分割照射とLQモデル(α/β・4つのR)
放射線治療は、総線量を一度に当てるのではなく、1回2 Gy程度に分けて毎日照射 するのが基本です。これを 分割照射 といいます。
分割照射のイメージ
たとえば 総線量60 Gyを、1回2 Gy × 30回(平日のみ、約6週間)に分けて照射します。
なぜ分割するのか(4つのR)
分割の合間に起こる変化が、正常組織を守りつつ、がんをよく叩く ことにつながります。
- Repair(回復):照射の合間に 正常組織のほうがよく回復 する。
- Reassortment/Redistribution(再分布):放射線に弱い時期の細胞が増え、効きやすくなる。
- Repopulation(再増殖):治療が長引くと、がんも増える(だらだら延ばさない)。
- Reoxygenation(再酸素化):酸素が少ない(効きにくい)がん細胞に酸素が回り、効きやすくなる。
α/β比とLQモデル
細胞の生き残りは LQモデル(Linear-Quadratic model:直線二次曲線モデル) で表され、組織ごとの放射線感受性を α/β比 で表します。
- 早期反応組織・多くのがん:α/β比が 大きい(約10 Gy)。
- 晩期反応組織(神経・脊髄など):α/β比が 小さい(約3 Gy)。1回線量を大きくすると 晩期障害が増えやすい。
だからこそ、1回線量を抑えて分割 すると、晩期障害を抑えながら治療できます。生物学的な効果は BED(Biologically Effective Dose:生物学的実効線量) で比較します。
寡分割照射
近年は SBRT(Stereotactic Body Radiation Therapy:体幹部定位放射線治療) のように、少ない回数で1回大線量 を、病巣に精密に当てる方法も増えています。
試験で問われやすいポイント
- 分割の理由は 4つのR(回復・再分布・再増殖・再酸素化)。
- α/β比:がん・早期=大(約10)、晩期=小(約3)。1回線量を上げると晩期障害が増える。
- 生物効果の比較は BED。少回数高線量は SBRT。
まとめ
- 放射線治療は 1回2 Gy程度の分割 が基本。
- 分割は 4つのR で正常組織を守りつつ腫瘍を叩く。
- α/β比・LQモデル・BED が線量設計の基礎になる。