FLAIRと反転回復(IR)の基礎
反転回復(IR:Inversion Recovery) は、180°パルスで磁化を反転させてから撮像する方法です。特定の組織の信号がちょうどゼロになるタイミング(TI) で撮ると、その組織を消せます。水を消す FLAIR、脂肪を消す STIR が代表です。
反転回復のしくみ
180°パルスで縦磁化を −M₀(下向き) に反転させると、磁化は時間とともにゼロを通って +M₀ へ回復します。回復の途中でゼロになる瞬間(TI)に撮像すれば、その組織の信号は出ません。
ある組織がゼロになるTIは、おおよそ次のとおりです。
T1が長い組織ほど、ゼロになるまで時間がかかる(=長いTIが必要)という関係です。
FLAIR(水を消す)
水(脳脊髄液:CSF)は T1が長い ため、長いTI でちょうどゼロになります。FLAIRはこのTIで撮ることで、CSFの高信号を消し、脳室周囲やくも膜下腔の近くにある病変(T2高信号)を見やすくします。
STIRとの違い
同じ反転回復でも、消す相手とTIの長さが違います。
| 消す相手 | T1 | TI | |
|---|---|---|---|
| STIR | 脂肪 | 短い | 短い |
| FLAIR | 水(CSF) | 長い | 長い |
T1が短い脂肪は早くゼロになる(STIR=短いTI)、T1が長い水は遅くゼロになる(FLAIR=長いTI)という関係です。
試験で問われやすいポイント
- 反転回復は 180°で反転 → ゼロになるTIで撮る と、その組織を消せる。
- TI ≈ 0.69 × T1。T1が長い組織ほどTIは長い。
- FLAIRは水(CSF)を消す(長いTI)/STIRは脂肪を消す(短いTI)。
- FLAIRは脳室周囲やくも膜下腔の病変の検出に有用。
まとめ
- 反転回復は TI で特定の組織を消す撮像法。
- FLAIR=水(長いTI)/STIR=脂肪(短いTI)。
- 消したい組織のT1に合わせてTIを選ぶ、と覚えると整理しやすい。