MRアンギオ(TOF法・PC法)の基礎
MRアンギオ(MRA) は、造影剤を使わずに血管を描き出せる撮像法です。代表的なのが TOF法(流入効果) と PC法(位相差) です。どちらも「血液が動いている」ことを利用します。
TOF法(Time of Flight:流入効果)
短いTRのGRE法で同じ場所を繰り返し励起すると、静止している組織は飽和して信号が下がります。一方、新しく流れ込んできた血液は飽和しておらず、高信号になります。この差で血管を描くのがTOF法です。
- 長所:造影剤が不要。比較的シンプルで広く使われる。
- 短所:遅い血流や撮像面に平行な血流は飽和して描出が低下する。乱流でも信号が落ちる。動脈と静脈の分離には飽和帯(プリサチュレーション)を使う。
PC法(Phase Contrast:位相差)
血液が動くと、傾斜磁場のもとで位相がずれます。静止組織は位相がずれません。この位相差を信号にするのがPC法です。
PC法では VENC(速度エンコード) という設定で、捉えたい流速の範囲を決めます。流速の情報(定量) が得られ、背景組織の抑制も良好です。
- 長所:血流速度を定量できる。背景抑制が良い。遅い流れにも対応しやすい。
- 短所:VENCの設定が必要(合わないと折り返しなどが起こる)。撮像時間が長くなりやすい。
TOF法とPC法の比較
| TOF法 | PC法 | |
|---|---|---|
| 原理 | 流入効果(飽和の差) | 位相差 |
| 速度の定量 | できない | できる |
| 背景抑制 | やや劣る | 良好 |
| 弱点 | 遅い流れ・面内血流に弱い | VENC設定・撮像時間 |
試験で問われやすいポイント
- TOF法は 流入効果(静止組織は飽和、流入血は高信号)。
- TOFは 遅い血流・撮像面に平行な血流 に弱い。動静脈の分離は 飽和帯。
- PC法は 位相差 を使い、VENC で流速範囲を設定。速度の定量ができる。
まとめ
- MRAは造影剤なしで血管を描く。代表は TOF(流入効果) と PC(位相差)。
- TOFはシンプルだが遅い流れに弱い。PCは速度定量ができるが設定と時間が必要。
- 目的(部位・血流の速さ・定量の要否)に応じて使い分ける。