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基礎医学

血液・免疫の基礎(血球の種類・アレルギー・感染経路)

血液と免疫は、覚えることが多く見えますが、「細胞の分類」と「体を守る2段構え」という2本の軸に沿って並べると、国家試験で問われる範囲はすっきりまとまります。造影剤の副作用や感染対策など、実務にも直結する分野です。

血液の成分:何がどれだけ入っているか

血液は、液体成分の血漿(約55%)と、細胞成分の血球(約45%)でできています。血球は骨髄で作られ、3種類あります。

  • 赤血球酸素を運ぶ。ヘモグロビンを含む。最も数が多い
  • 白血球体を守る(免疫)。感染で増える
  • 血小板止血する。傷口をふさぐ
血液の成分と血球の種類 血液を上から順に分けた階層図。血液はまず液体成分の血漿(約55パーセント)と細胞成分の血球(約45パーセント)に分かれる。血球はさらに赤血球、白血球、血小板の3つに分かれる。白血球はさらに、顆粒を持つ顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)と、顆粒を持たない無顆粒球(単球・リンパ球)に分かれる。 血液 血漿(約55%) 液体成分。水・タンパク質 凝固因子など 血球(約45%) 細胞成分。骨髄で作られる 赤血球・白血球・血小板 赤血球 酸素を運ぶ (ヘモグロビン) 白血球 体を守る(免疫) 感染で増える 血小板 止血する 傷口をふさぐ 顆粒があるか? 顆粒球(顆粒あり) 名前に「好」がつく3つだけ 好中球 最多(約60%)・細菌感染で増加 好酸球 寄生虫・アレルギーで増加 好塩基球 ヒスタミンを持つ 無顆粒球(顆粒なし) 残りの2つ 単球 組織でマクロファージに リンパ球 T細胞・B細胞(獲得免疫) 覚え方:「好〜球」の3つだけが顆粒球。残る単球とリンパ球が無顆粒球
図1:血液の成分と血球の種類。血液 → 血漿と血球 → 血球は3種類 → 白血球は顆粒の有無で2つ、と上から順に分かれる。

白血球は、細胞の中に顆粒(つぶつぶ)を持つかどうかで2つに分かれます。見分け方は簡単で、名前に「好」がつく3つ(好中球・好酸球・好塩基球)だけが顆粒球です。

免疫の2段構え:自然免疫と獲得免疫

体を守るしくみは、2段構えになっています。

  • 自然免疫 … 生まれつき備わった、相手を選ばない防御。皮膚・粘膜(口腔・消化管)のバリア、好中球やマクロファージの貪食
  • 獲得免疫 … 一度出会った相手を覚えて、特異的に攻撃する防御。リンパ球(T細胞・B細胞)が主役

リンパ球が育つ場所が、そのまま名前になっています。T細胞は胸腺Thymus)、B細胞は骨髄Bone marrow)で成熟します。

抗体(免疫グロブリン)の5種類

B細胞が作る抗体(免疫グロブリン、Ig)には5種類あり、それぞれ役割が違います。

抗体特徴
IgG血中に最も多い。唯一、胎盤を通過して胎児に免疫を与える
IgA唾液・涙・母乳・粘膜に多い。粘膜を守る
IgM感染の初期に最初に作られる。分子が大きく胎盤を通れない
IgEⅠ型アレルギーの主役。肥満細胞に結合する
IgDB細胞の表面にある。はたらきは未解明の部分が多い

アレルギー:4つの型

アレルギーは、免疫が過剰に反応してしまう状態です。関わる物質と時間の早さで4型に分かれます。

アレルギーの4つの型 アレルギーの型の一覧図。Ⅰ型は即時型でIgE抗体と肥満細胞のヒスタミン放出により数分で起こり、アナフィラキシーや花粉症が例。Ⅱ型は細胞傷害型でIgGとIgM、補体が関わる。Ⅲ型は免疫複合体型で抗原抗体複合体と補体が関わる。Ⅳ型は遅延型でT細胞が主役、1日から2日かけて起こり、ツベルクリン反応や接触性皮膚炎が例。Ⅰ型からⅢ型は抗体が主役、Ⅳ型だけ細胞が主役。 主役 速さ 代表例 Ⅰ型 即時型 IgE + ヒスタミン 肥満細胞から放出 数分 アナフィラキシー 花粉症・造影剤の即時型副作用 Ⅱ型 細胞傷害型 IgG・IgM + 補体 数時間 不適合輸血・自己免疫性溶血性貧血 Ⅲ型 免疫複合体型 抗原抗体複合体 + 補体 数時間 血清病・糸球体腎炎 Ⅳ型 遅延型 T細胞 抗体は関与しない 1〜2日 ツベルクリン反応 接触性皮膚炎(金属アレルギー) Ⅰ〜Ⅲ型は「抗体」が主役/Ⅳ型だけ「細胞(T細胞)」が主役 だからⅣ型だけ反応が遅い(1〜2日かかる)
図2:アレルギーの4つの型。Ⅰ〜Ⅲ型は抗体が主役で速い、Ⅳ型だけT細胞が主役で1〜2日かかる。

感染経路と対策

病原体がうつる道すじ(感染経路)は、対策が変わるため実務でも重要です。

おもな感染経路と対策 感染経路の比較図。空気感染は5マイクロメートル未満の飛沫核が空気中を長く漂い遠くまで届く。対策はN95マスクと陰圧室。代表は結核・麻疹・水痘の3つ。飛沫感染は5マイクロメートル以上の飛沫が1から2メートルで落ちる。対策はサージカルマスク。代表はインフルエンザ。接触感染は手指や器具を介する。対策は手指衛生と手袋。代表はノロウイルスやMRSA。 空気感染 (飛沫核感染) 5 µm未満の飛沫核が 空気中を長く漂う N95マスク+陰圧室 サージカルマスクでは防げない 結核・麻疹・水痘 「ケッカク・マシン・スイトウ」 飛沫感染 5 µm以上の飛沫が 1〜2 mで落ちる サージカルマスク インフルエンザ 風疹・流行性耳下腺炎など 接触感染 手指・器具・環境を 介してうつる 手指衛生+手袋・ガウン ノロウイルス・MRSA 流行性角結膜炎など
図3:おもな感染経路と対策。空気感染だけはN95マスクと陰圧室が必要で、代表は結核・麻疹・水痘の3つ。

空気感染するのは、結核・麻疹・水痘の3つだけです。「ケッカク・マシン・スイトウ」と覚えます。飛沫の水分が蒸発してできた飛沫核(5 µm未満)が空気中を長く漂うため、同じ部屋にいるだけでうつります。対策にはN95マスクと陰圧室が必要で、サージカルマスクでは防げません。

止血とDIC

血管が傷つくと、血小板が集まって傷口をふさぎ(一次止血)、続いて凝固因子がはたらいてフィブリンの網で固めます(二次止血)。

この仕組みが全身で暴走してしまうのがDIC(播種性血管内凝固)です。全身の細い血管に微小な血栓ができ、その過程で血小板と凝固因子を使い果たしてしまうため、かえって出血しやすくなります。検査値は「消費されるものは減り、血栓が溶けた証拠は増える」と考えると整理できます。

  • 減る … 血小板・フィブリノゲン・プラスミノゲン
  • 増えるD-ダイマー(FDP)=血栓が溶けた証拠
  • 延長する … APTT・PT(凝固因子が足りないため)

まとめ

  • 血液は血漿(約55%)と血球(約45%)。血球は赤血球(酸素)・白血球(免疫)・血小板(止血)
  • 白血球は「好〜球」とつく3つだけが顆粒球単球・リンパ球は無顆粒球。細菌感染では白血球(好中球)が増える
  • 免疫は自然免疫(皮膚・粘膜・貪食)と獲得免疫(リンパ球)の2段構え。T細胞は胸腺、B細胞は骨髄で成熟
  • 抗体5種類のうち、胎盤を通れるのはIgGだけⅠ型アレルギーの主役はIgEとヒスタミン
  • アレルギーはⅠ〜Ⅲ型が抗体、Ⅳ型だけT細胞が主役。Ⅳ型(遅延型)だけ1〜2日かかる
  • 空気感染は結核・麻疹・水痘の3つだけ。N95マスクと陰圧室が必要
  • DICでは血小板・フィブリノゲンが減り、D-ダイマーだけが増える。APTTは延長

これで基礎医学シリーズは完結です。過去問での問われ方は、過去問解説の記事一覧国家試験まとめから確認できます。他の分野は基礎医学カテゴリにまとめています。

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