CTの画像再構成(フィルタ補正逆投影・逐次近似)
CTは、対象のまわりを回転しながら いろいろな方向からX線を当て、透過データ(投影:プロジェクション) を集めます。それをコンピュータで計算して断層像にするのが 画像再構成 です。
フィルタ補正逆投影(FBP)
集めた投影を、各方向から像へ「塗り戻す」のが 逆投影 です。ただし、そのままだと像がぼやけます。そこで、フィルタ(再構成関数)をかけてから逆投影するのが FBP(Filtered Back Projection:フィルタ補正逆投影) です。
- 計算が速いため、長く標準的に使われてきました。
- 再構成関数(カーネル) の選び方で画像の性質が変わります。平滑な関数はノイズが少なく軟部組織向き、鮮鋭な関数は細かい構造(骨・肺)向きですがノイズは増えます。
逐次近似再構成(IR)
逐次近似(Iterative Reconstruction:IR) は、「いったん画像を仮定 → そこから投影を計算 → 実際の測定値と比べる → ずれを補正」という手順をくり返して、少しずつ正解に近づけます。
- ノイズが少なく、被ばく低減に有利(少ない線量でも画質を保ちやすい)。
- 計算量が多いですが、装置の進歩で実用的になりました。
AIを用いた再構成(深層学習再構成:DLR)
近年は、人工知能(ディープラーニング)を使った再構成(DLR:Deep Learning Reconstruction)が広がっています。「低い線量で撮ったノイズの多い画像」と「高い線量で撮ったきれいな画像」の組み合わせなどを大量に学習させたAIが、ノイズだけを選んで取り除き、細かい構造は残すように画像を仕上げます。
- 低い線量でも、ノイズの少ない画像が得られ、被ばく低減と画質の両立に役立ちます。
- 逐次近似で気になりやすい、不自然にのっぺりした質感を抑えやすく、より自然な画質になりやすいとされます。
- すでに各メーカーが製品化しています(例:AiCE、TrueFidelity など。名称はメーカーごとに異なります)。
ただし、学習していないタイプの画像では性能が落ちることがあるため、特性を理解して使うことが大切です。位置づけとしては、FBP → 逐次近似(IR)→ 深層学習再構成(DLR)の順に、より少ない線量で高い画質を目指す技術の流れです。
試験で問われやすいポイント
- CTは 多方向の投影データ を集めて再構成する。
- FBP はフィルタ(再構成関数)をかけてから逆投影。速い。
- 再構成関数:平滑=低ノイズ・軟部向き/鮮鋭=高分解能・骨/肺向き。
- 逐次近似(IR) はノイズが少なく 被ばく低減に有利。
- 深層学習再構成(DLR) は、AIでノイズを抑えて高画質を保ち、さらなる被ばく低減に向く。
まとめ
- 画像再構成は 投影データ → 断層像 にする計算。
- FBP(フィルタ補正逆投影) は速く、再構成関数で画質を調整。
- 逐次近似(IR) はノイズが少なく、被ばく低減に向く。
- 近年は 深層学習再構成(DLR) で、より少ない線量で高画質を目指す。