーブル)は入力値を出力値に変換する表そのものを指す一般的な用語。GSDF を実現する手段ではあるが、規格の名前ではない。
  • 3 ✗ MPPS(Modality Performed Procedure Step)は、検査の実施状況を RIS へ伝える DICOM のサービス。
  • 4 ✗ MWM(Modality Worklist Management)は、検査予定リストを装置へ渡す DICOM のサービス。
  • 5 ✗ ガンマ 2.2 は一般の PC モニタやテレビで使われる表示特性。診断用モニタでは使わない

問50 体を左右に分ける断面はどれか。

  1. 冠状断面
  2. 軸位断面
  3. 矢状断面
  4. 水平断面
  5. 前額断面
解答・解説を見る

正解:3

  • 1・5 ✗ 冠状断面=前額断面(coronal)は同じもので、体を前後に分ける縦の面。「冠(かんむり)」を乗せる向きと覚える。
  • 2・4 ✗ 軸位断面=水平断面(axial/transverse)も同じもので、体を上下に分ける横の面。CT や MRI の基本となる断面。
  • 3 ○ 矢状断面(sagittal)は、体を左右に分ける縦の面。名前の由来は「(sagitta)が前から刺さる向き」。特に正中を通るものを正中矢状断面という。
  • 3つの断面は互いに直交する。矢状=左右、冠状=前後、水平=上下に分ける、とセットで覚えたい。

問51 後腹膜臓器はどれか。

  1. 回腸
  2. 空腸
  3. S 状結腸
  4. 下行結腸
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正解:5

  • 後腹膜臓器=腹膜の後ろに張りついて動かない臓器。腸間膜を持たない。代表は 腎臓・尿管・副腎・膵臓(尾部を除く)・十二指腸(球部を除く)・上行結腸・下行結腸・腹部大動脈・下大静脈
  • 1 ✗ 胃は腹腔内臓器で、大網・小網でぶら下がっている。
  • 2・3 ✗ 空腸・回腸は腸間膜を持ち、腹腔内をよく動く。
  • 4 ✗ S状結腸は S状結腸間膜を持つ。よく動くため軸捻転を起こしやすい。
  • 5 ○ 下行結腸は後腹膜に固定されている。上行結腸も同じ。
  • 覚え方:大腸のうち上行・下行は固定、横行・S状は動く。左右の「壁に貼りついた縦の部分」が後腹膜、と整理する。

問52 高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。

  1. 症状が定型的に出現する。
  2. 複数の臓器に障害が生じやすい。
  3. 薬物による副作用は発生しにくい。
  4. 慢性疾患では急激な変化は起こりにくい。
  5. 環境の変化があっても症状の変化は起こりにくい。
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正解:2

  • 1 ✗ 逆。症状が非定型的なのが高齢者の特徴。肺炎でも熱が出ない、心筋梗塞でも胸痛がない、といったことが起こる。
  • 2 ○ 加齢とともに各臓器の予備能が落ちるため、複数の病気を同時に抱える(多病)のが高齢者の最大の特徴。だから薬も増え、相互作用も起こりやすくなる。
  • 3 ✗ 逆。腎機能・肝機能の低下で薬が体内に残りやすく、副作用は出やすい
  • 4 ✗ 逆。予備能が乏しいので、慢性疾患でもささいなきっかけで急激に悪化する。
  • 5 ✗ 逆。入院や転居などの環境変化でせん妄を起こすなど、症状が大きく動く。

問53 人体の方向で正しいのはどれか。

  1. 手掌は前面である。
  2. 足背は後面である。
  3. 上腕伸側は前面である。
  4. 大腿伸側は後面である。
  5. 前腕は上腕より近位にある。
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正解:1

  • すべて解剖学的正位(直立し、手のひらを前に向けた姿勢)で考えるのが約束。この「手のひらを前」が引っかけどころになる。
  • 1 ○ 解剖学的正位では手掌(手のひら)が前を向くので、前面にあたる。
  • 2 ✗ 足背(足の甲)は上面(前面)。手のひらと足の裏が対応するように見えて、実際は逆になる。
  • 3 ✗ 上腕の伸側(肘を伸ばす筋=上腕三頭筋がある側)は後面
  • 4 ✗ 大腿の伸側(膝を伸ばす筋=大腿四頭筋がある側)は前面。上肢と下肢で伸側の向きが逆になる(発生の段階で下肢が内側に捻れるため)。
  • 5 ✗ 近位=体幹に近い側。上腕のほうが前腕より近位

問54 ヨード造影剤によるアナフィラキシーに対しアドレナリンを筋注する場合、最も適している部位はどれか。

  1. 殿部
  2. 下腿部
  3. 上腕部
  4. 前腕部
  5. 大腿部
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正解:5

  • 1 ✗ 殿部は脂肪が厚く吸収が遅い。坐骨神経を傷つける危険もある。
  • 2・4 ✗ 下腿・前腕は筋肉量が乏しく、緊急時の吸収が期待できない。
  • 3 ✗ 上腕(三角筋)はワクチン接種には使うが、筋肉量が少なく、アナフィラキシーのように一刻を争う場面では大腿部が優先される。
  • 5 ○ 大腿前外側部(中央外側 1/3)が第一選択。理由は3つ。① 筋肉が厚く血流が豊富なので吸収が速い② 太い神経や血管が走っておらず安全③ 衣服の上からでも素早く打てる。エピペンもこの部位に打つ設計になっている。

問55 足根骨に含まれるのはどれか。

  1. 月状骨
  2. 三角骨
  3. 豆状骨
  4. 有頭骨
  5. 立方骨
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正解:5

  • 手根骨と足根骨はどちらも 7〜8 個の小さな骨で紛らわしい。名前で覚え分けるのが早い。
  • 1・2・3・4 ✗ 月状骨・三角骨・豆状骨・有頭骨はいずれも手根骨(8個)。
  • 5 ○ 立方骨は足根骨(距骨・踵骨・舟状骨・立方骨・内側/中間/外側楔状骨の7個)のひとつ。第4・第5中足骨の手前にある。
  • 手根骨の覚え方:舟・月・三角・豆/大・小・有頭・有鉤。足根骨に「舟状骨」もあるが、それ以外はこの語呂に出てこない、と押さえるとよい。

問56 中脳に位置するのはどれか。

  1. 海馬
  2. 黒質
  3. 被殻
  4. 淡蒼球
  5. 乳頭体
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正解:2

  • 1 ✗ 海馬は側頭葉内側(大脳)にある。記憶に関わり、アルツハイマー病で早期に萎縮する。
  • 2 ○ 黒質は中脳にある。メラニン色素を含むため肉眼で黒く見えることが名の由来。ここのドパミン神経細胞が減るのがパーキンソン病
  • 3・4 ✗ 被殻・淡蒼球は大脳基底核(レンズ核)。中脳ではなく大脳の深部にある。
  • 5 ✗ 乳頭体は間脳(視床下部)の一部。中脳より上にある。
  • 中脳の構成:大脳脚・黒質・赤核・中脳水道・四丘体。この5つに入るかどうかで判断する。

問57 大量出血によるショックで認められる所見はどれか。

  1. 血圧の上昇
  2. 尿量の増加
  3. 心拍数の増加
  4. 心拍出量の増加
  5. 末梢血管の拡張
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正解:3

  • 出血で血液量が減る → 心拍出量が落ちて血圧が下がる → 体はそれを補おうとする。この「補おうとする反応」が答えになる。
  • 1 ✗ 血圧は低下する。
  • 2 ✗ 腎血流が減り、体液を保とうとするので尿量は減少する。
  • 3 ○ 心拍数の増加(頻脈)。1回の拍出量が減ったぶん、回数を増やして補おうとする交感神経の反応。血圧が下がる前から現れる、最も早いサインである。
  • 4 ✗ 戻ってくる血液が減るので心拍出量は低下する。
  • 5 ✗ 末梢血管は収縮する。重要臓器へ血液を回すためで、これが顔面蒼白・冷汗の原因になる。

問58 減数分裂を生じる細胞が存在するのはどれか。

  1. 胸腺
  2. 小脳
  3. 精巣
  4. 脾臓
  5. 副甲状腺
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正解:3

  • 減数分裂は、染色体数を半分(46→23)にする特別な分裂。生殖細胞(精子・卵子)を作るときにだけ起こる。
  • 1・2・4・5 ✗ 胸腺・小脳・脾臓・副甲状腺はいずれも体細胞からなる臓器。分裂するとしても体細胞分裂(染色体数は 46 のまま)である。
  • 3 ○ 精巣では精祖細胞から精子が作られる過程で減数分裂が起こる。卵巣も同様。

問59 副腎皮質ステロイドの副作用で誤っているのはどれか。

  1. 糖尿病
  2. 高血圧症
  3. 骨粗鬆症
  4. 尿管結石
  5. 誘発性感染症
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正解:4

  • ステロイドの副作用は、クッシング症候群と同じ症状が出ると考えると整理しやすい(コルチゾール過剰の状態を薬で作っているため)。
  • 1 正しい 糖新生を促し、血糖が上がる(ステロイド糖尿病)。
  • 2 正しい ナトリウムと水を保持するため血圧が上がる。
  • 3 正しい 骨形成を抑え骨吸収を促すため、骨粗鬆症になる。長期投与で最も問題になる副作用のひとつ。
  • 4 誤り 尿管結石はステロイドの代表的な副作用ではない。
  • 5 正しい 免疫を抑えるため、感染症にかかりやすくなる(易感染性)。

問60 横隔膜の大動脈裂孔を通るのはどれか。2つ選べ。

  1. 胸管
  2. 食道
  3. 奇静脈
  4. 下大静脈
  5. 迷走神経
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正解:1・3

  • 横隔膜の3つの穴と、通るものを整理する。高さで覚えるのが定番。
  • 大静脈孔(Th8)下大静脈・右横隔神経
  • 食道裂孔(Th10)食道迷走神経
  • 大動脈裂孔(Th12)大動脈胸管奇静脈
  • 1 ○ 胸管は大動脈裂孔を通って上行し、左の静脈角に注ぐ。
  • 2・5 ✗ 食道と迷走神経は食道裂孔。迷走神経は食道に寄り添って通る、と覚える。
  • 3 ○ 奇静脈も大動脈裂孔を通る。
  • 4 ✗ 下大静脈は大静脈孔
  • 語呂:「大動脈裂孔は、大・胸・奇(だい・きょう・き)」。

問61 縦隔に存在する構造物はどれか。

  1. 甲状腺
  2. 大胸筋
  3. 上大静脈
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正解:5

  • 縦隔=左右の肺にはさまれた、胸腔の中央部分。上は胸郭上口、下は横隔膜、前は胸骨、後ろは脊椎で囲まれる。
  • 1 ✗ 胃は横隔膜より下の腹腔
  • 2 ✗ 肺は縦隔をはさむ側であって、縦隔の中身ではない。定義そのものから外れる。
  • 3 ✗ 甲状腺は頸部にある(ただし縦隔まで伸びる場合を縦隔内甲状腺腫という)。
  • 4 ✗ 大胸筋は胸壁の外側の筋。
  • 5 ○ 上大静脈は縦隔(上縦隔)にある。ほかに心臓・大血管・気管・食道・胸腺・胸管などが含まれる。

問62 膵臓から分泌されるのはどれか。

  1. グルカゴン
  2. サイロキシン
  3. プロラクチン
  4. アルドステロン
  5. プロゲステロン
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正解:1

  • 1 ○ グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島 α細胞から出る。血糖を上げるホルモン。ちなみに β細胞からはインスリン(血糖を下げる)、δ細胞からはソマトスタチンが出る。
  • 2 ✗ サイロキシン(T4)は甲状腺から。
  • 3 ✗ プロラクチンは下垂体前葉から。乳汁分泌を促す。
  • 4 ✗ アルドステロンは副腎皮質(球状層)から。ナトリウムを保持する。
  • 5 ✗ プロゲステロンは卵巣(黄体)から。

問63 両耳側半盲の原因となるのはどれか。

  1. 白内障
  2. 緑内障
  3. 下垂体腺腫
  4. 重症筋無力症
  5. 甲状腺機能亢進症
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正解:3

  • 1 ✗ 白内障は水晶体の濁りで、視野全体がかすむ。
  • 2 ✗ 緑内障は視神経が傷み、周辺から中心へ視野が欠けていく。
  • 3 ○ 視神経は眼球を出たあと、視交叉で「鼻側の網膜から来た線維だけ」が交差する。視交叉のすぐ下にあるのが下垂体なので、腺腫が大きくなると視交叉を下から押し上げ、交差する線維(=両目の外側の視野を担当)だけが障害される。結果、両目とも外側が見えなくなる=両耳側半盲
  • 4 ✗ 重症筋無力症は神経筋接合部の障害で、眼瞼下垂や複視が起こる。視野欠損ではない。
  • 5 ✗ 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では眼球突出が起こるが、半盲にはならない。

問64 リンパ系で正しいのはどれか。

  1. 胸管の起始部を脈絡叢という。
  2. リンパ管には血液が流入する。
  3. 胸管は右上半身のリンパ液を集める。
  4. リンパ系は心臓の拍動により流れる。
  5. 右下半身のリンパ液は左の静脈角に注ぐ。
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正解:5

  • 胸管の担当範囲を押さえるのが要点。胸管は「右上半身以外のすべて」=全身の 3/4 を集め、左の静脈角に注ぐ。右上半身だけが右リンパ本幹→右の静脈角へ行く。
  • 1 ✗ 胸管の起始部は乳び槽(第1〜2腰椎の高さ)。脈絡叢は脳室にあって髄液を作る組織で、まったく別物。
  • 2 ✗ リンパ管に流れ込むのは、毛細血管から染み出した組織液(間質液)。血液そのものは入らない。
  • 3 ✗ 胸管が集めるのは右上半身以外。逆である。
  • 4 ✗ リンパ管には心臓のようなポンプがない。骨格筋の収縮(筋ポンプ)・呼吸運動・弁によってゆっくり流れる。だから動かないとむくむ。
  • 5 ○ 右下半身は「右上半身以外」なので胸管が集め、左の静脈角に注ぐ。左右で紛らわしいが、下半身は左右どちらも胸管である。

問65 X線の細胞への影響で正しいのはどれか。

  1. 殺細胞効果は細胞周期 S 期後期で高い。
  2. 悪性腫瘍細胞の α/β 値は低いものが多い。
  3. DNA の一重鎖切断よりも二重鎖切断を主に起こす。
  4. 総線量が同じならば 1 回照射と比較して 2 分割照射では細胞生存率は低い。
  5. 低酸素状態にある悪性腫瘍では 1 回照射より分割照射で殺細胞効果が高い。
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正解:5

  • 1 ✗ S期後期は最も放射線抵抗性が高い(DNA修復に働く酵素が豊富なため)。感受性が高いのは M 期と G2 期後期。
  • 2 ✗ 逆。腫瘍細胞は増殖が速いので α/β 値は高い(10 Gy 前後)ものが多い。α/β が低い(1〜3 Gy)のは、晩期反応組織や前立腺癌など増殖の遅いもの。
  • 3 ✗ 逆。一重鎖切断のほうが二重鎖切断より 10〜20 倍多く起こる。ただし一重鎖切断は正確に修復されるため、細胞死につながるのは主に二重鎖切断のほう。
  • 4 ✗ 逆。分割すると間で亜致死損傷からの回復が起こるので、細胞生存率は高くなる
  • 5 ○ 分割照射の利点のひとつが再酸素化。1回目の照射で酸素の多い細胞が死ぬと、生き残った低酸素細胞に酸素が届くようになり、次の照射でよく効くようになる。分割の「4つのR」の一つ。

問66 細胞と組織の放射線感受性で正しいのはどれか。

  1. 筋肉は肝臓より放射線感受性が高い。
  2. 放射線の晩期有害事象にはしきい値が存在する。
  3. 細胞の分化度が高いほど放射線感受性は高くなる。
  4. 治療可能比とは腫瘍致死線量を α/β 値で割ったものである。
  5. 肝臓では最大被ばく線量が晩期有害事象発生予測に最も強力な因子である。
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正解:2

  • 1 ✗ 逆。筋肉はほとんど分裂しないので感受性は低い。肝臓のほうが再生能力を持つぶん高い。
  • 2 ○ 晩期有害事象は確定的影響なので、しきい線量が存在する。それ以下なら起こらず、超えると必ず起こって線量とともに重くなる。しきい値がないのは確率的影響(発がん・遺伝的影響)のほう。
  • 3 ✗ 逆。ベルゴニー・トリボンドーの法則により、分化度が低い(未熟な)ほど感受性は高い
  • 4 ✗ 治療可能比は「正常組織の耐容線量 ÷ 腫瘍致死線量」。この比が大きいほど、正常組織を傷めずに腫瘍を叩ける。α/β 値は関係しない。
  • 5 ✗ 肝臓は並列臓器なので、1点の最大線量より平均線量や、ある線量以上が当たる体積の割合(V20 など)のほうが予測因子として重要。最大線量が効くのは脊髄などの直列臓器。

問67 温熱療法で正しいのはどれか。

  1. 放射線治療期間中は毎日行う。
  2. 細胞周期の M 期に効果が最も高い。
  3. がん組織の蛋白質の変性を目的とする。
  4. 腫瘍組織と比較して正常組織の温度は上がりやすい。
  5. 腫瘍部の温度を長時間 39〜42 ℃に保つことにより効果を発揮させる。
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正解:3

  • 1 ✗ 一度加温すると細胞は熱に強くなる(熱耐性)ので、毎日は行わない。週1〜2回が標準。
  • 2 ✗ 温熱が最も効くのは S期。放射線が最も効きにくい時期であり、両者は補い合う関係にある。
  • 3 ○ 温熱の作用機序は、加熱によるタンパク質の変性。酵素や細胞骨格が壊れ、DNA修復も妨げられる。
  • 4 ✗ 逆。腫瘍のほうが温度が上がりやすい。腫瘍は血管が未熟で血流が乏しく、熱を運び去れないため。この差が温熱療法の成り立つ理由である。
  • 5 ✗ 目標温度は 42.5〜43 ℃以上。39〜42 ℃では変性を起こすには足りない。

問68 放射線による細胞障害からの回復で正しいのはどれか。

  1. PLD 回復は組織の高酸素時に生じる。
  2. がん細胞では観察されない現象である。
  3. 低 LET 放射線では PLD 回復がほとんど見られない。
  4. 低 LET 放射線では高 LET 放射線より SLD 回復が生じやすい。
  5. SLD 回復は低線量の分割照射と比較すると高線量の単回照射で生じやすい。
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正解:4

  • 2つの回復を整理する。SLD 回復=照射を分割したとき、その間に亜致死損傷が修復されること。PLD 回復=照射後に細胞分裂が抑えられた(栄養不足などの)状態で、潜在的致死損傷が修復されること。
  • 1 ✗ PLD 回復は、細胞分裂が止まっている状態(低栄養・低酸素・接触阻害など)で生じやすい。高酸素で増殖が盛んな状態ではむしろ起こりにくい。
  • 2 ✗ がん細胞でも観察される。むしろ腫瘍内の低酸素領域で PLD 回復が起こることが、放射線抵抗性の一因になる。
  • 3 ✗ PLD 回復も低LETのほうがよく見られる。
  • 4 ○ 低LET放射線が作る損傷はまばらで単純なので修復しやすい。高LETは電離が密で複雑な損傷を作るため修復されにくい。よって SLD 回復は低LETで生じやすい。
  • 5 ✗ 逆。SLD 回復は照射を分割してこそ生じる。単回照射では回復する時間がない。

問69 内部被ばくによる発がんの可能性が低いのはどれか。

  1. ウラン鉱山で働いていた鉱夫が肺癌になる。
  2. 小児がんに対し胸部に放射線治療を施行された女性が乳癌になる。
  3. 甲状腺癌の肺転移に対し Na131^{131}I を投与された男性が膀胱癌になる。
  4. 時計の文字盤にラジウムを含む夜光塗料を塗っていた作業員が骨腫瘍になる。
  5. チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所事故当時近隣に住んでいた小児が甲状腺癌になる。
解答・解説を見る

正解:2

  • 内部被ばく=放射性物質を体内に取り込んで、体の中から被ばくすること。外部被ばくと区別する問題。
  • 1 ✗ ウラン鉱山ではラドンガスを吸入する。内部被ばくによる肺癌で、職業がんの代表例。
  • 2 ○(これが答え) 放射線治療は、体の外の装置からX線を当てる外部被ばく。内部被ばくではない。
  • 3 ✗ Na131^{131}I を飲む=内部被ばく。ヨウ素は尿から排泄されるため膀胱がしばらく被ばくする。
  • 4 ✗ 筆先を舐めてラジウムを経口摂取した内部被ばく。ラジウムはカルシウムに似て骨に沈着し、骨肉腫を起こした(ラジウム・ガールズ)。
  • 5 ✗ 放出された 131^{131}I を含む食品(牛乳など)を摂取した内部被ばく。甲状腺に集まって小児甲状腺癌が増えた。

問70 安定な原子核で質量数とおよそ比例関係にあるのはどれか。

  1. 体積
  2. 半径
  3. 密度
  4. 中性子過剰数
  5. 核子結合エネルギー
解答・解説を見る

正解:1

  • 原子核の半径は経験式 R=r0A1/3R = r_0 A^{1/3}r01.2r_0 \fallingdotseq 1.2 fm)で表される。ここから他の量が導ける。
  • 1 ○ 体積は V=43πR3(A1/3)3=AV = \dfrac{4}{3}\pi R^3 \propto (A^{1/3})^3 = A。つまり質量数に比例する。核子がぎっしり詰まったビー玉の集まりのようなイメージ。
  • 2 ✗ 半径は A1/3A^{1/3} に比例。1/3 乗なので比例ではない。
  • 3 ✗ 密度=質量÷体積 A/A=\propto A/A = 一定。どの原子核も密度がほぼ同じ(約 2.3×10172.3\times10^{17} kg/m³)というのが重要な性質。
  • 4 ✗ 中性子過剰数(NZN-Z)は、軽い核ではほぼ 0、重い核ほど増えるという非線形の関係。
  • 5 ✗ 核子1個あたりの結合エネルギーは、質量数 60 前後(鉄付近)で最大となる山型。比例しない。

問71 運動エネルギーが 1 GeV の 12^{12}C 原子核を 1 nA のビーム強度で 30 秒間流した。12^{12}C 原子核によって運ばれた総エネルギー[J]に最も近いのはどれか。

  1. 1
  2. 2
  3. 5
  4. 10
  5. 30
解答・解説を見る

正解:3

  • 手順は「① 何個流れたか → ② 総エネルギー」の2段階。落とし穴は炭素原子核の電荷が +6であることの1点に尽きる。
  • ① 総電荷量

Q=I×t=(1×109)×30=3×108 CQ = I \times t = (1\times10^{-9}) \times 30 = 3\times10^{-8}\ \mathrm{C}

  • ② 粒子数12^{12}C 原子核は陽子6個ぶんの電荷を持つので、1個あたり 6e6e

N=Q6e=3×1086×1.6×1019=3×1089.6×10193.1×1010 個N = \frac{Q}{6e} = \frac{3\times10^{-8}}{6 \times 1.6\times10^{-19}} = \frac{3\times10^{-8}}{9.6\times10^{-19}} \fallingdotseq 3.1\times10^{10}\ \text{個}

  • ③ 総エネルギー。1 GeV = 109×1.6×101910^9 \times 1.6\times10^{-19} J = 1.6×10101.6\times10^{-10} J。

E=3.1×1010×1.6×1010=5.0 JE = 3.1\times10^{10} \times 1.6\times10^{-10} = 5.0\ \mathrm{J}

  • 電荷を ee のままにして 6 で割り忘れると 30 J(選択肢5)になる。イオンビームでは価数で割ることを忘れないこと。

問72 陽子線の水に対する質量阻止能とエネルギーとの関係を図に示す。10 MeV 重陽子線の水に対する質量阻止能[MeV・cm²・g⁻¹]に最も近いのはどれか。

問72の質量阻止能の図(出典:厚生労働省)
  1. 20
  2. 30
  3. 50
  4. 80
  5. 100
解答・解説を見る

正解:4

  • 与えられているのは陽子のグラフ、聞かれているのは重陽子。ここをつなぐ考え方が問われている。
  • 質量衝突阻止能は「電荷数」と「速度」だけで決まり、粒子の質量そのものには依存しない(ベーテの式)。重陽子の電荷数は陽子と同じ z=1z=1 なので、同じ速度なら阻止能は同じになる。
  • では 10 MeV の重陽子と同じ速度の陽子は何 MeV か。E=12mv2E = \frac{1}{2}mv^2 で、重陽子の質量は陽子の約2倍なので、

Ep=Ed×mpmd=10×12=5 MeVE_p = E_d \times \frac{m_p}{m_d} = 10 \times \frac{1}{2} = 5\ \mathrm{MeV}

  • グラフで 5 MeV の陽子を読むと、質量阻止能はおよそ 80 MeV・cm²・g⁻¹
  • 3 ✗ グラフの 10 MeV をそのまま読むと約 45〜50 になる。「重陽子だから半分のエネルギーの陽子に読み替える」という一手を飛ばすと、この誤答になる。
  • 4 ○ したがって 80。

問73 電磁波で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 縦波である。
  2. 電荷を有する。
  3. 波長が短いほどエネルギーは大きい。
  4. 伝搬速度は波長と周波数の積に等しい。
  5. 周波数は紫外線よりマイクロ波の方が高い。
解答・解説を見る

正解:3・4

  • 1 ✗ 電磁波は電場と磁場が進行方向に垂直に振動する横波。縦波(疎密波)は音波。
  • 2 ✗ 電磁波は電荷を持たない。だから電場・磁場で曲げられない。
  • 3 ○ E=hν=hcλE = h\nu = \dfrac{hc}{\lambda} より、波長が短いほどエネルギーは大きい。だからX線・γ線は電離を起こせる。
  • 4 ○ c=λνc = \lambda\nu(波長×周波数)。すべての波に共通する基本式。
  • 5 ✗ 逆。波長は マイクロ波(mm〜m)> 紫外線(10〜400 nm)なので、周波数は紫外線のほうが高い。だから紫外線には発がん性があり、マイクロ波にはない。

問74 LET で正しいのはどれか。

  1. 単位は m⁻¹ である。
  2. 荷電粒子の電荷の 2 乗に反比例する。
  3. 荷電粒子の運動エネルギーに比例する。
  4. カットオフエネルギーが無限大のとき線衝突阻止能と同義である。
  5. 単位質量当たりに付与する全エネルギーが同じとき LET は等しい。
解答・解説を見る

正解:4

  • LET(線エネルギー付与)は「荷電粒子が飛跡に沿って局所に与えるエネルギー ÷ 距離」。カットオフ値 Δ\Delta を付けて LΔL_\Delta と書き、「Δ\Delta より大きなエネルギーを持つ二次電子(δ線)は遠くへ逃げるので数えない」という約束になっている。
  • 1 ✗ 単位は keV/µm(エネルギー÷長さ)。m⁻¹ は線減弱係数の単位。
  • 2 ✗ 逆。電荷数の 2 乗に比例する。だから炭素(z=6z=6)は陽子の36倍のLETになる。
  • 3 ✗ 逆。エネルギーが高い(速い)ほどLETは低い。粒子が遅くなる終端でLETが跳ね上がり、ブラッグピークを作る。
  • 4 ○ カットオフを無限大にする=逃げていく分も含めて全部数えるということなので、線衝突阻止能と一致する。定義から素直に導ける。
  • 5 ✗ 同じ量のエネルギーを与えても、どれだけ狭い範囲に集中して与えたかでLETは変わる。まさにその「集中度」を表すのがLETである。

問75 交流電源の起電力の時間的変化を図に示す。この交流電源を 0.10 µF のコンデンサに接続したとき、流れる電流の最大値[mA]に最も近いのはどれか。

問75の起電力の時間変化の図(出典:厚生労働省)
  1. 2
  2. 3.9
  3. 7.9
  4. 16
  5. 31
解答・解説を見る

正解:5

  • まずグラフから2つの値を読む。これができれば計算は一本道。
  • 電圧の最大値Vm=100V_m = 100 V
  • 周期:山から次の山まで(0.5 ms → 2.5 ms)で T=2T = 2 ms
  • ① 周波数と角周波数

f=1T=12×103=500 Hzω=2πf=3140 rad/sf = \frac{1}{T} = \frac{1}{2\times10^{-3}} = 500\ \mathrm{Hz} \qquad \omega = 2\pi f = 3140\ \mathrm{rad/s}

  • ② 容量リアクタンス

XC=1ωC=13140×(0.10×106)=13.14×1043180 ΩX_C = \frac{1}{\omega C} = \frac{1}{3140 \times (0.10\times10^{-6})} = \frac{1}{3.14\times10^{-4}} \fallingdotseq 3180\ \Omega

  • ③ 電流の最大値

Im=VmXC=1003180=0.031 A=31 mAI_m = \frac{V_m}{X_C} = \frac{100}{3180} = 0.031\ \mathrm{A} = 31\ \mathrm{mA}

  • 注意点は2つ。グラフの周期を 1 ms と読み違えないこと(山と山の間隔を見る)。そして最大値を実効値に直さないこと(問われているのが最大値なので、VmV_m のまま計算してよい)。

問76 二極管の電圧と電流の関係を図に示す。この二極管を 1 kΩ の抵抗に直列に接続して 80 V の電圧を加えたとき、流れる電流[mA]はどれか。

問76の二極管の電圧電流特性の図(出典:厚生労働省)
  1. 20
  2. 30
  3. 40
  4. 50
  5. 60
解答・解説を見る

正解:2

  • 二極管は曲線なのでオームの法則が使えない。こういうときは負荷線を引いて交点を読む(図式解法)。
  • 直列なので、二極管の電圧 VdV_d と抵抗の電圧の和が 80 V になる。

Vd+I×1kΩ=80V_d + I \times 1\,\mathrm{k\Omega} = 80

  • 電流を mA、抵抗を kΩ で扱うと 1mA×1kΩ=1V1\,\mathrm{mA} \times 1\,\mathrm{k\Omega} = 1\,\mathrm{V} なので、式は単純になる。

I[mA]=80Vd[V]I\,[\mathrm{mA}] = 80 - V_d\,[\mathrm{V}]

  • これは (80 V, 0 mA) と (0 V, 80 mA) を結ぶ直線。グラフに重ねて、二極管の曲線との交点を読む。
  • 交点を確かめる:Vd=50V_d = 50 V のとき、負荷線は I=30I = 30 mA。グラフの曲線も Vd=50V_d = 50 V で約 30 mA。一致する
  • 2 ○ したがって 30 mA
  • 検算:Vd=40V_d = 40 V なら曲線は 20 mA だが負荷線は 40 mA、Vd=60V_d = 60 V なら曲線は 40 mA だが負荷線は 20 mA。この間で交わることが確かめられる。

問77 演算増幅回路を図に示す。出力電圧 VoutV_{out} が −10 V のとき、負帰還抵抗 RfR_f[kΩ]はどれか。

問77の演算増幅回路の図(出典:厚生労働省)
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
解答・解説を見る

正解:1

  • 3つの入力が 1 kΩ を通してマイナス端子に集まり、RfR_f で負帰還がかかっている。これは反転加算回路である。
  • 出力は次の式で決まる。

Vout=Rf(V1R1+V2R2+V3R3)V_{out} = -R_f\left(\frac{V_1}{R_1} + \frac{V_2}{R_2} + \frac{V_3}{R_3}\right)

  • 入力抵抗がすべて 1 kΩ なので、単純に電圧の和になる。

Vout=Rf1kΩ×(6+3+1)=Rf1kΩ×10V_{out} = -\frac{R_f}{1\,\mathrm{k\Omega}} \times (6 + 3 + 1) = -\frac{R_f}{1\,\mathrm{k\Omega}} \times 10

  • Vout=10V_{out} = -10 V を代入して解く。

10=Rf1×10Rf=1 kΩ-10 = -\frac{R_f}{1} \times 10 \quad \Rightarrow \quad R_f = 1\ \mathrm{k\Omega}

  • 1 ○ したがって 1 kΩ。
  • 考え方の根拠:オペアンプはイマジナリショート(マイナス端子=プラス端子=0 V)と入力に電流が流れ込まないの2つが成り立つ。だから各抵抗を流れる電流 6/1+3/1+1/1=106/1 + 3/1 + 1/1 = 10 mA がすべて RfR_f へ流れ、Vout=010mA×RfV_{out} = 0 - 10\,\mathrm{mA} \times R_f となる。

問78 国際放射線防護委員会〈ICRP〉2007 年勧告で、エネルギーごとに放射線加重係数が変化するのはどれか。

  1. α 粒子
  2. 電子
  3. 陽子
  4. 中性子
  5. 重イオン
解答・解説を見る

正解:4

  • ICRP 2007年勧告(Publication 103)の放射線加重係数 wRw_R は次のとおり。
放射線wRw_R
光子・電子・ミュー粒子1
陽子・荷電パイ中間子2
α粒子・核分裂片・重イオン20
中性子エネルギーの連続関数
  • 1・5 ✗ α粒子・重イオンは一律 20
  • 2 ✗ 電子は一律 1
  • 3 ✗ 陽子は一律 2(1990年勧告の 5 から変更された)。
  • 4 ○ 中性子だけが連続関数として定義されている。中性子はエネルギーによって体内での振る舞い(弾性散乱で反跳陽子を作るか、捕獲されるか)が大きく変わるため、一つの数値では表せない。1 MeV 付近で最大の約 20 になる。

問79 水の吸収線量を Bragg‑Gray〈ブラッグ・グレイ〉の空洞理論で求める式はどれか。ただし、水中に設置された空洞空気に生じた電荷量を QQ、空洞空気の質量を mm、空洞空気の吸収線量を DairD_{air}、水の質量衝突阻止能を (Scol/ρ)w(S_{col}/\rho)_w、空気の質量衝突阻止能を (Scol/ρ)air(S_{col}/\rho)_{air} とする。

  1. Qm(Scol/ρ)air(Scol/ρ)w\dfrac{Q}{m}\cdot\dfrac{(S_{col}/\rho)_{air}}{(S_{col}/\rho)_w}
  2. mQ(Scol/ρ)w(Scol/ρ)air\dfrac{m}{Q}\cdot\dfrac{(S_{col}/\rho)_w}{(S_{col}/\rho)_{air}}
  3. Dair(Scol/ρ)air(Scol/ρ)wD_{air}\cdot\dfrac{(S_{col}/\rho)_{air}}{(S_{col}/\rho)_w}
  4. Dair(Scol/ρ)w(Scol/ρ)airD_{air}\cdot\dfrac{(S_{col}/\rho)_w}{(S_{col}/\rho)_{air}}
  5. QmDair(Scol/ρ)air(Scol/ρ)w\dfrac{Q}{m}\cdot D_{air}\cdot\dfrac{(S_{col}/\rho)_{air}}{(S_{col}/\rho)_w}
解答・解説を見る

正解:4

  • ブラッグ・グレイの空洞理論は、「空気の空洞で測った線量を、水の線量に読み替える」ための理論。空洞が十分小さければ、そこを通る二次電子の場は水のときと変わらない、という前提に立つ。
  • 読み替えに使うのは、水と空気の質量衝突阻止能の比(阻止能比)。

Dw=Dair×(Scol/ρ)w(Scol/ρ)air)D_w = D_{air} \times \left(\frac{S_{col}/\rho\,)_w}{(S_{col}/\rho)_{air}}\right)

  • 1・2・5 ✗ Dair=QmWeD_{air} = \dfrac{Q}{m}\cdot\dfrac{W}{e} の関係を使うなら W値(W/eW/e)が必要だが、選択肢にはそれがない。Qm\dfrac{Q}{m} をそのまま使う形は式として成立しない。
  • 3 ✗ 比が上下逆。
  • 4 ○ 求めたい水が分子、既知の空気が分母。これが向きを間違えないコツ。水のほうが電子を止める力が大きい((S/ρ)w>(S/ρ)air(S/\rho)_w > (S/\rho)_{air})ので、比は 1 より大きくなり、Dw>DairD_w > D_{air} となるのが物理的にも自然である。

問80 図に示す放射線のエネルギーピークの FWHM はどれか。

問80のエネルギーピークの図(出典:厚生労働省)
  1. a
  2. b
  3. c
  4. d
  5. e
解答・解説を見る

正解:4

  • FWHM=Full Width at Half Maximum=半値全幅。文字どおり「ピークの高さが半分になるところで測った、全体の幅」である。分解し方は次のとおり。
  • Full(全):片側だけでなく両側にわたる幅
  • Width(幅)横方向の長さ(縦ではない)
  • Half Maximum(最大値の半分):ピークの頂点の高さ bb の半分= ee の高さ
  • 図では、ee がピーク高の半分の位置を示し、dd がその高さでの横幅を表している。
  • 1 ✗ aa はピークより高い位置での幅。
  • 2 ✗ bb はピークの高さそのもの(縦方向)。
  • 3 ✗ cc は半値幅の片側だけ(半値半幅=HWHM に相当)。「Full」に反する。
  • 4 ○ したがって dd
  • 5 ✗ ee高さであって幅ではない。
  • FWHM はエネルギー分解能の指標で、FWHMピークエネルギー×100\dfrac{\mathrm{FWHM}}{\text{ピークエネルギー}} \times 100[%]で表す。値が小さいほど分解能が良い。

問81 指頭形電離箱を用いて X 線の照射線量を測定するとき、空気等価壁の壁厚と収集電荷量の関係で正しいのはどれか。

問81の壁厚と収集電荷量の関係の図(出典:厚生労働省)
解答・解説を見る

正解:4

  • 壁厚を 0 から増やしていくと、相反する2つのことが同時に起こる。この2つの綱引きを考えるのがこの問題の本質である。
  • ① 増える方向(最初に効く):壁で発生した二次電子が空洞へ入ってくる。壁が薄いうちは電子が足りないが、厚くするほど増えていき、壁厚が二次電子の最大飛程に達したところで頭打ちになる。これが電子平衡(CPE)の成立。
  • ② 減る方向(後で効く):壁そのものが X 線を減弱させる。壁が厚いほど空洞に届く光子が減る。
  • したがって、電子平衡が成立する厚さで最大となり、それ以降は壁の減弱によってゆるやかに下がっていく
  • 1 ✗ 単調増加では、壁の減弱をまったく考えていないことになる。
  • 2 ✗ 一定では、電子平衡の成立過程が説明できない。
  • 3 ✗ ピーク後に平坦なままでは、壁の減弱が反映されていない。
  • 4 ○ この「立ち上がって → ピーク → ゆるやかに下降」の形を示している。
  • 5 ✗ このような急峻なピークにはならない。
  • 実際の測定では、この最大点(電子平衡が成立する壁厚)で測る。エネルギーが高いほど二次電子の飛程が長く、必要な壁厚も厚くなる。

問82 電子線照射で、電離箱を水槽内のビーム軸上を移動させて得られる測定値のみから算出されるのはどれか。

  1. 出力係数
  2. 軸外線量比
  3. 深部線量百分率
  4. 深部電離量百分率
  5. コリメータ散乱係数
解答・解説を見る

正解:4

  • ビーム軸上を移動させて」=深さ方向のデータ、「測定値のみから」=換算や補正を加えない生のデータ、と読む。ここが決め手になる。
  • 1・5 ✗ 出力係数・コリメータ散乱係数は、照射野サイズを変えて測る量。深さ方向の移動だけでは得られない。
  • 2 ✗ 軸外線量比(OAR)はビーム軸から横にずらして測る量。軸上の移動では得られない。
  • 3 ✗ 深部線量百分率(PDD)は線量の分布。電離量を線量に直すには、深さごとに変わる水/空気の阻止能比などの換算が必要になる。電子線ではこの換算が深さで大きく変わるため、PDI と PDD は形が違う。「測定値のみ」では出せない。
  • 4 ○ 深部電離量百分率(PDI)は、電離箱が示す電離量そのものを深さごとに並べた分布。まさに「測定値のみ」から得られる。

問83 頭部正面撮影で、前後位と比較した後前位の利点はどれか。

  1. 顔面骨が拡大される。
  2. 入射点が観察しやすい。
  3. 位置合わせが容易である。
  4. 水晶体の被ばくが軽減される。
  5. 被検者が姿勢を維持しやすい。
解答・解説を見る

正解:4

  • 後前位(PA)=X線が背中側から入って顔側へ抜ける前後位(AP)=顔側から入る。
  • 1 ✗ 後前位では顔面が検出器に近づくので、拡大は小さくなる。これは画質としては利点だが、選択肢の記述は逆。
  • 2 ✗ 後前位では入射点が後頭部側になり、観察しにくくなる
  • 3 ✗ うつぶせで顔を押しつける後前位のほうが、位置合わせは難しい
  • 4 ○ X線は入射面で最も強く、通り抜けるにつれて減衰する。後前位なら水晶体は「抜ける側」にあるので、被ばくが大幅に減る(およそ 1/10 程度になるとされる)。胸部撮影を後前位で撮るのと同じ発想で、放射線感受性の高い臓器を入射側に置かないという原則である。
  • 5 ✗ 仰向けの前後位のほうが楽に維持できる
  • つまり後前位は「やりにくいけれど水晶体を守れる」撮影法であり、その一点が利点になる。

問84 乳房X線写真が示されている。この撮影法で正しいのはどれか。2つ選べ。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.6 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 圧迫は乳房の外側から行う。
  2. X線の入射方向は頭尾方向である。
  3. 照射野は乳房の大きさに合わせて調節する。
  4. 乳房支持台の角度を大胸筋外側と平行にする。
  5. 乳房外側上部の深部組織を描出することができる。
解答・解説を見る

正解:4・5

  • 写真に大胸筋が斜めに写り込んでいることから、MLO(内外斜位)方向の撮影と判断できる。CC(頭尾方向)では大胸筋はほとんど写らない。
  • 1 ✗ MLO の圧迫は内側から外側へ向けて(斜め方向に)行う。
  • 2 ✗ 頭尾方向は CC の説明。MLO は斜め方向である。
  • 3 ✗ マンモグラフィでは照射野を絞らない。乳腺を1つも取りこぼさないよう、受像面全体を照射するのが原則。一般撮影の「照射野は絞る」という常識が通用しない、特徴的な点である。
  • 4 ○ MLO の要点。支持台の角度(通常 40〜60 度)を、その人の大胸筋の走行と平行に合わせる。これができていないと乳腺が十分に写らない。
  • 5 ○ MLO は大胸筋を含めて乳腺を最も広く描出できる方向で、CC では入りにくい外側上部(乳腺量が多く、癌の好発部位)まで写せる。

問85 腹部造影CT像が示されている。考えられるのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.7 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 腸閉塞
  2. 尿管結石
  3. 急性胆囊炎
  4. 消化管穿孔
  5. 腹部大動脈瘤破裂
解答・解説を見る

正解:5

  • 造影CTで大動脈から造影剤が血管の外へ漏れ出している(extravasation)所見と、その周囲に広がる後腹膜血腫が読み取れる。これが破裂の直接所見である。
  • 1 ✗ 腸閉塞では、拡張した腸管と鏡面像(ニボー)、口側と肛門側の径の差(caliber change)が手がかりになる。
  • 2 ✗ 尿管結石は単純CTが基本。水腎症と尿管に沿った高吸収の結石を探す。造影すると結石が造影剤に紛れて見えなくなる。
  • 3 ✗ 急性胆囊炎では胆囊の腫大・壁肥厚・周囲の脂肪織濃度上昇を見る。
  • 4 ✗ 消化管穿孔では腹腔内遊離ガス(free air)が決め手。肺野条件で横隔膜下を探す。
  • 5 ○ 腹部大動脈瘤破裂。数分を争う緊急事態で、直ちに医師へ報告すべき所見。

問86 X線撮影で画像コントラストを向上させるのはどれか。ただし、他の条件は一定とする。

  1. mAs 値を上げる。
  2. 管電圧を低くする。
  3. 照射野を広くする。
  4. 検出器を被写体に近づける。
  5. 高格子比グリッドから低格子比グリッドに変更する。
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正解:2

  • 1 ✗ mAs は光子の数を決める。写真濃度やノイズには効くが、コントラスト(吸収の差)には影響しない。ここが最も紛らわしい選択肢。
  • 2 ○ 管電圧を下げるとX線のエネルギーが下がり、光電効果の割合が増える。光電効果は原子番号の3乗に比例するので、骨(Ca)と軟部組織の吸収差が大きく開く=コントラストが向上する。マンモグラフィで 25〜30 kV という低い管電圧を使うのはこのためである。
  • 3 ✗ 照射野を広げると散乱線が増え、コントラストは低下する。
  • 4 ✗ 検出器を被写体に近づけると散乱線が増える(エアギャップ効果が失われる)ので、コントラストは低下する。鮮鋭度は上がるが、問われているのはコントラスト。
  • 5 ✗ 格子比を下げると散乱線の除去能力が落ち、コントラストは低下する。

問87 X線撮影体位が示されている。撮影法で正しいのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.8 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. Anthonsen〈アントンセン〉法
  2. Guthmann〈グースマン〉法
  3. Lauenstein〈ラウエンシュタイン〉法
  4. Rosenberg〈ローゼンバーグ〉法
  5. Stenvers〈ステンバース〉法
解答・解説を見る

正解:3

  • 人名撮影法は「どの部位を・どんな姿勢で」をセットで覚える。それぞれの内容は次のとおり。
  • 1 ✗ アントンセン法は顎関節の撮影。
  • 2 ✗ グースマン法は骨盤計測(産科的骨盤側面)の撮影。立位側面で行う。
  • 3 ○ ラウエンシュタイン法股関節の撮影。背臥位で膝を曲げ、大腿を大きく外転させる(カエル足のような姿勢)。大腿骨頸部を側面から観察でき、大腿骨頭壊死や小児の疾患の評価に使う。
  • 4 ✗ ローゼンバーグ法は膝関節の撮影。立位で膝を約45度曲げ、後前方向から撮る。荷重した状態の関節裂隙を見る。
  • 5 ✗ ステンバース法は錐体(側頭骨)の撮影。内耳道を観察する。

問88 腹部造影CTの MIP 像が示されている。矢印で示すのはどれか。

🖼 別冊画像を参照 この問題の画像は、公式の別冊(午前)の No.9 です。厚生労働省の公式ページから「午前・問題・別冊」を開いてご確認ください。

  1. 腎動脈
  2. 脾動脈
  3. 腹腔動脈
  4. 総腸骨動脈
  5. 上腸間膜動脈
解答・解説を見る

正解:5

  • 腹部大動脈から出る枝を、上から順に・走行の向きで見分ける。
  • 1 ✗ 腎動脈は大動脈から左右へ水平に出て、すぐ腎門部に入る短い枝。
  • 2 ✗ 脾動脈は腹腔動脈の枝で、左へ蛇行しながら膵臓の上縁を走る。くねくねした走行が特徴。
  • 3 ✗ 腹腔動脈は最も頭側(第12胸椎の高さ)から前方へ出るごく短い幹で、すぐに総肝動脈・脾動脈・左胃動脈の3本に分かれる。
  • 4 ✗ 総腸骨動脈は、大動脈が第4腰椎の高さで左右に二分岐した先。位置が明らかに下方になる。
  • 5 ○ 上腸間膜動脈(SMA)は、腹腔動脈のすぐ下(第1腰椎の高さ)から前方へ出て、そのまま下向きに долгくまっすぐ下行するのが最大の特徴。大動脈と平行に走り、そこから空腸動脈・回腸動脈が櫛の歯のように分岐する。この「1本の長い縦の幹」がSMAの目印。

問89 診療放射線技師が診療の補助で実施できない行為はどれか。

  1. 下部消化管検査のために肛門にカテーテルを挿入する。
  2. 上部消化管検査のために鼻腔にカテーテルを挿入する。
  3. 造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する。
  4. 画像誘導放射線治療のために肛門にカテーテルを挿入する。
  5. 核医学検査のために静脈路に放射性医薬品を投与するための装置を接続する。
解答・解説を見る

正解:2

  • 令和3年の法改正で業務範囲が広がったが、認められた行為は具体的に列挙されている。列挙にないものはできない、と考える。
  • 1 ✗ 下部消化管検査のための肛門へのカテーテル挿入と、空気・造影剤の注入や吸引は認められている。
  • 2 ○(これが答え) 鼻腔へのカテーテル挿入は認められていない。認められているのは、上部消化管検査のためにすでに挿入されているカテーテルから造影剤を注入する行為まで。挿入そのものは医師・看護師が行う。
  • 3 ✗ 造影剤注入装置の操作は認められている。
  • 4 ✗ 画像誘導放射線治療のための肛門へのカテーテル挿入(直腸内のガス抜きなど)は認められている。
  • 5 ✗ 静脈路に放射性医薬品を投与するための装置を接続する行為は認められている。
  • 整理のコツ:肛門は入口として認められ、鼻腔は認められない。この対比が本問の核心である。

問90 焦点−被写体間距離を aa、被写体−検出器間距離を bb、焦点サイズを FF としたとき、半影はどれか。

  1. ab×F\dfrac{a}{b} \times F
  2. ba×F\dfrac{b}{a} \times F
  3. (1+ab)×F\left(1 + \dfrac{a}{b}\right) \times F
  4. (1ab)×F\left(1 - \dfrac{a}{b}\right) \times F
  5. (1a+1b)×F\left(\dfrac{1}{a} + \dfrac{1}{b}\right) \times F
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正解:2

  • 焦点は点ではなく大きさ FF を持つ面なので、被写体の縁の影がぼける。そのボケの幅が半影である。相似の三角形から導ける。

H=F×baH = F \times \frac{b}{a}

  • 2 ○ したがって ba×F\dfrac{b}{a} \times F
  • 式の妥当性を確かめる(丸暗記でなく検算できると強い)。
  • 被写体を検出器に密着させると(b0b \to 0:半影は 0 になるはず。式に入れると H=0H = 0
  • 被写体を焦点に近づけると(aa が小さい):拡大率が上がりボケも増えるはず。式でも HH は大きくなる ✓
  • 選択肢1 は逆比なので、密着させたときに半影が無限大になってしまい、明らかにおかしい。
  • 参考:拡大率 M=a+baM = \dfrac{a+b}{a} を使えば ba=M1\dfrac{b}{a} = M - 1 なので、H=F(M1)H = F(M-1) とも書ける。こちらの形もよく出題される。

問91 骨塩定量検査で第 2 中手骨を測定部位とするのはどれか。

  1. DIP 法
  2. DXA 法
  3. QCT 法
  4. QUS 法
  5. SXA 法
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正解:1

  • 1 ○ DIP 法(digital image processing、X線写真濃度測定法/RA 法ともいう)。アルミニウム階段(スケール)と手を一緒に撮影し、第2中手骨の濃度をアルミの濃度と比べて骨密度に換算する。一般のX線装置で撮れるので、検診などで広く使われてきた。
  • 2 ✗ DXA 法は腰椎と大腿骨近位部が標準的な測定部位(骨折の起こりやすい場所を直接測る)。現在の骨粗鬆症診断の基準となる方法。
  • 3 ✗ QCT 法は 腰椎を CT で測る。
  • 4 ✗ QUS 法は 踵骨に超音波を当てる。被ばくがなく可搬性が高いのが利点。
  • 5 ✗ SXA 法は 前腕(橈骨)や踵骨が対象。

問92 DLP の単位で正しいのはどれか。

  1. mGy
  2. mSv
  3. mGy・cm
  4. mSv・cm
  5. mSv・cm⁻¹
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正解:3

  • DLP=Dose Length Product=線量長さ積。名前のとおり「線量 × 長さ」なので、単位もそのまま掛け算になる。

DLP=CTDIvol [mGy]×撮影範囲 [cm]\mathrm{DLP} = \mathrm{CTDI_{vol}}\ [\mathrm{mGy}] \times \text{撮影範囲}\ [\mathrm{cm}]

  • 1 ✗ mGy は CTDIvol の単位。1回転あたり(=1スライスあたり)の線量を表す。
  • 2 ✗ mSv は実効線量の単位。DLP に係数 kk を掛けて実効線量を推定することはできるが、DLP 自体の単位ではない。
  • 3 ○ したがって mGy・cm
  • 4・5 ✗ Sv は防護量なので、装置が表示する物理量である DLP には使わない。
  • 使い分け:CTDIvol は「濃さ」、DLP は「総量」。範囲を広く撮れば CTDIvol が同じでも DLP は増える。DRL はこの両方に設定されている。

問93 DR システムにおける MTF で正しいのはどれか。

  1. プリサンプルド MTF の測定法はエッジ法のみである。
  2. オーバーオール MTF は構成要素の MTF に影響を受けない。
  3. エッジ法を用いて MTF を求めるには ESF を直接フーリエ変換する。
  4. デジタル MTF ではサンプリングに伴うエリアシングの影響を受ける。
  5. アナログ MTF とアパーチャ MTF の積をオーバーオール MTF という。
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正解:4

  • 1 ✗ エッジ法のほかにスリット法・矩形波チャート法などがある。「のみ」は言い過ぎ。
  • 2 ✗ 逆。オーバーオール MTF は各構成要素の MTF の積になる。だからどこか1つが悪いと全体が引きずられる。
  • 3 ✗ ESF は微分して LSF にしてからフーリエ変換する。直接ではない。
  • 4 ○ デジタルシステムでは、画素の間隔(サンプリング間隔)で決まるナイキスト周波数を超える成分が折り返して低周波側に紛れ込む。これがエリアシングで、デジタル MTF はその影響を受ける。プリサンプルド MTF は、この影響を避けるためにわずかに傾けて測る手法である。
  • 5 ✗ オーバーオール MTF は、アナログ MTF・アパーチャ MTF に加えてサンプリングや画像処理の影響も含めた総合の MTF。2つの積だけでは足りない。

問94 雑音中に信号を含む画像 100 枚と、雑音のみの画像 100 枚を観察し信号検出を行い、表のような刺激−反応マトリクスを得た。陽性的中率〈PPV〉に最も近いのはどれか。

問94の刺激−反応マトリクスの表(出典:厚生労働省)
  1. 0.70
  2. 0.73
  3. 0.78
  4. 0.80
  5. 0.85
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正解:3

  • 表を整理すると次のようになる。
信号ありと答えた信号なしと答えた
信号+雑音(本当にある)70(真陽性30(偽陰性)
雑音のみ(本当はない)20(偽陽性80(真陰性)
  • 陽性的中率(PPV)=「陽性と判定したもののうち、本当に陽性だった割合」。つまり、「あります」と答えた全部が分母になる。

PPV=真陽性真陽性+偽陽性=7070+20=7090=0.778\mathrm{PPV} = \frac{\text{真陽性}}{\text{真陽性} + \text{偽陽性}} = \frac{70}{70 + 20} = \frac{70}{90} = 0.778

  • 1 ✗ 0.70 は 感度70/(70+30)70/(70+30))。「本当にあるもののうち、当てられた割合」で、分母が横方向になる。PPV は縦方向が分母、と区別する。
  • 3 ○ したがって約 0.78
  • 4 ✗ 0.80 は特異度(80/(20+80)80/(20+80))。
  • 覚え方:的中率は「答えた側」から見る、感度・特異度は「真実の側」から見る。表のどちらの向きに足すかが違うだけである。

問95 DQE で正しいのはどれか。

  1. 面積の次元を持つ。
  2. 理論的な最大値は 1 である。
  3. NEQ と入射光子数との積である。
  4. 出力画像の SN 比の 2 乗に対応する。
  5. 同一の値であれば解像特性は等しい。
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正解:2

  • DQE は「入ってきた情報のうち、どれだけを無駄なく画像にできたか」を表す効率。

DQE=SNRout2SNRin2\mathrm{DQE} = \frac{\mathrm{SNR}_{out}^2}{\mathrm{SNR}_{in}^2}

  • 1 ✗ SN 比の 2 乗どうしの比なので無次元
  • 2 ○ 効率なので理論上の最大は 1(=入射した光子の情報を一切失わない理想の検出器)。現実には 0.2〜0.7 程度。
  • 3 ✗ 逆。DQE=NEQ入射光子数\mathrm{DQE} = \dfrac{\mathrm{NEQ}}{\text{入射光子数}} なので、割り算である。
  • 4 ✗ SNRout2\mathrm{SNR}_{out}^2 は分子にすぎない。分母の SNRin2\mathrm{SNR}_{in}^2(=入射光子数)で割って初めて DQE になる。
  • 5 ✗ DQE は空間周波数ごとに変わる関数で、MTF と NPS の両方を含んでいる。同じ DQE の値でも、MTF が高くノイズも多い系と、MTF が低くノイズも少ない系がありうるので、解像特性が等しいとは限らない。

問96 放射線業務に常時従事し管理区域に立ち入る者に対する健康診断が規定されている法令はどれか。2つ選べ。

  1. 医療法
  2. 診療放射線技師法
  3. 医薬品医療機器等法
  4. 電離放射線障害防止規則
  5. 放射性同位元素等規制法
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正解:4・5

  • 「誰を守る法律か」で考えると整理できる。健康診断は働く人(従事者)を守るための規定である。
  • 1 ✗ 医療法が守るのは患者と医療の安全。病院の構造設備や安全管理体制を定めるが、従事者の健康診断は規定していない。
  • 2 ✗ 診療放射線技師法は資格と業務範囲を定める法律。
  • 3 ✗ 医薬品医療機器等法は医薬品・医療機器の品質と安全を定める法律。
  • 4 ○ 電離放射線障害防止規則(電離則)は労働安全衛生法に基づく規則で、労働者の健康を守るのが目的。健康診断(雇入れ時・配置替え時・6か月ごと)を規定している。
  • 5 ○ 放射性同位元素等規制法(RI規制法)も、放射線業務従事者への健康診断を規定している。

問97 複数個の個人被ばく線量計を装着するのはどれか。2つ選べ。

  1. 全身に均等に被ばくする場合
  2. 放射線防護衣を着用する血管造影検査の業務
  3. 眼の水晶体が体幹部よりも多く被ばくする場合
  4. 放射線業務従事者の内部被ばく線量を測定する場合
  5. 妊娠中の女性が従事する不均等被ばくを生じない業務
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正解:2・3

  • 判断の軸はひとつ、「体の場所によって線量が違う(不均等被ばく)か」。違うなら複数個要る。
  • 1 ✗ 均等に被ばくするなら、代表して1か所(男性は胸部・女性は腹部)でよい。
  • 2 ○ 防護衣を着ると、衣の内側(守られている)と、襟の外の頭頸部(守られていない)で線量がまったく違う。だから胸部(衣の内側)と頸部(衣の外側)の2か所に着ける。
  • 3 ○ 水晶体の被ばくが多い場合は、頭頸部にも追加して着ける。水晶体の等価線量限度が 20 mSv/年(5年平均)に引き下げられ、より重要になった。
  • 4 ✗ 内部被ばくは体内からの被ばくなので、体表につける線量計では測れない。ホールボディカウンタやバイオアッセイ法で評価する。
  • 5 ✗ 不均等被ばくを生じないなら1個でよい。ただし妊娠中の女性は腹部に着ける(胎児の被ばくを評価するため)。

問98 バイオアッセイ法で正しいのはどれか。

  1. 遮へい体を使用する。
  2. γ線放出核種を対象とする。
  3. 微量の放射性核種は検出できない。
  4. ホールボディカウンタを使用する。
  5. 生体試料を分析して放射性核種の摂取量を算出する。
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正解:5

  • バイオアッセイ法は内部被ばくの評価法のひとつ。尿・便・血液・呼気などの生体試料を採って、その中の放射能を測り、そこから体内に取り込んだ量を逆算する。
  • 1 ✗ 遮へい体(鉄室など)を使って周囲の放射線を遮るのは、ホールボディカウンタの測定室の話。
  • 2 ✗ むしろ逆で、体外に出てこないα線・β線放出核種(プルトニウム、3^{3}H、90^{90}Sr など)が主な対象。これらは体外から測れないので、試料を採るしかない。
  • 3 ✗ 逆。化学的に濃縮してから測定できるので、きわめて微量でも検出できるのが利点である。
  • 4 ✗ ホールボディカウンタは体外から直接測る方法で、γ線放出核種が対象。バイオアッセイとは別の手法である(2 と 4 は、この「もう一方の方法」の説明になっている)。
  • 5 ○ 定義そのもの。

問99 非密封放射性同位元素の貯蔵容器について、医療法で定められているのはどれか。

  1. 容器は二重に施錠する。
  2. 液体の場合はろ紙を敷く。
  3. 許可なく持ち出すことを禁じる標識を付ける。
  4. 容器外の空気を汚染する恐れがある場合は貯蔵しない。
  5. 1 m の距離における実効線量率が 100 µSv・h⁻¹ 以下になるように遮へいする。
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正解:5

  • 医療法施行規則では、貯蔵施設の貯蔵箱等について「容器の表面から 1 m の距離における実効線量率が 100 µSv/h 以下となるような遮へい物を設けること」と具体的な数値で定めている。
  • 1 ✗ 二重に施錠するという規定はない。貯蔵施設にはかぎその他の閉鎖のための設備を設けることが求められる。
  • 2 ✗ ろ紙を敷くのは作業台での汚染防止の工夫。貯蔵容器の規定ではない。
  • 3 ✗ 「みだりに立ち入らないように」という標識は貯蔵施設(部屋)に付けるもの。容器についての規定ではない。
  • 4 ✗ 「貯蔵しない」のではなく、空気を汚染するおそれがあるものは、気密な構造の容器に入れることが定められている。
  • 5 ○ この数値がそのまま規定されている。容器の表面ではなく「1 m の距離で」という点に注意。

問100 医療安全に関する用語の説明で正しいのはどれか。

  1. 医療過誤とは医療従事者の故意によって生じた医療事故である。
  2. エラーレジスタンスとはエラーが生じにくい仕組みにすることである。
  3. フォールトトレランスとは故障自体が発生しないように設計することである。
  4. WHO が定義する患者安全とは医療に関連した不必要な害を根絶する行為のことである。
  5. フールプルーフとは誤動作等の障害が発生した際に安全側に動作するように設計することである。
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正解:2

  • 似た用語が並ぶので、「エラーを起こさせない」系と「起きた後どうする」系に分けて整理する。
  • 1 ✗ 医療過誤は過失(注意義務違反)によって生じた医療事故。故意なら犯罪であって、過誤とは呼ばない。
  • 2 ○ エラーレジスタンス=エラーに抵抗する=そもそもエラーが起きにくい仕組みにすること。
  • 3 ✗ フォールトトレランス=故障が起きても機能を保ち続ける設計(多重化・冗長化)。「故障自体を防ぐ」のはフォールトアボイダンス。
  • 4 ✗ WHO の定義は「不必要な害を、受け入れられる最低限にまで減らすこと」。根絶ではない。害をゼロにはできないという前提に立つのが患者安全の考え方である。
  • 5 ✗ これはフェイルセーフ(故障したら安全側に倒れる)の説明。フールプルーフは、うっかりミスをしても事故にならない仕組み(電子レンジの扉を開けると止まる、など)。

第76回の 午後の解答・解説 もあわせてご覧ください。

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