MRIの安全管理②:SARと発熱・熱傷
MRIではRFパルスを体に当てて信号を得ますが、そのエネルギーの一部は組織に吸収されて熱になります。この発熱に関わる安全管理が SAR です。
磁場・磁性体(ミサイル効果・5ガウスライン)については、別記事「MRIの安全管理①:磁場と磁性体」で扱います。
SAR(比吸収率)とは
組織にRFエネルギーがどれだけ吸収されるかを表すのが SAR(Specific Absorption Rate:比吸収率)で、単位は W/kg です。
SARは、おおまかに次の要因が大きいほど高くなります。
- :静磁場強度(高磁場ほど発熱しやすい)
- :フリップ角(大きいほど大きい)
- :RFを当てる頻度(デューティ比。高速・多パルスのシーケンスほど大きい)
細かい式の暗記は不要ですが、「高磁場ほど、RFを多用するシーケンスほどSARが高い=発熱しやすい」という関係を押さえましょう。装置はSARが上限を超えないように監視・制限しています。
熱傷を防ぐ
SARに関連して、現場では 熱傷(やけど) に注意します。とくに大切なのが、ケーブル類が輪(ループ)を作らないようにすることです。ループがあると電流が誘導されて発熱し、熱傷の原因になります。
ほかにも、
- 皮膚どうし・皮膚とケーブルの接触を避ける(間にパッドを挟む)
- 体表でのループ(手を組む・足を組む 等)を避ける
- 体温調節が難しい患者では、とくに慎重に観察する
試験で問われやすいポイント
- SARの単位(W/kg)と、高磁場・多パルスほど高いという関係。
- (静磁場)が大きいほどSARが高くなること。
- ケーブルのループを作らない(熱傷予防)。
まとめ
- SAR=RFによる発熱の指標(単位 W/kg)。高磁場・多パルスで高くなる。
- ケーブルや体表でループを作らない。接触を避けて熱傷を防ぐ。
安全管理は知識だけでなく、現場での確認の徹底が何より大切です。各施設の手順に必ず従ってください。