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MRI

T1・T2・プロトン密度の違いと使い分け

MRIの画像が組織ごとに白黒で描き分けられるのは、緩和(relaxation) のちがいによります。その中心が T1(縦緩和)T2(横緩和)、そして プロトン密度(PD) です。

この記事では、3つの強調画像が「何の差」を見ているのかを、用語を噛み砕いて整理します。

緩和とは

MRIでは、まずRFパルスで磁化を倒します。パルスを止めると、磁化はゆっくりと元の状態(静磁場の向き)に戻っていきます。この戻る過程が 緩和 です。緩和には2つの側面があります。

  • T1(縦緩和):倒れた磁化の「縦成分(MzM_z)」が回復していく速さ
  • T2(横緩和):磁化の「横成分(MxyM_{xy})」が消えていく速さ

T1・T2は組織ごとに固有の値(時定数)を持ち、この差が画像のコントラストになります。

T1(縦緩和)

縦磁化 MzM_z の回復は、次の式で表されます。

Mz(t)=M0(1et/T1)M_z(t) = M_0 \left( 1 - e^{-t/T_1} \right)
  • T1が短い組織(例:脂肪)→ 速く回復する → T1強調画像で高信号(白い)
  • T1が長い組織(例:水・脳脊髄液)→ 回復が遅い → T1強調画像で低信号(黒い)
縦磁化の回復曲線(T1) 時間に対する縦磁化の回復を示したグラフ。T1が短い組織は速く回復し、T1が長い組織はゆっくり回復する。ある時点(TR)での両者の差がコントラストになる。 M₀ 縦磁化 時間(TR) TR ← コントラスト T1が短い(脂肪など) T1が長い(水・CSF)
図1:縦磁化の回復。T1が短いほど速く回復し、T1強調画像で高信号になる。

T2(横緩和)

横磁化 MxyM_{xy} の減衰は、次の式で表されます。

Mxy(t)=M0et/T2M_{xy}(t) = M_0 \, e^{-t/T_2}
  • T2が長い組織(例:水・脳脊髄液)→ 横磁化がゆっくり消える → T2強調画像で高信号(白い)
  • T2が短い組織 → 速く消える → T2強調画像で低信号(黒い)
横磁化の減衰曲線(T2) 時間に対する横磁化の減衰を示したグラフ。T2が長い組織はゆっくり減衰して高信号を保ち、T2が短い組織は速く減衰する。ある時点(TE)での両者の差がコントラストになる。 M₀ 横磁化 時間(TE) TE ← コントラスト T2が長い(水) T2が短い
図2:横磁化の減衰。T2が長いほどゆっくり消え、T2強調画像で高信号になる。

プロトン密度(PD)

プロトン密度(PD: Proton Density) は、その組織にある水素原子核(プロトン)のです。T1・T2の影響をできるだけ抑え、プロトンの数の差を見るのが プロトン密度強調画像 です。プロトンが多い組織ほど高信号になります。

3つの強調画像は TR・TE で作り分ける

どの強調画像になるかは、TR(繰り返し時間)TE(エコー時間) の組み合わせで決まります。

強調画像TRTE主に見ている差
T1強調短い短いT1(縦緩和)の差
T2強調長い長いT2(横緩和)の差
プロトン密度強調長い短いプロトンの量の差

考え方の整理:

  • TRを短くすると、T1の差が信号に出る → T1強調
  • TEを長くすると、T2の差が信号に出る → T2強調
  • TRを長く・TEを短くすると、T1もT2も差が出にくくなり、残るのはプロトン量の差 → PD強調

代表的な見え方の例:T1強調で脂肪が高信号・水が低信号、T2強調で水が高信号(組織・シーケンス・撮像条件により異なります)。

試験で問われやすいポイント

  • T1=緩和(回復)、T2=緩和(減衰)という対応。
  • T1が短い→T1強調で高信号T2が長い→T2強調で高信号
  • 3つの強調画像と TR・TEの長短の組み合わせ(特にPD強調=TR長・TE短)。
  • 水(CSF)は T1が長く・T2も長い:T1強調で低信号、T2強調で高信号。

まとめ

  • MRIのコントラストは T1(縦緩和)・T2(横緩和)・プロトン密度 の差から生まれる。
  • T1強調=TR短・TE短/T2強調=TR長・TE長/PD強調=TR長・TE短
  • 「T1が短い→T1強調で白い」「T2が長い→T2強調で白い」をまず押さえる。

次回は、SNRと加算回数(NEX)の関係を整理します。

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