T1・T2・プロトン密度の違いと使い分け
MRIの画像が組織ごとに白黒で描き分けられるのは、緩和(relaxation) のちがいによります。その中心が T1(縦緩和) と T2(横緩和)、そして プロトン密度(PD) です。
この記事では、3つの強調画像が「何の差」を見ているのかを、用語を噛み砕いて整理します。
緩和とは
MRIでは、まずRFパルスで磁化を倒します。パルスを止めると、磁化はゆっくりと元の状態(静磁場の向き)に戻っていきます。この戻る過程が 緩和 です。緩和には2つの側面があります。
- T1(縦緩和):倒れた磁化の「縦成分()」が回復していく速さ
- T2(横緩和):磁化の「横成分()」が消えていく速さ
T1・T2は組織ごとに固有の値(時定数)を持ち、この差が画像のコントラストになります。
T1(縦緩和)
縦磁化 の回復は、次の式で表されます。
- T1が短い組織(例:脂肪)→ 速く回復する → T1強調画像で高信号(白い)
- T1が長い組織(例:水・脳脊髄液)→ 回復が遅い → T1強調画像で低信号(黒い)
T2(横緩和)
横磁化 の減衰は、次の式で表されます。
- T2が長い組織(例:水・脳脊髄液)→ 横磁化がゆっくり消える → T2強調画像で高信号(白い)
- T2が短い組織 → 速く消える → T2強調画像で低信号(黒い)
プロトン密度(PD)
プロトン密度(PD: Proton Density) は、その組織にある水素原子核(プロトン)の量です。T1・T2の影響をできるだけ抑え、プロトンの数の差を見るのが プロトン密度強調画像 です。プロトンが多い組織ほど高信号になります。
3つの強調画像は TR・TE で作り分ける
どの強調画像になるかは、TR(繰り返し時間) と TE(エコー時間) の組み合わせで決まります。
| 強調画像 | TR | TE | 主に見ている差 |
|---|---|---|---|
| T1強調 | 短い | 短い | T1(縦緩和)の差 |
| T2強調 | 長い | 長い | T2(横緩和)の差 |
| プロトン密度強調 | 長い | 短い | プロトンの量の差 |
考え方の整理:
- TRを短くすると、T1の差が信号に出る → T1強調
- TEを長くすると、T2の差が信号に出る → T2強調
- TRを長く・TEを短くすると、T1もT2も差が出にくくなり、残るのはプロトン量の差 → PD強調
代表的な見え方の例:T1強調で脂肪が高信号・水が低信号、T2強調で水が高信号(組織・シーケンス・撮像条件により異なります)。
試験で問われやすいポイント
- T1=縦緩和(回復)、T2=横緩和(減衰)という対応。
- T1が短い→T1強調で高信号、T2が長い→T2強調で高信号。
- 3つの強調画像と TR・TEの長短の組み合わせ(特にPD強調=TR長・TE短)。
- 水(CSF)は T1が長く・T2も長い:T1強調で低信号、T2強調で高信号。
まとめ
- MRIのコントラストは T1(縦緩和)・T2(横緩和)・プロトン密度 の差から生まれる。
- T1強調=TR短・TE短/T2強調=TR長・TE長/PD強調=TR長・TE短。
- 「T1が短い→T1強調で白い」「T2が長い→T2強調で白い」をまず押さえる。
次回は、SNRと加算回数(NEX)の関係を整理します。