心臓MRIと同期撮像(心電図・呼吸ゲーティング)の基礎
心臓は拍動して動いているため、そのまま撮るとぶれてしまいます。そこで、心臓の動きに合わせて撮る=同期(ゲーティング)が欠かせません。
心電図同期(ECGゲーティング)
心電図の R波 を基準(トリガ)にして、毎心拍の同じ位相のデータを少しずつ集めます。これにより、止まって見える画像や、動きの動画(シネMRI)が作れます。
なお、MRIの強い静磁場の中では、流れる血液(荷電したイオン)の影響でECGの波形(とくにST-T部分)が歪むことがあります(磁気流体力学効果)。そのため、R波を正しく検出できるよう ベクトル心電図(VCG)などが用いられます。
前向きと後ろ向き
- 前向き同期(prospective):R波を検出してから撮像を始める方式。
- 後ろ向き同期(retrospective):連続して撮りながら、あとでR波に合わせて並べ替える方式。心周期の全位相をカバーしやすく、シネMRIに向きます。
呼吸の動きへの対策
心臓は呼吸でも動くため、次の対策を併用します。
- 息止め:短時間で撮る。
- 呼吸同期(ナビゲータ):横隔膜の位置を見て、呼吸の同じ位相で撮る。
なお、不整脈があるとR-R間隔が乱れ、同期がうまくいかないことがあります。心電図が取りにくい場合は、指先の脈波で同期する 末梢脈波同期(脈波ゲーティング)が使われることもあります。
シネMRIと心機能の評価
シネMRI は、1心拍を複数の時相(フェーズ)に分けて撮り、つなげて動画にしたものです。心臓の動き(壁運動)を見たり、駆出率(EF)や心室の容積といった心機能を計算したりできます。シネには、血液が明るく描かれて動きを評価しやすい バランスドSSFP(true SSFP)系のシーケンスがよく使われます。
心臓MRIで見る主なもの
心臓MRIは、目的に応じていくつかの撮像を組み合わせます。
- 機能(シネMRI):壁運動・駆出率・心室の容積。
- 心筋の線維化・梗塞(遅延造影:LGE):ガドリニウム造影後に時間をおいて撮ると、線維化・梗塞した心筋が遅れて濃染します。心筋が生きているか(バイアビリティ)の評価に使われます。
- 虚血(ストレス心筋灌流):負荷をかけた状態で灌流の欠損を見て、虚血を評価します。
- 心筋の性状(T1・T2マッピング):浮腫・線維化・鉄沈着などを数値で評価します。
- 弁・血流(フロー:PC法):弁の逆流や血流速度を定量します。
試験で問われやすいポイント
- 心臓MRIはECGのR波を基準に同期する(毎心拍 同じ位相を集める)。
- 後ろ向き同期は全心位相をカバーでき、シネMRIに向く。
- 呼吸対策に息止め・呼吸同期。不整脈は同期を乱す。
- 静磁場でECG波形が歪む(磁気流体力学効果)ため、R波検出にベクトル心電図を用いる。
- シネは機能評価(駆出率・容積)、遅延造影(LGE)は線維化・梗塞の評価(遅れて濃染)。
まとめ
- 動く心臓は同期(ゲーティング)で撮る。基準は心電図のR波。
- シネMRIで動きを動画化し、駆出率(EF)・容積などの心機能を評価できる。
- 遅延造影(LGE)・ストレス灌流・マッピング・フローなど、目的に応じた撮像を組み合わせる。
- 呼吸の動きは息止め・呼吸同期で抑える。