MRIの主なアーチファクト(折り返し・化学シフト・磁化率・モーション)
アーチファクトは「実際には無いのに画像に写ってしまう偽の信号や歪み」です。原因を知ると、対策も見えてきます。ここでは認定試験で頻出の代表的なアーチファクトを整理します。
① 折り返し(エイリアシング)
撮像範囲(FOV)が対象より小さいと、FOVからはみ出した部分が反対側に折り返して写ります。主に 位相エンコード方向 に出ます。
- 対策:FOVを広げる/位相方向のオーバーサンプリング(no phase wrap)/位相エンコード方向を体の短い向きに選ぶ。
② 化学シフトアーチファクト
水と脂肪は共鳴周波数が違うため、周波数エンコード方向で脂肪が水に対してずれて描出されます。水と脂肪の境界に、片側は暗いふち、反対側は明るいふちが出ます。
化学シフトは 高磁場ほど・受信バンド幅が狭いほど 目立ちます。
- 対策:受信バンド幅を上げる/脂肪抑制を使う/(可能なら)磁場強度を下げる。
③ 磁化率アーチファクト
金属や、空気と組織の境界では局所的に磁場が乱れ、信号欠損や画像の歪みが起こります。GRE法やEPIで顕著で、SE法では比較的軽くなります。
- 対策:SE系のシーケンスを使う/TEを短くする/受信バンド幅を上げる/金属を遠ざける。
④ モーションアーチファクト
体動・呼吸・拍動・血流などの動きがあると、位相エンコード方向にゴースト(ぼやけた像の繰り返し)が出ます。
- 対策:固定・息止め/心電図・呼吸同期/加算回数を増やす/フローコンペンセーション/高速撮像。
⑤ トランケーション(打ち切り/Gibbs)
高コントラストの境界で、信号の打ち切りにより境界に平行な縞(リンギング)が出ます。
- 対策:マトリクス数(分解能)を上げる。
対策のまとめ
| アーチファクト | 主な原因 | 出る方向 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 折り返し | FOVが小さい | 位相エンコード | FOV拡大・オーバーサンプリング |
| 化学シフト | 水と脂肪の周波数差 | 周波数エンコード | バンド幅up・脂肪抑制 |
| 磁化率 | 金属・空気境界 | — | SE系・TE短縮・バンド幅up |
| モーション | 体動・拍動・血流 | 位相エンコード | 同期・固定・フローコンプ |
| トランケーション | 高コントラスト境界 | — | マトリクスを上げる |
試験で問われやすいポイント
- 折り返しは 位相エンコード方向。対策はFOV拡大・オーバーサンプリング。
- 化学シフトは 周波数エンコード方向。高磁場・低バンド幅で目立つ。
- 磁化率は GRE/EPIで顕著、SEで軽減。
- モーションゴーストは 位相エンコード方向に出る。
まとめ
- アーチファクトは「原因」と「出る方向」をセットで覚えると整理しやすい。
- 折り返し・モーションは位相方向、化学シフトは周波数方向が基本。
- 対策はFOV・バンド幅・シーケンス選択・同期などを使い分ける。
実際の読影では、アーチファクトと本物の病変を見分ける目も大切です。各施設の手順や先輩の指導も参考にしてください。